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2011年4月30日土曜日

狼と香辛料 4 2/3



狼と香辛料 4 2/3






行商人と違って気心の知れた友人もでき
嫁探しも楽になる。
そう言えばクロエのやつ
どうしてるかな?

俺が店を出したら驚くだろうな。
いや
悔しがるかな?
ははは。



わっちは
ちょっと困りんす。



ん?
なんでだ?



店を持てばぬしはそこから出なくなるじゃろ?
わっちは一人で旅を続けるか
新たな連れを見つけなければならん。



お前は賢いしテンの毛皮で稼いだ金もある。
一人旅でも困らないだろ?



一人は飽いた。



ぁ・・・



わっちにはぬしを縛ることはできん。
がの・・・



お前が北に帰るまでくらいなら
付き合ってもいいぞ。

ぁ!

金が入ってきても
それですぐに店が持てるわけじゃぁないしな。



ほんとかや?



嘘をついてどうするんだ?



・・・



そのなんだ・・・
だからそんな顔をするな。



ぅん。



ぁ・・・



ぁ・・・!



らしくないじゃないか。



いつも同じ夢を見る。



夢?



わっちがな・・・
わっちが目を覚ますとな
誰もおらん。

ユエもインティも
パラもミューリも
何処を探しても
何処にもおらん。

わっちらはな何百年でも生きられる。
だからな
だから旅に出たんじゃ。

絶対に・・・
絶対にまた会えると信じてな。
なのに・・・
誰もおらん!
もう目を覚ましても誰もおらんのは嫌じゃ。

一人は飽いた。
一人は寒い。
一人は・・・寂しい。
ぅ・・・
面目ない。



行商人もそんな夢でうなされる。
あ~ぁ。
顔中べたべたじゃないか。
ちょっと待ってろ。



ぁ!



ほら。



じゃが・・・これ・・・



書いては捨ててるんだ。
それに
まだあの取引は成功したわけじゃぁない。
皮算用にも程がある。



チーン。

ぬしに大きな借りができたの。



ぅん。



はぁ。
まだ眠い。
ぬしは寝んのかや?



そろそろ寝るか。
蝋燭代も無駄になる。



ぅふ。
商人らしい考えじゃ。



ふっ。



バタン



ん!



ぁ!
何を?



野暮な事
言うもんじゃありんせん。



ぁ!

ぉぉ・・・
ん・・・



ぐるしい・・・



ぁ・・・



ぬし、目はなれたかや?



どういう?



ぬしに言おうとしていた大事な事を
ようやく思い出した。

扉の外に3人。
おそらく
まともな客ではありんせん。



まさか
メディオ商会が・・・

ぁ・・・



ここは2階じゃ。
幸い外には誰もおらん。
心の準備は良いかや?

わっちのこの身体
月明かりの元でとくと見やしゃんせ!



バタン

パサ



ドンドンドン



ぁ!

ぇぃ!

あっつ・・・



走りんす。



ぁ・・・



荷馬車はあきらめんと駄目じゃな。



ぁぁ・・・

ぁ!



やつらが馬を殺しても
何の特にもならぬ。
落ち着いてから取り戻せばよいじゃろ?



あぁ。



念のためじゃ。
ぬし
いくらか持っててくりゃれ。



熱いな。



わっちが宿る麦じゃもの。



行き先はミローネ商会だ!



中には絶対入れるな!



ホロ!
この一件が終わったら買い物に行こう!



いきなりなんじゃ?



櫛とか帽子とか買ってやるよ。



何を企んでおる?



別に。
せっかく綺麗な髪だからさ。



髪よりも尻尾用の櫛がいいんじゃが。



だったらそうしよう。



頑張れ。
もうすぐミローネ商会だ。



ぁ!
な!



居たか?



いえ。



この辺にいるはずだ。
もうじき援軍も来る。
完全に包囲するぞ!



はい!



ふぅ。
だいぶ旗色が悪いの。



二手に分かれるか?



名案じゃがもっと良い方法がある。



なんだ?



わっちが大通りに出てやつらをひきつける。
その間にぬしが・・・



ちょっと待て。
そんな事・・・



よいか?
下手に二手に分かれても
捕まるのはぬしじゃ。
狼のわっちはそう簡単に捕まりゃせん。

もしわっち一人になったら
どうやってミローネ商会と掛け合う?



ぁ・・・



ぬしはミローネに手の内をさらしとる。
切り捨てられないためには
主が行って寝がえっていいのか?
と脅す以外無かろう。



ぁ・・・

ぅ・・・
やっぱり駄目だ。
お前の耳と尻尾を見たら
メディオ商会は
絶対にお前を教会に連れて行くぞ。



わっちは捕まらん。
仮に捕まっても
1日ぐらいなら耳と尻尾は隠せる。
その間に
ぬしなら必ず助けに来てくれる。



お前なぁ!



ぬし
金を稼いで店を持ちたいんじゃろ?
わっちにしてみれば
これはさっきの借りを返す絶好機じゃ。



馬鹿言うな!
捕まれば殺されるんだ!
そんなの
釣り合うわけ無いだろ!

ぁ!



孤独は死に至る病じゃ。
十分つりあう。



いや・・・



ぁ!



ぬしを信じとる。



ぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・



居たぞ。
あっちだ!



居たぞ!
大通りだ!



おいどこだ?

2011年4月29日金曜日

狼と香辛料 4 1/3



狼と香辛料 4 1/3


狼と無力な相棒。






やぁ
ここのマトンの燻製が
以外に美味かったんでなぁ。
それに
この間は思いのほか酔っ払っちまって
ろくに情報交換も出来なかっただろ?



そう言えばそうですねぇ。
途中からはこっちも奥様のお話に
無流になってしまいまして。



は。
与太話だと思って聞き流してくれ。



いやいや。
それにしても奥様は凄いですねぇ。






本当にありがとうございます。
それじゃぁ。



あぁ。






ゼーレンと言う男の姿は確認しました。
更に調査を進めてみましょう。



よろしくお願いします。



しかし
正直驚きましたよ。
昨日の今日でまさか
こんな事になるとは。

当初はかなり警戒しましたが
よく伺えば単純な詐欺では無さそうだ。
何者かが価値の下がる銀貨を
大量に手に入れるために
もっともらしいやり方で
価値が上がると吹き込み
複数の商人たちに銀貨を買い集めさせる。

しかし現実には価値が下がるから
商人たちは慌てて手放そうとする。
そこで何者かは頃合を見て一斉に買い取る。

騙された商人たちは
自らの名誉の為にそれを口外することは無い。
そして
その価値の下がる銀貨で
莫大な利益を生み出す方法にも
心当たりがあります。

が・・・
大変なリスクを伴う話ですねぇ。
改めて興味が湧いてきましたよ。



はぁ。
何よりです。



何事も後学のためです。
テンの毛皮の時のようにねぇ。






しかし
間に合うかや?



ぁ?



ぬしの仮説が正しいとしても
ミローネ商会が素早く動いてくれん事には
ゼーレンの裏をつく企みも
水の泡じゃろ?




おそらく大丈夫だろ。
異国の地であれだけ商売を成功させるには
人一人の身の回りくらい
すぐ調べが・・・




うふふふふふふ。
あはははははは。



どうした?



あ、ちょっと・・・
昔の事を思い出しての。
ククククク



俺を見てか?



いや
今のぬしのようにやっとって
それは見事にすっ転ぶんじゃ。
ククククク
ふぅ。
何度注意しても凝りもせんな。



一緒に居たら楽しそうだな。



うむ。
間抜けじゃが底抜けに明るくての。
わっちの狼の姿を見ても
少しも驚かん。
変といえば変じゃったが
良いヤツじゃった。

一線を引かずに親しくしてくれた
初めてのヤツでの。
パスロエ村のヤツじゃ。



村の麦畑の事を頼んだってヤツか?



そう。



ドサ



本当に間抜けでのぉ。
ふふ。
よう呆れたわ。
ふふ。



ぁ?
どうした?



ぬしに伝える事があった。



ん?



気がするんじゃが
頭から出てこん。



なんだそりゃ?



結構重要な事だったはずなんじゃが・・・



なら
そのうち思い出すだろう。



う~む
そうじゃな。



スースー



友人・・・
か。






支店長のマールハイトと申します。
この取引
受けさせていただきます。



ゼーレンの背後関係がつかめたという事ですね?



えぇ。
彼の後ろには
メディオ商会がついています。



メディオ商会ですか?
確かに農作物の取引では
パッツィオ随一
運搬用の船舶もかなりの物ですが。



ふむ。
彼らだけでは
ロレンスさんが描いている仮説の実行は
不可能でしょう。
おそらく
更に後ろに貴族が控えているはずです。
そこまでの特定はできては居ませんが
それが誰であろうと
ご指摘どおり先手を打てば
どうにでもなります。



では
分け前の話に移りましょう。






ん~ふふっふ♪



ご機嫌すぎるほどご機嫌じゃのぉ。



トレニー銀貨が30万
いや
上手くすれば40万は動くんだぞ。
商会の利益が1割として
もし2千枚入れば
俺も遂に立派な商店主だ!



まぁ
うまくいっているようで良かったの。

うぅ・・・



二日酔いなら宿で寝とれと言ったろ?



ぬしがいいように丸め込まれないか
心配での。



どういう意味だ?



そのまんまの意味。
うぅ・・・



まったく・・・
もう少し頑張れ。
宿はすぐそこだ。



ん・・・






ぅぅう~ん!



ぁ?



う~ん・・・
ふ。



店の絵か?



なぁ~!



驚きすぎじゃぁ。



いつの間に起きたんだ?
お前。



ふふ。
なかなか上手いもんじゃのぉ。



それほどでも無いがな。



近いうちに店でも出すのかや?



ミローネ商会との取引が上手くいけばな。
ま、ほぼ確実だ。



ふぅん。



自前の店を持つことは
行商人の夢だからなぁ。
俺も例外じゃない。

店を構えればその町の一員になれる。
行商人と違って気心の知れた友人もでき
嫁探しも楽になる。

2011年4月28日木曜日

狼と香辛料 3感想・原作比較



狼と香辛料 3感想・原作比較



無制限に買うか?
普通・・・

いいだけ買えと言ったのは
ぬしではないか?

遠慮の二文字も無いのか?
お前は。
自分の食い扶持はちゃんと稼げよ。

わっちは賢狼ホロじゃ。
この程度の金などすぐじゃわ。



この時は何も考えずに
そのまま見逃してしまった台詞なのですが
後になって思えば
もしかしてホロは全て計算どおり?

もっともホロがリンゴ好きなのも事実でしょうけど。




本日はご利用
ありがとうございます。
クラフト・ローレンツ様でしたか。

ロレンスです。
覚えていてくださるとは光栄ですね。



よき商人の心得のひとつは
お客様の名前と顔を覚えている
という事なのかもしれませんが・・・
この点、私は非常に苦手ですね。




これは良いテンの毛皮ですね。
今年はどの作物も豊富で
テンの入荷が少ないのです。



どこの農夫たちも
農作業で手一杯だっただろうからな。
だが
そんな中でこれほどの毛皮だ。

これが70枚でしたね。

いかにも。

では
以前にもお取引を頂いてますので
こちらでいかがでしょうか?

132か。
貨幣は?

トレニー銀貨で。

うん!
数年に一度。
いや、10年に一度か。
途中雨に降られたにも関わらず
全く失われていないツヤを見てもらいたい。

確かに良いツヤです。
毛並も良い。

これはなかなかお目にかかれない
粒ぞろいの毛皮でね。
私としては今後も
こちらと良い関係を築いていきたいと考えてる。

当商会といたしましても
全く同感でございます。
それでは今後の親交も含めまして
140ではいかがでしょうか?




普通だったらここで終わる取引。
でもその一枚上手をいったホロ。



トレニー銀貨
140枚!
たしかにそう言われたかや?

確かにトレニー銀貨140枚です。

う~ん。
ぬしさまはひとかどの商人と見受けられるが・・・
いや
だからこそ
わざと気づかれぬふりをしたのかや?
だとすれば油断ならぬお人じゃ。

も・・・申し訳ございません。
何か見落としている事がございますでしょうか?

あるじ様よ。
意地悪はするものでないぞよ。

そんなつもりはない。
お前が教えてやりなさい。



ロレンスはホロが何を考えているのかわからない様子だが・・・




さてぬしさまよ。
一つ手にとって嗅いでみてくだされ。

どうじゃった?

これは・・・
果物の香りでしょうか?

いかにも。
今年は森もたわわに実った果実で溢れておる。
そんな森をつい先日まで駆けずり回っていた
テンの毛皮じゃ。
たらふく良い物を食っておるから
身体から甘い香りが立ち上るほどじゃ。

確かに香ります。

それほどのテンの皮じゃ。
皮を剥ぐ時は大の男が二人がかりで引き裂いたが
身がしまり過ぎて難儀した。
遠慮は要らぬ。
思い切り引っ張ってみよ。

もっと!

強靭なること猛獣のごとく
暖かなること春の日差しのごとし。
雨にかざせば見事にはじき
げに芳しきはこの香りじゃ。

鼻の曲がりそうなテンの皮で出来た服が並ぶ中
ただ一つ甘い芳香を放つ
この皮の服があるところを想像せよ!
飛び出るような高値で売れる事
間違い無しじゃ。

さて
いかような値で買い取って頂けるものかや?

トレニー銀貨200枚でいかがでしょう?

毛皮一枚につき銀貨3枚でどうかや?
つまり210枚。

あるじさま?
他に商会は?

構いません。
210枚でよろしくお願いします。

だそうじゃ。
あるじさま。



毛皮を引っ張ってみよ
というホロに青くなっているロレンス。
まぁホロは狼だから
毛皮の目利きもそれなりに出来るのでしょう。

銀貨140枚と査定された毛皮
それを210枚にしてしまったホロ。



どうしたかや?
飲まんのか?
わっちのおごりじゃぞ。

お前
商人やってたことがあるのか?

なんじゃ。
わっちのあれが
ぬしの誇りに傷でもつけたかよ?

あれはな
いつだったかかなりの昔の事じゃが
村を通りかかった
随分頭の切れる商人が思いついた方法じゃ。
わっちが思いついた方法じゃありんせん。

しかし
俺は本当に気がつかなかった。
と言うか・・・
昨夜あれにくるまって寝た時には
何の香りもしていなかったが・・・

それはほれ
わっちが買ったあのリンゴじゃ。

な・・・!
それじゃお前・・・

引っかかったほうが悪い・・・
とは言わんが
向こうもこんな方法があるのかと
関心するじゃろ。

まぁ・・・
だろうな。

騙された時に怒っているようじゃ
話になりんせん。
そんな方法もあるのかと感心してこそ
一人前じゃ。



私が思うに
これは相手が商人との取引だから出来る事であって
一般人にやってはいけないと思うのです。
そしてもう一つ
ロレンスが行商人だから出来る事。
街に住む人間にはね・・・

お祭りの時に来る香具師と呼ばれる人たち。
ちょっと怪しげで
でも祭りの雰囲気と怪しさに誰もが酔う。
そんな場で使える方法ですね。

普段の商売、相手が一般人であれば
私としてはやってはいけない一線のような気がします。
なぜなら商売とは
物を売るのはあくまでもついで。
本当に売らなければいけないのは信用。
信用を売るときについでに物も売る。

まぁ新たな商売を始める時のアイディアやネタ
そういう意味では使えるテクニックかもしれません。

ホロが
そんな方法もあるのかと感心してこそ
一人前じゃ。
と言うのも納得ではありますが。




銀貨の純度が下がるというのは
よくある事かや?

いや。
普通は最新の注意を払って
純度が維持されるはずだ。

ふむ。
そこに負って湧いた銀貨の純度に関する取引じゃ。
偶然かの?

得物を狩るとき
わっちらはたまに樹の上に登る。
樹の上から見ると
意外な獲物の隠れ場所がわかる。

そういう時は
新たな視点を入れるべきじゃ。

新たな視点・・・

何かを企んでいるのが
あの若者じゃなかったとしたらどうじゃ?

何もあの若者の利益は
直接相手をした者から貰わなくても良い筈じゃ。
例えば誰かに頼まれて
その手間賃を目当てに
妙な取引を持ちかけてきたのかもしれん。

そうか!
わかったぞ!
価値が下がる銀貨を
買えば買うほど利益が出る仕組みが!

ふふ。
何かひらめいたようじゃの。

行くぞ!

ぇ?
あぁ、今度は何処へ?

ミローネ商会だ!




ホロが長年居たパスロエ村の村長さんが
箱の中にたくさん入れて持っていたのが
トレニー銀貨。
そして毛皮の取引で使用されていたもの
トレニー銀貨。
今回の銀の含有量で話題になっているのも
トレニー銀貨。

いわば主軸通貨なのでしょう。
ではこれを今の社会に置き換えて考えてみると・・・
物語の中では銀貨と言っても種類が非常に多く
国の威信と同じ。

という事は・・・
外国為替に置き換えて考えれば・・・
わかりやすいのでは?
などと考えてしまいます。



【アニメ商品対象】狼と香辛料1 限定パック

狼と香辛料(1)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年4月27日水曜日

狼と香辛料 3 3/3



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なるほどの。
でどうじゃ。
その銀貨の話を知って
わかった事はあるのかや?



そうだな。



ん?



わかったと言うか
思いつく事はある。

どうした?



わっち
あれが食べたい!



あれ?






はむ!

でぬしは何に気づいたのかや?



これは覚えているか?



ん?

んんん・・・
フィリング銀貨?



正解。



うん。



こいつは銀の純度が高く
市場ではなかなかの人気がある。
トレニー銀貨のライバルだ。



うむ。
貨幣が国の力を現しているのは
いつの時代も一緒のようじゃ。



そうだ。
他国の貨幣に市場を席巻された時
その国は経済活動を牛耳られ
戦争に負けたのと変わらない。



つまりライバルを倒すためには
銀の純度を上げると言うわけかや?



あぁ。
だからゼーレンが嘘をついていない場合も
十分にありえる。



わっちの耳も万能ではないからの。



ぁ?



なんじゃ
わっちが怒るとでも思ったかや?



そのとおり。



そう思われたことに対してなら
怒るかもしらん。



ふむ。



何処へ向かっておるのじゃ?



知り合いが両替商をやっている。



両替商?



実のところ貨幣の純度なんて正確にはわからない。
それなのに人気が上下するのは
その純度の変化に敏感だからだ。
ほんのわずかな変化を大きな変化と思うほどにな。
だから
貨幣が大きく変化する時には
必ず予兆がある。

すぐに覚えなくていい。
ひと月くらいかけて
じっくり説明してやるよ。



つまりあれじゃろ?
貨幣を作る側が大きく純度を変えたいときは
まずほんの少しだけ純度を上げて
皆の期待度を測り
その反応次第で純度を上げる機会を伺うんじゃな?



ぁ・・・あぁ。
そんなところだ。






ロレンス!



ワイズ!



久しぶりだなぁ!



こらこら・・・



娘さん
お名前は?



わっちかや?



うむ。



わっちの名はホロじゃ。



ホロ。
良い名だ・・・



ロレンス
お前手篭めにしたのか?



するか!
そんな事!



だったらくどいても・・・

いいですよね?



ぅ・・・
困りんす。



はぁぁぁぁ❤

ぁ?



とりあえず
俺の用が先だ。

最近発行されたトレニー銀貨を持っていないか?



ぁ!



無理無理
毎日触っている俺らでも
わからないんだぜ。



鋳潰して調べる気は無いか?



バカ言え。
出来るわけ無いだろ?



わっちにも見せてくれんかや?



どうぞ、どうぞ❤



ん・・・
ぬしさまは悪いお人。



ははははは❤



むぅ。



まぁ見とりゃんせ。



カチャカチャ



ぁ・・・それさすがに無理だよ。
ホロちゃん。

何十年もやってる両替商の中には
それでわかる人も居るらしいけど
それも伝説だしね。



パサ



ぁ!



どう?



うん。
わかりんせん。



うんうん。
いや
しょうがない。
しょうがない。
気にしちゃだめだよ。






面白い人じゃったな。



無類の女好きだからな。



はぁ?




銀の純度は上がってたのか?
下がってたのか?



ぁ。
カマかけだとしたら
ぬしも上手くなったのぉ。



お前の耳が少し動いたんだ。



油断ならぬ。



ただ驚いたのは
あの場でそれを言わなかった事だ。



まぁ
お礼みたいなもんじゃ。



お礼?



ぬし
少しやいとったじゃろ?
そのお礼じゃ。



ぁ・・・
ん・・・



何、気にすることはない。
雄どもはみな阿呆のヤキモチ焼きじゃからの。
そして雌もそんな事が嬉しい阿呆。
何処を見ても阿呆ばかりじゃ。



そうだ。
銀の純度は?



うむ。
ほんの少しじゃが
新しくなるほど音が鈍くなっとったな。



鈍く?
という事は純度が下がっているという事だ。
やはりゼーレンは嘘をついたのか?

価値が下がる貨幣で儲けるには時間をかけるしかない。
少し価値が下がったところで買い戻せば差額が出る。
やがて相場が戻ればそれは利益だ。
だが半年やそこらで出来る事じゃない。
それ以外にゼーレンが得するやり方なんてあるのか?



くくくくく。
うふふふふ。



ぁ?



ぬし
騙されたんじゃないかや?



騙された?



いかにも。



それは銀貨10枚を騙し取られたという事か?



最悪で儲けがゼロじゃ。
仮に銀貨の値が下がってぬしが損をしたとしても
あの若者は受け取った銀貨を返すだけじゃ。
逆に上がれば利益の一部がもらえる。

元手はいらず儲かる可能性はあっても
あの若者が損する事は絶対にない。



なんて事だ・・・



人と言うものはさといの。



なんて事だ・・・



だがの・・・



ぁ?



銀貨の純度が下がるというのは
よくある事かや?



いや。
普通は最新の注意を払って
純度が維持されるはずだ。



ふむ。
そこに負って湧いた銀貨の純度に関する取引じゃ。
偶然かの?



ぁ・・・



得物を狩るとき
わっちらはたまに樹の上に登る。
樹の上から見ると
意外な獲物の隠れ場所がわかる。

そういう時は
新たな視点を入れるべきじゃ。



新たな視点・・・



何かを企んでいるのが
あの若者じゃなかったとしたらどうじゃ?



ぁ!



何もあの若者の利益は
直接相手をした者から貰わなくても良い筈じゃ。
例えば誰かに頼まれて
その手間賃を目当てに
妙な取引を持ちかけてきたのかもしれん。



そうか!
わかったぞ!
価値が下がる銀貨を
買えば買うほど利益が出る仕組みが!



ふふ。
何かひらめいたようじゃの。



行くぞ!



ぇ?
あぁ、今度は何処へ?



ミローネ商会だ!

2011年4月26日火曜日

狼と香辛料 3 2/3



狼と香辛料 3 2/3






それではご納得頂けますでしょうか?



ぁ・・・



ぉ・・・



トレニー銀貨
140枚!

たしかにそう言われたかや?



ぇ・・・
ぁ・・・はい。
確かにトレニー銀貨140枚です。



う~ん。
ぬしさまはひとかどの商人と見受けられるが・・・
いや
だからこそ
わざと気づかれぬふりをしたのかや?
だとすれば油断ならぬお人じゃ。



も・・・申し訳ございません。
何か見落としている事がございますでしょうか?



あるじ様よ。



ん?



意地悪はするものでないぞよ。



ぁ・・・

そ・・・
そんなつもりはない。
お前が教えてやりなさい。



うふん。
さてぬしさまよ。
一つ手にとって嗅いでみてくだされ。



うむ。



うむ。



ぉ!



どうじゃった?



これは・・・
果物の香りでしょうか?



ぁ!



いかにも。
今年は森もたわわに実った果実で溢れておる。
そんな森をつい先日まで駆けずり回っていた
テンの毛皮じゃ。
たらふく良い物を食っておるから
身体から甘い香りが立ち上るほどじゃ。



確かに香ります。



それほどのテンの皮じゃ。
皮を剥ぐ時は大の男が二人がかりで引き裂いたが
身がしまり過ぎて難儀した。
遠慮は要らぬ。
思い切り引っ張ってみよ。



あぁ・・・



もっと!



んん・・・



ぁ・・・



強靭なること猛獣のごとく
暖かなること春の日差しのごとし。
雨にかざせば見事にはじき
げに芳しきはこの香りじゃ。

鼻の曲がりそうなテンの皮で出来た服が並ぶ中
ただ一つ甘い芳香を放つ
この皮の服があるところを想像せよ!
飛び出るような高値で売れる事
間違い無しじゃ。



ふむ。



さて
いかような値で買い取って頂けるものかや?



トレニー銀貨200枚でいかがでしょう?



ん・・・
ぅぁぁぁ・・・



う~ん。
毛皮一枚につき銀貨3枚でどうかや?
つまり210枚。



ぅ!
ぇ・・・
ぁ・・・



あるじさま?
他に商会は?



ぇ・・・
ぁ・・・
構いません。
210枚でよろしくお願いします。



ぅん。
だそうじゃ。
あるじさま。



ぁ・・・
あぁ。






乾杯!



ゴクゴク
ぷはぁ。
うん
やっぱりぶどう酒じゃの!



・・・



どうしたかや?
飲まんのか?
わっちのおごりじゃぞ。



お前
商人やってたことがあるのか?



なんじゃ。
わっちのあれが
ぬしの誇りに傷でもつけたかよ?

あれはな
いつだったかかなりの昔の事じゃが
村を通りかかった
随分頭の切れる商人が思いついた方法じゃ。
わっちが思いついた方法じゃありんせん。



んん・・・



ふ~ん。



はぁ。

ゴクゴク
ぷはぁ。

しかし
俺は本当に気がつかなかった。
と言うか・・・
昨夜あれにくるまって寝た時には
何の香りもしていなかったが・・・



それはほれ
わっちが買ったあのリンゴじゃ。



な・・・!
それじゃお前・・・



引っかかったほうが悪い・・・
とは言わんが
向こうもこんな方法があるのかと
関心するじゃろ。



まぁ・・・
だろうな。



騙された時に怒っているようじゃ
話になりんせん。

そんな方法もあるのかと感心してこそ
一人前じゃ。



ん・・・



それはそうと・・・



ぁ?



ぬしはきちんとすべき事をしたのかや?



一応な。
だが銀貨を発行しなおす国があるという話は
つかんで無いようだ。



ふぅむ。



が・・・
ゼーレンの話には
何かからくりがあるのかもしれんが
おれが得をして損をしなければそれでいい。






では
再開を祝して・・・



乾杯!



ぷはぁ。

こんないい酒を飲んでるって事は
旦那
毛皮のほうは大成功ですね。



まぁな。



いやめでたい!
これであっしも儲けも増えるってもんだ。



そんな事よりだ・・・



はい。



ある銀貨の切り上げが行われると言う話を売る代わりに
お前は俺が儲けた金の一部を
代金として欲しい。
そういう事だったな?



はい。



その銀切り上げの話は本当なのか?



えっと・・・
そもそもこの話は
あっしが住んでいた鉱山の
ちょっとした情報から予想した物でして・・・
信用してもらって良いと思うんですが・・・
しかしあのぉ・・・
商売に絶対はありませんし・・・



ぅん。

絶対だと言ったら断ろうと思っていた。
そんな怪しい話は無いからな。



はぁ。



それで
お前の取り分は?



あぁ、はい。
話代としてトレニー銀貨10枚。
後は旦那の儲けに対し
その1割でお願いします。



随分と控えめじゃないか。



はい。
旦那が万一損をしても
あっしにはどうにも出来ません。

利益を抑える代わりに
損害分については話代の銀貨10枚を返すだけで
不問にして欲しいと言うわけです。



よし。
それでだいたいいいだろう。



ありがとうございます。
では早速明日公証人の所へ行きたいのですが?



うむ。
それでは我々の儲けに。



我々の儲けに!



乾杯!






ファラム銀貨!



残念。
偽マリーヌ銀貨。



それはこっちじゃないのかや?



それは後期ラデオン司教銀貨。



う~む!



まぁ使っているうちに自然と覚えるさ。
後は酔いが冷めてからにしよう。



いや!
もういっぺんじゃ!



しょうがないなぁ。

じゃぁこっちからいくから
ちゃんと聞いてろよ。



うむ。



トレニー銀貨。
フィリング銀貨。
リュート銀貨。



うむ。



偽マリーヌ銀貨。



うむ。



パラム銀貨。



うむ。



ランバルト特等王銀貨。



うむ。



ミッツフィング大聖堂王銀貨。
偽ミッツフィング大聖堂王銀貨。
聖ミッツフィング銀貨。

そしてこれが・・・



もう良い。
寝る。



さすが賢狼。
賢い選択だ。



ふん。
だいたいなんでそんなにあるのかや?
ややこしいにも程がありんす。



新しい国が出来ちゃぁ没落し
また出てきて
それに加えて地方の権力者や
教会権力もやたら発行するし
その上貨幣の偽造が後を立たない。

リュート銀貨だって元々は
偽トレニー銀貨と呼ばれて・・・
ぁ・・・
って寝るなよ。






とりあえず良い情報を貰った。
礼を言おう。



ありがとうございます。
では旦那。
あっしはここで。



あぁ。



旦那!
大もうけしてくださいよ!
奥様もいつまでもお美しゅう!



あぁ・・・
最後まで騒がしいやつじゃったの。






問題の銀貨と言うのはこれじゃろ?



あぁ。
この辺りだとかなり信用度の高い貨幣だな。



信用度?



貨幣は何百種類もあるし
しょっちゅう銀や金の含有量が変えられるからな。



ふむ。



そもそも貨幣の額面ってやつは
本来の金や銀の価値よりずっと高い。
信用が無ければ取引には仕えないんだ。



なるほどの。
でどうじゃ。

2011年4月25日月曜日

狼と香辛料 3 1/3



狼と香辛料 3 1/3


狼と商才。






はぁ!
あれが港町パッツィオかや?



美味いものがいろいろとありそうじゃな!



おい。



はぁ?



お前
顔を隠さなくて大丈夫か?



ぬし
何が言いたい?!



何百年も村に居たのなら
人になったお前の言い伝えも残っているだろ?



ホロは時折美しい娘の姿で村に現れる。
歳の頃は常に十代の半ば。
流れるような髪の毛と狼の耳。
それに先の白い尻尾を有し
毛色は綺麗なこげ茶色。

その事を秘密にする代わりに
村の翌年の麦の豊作を約束する。



特徴が全部伝わってるじゃないか。



全てを見せたところで
まずはぬしのように疑る。
この耳と尻尾さえ見せねば気がつく訳が無い。



まぁそうだな。



気がつくまいよ。
わっちの事など忘れとるんじゃからな。



俺としてはそう願うばかりだな。



まぁ大丈夫じゃろ。






おぉ!
やはりこの街は期待通りじゃ!



確かに
美味そうなリンゴだな。



じゃろ?



ん?



実に美味そうじゃないか?



ん?
そうだな。



ん!



そう言えば知り合いが
リンゴの先物買いをしていたっけな。
財産の半分以上を賭けていた。
あれがどこのリンゴか知らないが
あいつの財産は今頃倍以上だ。
俺もやっておくんだった。



うむ。
それは残念じゃったな。



しかしまぁ
危険も大きいからな。
俺なら船舶にのるな。



せ・・・船舶?



難破すれば命も危ないが
うまくいけばこの上無く儲かる。
契約を交わした承認同士で金を出し合って
船を借りるんだが・・・



ぅわぁ~・・・



どうした?



ぁ・・・いや・・・



で船を借りるだろ。
そうすると出した金額で
つめる荷物の量が決まるんだが・・・



リンゴ・・・



ん?



リンゴ・・・食べたい・・・だが・・・



なんだ。
そうだったのか?

ん・・・

これでいいだけ買って来い。






無制限に買うか?
普通・・・



いいだけ買えと言ったのは
ぬしではないか?



遠慮の二文字も無いのか?
お前は。

自分の食い扶持はちゃんと稼げよ。



ぬし。



ぁ?



さっきはわざと・・・
気づかんふり・・・
してたじゃろ?



人の胸中が手に取るようにわかると言うのは
いい気分だね。



パチ



痛・・・



わっちのじゃ!



元は俺の金だろ!



わっちは賢狼ホロじゃ。
この程度の金などすぐじゃわ。



カプ



そいつは良かった。
あの銀貨で今夜の宿代と晩飯も
まかなう予定だったんだ!






よく食ったな。



リンゴは悪魔の実じゃ。
わっちをそそのかす甘い誘惑に満ちておる。



賢狼なら欲に打ち勝ったらどうだ?



食欲は多くを失うが
禁欲が何かを生み出すという事も無い。
うっぷぅ。






今日の取引相手はあそこだ。



はぁ?
確かに入り口は大きいが
建物だけ見れば
もっと大きいところがあった気がするが・・・



確かに。
あそこはこの街では3番目だ。
だが
実は遠い南の国に本拠地を持つ
大商会の支店でな。

まずよそ者と言う負の要素を克服するために
買取に高値をつけている。
そして何より・・・



他の支店や・・・



ん?



本店から様々な情報が入ってくるから・・・



ぁ!



じゃろ?
国境を越えて商売をしている分
貨幣相場の変動に対する耳も鋭いんじゃろうから。



そのとおり。
あのゼーレンとか言う若僧の話も
さりげなく聞いてみるつもりだ。
裏が取れるかもしれない。



ようこそ!
ミローネ商会へ!



3年ほど前
こちらで麦を買い取ってもらったんだが
今日は毛皮を買い取ってもらいたい。



えぇえぇ。
もちろん結構でございます。



本日はご利用
ありがとうございます。
クラフト・ローレンツ様でしたか。



ロレンスです。
覚えていてくださるとは光栄ですね。



いえいえ
失礼いたしました。
本日は毛皮の買取を御所望と伺いました。



いかにも。
うん。
全部で70枚ある。



おぉ!
これは良いテンの毛皮ですね。
今年はどの作物も豊富で
テンの入荷が少ないのです。



どこの農夫たちも
農作業で手一杯だっただろうからな。
だが
そんな中でこれほどの毛皮だ。



えぇ。
これが70枚でしたね。



いかにも。



では
以前にもお取引を頂いてますので
こちらでいかがでしょうか?



132か。
貨幣は?



トレニー銀貨で。



うん!
数年に一度。
いや、10年に一度か。
途中雨に降られたにも関わらず
全く失われていないツヤを見てもらいたい。



確かに良いツヤです。
毛並も良い。



これはなかなかお目にかかれない
粒ぞろいの毛皮でね。
私としては今後も
こちらと良い関係を築いていきたいと考えてる。



当商会といたしましても
全く同感でございます。
それでは今後の親交も含めまして
140ではいかがでしょうか?



うん。
それで・・・

ぁ?

ちょっと失礼。



えぇ。



わっちには相場がわからん。
どんなものなのじゃ?



上場だよ。



えへへ。



ふふふ。



それでは・・・

2011年4月24日日曜日

狼と香辛料 2感想・原作比較



狼と香辛料 2感想・原作比較



この耳と尻尾を見ればわかろう?
わっちはそれは気高き狼よ。

この耳はあらゆる災厄を聞き取り
あらゆる嘘を聞き漏らさず
多くの仲間たちを
いくつもの危機から救ってきた。
賢き狼
賢狼ホロといえば
それは他ならぬわっちの事よ!



ホロの説明としては必要な台詞なのでしょうが
自分で言ってりゃ世話無いよ
というロレンスのため息に大きく納得します。



パン

はぁ。
まだ蚤がおった。

はぁ。
そりゃまぁ
最上級の毛並みだからな。

この尻尾のよさがわかるとは
ぬしもなかなかの目利きじゃな。

ん・・・
まぁそれなりにな。




ホロが手を1回叩いた事に
びっくりするロレンス。
まぁ話のタイミングだから納得はしますが
ホロは単純にノミを捕まえただけ。

しかもこの会話後に話題になるのですが
話のズレに気づきつつ
ホロはそんまま素通り。
そんなホロの態度がやはり大人なのでしょう。



ぬしも綺麗になれそうじゃな。
頭のてっぺんからのぅ。

ザー

今日のこの出会いを
神に感謝しましょう。



雨の予兆
それを知らせるホロだが
言い方が・・・
好みです。
そして雨宿り件、宿を借りるのに使用した場所は
教会。

どうやら巡礼者用という名目で
宿屋としても利用できる教会のようです。



失礼ですがそちらは?

妻ですが・・・
顔に火傷がありまして・・・

さようでしたか。

俺は濡れた荷物を手入れしてから行く。



フードで顔を隠しているホロ。
おそらくこのような場では
フードや帽子などを脱ぐのが礼儀なのでしょう。
しかし顔に火傷がある
と言えば・・・
隠したいのも・・・
という事でお目こぼしなのでしょう。



随分派手に濡れたもんだな。

ふふ。
冷たい雨で火傷も冷えていい気持ちじゃ。



早速ホロに火傷の話で逆襲?



土地のものはその土地にあればこそじゃ。
まぁすぐ枯れるのがオチじゃ。
行くだけ無駄と言うものよ。
それにしても・・・



品種改良など無かった昔の話。
ホロの言い分は非常に納得できますが
もしそうであるなら・・・
ピーマンと唐辛子は親戚。
トマトもジャガイモも同じ種族。
今や世界中に広がったが
運んで栽培を試した結果であり
今のような食の広がりは無かったでしょう。



ぬしはあれだけの雨を浴びても・・・

まだ臭いの。

ぬしはええ男じゃと思いんす。
少しは身奇麗にしやさんせ。



今のようにせいせいとお風呂などに入れなかった時代の話。
ロレンスの服装から、そしてパスロエ村の収穫祭
という事は季節は現在の10月くらい?
荷馬車で移動するのに丁度良い服装が
上着を着込んだ姿。
さすがに雨に濡れたりするのは寒くて厳しい時期でしょう。
そして川で水浴びも難しい。
とすれば・・・
お風呂に入るのは何ヶ月先?

鼻のいいホロからすれば
人間くさいのは仕方ない?



まぁその髭は
わっちもいいと思う。

ぁ?
ほぉ。
お前にもわかるか?
これが。

ただわっちはもう少し長いほうが好きじゃな。

こんなふうにのぉ。



ホロはロレンスの髭がもう少し長いのが好みと言うが
その髭は・・・
一瞬猫をイメージしてしまった私だが
ホロが狼だから
おそらく、狼もしくは犬のイメージなのでしょう。



しかしわっちにはねぇ発想じゃな。
火傷をしたから顔を隠す
なんてのはのぉ。

ほぉ。
ならどう思うんだ?

そんな火傷はわっちの証。
尻尾や耳と同じ二つとない
わっちだけの顔と思うまでよ。

ふ。
なるほどな。



人は(特に日本人は)皆と違う事をコンプレックスにし
それがまたつまはじきの理由となる。

しかし人でないホロは
それは自分独自の個性と言う。
ホロの考え方は好きですね。



ほぉ。
ではヨーレンツのほうから?

えぇ。
向こうで塩を仕入れてそれを納品し
代わりにテンの毛皮を貰ってきたところです。

しかし
ここからまたヨーレンツに帰るのは
骨じゃありませんか?

そこは商人の知恵。
帰らなくて良いのです。

ほほぉ。

私がヨーレンツのある商会で塩を買った際
そこでお金を払いません。
別の街にあるその商会の支店に
ほぼ同額の麦を売っていたからです。

麦の代金を受け取らない代わりに
塩の代金も支払わずにいられる。

つまり
お金のやり取りをせずに
二つの契約が成立するのです。

ほぉ。
何とも不思議な。

これは為替と呼ばれる制度で
さまざまな地方の人を相手にする
商人たちが発明した物です。



為替の仕組みを領主に説明するロレンスだが
この作品が一部の人には難しい
と言われる理由がここにあるのでしょう。

しかしこの仕組みを理解していないと
これから先のストーリーには重要なシステム。
もっとも理解せずにそのままストーリーだけ楽しむのもありですが。

でも為替を利用しない一般人でも
銀行は利用するでしょう。
代金を銀行に預け
必要な時に銀行からお金を引き出してくる。
と考えれば私たちも当たり前に使っているのですけど。



俺も駆け出しのころは
行商人全部が化物に見えた。
今でも半分以上は化物だ。
頑張る事さ。

えっへへ。
そう言ってもらえると安心だ。
あっしはゼーレンと申しやす。



腹の探りあいをしながら情報操作
なんて考えれば魑魅魍魎の世界かもしれません。
ロレンスが行商人全部が化物
という台詞にも納得できます。



旅はいで立つ前が最も楽しく
犬は鳴き声だけが最も恐く
女は後姿が最も美しいものでありんす。

気軽にひょいとめくれば
夢はあぁいずこ。
わっちにはそんな事できんせん。

あっは。
凄い奥さんですねぇ。

尻にしかれないようにするのが精一杯だ。



ホロの台詞に驚くゼーレン。
ロレンスも驚いていたようだが・・・
この声はさぞ建物中に響いた通る声だったと思うのですが。




良い匂いじゃの。
茹でたジャガイモにこれは・・・
ヤギのチーズかや?!



美味しい食べ物には目が無いホロ。
こういう姿を見ると
賢狼も犬も同じなのか?
なんて思ってしまいます。



皮ひもと麦袋
それにチーズも奮発して
教会への寄付は結構な金額だ。
請求は覚悟しとけよ!

言いたいことはそれだけかや?

ん・・・
あぁ・・・

はむ、はむ。
ほんなことは
わかってほふ!



原作はホロとの旅も終わりに近づいていて
それを思うとこの頃のロレンスは
細かいお金にうるさかった・・・
というか若僧商人で経験値が足りなかった。
ホロから見れば・・・
いちいちうるさいやつ
そのように見えたのでは?



お前
嘘が聞き分けられるとか言ってなかったか?

ん?
まぁ多少はの。

どの程度だ?

まぁぬしがその気もないのに
わっちの尻尾を褒めたのがわかる程度じゃ。

百発百中ではありんせんがな。
信じる信じないは

ぬしの勝手じゃな。



尻尾の事をまだ根に持っていたのか?
とつい突っ込みを入れたくなる私です。



何がどうとは言えんが
あの話は嘘じゃな。

貨幣の投機自体は珍しい事じゃない。
だが・・・

嘘をつく理由がわからない。

じゃろ?

嘘をつく時
大事なのはその嘘の内容ではなく
なぜ嘘をつくかと言う
その状況じゃ。

お前・・・
俺がそれに気づくまで何年かかったと思う?

気にすることはありんせん。
ぬしもまた小僧なのじゃからな。



亀の甲より年の功ですか。
まぁ何百年生きてるホロにしたら
たかだか数年しか歳の違わない
ロレンスとゼーレンなんてどっちも小僧というのも納得です。



教会は
昔から偉いだろ。

いやいや。
わっちが北から来たころは
まだそんなでも無かったわいな。

少なくとも
唯一神が世界を創り
人はその世界を借りている・・・
なんて大げさな事は
よう言わぬ。

自然は誰かが作れるようなものじゃ
ありんせん。




これがキリスト教の神と
日本の神との大きな違いなのでしょう。
ホロのいう事には非常に納得できます。




面白い言葉じゃ。
時は金なり・・・か。

時間があればそれだけ金を稼げるだろ?
お前が何百年と見てきた農夫たちも
時間には正確だったと思うが?

ぬしは何を見とるかよ?
奴らは時間に正確なのではない。
空気に正確なのじゃ。

よいか。
やつらは夜明けの空気で目を覚まし
午後の空気で草をむしり
春の空気で芽吹きを喜び
夏の空気で成長を楽しみ
秋の空気で収穫を祝い
冬の空気で春を待ちわびる。



これは・・・
街で暮らしていた時にはわからなかったですね。
山の中で暮らすようになり
空気で時の流れがわかるようになりましたけど。

街の中では別の空気を読まないと生きていけない。
これは非常に疲れます。



わっちら狼が
どうして山の中で人を襲うのか
知っとるかや?

それはな・・・
人の頭を食べてその力を得ようとするからじゃよ。



どこまで本当かは不明だが
人が人を食べる種族があると聞いたことがあるが
その理由は
その人の持つ知恵や知識、力を自分の物とするための儀式。
とその理由を知った時
安易に批判など出来るだろうか?

飽食に慣れた無為無作為に好き勝手に食べている私たちこそ
意味も無く無駄に食べているのでは?
日々の食事を感謝して食べているだろうか?
そのように感じてしまいます。



狼は森だけで暮らし
犬は一度人の下で暮らしとる。
それが
狼と犬との手ごわさの違いじゃ。

狼は人に狩られる事しか知りんせん。
人は恐怖の対象じゃ。
だからよく考える。
人が森に来た時
わっちらは
どう動くべきか。

ぁ!
お前も人を・・・!

いくらわっちでもな・・・
答えられん事がある。



この台詞から
ホロも昔人を襲った事があるという事でしょう。

野生動物が人を襲う時
それは餌に困るか
それとも身を守るため。

ホロの性格を思えば
仕方なく・・・なのでしょうが
それを言葉にはできないのでしょう。




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狼と香辛料(1)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年4月23日土曜日

狼と香辛料 2 3/3



狼と香辛料 2 3/3






わっちは
いつから教会が喜劇を扱うように
なったのかと思ったくらいじゃ。



ふ。
とりあえずその辺にしとけ。



これも時代の移り変わりかの。
この分だと大分変わっていそうじゃの。

ぁ・・・



おまえ自身は変わったのか?



・・・(no)



なら
お前の故郷も変わってないさ。

ん。



ふふ。



ぁ・・・



ぬしに慰められては賢狼の名折れじゃ。



ぁ・・・



ふふ。



あぁ・・・



ほれ!
はよ来い!
何しとる?



ぅん・・・






そうですか!
のっていただけますか!



ただし
前金は払えない。
毛皮を換金しなきゃどうにもならんしな。



では港町
パッツィオで再会しましょう。






パッツィオに着いたら
ヨーレンドって酒場に来てください。
あっしと連絡取れるようになってます。



わかった。
ヨーレンドだな?



えぇ。
ヨーレンドです。

んじゃ
お先にどうも。
奥さんもご機嫌うるわしゅう!



騒がしいヤツじゃな。
一緒に行かんのかや?



道がぬかるんでるだろ?



ぁ?



徒歩のほうが断然早いからな。
無理に付き合わせることも無いだろ。



確かに商人は時間にうるさい。



時は金なりだ。



うふふ。



ん?



面白い言葉じゃ。
時は金なり・・・か。



時間があればそれだけ金を稼げるだろ?
お前が何百年と見てきた農夫たちも
時間には正確だったと思うが?



ふ。
ぬしは何を見とるかよ?
奴らは時間に正確なのではない。
空気に正確なのじゃ。



ん・・・
わからないな。



よいか。
やつらは夜明けの空気で目を覚まし
午後の空気で草をむしり
春の空気で芽吹きを喜び
夏の空気で成長を楽しみ
秋の空気で収穫を祝い
冬の空気で春を待ちわびる。

やつらは時間など気にせん。
わっちもそうじゃ。
ぬしは頭の回転は良いが
経験が足りぬな。



逆を言えば・・・



ん?



歳をとれば
よきものになろうと言う事じゃがな。



それは何百年後の話だ?



ん?

あはははははは。
ぬしの頭はやはりよう回るの!



お前の頭が古すぎて
ガタがきているだけじゃないのか?



うふふ。



ぁ?



わっちら狼が
どうして山の中で人を襲うのか
知っとるかや?



いや・・・



それはな・・・
人の頭を食べてその力を得ようとするからじゃよ。



ぁ!



ぬしなんてまだまだ
ひよっこじゃ。
わっちの相手などなりんせん。



ん・・・



ぬしは森で襲われたことはないんかや?



ある。
8回くらいかな。



手ごわかったじゃろ?



あぁ・・・
野犬の群れはどうにかなったが
狼は手ごわかった。



それはな
そやつが少なからず人を喰ってその力を・・・



やめてくれ!



ぁ・・・
ぁ?



ガタがきてる
なんて言ったのは悪かった。
だから・・・
やめてくれ。



ぁ・・・
すまぬ。






怒っとる?



怒ってる。
だから二度とあんな事を言うな。



・・・(コクリ)






狼は森だけで暮らし
犬は一度人の下で暮らしとる。
それが
狼と犬との手ごわさの違いじゃ。



ん?



狼は人に狩られる事しか知りんせん。
人は恐怖の対象じゃ。
だからよく考える。
人が森に来た時
わっちらは
どう動くべきか。



ん・・・
ぁ!
お前も人を・・・!

ぁ・・・



いくらわっちでもな・・・
答えられん事がある。



悪い。



これでおあいこじゃな。



は・・・?






ぬしとわっちじゃ
生きてきた世界が違うんじゃな。

2011年4月22日金曜日

狼と香辛料 2 2/3



狼と香辛料 2 2/3






どこにでも居る
普通の行商人さ。



いやいや
あの年寄り夫婦には
あっしも目をつけていたんですが
なかなかきっかけが掴めなかった。
旦那は
それをあっさりやってのけちまったんだから。



俺も駆け出しのころは
行商人全部が化物に見えた。
今でも半分以上は化物だ。
頑張る事さ。



えっへへ。
そう言ってもらえると安心だ。
あっしはゼーレンと申しやす。
へ。



ロレンスだ。



駆け出しですが
どうぞよろしく。
そちらは連れの方で?



妻のホロだ。



へぇ。
夫婦で行商ですか。
外套なんかすっぽりかぶせて
よほど大事にしていらっしゃる。



それほどでもないが・・・



ここで会ったのも神の思し召し。



ぁ?



どうか
ひと目拝ませてもらえませんかねぇ。



いやぁ・・・



旅はいで立つ前が最も楽しく
犬は鳴き声だけが最も恐く
女は後姿が最も美しいものでありんす。

気軽にひょいとめくれば
夢はあぁいずこ。
わっちにはそんな事できんせん。



ぉ・・・ぁ・・・
あっは。
凄い奥さんですねぇ。



尻にしかれないようにするのが精一杯だ。



こんな凄いお二方に出会えたのも
天のお導きだ。
どうです、旦那?
ちょっとあっしの話を聞いてくれませんか?
へ。






キィ



ん?



良い匂いじゃの。
茹でたジャガイモにこれは・・・
ヤギのチーズかや?!



ちょっと待て。



ぇ?!

ぁ・・・
麦かや?



首から下げられるよう
皮ひもも付けておいた。



うむ。
助かる。



ぅん。



しかし何はともあれ
こっちじゃ!



ちょっと待て!



ぇ?!



皮ひもと麦袋
それにチーズも奮発して
教会への寄付は結構な金額だ。
請求は覚悟しとけよ!



言いたいことはそれだけかや?



ん・・・
あぁ・・・



はむ、はむ。
ほんなことは
わかってほふ!



ん・・・



ぅん。
人の育てた野菜は苦悩より美味いな。
火を通すという発想も好きじゃ。



お前そんな一度に・・・



ん!
くっくっく。
ぷはぁ。

はぁ。
びっくりじゃ。
人間の喉は相変わらず狭いの。
不便じゃ!



狼は丸呑みだからな。



うむ。
そりゃぁほれ
頬が無いんじゃ。
悠長に噛み砕けん!



なるほど。



しかし
わっちは昔もジャガイモを呑んで
のどを詰まらせた。
どうもジャガイモとは相性が悪い。
こいつめ!






お前
嘘が聞き分けられるとか言ってなかったか?



ん?
まぁ多少はの。



どの程度だ?



パン



ぁ?



まぁぬしがその気もないのに
わっちの尻尾を褒めたのがわかる程度じゃ。



ん・・・



百発百中ではありんせんがな。
信じる信じないは

ぬしの勝手じゃな。



ん・・・
じゃぁ信じて聞こう。
あの小僧の事もわかるか?



小僧?



暖炉の前で話しかけてきたあいつだ。



あ~ぁ。
ふふ。
まぁ、わっちから見れば
どっちも小僧じゃが。



む・・・



うふ。
ぬしのほうが少しだけ大人じゃがな。

あの小僧の
あの話か・・・






実はね旦那。
今出回ってるある銀貨が
近々銀の含有率を増やして
新しくなるって噂があるんでさ。



ほぉ。



さすが驚かないね。旦那。
新しい銀貨はよその国の金に替えれば
今の銀貨より高く替えれるんですぜ。
つまり・・・



つまり今のうちに銀貨を集めておいて
新しいのが出たと同時に交換すれば
差額の分だけ大もうけできると言う訳か。



どうです?
どの銀貨かお教えする代わりに
旦那が大もうけしたあかつきにゃぁ
あっしに分け前を貰えませんかねぇ?






何がどうとは言えんが
あの話は嘘じゃな。



貨幣の投機自体は珍しい事じゃない。
だが・・・



嘘をつく理由がわからない。



ぁ!



じゃろ?

嘘をつく時
大事なのはその嘘の内容ではなく
なぜ嘘をつくかと言う
その状況じゃ。



ぁ・・・ぁ・・・
お前・・・
俺がそれに気づくまで何年かかったと思う?



気にすることはありんせん。
ぬしもまた小僧なのじゃからな。



ぉ・・・



それよりも
わっちが居らんかったら
ぬしはどう判断するよ?



ん・・・
ん。

本当か嘘かの判断は保留にして
とりあえずゼーレンの件は呑んだように振舞うな。



それはなぜかや?



本当ならばそのまま儲けに乗ればいいし
嘘だったら
誰かが何かを企んでいるという事だから
注意深く裏を探っていけば
大抵は儲け話につながるはずだ。



ふ~ん。
じゃぁわっちが
あの話は嘘だと言ったら?



ぁ・・・



ぬしは初めから迷う事などありんせん。
どのみち乗ったふりをするんじゃろ?



ん・・・



わっちは賢狼ホロじゃ。
はむ。
ぬしの何倍生きとると思っとる。






ゴーン
ゴーン



ん・・・んん・・・
ぁ・・・
ぁ?






パシャ

ぅ・・・ぅん。



バタン
キィ



ぁ?



ぁ!



ぁ・・・あいつ!
な!
ぁ・・・
ぁ・・・



わっちの旦那様の肝が
太くなりますように!



ぁ・・・



チャリン



うむ。



ったく。



ふふ。
しかしあ奴らも偉くなったもんじゃな。



教会は
昔から偉いだろ。



いやいや。
わっちが北から来たころは
まだそんなでも無かったわいな。

少なくとも
唯一神が世界を創り
人はその世界を借りている・・・
なんて大げさな事は
よう言わぬ。

自然は誰かが作れるようなものじゃ
ありんせん。

2011年4月21日木曜日

狼と香辛料 2 1/3



狼と香辛料 2 1/3


狼と遠い過去。






この耳と尻尾を見ればわかろう?
わっちはそれは気高き狼よ。

この耳はあらゆる災厄を聞き取り
あらゆる嘘を聞き漏らさず
多くの仲間たちを
いくつもの危機から救ってきた。
賢き狼
賢狼ホロといえば
それは他ならぬわっちの事よ!



は。



パン



ぁ!

ん?



はぁ。
まだ蚤がおった。



はぁ。
そりゃまぁ
最上級の毛並みだからな。



ほぅ。



ぁ?



この尻尾のよさがわかるとは
ぬしもなかなかの目利きじゃな。



ん・・・
まぁそれなりにな。



ピク



ぬしも綺麗になれそうじゃな。



ぁ?



頭のてっぺんからのぅ。






ザー



今日のこの出会いを
神に感謝しましょう。



チャリン



失礼ですがそちらは?



妻ですが・・・
顔に火傷がありまして・・・



さようでしたか。



俺は濡れた荷物を手入れしてから行く。






バタン



んん・・・



ん~



随分派手に濡れたもんだな。



ふふ。
冷たい雨で火傷も冷えていい気持ちじゃ。



ん・・・
そうだ。
あの麦はどうすればいい?



うん?
どうってどういう事かや?



ん・・・
つまり脱穀すればいいのか
あのままのほうが良いのか?
まぁお前が本当にあの麦に宿っていたとしたらな・・・



わっちが生きている限り
あの麦が腐ったり枯れたりすることはありんせん。
食べられたり燃やされたり
すり潰して土に混ぜられたりすると
わっちは居なくなってしまうかもしらんが
脱穀する分には問題ありんせん。



じゃぁ後で麦粒にして
袋に入れてやるよ。
自分で持っていたいだろ?



助かるの。
首から下げられると尚良い。



首か?



うむ。



麦、少し残してもいいか?
別の土地に・・・
売り込んでみたかったのだが・・・



パシャパシャパシャ



土地のものはその土地にあればこそじゃ。
まぁすぐ枯れるのがオチじゃ。
行くだけ無駄と言うものよ。
それにしても・・・



ぁ?



ぬしはあれだけの雨を浴びても・・・



ぁ!



まだ臭いの。



ぇ?!



この!



えへ。

ぬしはええ男じゃと思いんす。
少しは身奇麗にしやさんせ。



な・・・
これでも商談に差し障らない程度には・・・



まぁその髭は
わっちもいいと思う。



ぁ?
ほぉ。
お前にもわかるか?
これが。



ただわっちはもう少し長いほうが好きじゃな。



ぁ?



こんなふうにのぉ。



ぁ・・・



おぅぅぅ。



ん。



ふふふ。
どうじゃな?
ぬし。
そんな髭は?






他にも人は居る。
ぼろは出すなよ。



わっちは賢狼ホロじゃ。
昔はずっとこの姿で旅をしていた。
まぁまかしとき。
しかしわっちにはねぇ発想じゃな。
火傷をしたから顔を隠す
なんてのはのぉ。



ほぉ。
ならどう思うんだ?



そんな火傷はわっちの証。



ぉぉ・・・



尻尾や耳と同じ二つとない
わっちだけの顔と思うまでよ。



ふ。
なるほどな。






ほぉ。
ではヨーレンツのほうから?



えぇ。
向こうで塩を仕入れてそれを納品し
代わりにテンの毛皮を貰ってきたところです。



しかし
ここからまたヨーレンツに帰るのは
骨じゃありませんか?



そこは商人の知恵。
帰らなくて良いのです。



ほほぉ。



私がヨーレンツのある商会で塩を買った際
そこでお金を払いません。
別の街にあるその商会の支店に
ほぼ同額の麦を売っていたからです。

麦の代金を受け取らない代わりに
塩の代金も支払わずにいられる。

つまり
お金のやり取りをせずに
二つの契約が成立するのです。



ほぉ。
何とも不思議な。



これは為替と呼ばれる制度で
さまざまな地方の人を相手にする
商人たちが発明した物です。



私はペレンツォという町に葡萄園を持っていますが
そんな不思議なやり方で支払いをした事がありません。
知っていたほうが良いのでしょうか?



いや
大丈夫でしょう。
大切なお金を
長旅の途中で盗られたりしまう危険が
回避できるというだけの事です。

葡萄園をお持ちの領主様なら
業者に買い叩かれないようだけ
注意すれば良いでしょう。



うむ。
毎年それで口論になりましてな。



ぁ。
お察しします。



ロレンスさん・・・とおっしゃいましたか?
今度ペレンツォ辺りにお越しのときは是非
当家をお尋ねください。
歓迎いたします。



えぇ。
是非。



では妻がちょっと疲れているようなので・・・



それでは
また神のお導きがありますよう。






パタン。



へへへへへ。
旦那。
なかなかのもんですね。

2011年4月20日水曜日

狼と香辛料 1感想・原作比較



狼と香辛料 1感想・原作比較



いい加減、田舎道も飽きてきたな。
なぁ?

・・・

はぁ。



物語の導入部は非常に重要なのですが
キャラ説明
これも重要だと思います。

その点この狼と香辛料
まず一番重要な主人公
ロレンスはいい加減一人で居るのに飽きてきた。
いつも一緒に居る相方の馬に声をかけるのだが
馬が返事をするわけも無く
変に説明臭くない導入部で良いと思います。



何事ですか?
いつになく物々しいご様子ですが。

実は西の村で異教徒の祭りが開かれるらしいのだ。

異教徒?

ぅん。
唯一絶対の神を信じない
まったくけしからん奴らだ。
教皇様も昔のように
もっとお力を振るわれれば良いと思うのだが
どうもままならないらしい。
おそらく異教徒が卑怯な手を使っているのだろう。



ヨーロッパの歴史をみると
それはキリスト教の歴史ともいえます。
色々な場面でキリスト教がどの程度力を持っているのか?
ここから時代設定が理解できるのですが・・・

おそらくカトリックの力が落ちはじめた
その頃の事だと思われます。
アニメでは出てきませんが
原作のほうではロレンスはここで見張りの兵士に
蜂蜜菓子を勧めています。
ささやかな賄賂なのでしょう。



最後の一束だ。

欲張りが麦を隠してないか?

よく確かめろ!
ホロが逃げるぞ!

狼を掴んだのは誰だ?
誰だ?

クロエだ!
クロエだ!
クロエだ!

はぁ・・・

ドサ
キィ

ぁ?

おぉ!!

ホォゥ!

狼ホロが現れた!

捕まえろ!

そっちへ行った!

ロレンスさん
捕まえてくれ!

ぁ?

え?!

久しぶりなんだから
今夜おごってね。

ぇ?

はぁ。
何が今夜おごって?だ。
一週間、その中だろ?



最後の一束の麦を刈り取るのは
娘の(クロエ)役目。
なぜならそこに豊作の神、ホロが宿っているから。
刈り取った麦束を持ったクロエはホロの役を演じ
穀物庫に閉じ込められカンヌキをかけられる。
どうやら1週間、その中で過ごすのがしきたりらしい。



トレニー銀貨ですか。
この辺ではまず見かけなかったが。

ふふふ。
もう錆びて黒ずんだ
リュート銀貨とはおさらばですよ。



後で詳しい説明があったと思いますが
この会話から同じ銀貨でも
トレニー銀貨のほうが格が上のようです。



嘘だろ?!
おい!
ちょっと・・・

ぅ・・・ぅ・・・

ゴクリ
起きろ!
人の荷馬車で何やってるんだ!



クロエが最後の一束の麦を刈ったとき
ロレンスの荷馬車で
何か重いものを積んだような音がするのだが
その時、ロレンスはあれ?と思うものの
特に気にかけなかった。

しかし
荷馬車のシートの下で動く気配がするので
開けてみると・・・
そこには裸の少女(?)



起きろって言ってるんだ!
な・・・!
み・・・耳?
あぁ・・・

ふぁ~。
あぁ~。

お・・・おい・・・
ぁ!

はぁ~
ァオゥ~ン!

ヒヒ~ン



少女の頭には・・・
獣の耳が・・・
目を覚ました少女はいきなり遠吠えをする。
その声に驚く馬。

たしかに犬も遠吠えをしますが
おそらく狼の遠吠えは犬のそれとは大きく異なるはず。
当然、同じ獣である馬が驚くのは当然です。



ぬしよ。
酒など無いかや?

ぁ?
そ・・・そんな物は無い。
だいたい・・・

なんじゃ。
なら食べ物は・・・と・・・

ぁ・・・

おや?
勿体無い。



ロレンスの慌てぶりとは対照的に
全く悪びれない少女。
そして
ロレンスがびっくりして口から落としてしまった
干し肉を勿体無いと食べてしまう少女。



シャキン

お前
悪魔つきの類か?

恩知らずじゃな。
わっちに剣を向けるとは。

な・・・なんだと?

あ、そうか。
ぬしは村の人間じゃ無かったの。
ごめんよ。
忘れとったわ。

わっちの名前はホロ。
しばらくぶりにこの姿をとったが
ぅん。
なかなか上手くいっとるのぉ。

ホロ?

うん。
良い名じゃろ?

奇遇だな。
俺はその名前で呼ばれているモノを知っている。

ほぉ?
わっちはわっち以外にホロと呼ばれる者を
知らなんだ。
そいつは何処の者かよ?

この周辺の村に代々伝わる神の名だけど
まさかお前
神だとでも言うのか?

ふ。
わっちは神と呼ばれて
長い事この土地に縛られてきたが
神なんてほど偉いものじゃありんせん。
わっちはホロ以外の何者でもない。

生まれてからずっと家の中に閉じ込められていた
頭のおかしい可愛そうな女だとでも?



短剣を構えるロレンスだが
驚いて腰を抜かす寸前なのは一目瞭然。
そんなロレンスの様子を見て全く動じない
ホロと名乗る少女。
しかもロレンスが考えている事を当ててしまう。



お前が賢狼ホロだと言うのなら
それを証明して見せろ!

ぬしはわっちに狼の姿を見せろと?

そうだ!

それは嫌じゃ。

な・・・
なんでだ?

そっちこそなんでじゃ!?

お・・・
お前が人なら
俺は教会にお前をつき出す。
悪魔つきは災いの源だからな。

だがもしも
お前が本当に豊作の神ホロなら
考え直してもいい。
俺にも幸運や奇跡をもたらしてくれそうだからな。

どうしても見たいのかや?

あぁ。
見たい。

もう一度だけ聞くぞ。
ぬしはどうしても見たいのかや?

どうしてもだ。

どの化身であっても
代償無しに姿を変えるのは無理じゃ。
わっちの場合は生き血か・・・

あぁ!

それかわずかな麦か。

あぁ。
麦のほうで頼む。



ロレンスがホロの言う事を納得するためには
当然その証拠を見なければ・・・
まぁそれは当然の事でしょう。

しかしホロの言い分
代償無しでは姿が変えられない。
生き血と聞き驚いているロレンスだが
麦でも・・・と聞き少し安心したのでは?



ぅ・・・
ぅ・・・

お・・・おい。

ぅ・・・

どうした?

ぅ・・・

はぅ・・・ぁ・・・
ぁ!



一掴みの麦を口に含み食べ始めたホロ。
しかし苦しみだした様子に驚くロレンス。
その直後・・・ホロの姿は・・・

アニメでは何か急激な変化があったのはわかるのですが
まだ狼の姿は出てきません。

ロレンスの驚き様からおそらく狼の姿を見たのでしょう。
腰を抜かすのだが
気づけばホロの姿は無く・・・

ロレンスは村に戻り宿を借りる。




コンコン

ぁ?

誰だ?

ホロよ。

ホロ?

うわ!

ちっとも来ないから迎えに来ちゃった。

お前
穀物庫に居なくていいのか?

どうせ本物のホロなんて居ないんだから。
さ、行きましょ。

行くってどこへ?

おごるって約束でしょ?
前のとは違う匂いね。
ザウシュヴァッシュはまわってきたの?



部屋に着いたとたんにノックの音。
ホロの名を名乗るクロエ。
穀物庫にカンヌキをかけられ
閉じ込められたはずのクロエがなぜ?

カンヌキも儀式の一つで
ある時間になればはずされるのか?
それとも穀物庫に裏口でもあるのか?

しかしクロエの台詞から
ホロは既に伝説であり居ないと
おそらく多くの村人たちはそのように思っているのでしょう。



大きな商談には
厄介がついて回る。
そのために俺を雇おうって訳か?

あたしなりに尊敬しているからこそ
ロレンスと組みたいの。

ロレンスが教えてくれた事
ずっと胸に刻み続けてきたわ。
おかげでここまで来られたと思ってる。
ロレンスのおかげで・・・

危ないな。
危ない
危ない。

お前はまだ若い。
一か八かの取引にかかわるのは
もう少し場数を踏んでからのほうがいい。



クロエから明かされる商売の話。
しかしロレンスは危険を感じ拒否。
この時は何気なく通り過ぎてしまう一場面ですが
まさかこれが・・・
次につながるとは・・・



さっき一瞬上の空だったけど。
いい相棒でも出来たの?

いや。
ホロが相棒だったらどうかと思って・・・

ホロ?

ん・・・

わしのことか?

違うよ。
本物のホロの事だ。

呆れた。
そんな妄想にひたってたの?

妄想か・・・

妄想よ。

妄想ね。

妄想よ。

もし本当にホロが居たら・・・

また妄想?

切ない時もあるのかな?

そんな訳
無いじゃない。
だってホロは神様よ。

だよな。



クロエはロレンスが言うホロの話を妄想だという。
しかしロレンスは・・・
なぜならさっき見てしまったから。




居るわけ無いよな?

誰を探しておるのかや?

え?!
ホロ!

そこまで驚かんでも良かろう。

どこに隠れていたんだ?

わっちはこの時期
刈り取られた麦の中に居る。
いつもはそこから出られぬ。
人の目があるからの。
しかし例外がある。

例外?

もし最後に刈り取られた麦よりも
多くの麦が近くにあれば
わっちはそこへ移動できる。

まぁ・・・だから・・・
なんじゃ・・・
ぬしはわっちの恩人と言えば・・・
恩人じゃな。

あの時・・・
俺はお前の正体を見て
尋常じゃないほど驚いた。
だから消えたのか?

わっちはな
大昔この村の青年に頼まれたんじゃ。
この村の麦をよく実らせてくりゃれと。
じゃからそれからずっと守ってきた。

じゃが豊作を続ければ大地に無理がかかる。
時には実りを悪くせんとならん。
ところが村の連中は
わっちの気まぐれだなどと言いよる。

それもこの数年でどんどん酷くなってきた。
もう誰もわっちを必要としておらん。
必要とされておる時も
誰もがわっちの姿を見て恐れおののき
近づこうとはせなんだ。

わっちの望んだ事は
そんな事では無かったのに。

とりあえず今の話を受け入れたとして。

うたぐり深い男じゃの。

村を出てどこかに行くあてはあるのか?

北へ・・・
帰りたい。



宿へ帰りつい目で探してしまったロレンス。
居るはず無い・・・
と思ったのに、そこに居たのは本物のホロ。
そしてホロが語る自分の置かれた立場。

人ではない異形の神と言われるものだが
神と言うにはずっと人に近く
寂しさ、つらさが何となく感じられます。
私たち人とは違う姿、時間を持っていても
心は・・・何も変わりが無い。
私はそのように感じるのですが。




ガチャリ

ロレンス?



翌朝、穀物庫の扉が開けられ
クロエはロレンスが来たと思ったが
そこに現れたのは・・・
司祭様(?)
ロレンスは・・・と言えば既に旅立った後。




もういいから出て来い。

ぷはぁ。
この中で靴紐を結ぶのは
なかなかに難儀じゃった。
よっと。

そりゃぁそうだろ。
靴紐?
あ!
おい・・・
それ俺の・・・

うむ。
似合うかや?

俺が十年かけて集めた一張羅だぞ。

そのようじゃの。
仕立てもなかなかに良い。
ぬしよ。
商人としてまぁまぁじゃな。

今すぐそれを脱いでここから降りるか?

ぬしはそんな事はせぬ。

甘く見ると恐いぞ。

まぁよろしくの。
え~っと・・・

ロレンス。
クラフト・ロレンスだ。

うむ。
ロレンス。
この先、未来永劫
ぬしの名はわっちが美談にして
語り継がせよう。

ったく。

語り継がなくていいから
自分の食い扶持ぐらいは自分で稼げよ。
楽な商売をしている訳じゃない。

わっちもただ飯を貰って
安穏としているほど愚かじゃありんせん。
わっちは賢狼ホロ。
誇り高き狼じゃ。
にしても・・・

ん?

少し狭いの。

お前な。

ま、寒さをしのぐにはちょうど良かろ。

はぁ。



荷馬車に隠してホロを連れ出すロレンスだが
ロレンスの一張羅を取られてしまい・・・
何を言ってもマイペースなホロ。
確かに生きている時間の長さを考えれば
ロレンスなど・・・
いいようにあしらわれるのが関の山。

二人の旅は始まったばかり。



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狼と香辛料(1)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年4月19日火曜日

狼と香辛料 1 3/3



狼と香辛料 1 3/3






今度こそロレンスに教えるのよ。



大きな商談には
厄介がついて回る。
そのために俺を雇おうって訳か?



ぁ・・・



あたしなりに尊敬しているからこそ
ロレンスと組みたいの。



ぁ・・・



ロレンスが教えてくれた事
ずっと胸に刻み続けてきたわ。
おかげでここまで来られたと思ってる。
ロレンスのおかげで・・・



危ないな。



ぁ・・・



危ない
危ない。



ぁ・・・



お前はまだ若い。
一か八かの取引にかかわるのは
もう少し場数を踏んでからのほうがいい。



つまんない!
せっかく一緒に儲けるチャンスだったのに。



今度もっと危なくない儲け話を持ってきてやるよ。
それなら一緒にやってもいい。



あたしだって
知らない間に成長してるのよ。



ぁ・・・いや・・・
商人としての読みはまだまだだ。



馬鹿にしていると
そのうち痛い目
見るわよ。



たまにはいいかもな。
そんな経験も。



女?



ん?



さっき一瞬上の空だったけど。
いい相棒でも出来たの?



いや。
ホロが相棒だったらどうかと思って・・・



ホロ?



ん・・・



わしのことか?



違うよ。
本物のホロの事だ。



呆れた。
そんな妄想にひたってたの?



妄想か・・・



妄想よ。



妄想ね。



妄想よ。



もし本当にホロが居たら・・・



また妄想?



切ない時もあるのかな?



そんな訳
無いじゃない。
だってホロは神様よ。



だよな。






ん・・・

居るわけ無いよな?



誰を探しておるのかや?



え?!
ホロ!



そこまで驚かんでも良かろう。



ん・・・
どこに隠れていたんだ?



わっちはこの時期
刈り取られた麦の中に居る。
いつもはそこから出られぬ。
人の目があるからの。
しかし例外がある。



例外?



もし最後に刈り取られた麦よりも
多くの麦が近くにあれば
わっちはそこへ移動できる。

まぁ・・・だから・・・
なんじゃ・・・
ぬしはわっちの恩人と言えば・・・
恩人じゃな。



あの時・・・
俺はお前の正体を見て
尋常じゃないほど驚いた。

だから消えたのか?



わっちはな
大昔この村の青年に頼まれたんじゃ。
この村の麦をよく実らせてくりゃれと。
じゃからそれからずっと守ってきた。

じゃが豊作を続ければ大地に無理がかかる。
時には実りを悪くせんとならん。
ところが村の連中は
わっちの気まぐれだなどと言いよる。

それもこの数年でどんどん酷くなってきた。
もう誰もわっちを必要としておらん。
必要とされておる時も
誰もがわっちの姿を見て恐れおののき
近づこうとはせなんだ。

わっちの望んだ事は
そんな事では無かったのに。



とりあえず今の話を受け入れたとして。



うたぐり深い男じゃの。



村を出てどこかに行くあてはあるのか?



北へ・・・
帰りたい。






ガチャリ



ロレンス?






もういいから出て来い。



ぷはぁ。

この中で靴紐を結ぶのは
なかなかに難儀じゃった。
よっと。



そりゃぁそうだろ。
靴紐?
あ!
おい・・・
それ俺の・・・



うむ。
似合うかや?



俺が十年かけて集めた一張羅だぞ。



そのようじゃの。
仕立てもなかなかに良い。
ぬしよ。
商人としてまぁまぁじゃな。



今すぐそれを脱いでここから降りるか?



ぬしはそんな事はせぬ。



甘く見ると恐いぞ。



まぁよろしくの。
え~っと・・・



ロレンス。
クラフト・ロレンスだ。



うむ。
ロレンス。

この先、未来永劫
ぬしの名はわっちが美談にして
語り継がせよう。



ったく。



ぁ・・・



語り継がなくていいから
自分の食い扶持ぐらいは自分で稼げよ。
楽な商売をしている訳じゃない。



わっちもただ飯を貰って
安穏としているほど愚かじゃありんせん。
わっちは賢狼ホロ。
誇り高き狼じゃ。

にしても・・・



ん?



少し狭いの。



お前な。



ま、寒さをしのぐにはちょうど良かろ。



はぁ。

2011年4月18日月曜日

狼と香辛料 1 2/3



狼と香辛料 1 2/3






ん?

ん?!

ぅ・・・

ぁ!

嘘だろ?!

おい!
ちょっと・・・



ぅ・・・ぅ・・・



ゴクリ

起きろ!
人の荷馬車で何やってるんだ!



ん?



ぁ・・・



ぅ~ん・・・



ん・・・
起きろって言ってるんだ!

な・・・!
み・・・耳?

あぁ・・・



ふぁ~。
あぁ~。



お・・・おい・・・
ぁ!



はぁ~
ァオゥ~ン!



ヒヒ~ン



オゥ~~



ぁ・・・ぁ・・・



ふぅ。
良い月じゃの。



ぁ・・・ぁ・・・



ぬしよ。
酒など無いかや?



ぁ?
そ・・・そんな物は無い。
だいたい・・・



なんじゃ。
なら食べ物は・・・と・・・



ぁ・・・



おや?
勿体無い。



ぁ・・・



キィ



あぁぁぁ・・・



シャキン



お前
悪魔つきの類か?



恩知らずじゃな。
わっちに剣を向けるとは。



な・・・なんだと?



ん?

あ、そうか。



あぁ・・・



ぬしは村の人間じゃ無かったの。
ごめんよ。
忘れとったわ。



ぁ・・・ぁ・・・
ん・・・



わっちの名前はホロ。
しばらくぶりにこの姿をとったが
ぅん。
なかなか上手くいっとるのぉ。



ホロ?



うん。
良い名じゃろ?



奇遇だな。
俺はその名前で呼ばれているモノを知っている。



ほぉ?
わっちはわっち以外にホロと呼ばれる者を
知らなんだ。
そいつは何処の者かよ?



この周辺の村に代々伝わる神の名だけど
まさかお前
神だとでも言うのか?



ふ。
わっちは神と呼ばれて
長い事この土地に縛られてきたが
神なんてほど偉いものじゃありんせん。
わっちはホロ以外の何者でもない。

生まれてからずっと家の中に閉じ込められていた
頭のおかしい可愛そうな女だとでも?



え?!



思ってるんじゃろ?

わっちの生まれはずっと北の大地よ。



北?



うん。
夏は短く冬は長い。
生まれ故郷のヨイツの森。
何もかも
キラキラ光る銀色の世界よ。

ぬしは旅の行商人じゃろ?
連れてってくりゃれ?



な・・・
なんで俺が?



わっちの人を見る目は確かじゃ。
ぬしは人の頼みをむげに断るような
心の冷たいやつではなかろ?



寄るな!
俺はそんなお人よしじゃぁ!



優しくしてくりゃれ?



ぅぅ・・・



ぬし、可愛すぎじゃな。



な!



ハックシン。

はぁ。
この姿は嫌いでは無いが
寒すぎていかん。



む・・・
ホロ!



ん?



お前が賢狼ホロだと言うのなら
それを証明して見せろ!



ぬしはわっちに狼の姿を見せろと?



そうだ!



それは嫌じゃ。



な・・・
なんでだ?



そっちこそなんでじゃ!?



お・・・
お前が人なら
俺は教会にお前をつき出す。
悪魔つきは災いの源だからな。

だがもしも
お前が本当に豊作の神ホロなら
考え直してもいい。
俺にも幸運や奇跡をもたらしてくれそうだからな。



どうしても見たいのかや?



あぁ。
見たい。



もう一度だけ聞くぞ。
ぬしはどうしても見たいのかや?



どうしてもだ。



どの化身であっても
代償無しに姿を変えるのは無理じゃ。
わっちの場合は生き血か・・・



あぁ!



それかわずかな麦か。



あぁ。
麦のほうで頼む。



パサ
はむ。



ぁ・・・



ぅ・・・
ぅ・・・



お・・・おい。



ぅ・・・



どうした?



ぅ・・・



はぅ・・・ぁ・・・

ぁ!






すみません。
突然引き返してしまって。



いえいえ。
私は祭りのほうへ行きますが
どうぞごゆっくり。






コンコン



ぁ?



誰だ?



ホロよ。



ホロ?



うわ!



ちっとも来ないから迎えに来ちゃった。



お前
穀物庫に居なくていいのか?



どうせ本物のホロなんて居ないんだから。
さ、行きましょ。



行くってどこへ?



おごるって約束でしょ?
前のとは違う匂いね。
ザウシュヴァッシュはまわってきたの?



相変わらず鼻がいいな。



自然にしみつくのよ。
その土地ごとの生活の匂いが。



お前も顔つきが変わったな。
いろいろと自信に溢れている。



でしょ?
いろいろいい感じなの。
そのうちロレンスを追い抜いちゃうかもよ。



ほぉ。
その節はどうぞお引き立ての程を。



ひどい!
全然そう思って無いでしょ?



思ってるよ。

この酒美味い。



うぅん!



あ・・・あぁ・・・



ゴクゴクゴク



おいおい、こらこら。



信じてくれるならいい話があるんだけど。



え?!



うまくいけば自分のお店を持って
所帯だって持てるわ。



ふ。
そいつは凄いね。



真面目に聞いて!
ちょっと大きな商談があって
まとまれば大儲け出来るのよ。



ぁ・・・



ロレンス?



ぁ・・・
お前、どんどん父親に似てくるな。
お前の親父さんも
商談ではとにかく景気のいい人だった。



今度はそんなんじゃないの。



ぁ?

2011年4月17日日曜日

狼と香辛料 1 1/3



狼と香辛料 1 1/3


狼と一張羅






いつからかこの村では
豊かに実った麦の穂が風になびくのを
『狼が走る』と言うようになった。

風で倒れた麦穂は
『狼に踏まれた』
不作のときは
『狼に食われた』

はじめは何も無かった。
あったのはぬくもりだけ。

そして
約束が結ばれた。



出会いと別れが繰り返され
やがて人間は
人間の力だけで豊かを掴み取るようになった。
もう約束を
律儀に守る必要は無いのかもしれない。






いい加減、田舎道も飽きてきたな。
なぁ?



・・・



はぁ。






行商人?



半日ほどかけて東に行くと
山の中に小さな村があるんですよ。
そこへ塩を売りにいった帰りです。



はぁ。
全部塩か?



いいえ。
これは毛皮です。



うん・・・



ぁ・・・
あぁ、ただの麦束ですよ。
暑さにも寒さにも強いやつでしてね。

何事ですか?
いつになく物々しいご様子ですが。



実は西の村で異教徒の祭りが開かれるらしいのだ。



異教徒?



ぅん。
唯一絶対の神を信じない
まったくけしからん奴らだ。
教皇様も昔のように
もっとお力を振るわれれば良いと思うのだが
どうもままならないらしい。
おそらく異教徒が卑怯な手を使っているのだろう。






異教徒・・・か。
あのパスロエの連中がね。






やぁ、ロレンスさん。
いや、本当に驚いた。
新しいやり方でこれほど豊作になるとは。



伯爵様様だ。



狼は頼りにならなかったからなぁ。



おっと
悪口を言うと恐いぞ。
一応神様だ。



ははははは。



おぉ!
ロレンスさん!



どうも。
すっかりご無沙汰しまして。



いやいや。
いい時に来ましたねぇ。
明日から収穫祭ですよ。



明日から?
てっきりもう始まっているのかと思いましたよ。



ははははは。



実はここだけ一足先に。
どうです?



おいおい。
ロレンスさんを俺たちなんかと一緒にすんなよ。



こりゃまた失礼をば。



ははははは。



ところでクロエは何処にいるかわかりますか?



クロエ?



ぁ?



そうか。
そういう事か・・・。



いや商売上の後輩ですから。
たまには酒でもって事です。
取引もかねてね。



そりゃまずいなぁ。



え?



ここはあそこが収穫のどん尻ですから
祭りでホロになるのは
あいつかも?






ほらそこだ!
そこに狼が横たわっている!



最後に狼をつかむのは
誰だ?
誰だ?
誰だ?!



クロエ!



ぁ?



ロレンス!
来てたんだ!



余所見してるとホロが逃げるぞ!



ぇ?

ぁ・・・



最後の一束だ。



欲張りが麦を隠してないか?



よく確かめろ!
ホロが逃げるぞ!



狼を掴んだのは誰だ?
誰だ?



クロエだ!
クロエだ!
クロエだ!



はぁ・・・






ドサ
キィ



ぁ?



おぉ!!



ホォゥ!



狼ホロが現れた!



捕まえろ!



そっちへ行った!



ロレンスさん
捕まえてくれ!



ぁ?



え?!



久しぶりなんだから
今夜おごってね。



ぇ?



はぁ。
何が今夜おごって?だ。
一週間、その中だろ?






おかげさまで
新たな取引先も開拓できまして。



ぁ・・・
クロエ
頑張っているようですね。
村の値段交渉人として。



えぇ。
本当によくやってくれてます。
どんどん変わりますよ。
この村は。



ほぉ。
トレニー銀貨ですか。
この辺ではまず見かけなかったが。



ふふふ。
もう錆びて黒ずんだ
リュート銀貨とはおさらばですよ。



じきにパッツェあたりの大きな町とも
肩を並べそうですね。



いやぁ、まだまだ。
しかし何もかも新しいご領主様
エーレンドット伯爵様のおかげですわい。
もう狼に祈りを捧げる必要も無い。

人間様の力で
日照や嵐にも負けないようになって。
いまにトレニー銀貨どころか
リュミオーネ金貨で一杯にしたいもんですな。



その節はどうぞ
変わらぬご愛顧を。



ふふふ。






ん・・・

よそ者は邪魔にされるだけだしな。



ピシ



それにしても
リュミオーネ金貨でいっぱいは
言いすぎだろ。



さて。
寝るか。

2011年4月16日土曜日

xxxHOLiC OVA 籠 あだゆめ 感想



xxxHOLiC OVA 籠 あだゆめ 感想



この作品は限定版xxxHOLiC19巻の付録OAVとして発売されたものです。
単品では購入できないのが残念なのですが。


珍しく・・・(たぶん初めて?)
と思われる遥さんの依頼。

依頼の内容は夢たがえ。



夢たがえってのは大体
悪夢や不吉な夢を見た時に
それが現実にならないようにする事を言うが。

方法は呪符を使ったり
まぁいろいろだが
今回はちょっと違う。

どう違うんだ?

内緒。

えぇ?!
じゃぁ夢たがえする相手は誰なんだ?



モコナにも内緒の依頼。

でも遥さんの依頼だから
大体見当はつきますけど。



大丈夫。
小学校に上がる頃には
きっともっと元気になっていますよ。



夢では神社へお参りする少女(?)
おそらく母親らしい女性の台詞から
5歳の節句と思われるのですが。

早生まれであれば7歳とも思われますが。



爺さん
結局死ぬ日まで
爺さんが言ったとおりになった。

俺が小さい時から
時々俺には理解できない事を口にして
何の話だと尋ねても
教えてくれないほうが多かった。

俺にはまだ難しいのかと
あの頃は思っていたけれど
今考えると
俺には言う必要が無い事だったんだろうな。

世の中には
知らなければならない事もあるが
知らないほうがいい事も多い。

けど
言われなくても一つだけ気づいた事がある。

爺さん
きっと何かが気にかかっていただろ?
俺が小さい頃に
身体が弱かったからじゃなく
何かその先を心配していただろ?

俺にはずっと
それが何なのかわからなかったけれど。




この回想シーン
これでこの夢が百目鬼静の物だとはっきりします。


そして百目鬼視点での今までの四月一日との回想シーン。



四月一日くん!

あの人の・・・
店・・・にか?
けど俺は・・・

入れるわ。
あなたも。
ひまわりちゃんも。

侑子・・・さん・・・

その子を連れてきて。
店に。
あなたの願い
かなえましょう。




四月一日が大怪我をした時の場面。
これは今までコミックスでも
アニメでも語られなかった部分です。


落ちてきた四月一日に対して
まず頚動脈をみて生きているかを確かめた百目鬼。
慌てた声はひまわりちゃん。
でもいつもどおり落ち着いている百目鬼。



俺を呼んだ理由は何ですか?

井戸水の対価を渡そうと思って。

何だ?

持っていて。
これから起こる事のために。

起こる・・・こと・・・

どうか迷わないで。

ぁ!

その瞬間が
来ても。




四月一日に関することだが
これは侑子さんと百目鬼との話。
四月一日には内緒のこと。
そのため見ようとしてもノイズではっきり見えない。


おそらく四月一日には
会話と侑子さんが百目鬼に何かを渡した
それしかわからなかったでしょう。



なるほど。
こりゃ一人分のシュじゃねぇな。
ちゃんと結界作っておいて良かった。

クォォォォ

バリン

らちがあかねぇな。
やはり悪い夢をたがえるには・・・

ピシ

これだね。




そして依頼の本命なのだが
呪符も役に立たず。
最大の効果を成したのが吉夢。



ありがとう。

依頼は?

見事に果たしてもらったよ。
悪夢には吉夢か。
最後のあの風船は夢買いの物だね。
それも大成夢。
また凄いものを持ってるんだね。

元は昔俺が夢買いに売ったものですから。
それ相応の対価を支払って
譲り受けました。



遥さん
さらりと言いますが・・・
おそらくこの吉夢は・・・


百目鬼静の夢に馬に乗った爺さんが出てきたと
四月一日に話をし
その夢を買い取った四月一日が
アヤカシに追いかけられたところへ遥さんが退治をする。

その夢を四月一日は以前、夢買いに売っているので
おそらくそれでしょう。




あぁ。
そうだね。

それは静の夢に入り込んだものが
今すぐ無くしてしまいたい物だろうからね。

えぇ。
だからあの子が出てこなかったんですね。

あれは一人の念や呪じゃないですね。
複数だろうねぇ。




出てこないと言っているのは誰の事?
おそらく過去多くの女性に思われていた
それらの人たちか
それとも・・・小羽ちゃん?



さて
この対価は?

今まで俺にいろんな事を教えてくださった。
それで清算させてください。
まだ足りませんが
それはまたいずれ。

まだまだ縁は続きそうだね。
ご店主。




四月一日は遥さんには
かなりお世話になっていますからね。




持っていて。
これから起こることのために。
どうか迷わないで。
その瞬間が来ても。




侑子さんが百目鬼に何か渡した事
四月一日は気になるのだが・・・




どうした?

いや
いい。
俺宛の話じゃないなら
俺は知らなくていい。



そう、知ろうとすればそれに対する対価が必要になる。
知らなければならない事と
知らないほうがいい事とがある。
ここで四月一日が百目鬼に何か聞いたら
百目鬼は教えてくれただろうか?
気にはなりますが・・・
それもまた必然。



ぁ?
招待状出来たんだ。

おう。
お前の分だ。

いや
俺はここから・・・

それでも
貰って欲しいと。

新郎  百目鬼 静
新婦  五月七日 小羽

小羽ちゃんに
ありがとう
って言っておいてくれ。

今晩電話するって言ってた。
直接伝えてやれ。




百目鬼が差し出したのは
小羽ちゃんとの結婚式の招待状。
遥さんが言っていた人生の一大事とは
この事だったのですね。



だが五月七日が一番大事なのは
お前だ。


あぁ。
お前それでいいのかよ?

おう。



さすがの四月一日も自分の事に関しては疎いようで。



コミックス19巻(完結編)では
百目鬼と小羽ちゃんのことに対しては触れられていません。


四月一日が遥さんの夢を見て
遥さんと重陽の節句について話をする。
それがきっかけで急遽四月一日が菊酒を作り
百目鬼に、ひまわりちゃんやみんなに配るように言う。

ひまわりちゃんから菊酒のお礼の電話。
そして小羽ちゃんは四月一日に
お茶会の着物を借りに来る。

ひまわりちゃんが小羽ちゃんの事を
最近きれいになったと話をするのだが
おそらくこの時には既に
百目鬼と結婚を前提に付き合っていたのでしょう。


そして百目鬼は教授から
これが何かを教えて欲しいと頼まれ
『へいぐし』と答えを出すのだが
ここまででとりあえずコミックスでの
百目鬼静と四月一日との話は終わりのようです。


時間軸を考えれば
この後にこのアニメが入るのでしょう。


コミックスでは黒い紙が挟まれ
次の話と完全に分けられています。

夢の中で蝶が現れ
それは侑子さんが昔見た夢。

四月一日が侑子さんのミセを継いで
どれだけの時間が経過したのだろうか?
いつもどおりの百目鬼と四月一日との会話なのだが
ここにいる百目鬼は四月一日と同級生だった
百目鬼静では無いようです。

なぜなら・・・
夢十夜を例に出し
あれは100年待った。

四月一日は俺がミセを継いでから
もっと経っていると言い
百目鬼に曾祖父さんそっくりだと言う。

という事は・・・
ここで四月一日の前にいる彼は
百目鬼静の曾孫ということ?


それに遥さんは夢を渡り
憑き物落としなどもしていたという事は
小羽ちゃんと百目鬼が結婚し子供が出来れば
当然、そちらの知識や対処方法などを
知る必要があるわけで。


四月一日は十分にその役目が果たせるでしょうし。


つまり代々、四月一日への買出し係は
百目鬼の家が継いできたという事になるようで。
でも、これからどうなるのか?

四月一日は飛王が作った閉じた世界から出ることへの対価として
ミセに籠もる事を選択したわけで。
でも侑子さんは夢ですでにその対価は支払い終わった。
だからミセから出ても大丈夫と四月一日に伝える。

四月一日はミセから出られるようになっても
ミセは続けると言っているが・・・
とりあえずここで物語りは終わり。


長かったシリーズもとりあえず完結。
四月一日の続きが気になりますが
CLAMP先生、長い間お疲れ様でした。




【送料無料】×××HOLiC(19) 


★×××HOLiC★その他の商品

2011年4月15日金曜日

xxxHOLiC OVA 籠 あだゆめ 2/2



xxxHOLiC OVA 籠 あだゆめ 2/2






うん。



ひっかかったのか?



うん。



カタン



ドクンドクンドクンドクン



シュル



ふぅ。



シュ



百目鬼!

って何で真っ暗なんだ?



もういい。
疲れた。






そうか。
お前の視界はこんなふうなんだ。






四月一日くん!



あの人の・・・
店・・・にか?

けど俺は・・・



入れるわ。
あなたも。
ひまわりちゃんも。



侑子・・・さん・・・



その子を連れてきて。
店に。
あなたの願い
かなえましょう。






コツ



俺を呼んだ理由は何ですか?



井戸水の対価を渡そうと思って。



何だ?



持っていて。
これから起こる事のために。



起こる・・・こと・・・



どうか迷わないで。



ぁ!



その瞬間が
来ても。






ガラガラ

ドスン

パリン



来たな。



チッ



ぅぁ!



ケッ



シュッ



パリン



ぁ!



なるほど。
こりゃ一人分のシュじゃねぇな。
ちゃんと結界作っておいて良かった。



クォォォォ



バリン



らちがあかねぇな。

やはり悪い夢をたがえるには・・・



ピシ



これだね。



パチン



ピカ



ウワァァ



ピシ



うわ!






は。

ふぅ。



ありがとう。



依頼は?



見事に果たしてもらったよ。

悪夢には吉夢か。
最後のあの風船は夢買いの物だね。
それも大成夢。
また凄いものを持ってるんだね。



元は昔俺が夢買いに売ったものですから。
それ相応の対価を支払って
譲り受けました。



値切りに値切ったんじゃないのか?



まぁそこもそれ相応に。
しかしあの百目鬼の夢は
何て言うか・・・



夢なのに
夢らしくないだろ?
大体あぁなんだよ。
前にあったことを反芻するようなのばかりでね。



ですね。
だから変だなと思ってたんです。
夢の中で出てこないから。



あぁ。
そうだね。

それは静の夢に入り込んだものが
今すぐ無くしてしまいたい物だろうからね。



えぇ。
だからあの子が出てこなかったんですね。

あれは一人の念や呪じゃないですね。
複数だろうねぇ。




我が孫がそれだけ思われると言うのは
嬉しいと言えば嬉しいんだが。

情というのは怖いねぇ。
もっとも静は私に
外側だけそっくりだから
昔からいろいろあったんだよ。

私に対して腹に一物ある
人ならざるものたちとね。



でも百目鬼はそういう事は
俺に会うまでは無かったって。



うん。
まずあの子の気が強すぎて
ほとんどのアヤカシの類は近寄れない。
けれどどれに対してもそうとは限らない。

静を凌駕する存在だってもちろんいる。
だからできればそういうものに関する知識とか
対処方法とかをわかってくれれば
とは思っていたよ。

よどんだ物ほど清いものにひかれるのは
何も不確かな存在だけじゃない。
人のほうがもっとこじれるしね。

ま今回は特に激しかったけれど
人生の一大事前だから
さすがのあの子も運気も星回りも
変わって当然ではあるがね。



遥さん。
ひょっとして百目鬼が俺とあれだけ揉めて
あやかしたちにも邪魔されてたのに
それでも縁がつながってたのは・・・



たとえ誰が画策しようと
交じり合わない縁なら交わらないし
会うべきであれば会う。
それだけの事だよ。

そしてその縁を続けるかどうかは
お互いの心次第だ。



ぁ!

ふぅ。



さて
この対価は?



今まで俺にいろんな事を教えてくださった。
それで清算させてください。
まだ足りませんが
それはまたいずれ。



まだまだ縁は続きそうだね。
ご店主。






ぁ・・・



ふ。

こっちも縁が続くのが
来たな。






仕事だと聞いたが
終わったのか?



おぅ。






持っていて。
これから起こることのために。
どうか迷わないで。
その瞬間が来ても。






どうした?



いや
いい。
俺宛の話じゃないなら
俺は知らなくていい。



そうか。



珍しいな。
煙草か。



もらい物だ。

ふぅ。

なんだ?



いや
爺さんもそういう紙巻き煙草を吸ってたなと。



よく覚えてるな。



爺さんのか?



夢でもらった。



元気だったか?
てのもおかしいのか。



お前を心配してたよ。
一大事前だからって。



なるほど。
相変わらずなんだな。
爺さんは。



ぁ?
招待状出来たんだ。



おう。
お前の分だ。



いや
俺はここから・・・



それでも
貰って欲しいと。



新郎  百目鬼 静
新婦  五月七日 小羽



小羽ちゃんに
ありがとう
って言っておいてくれ。



今晩電話するって言ってた。
直接伝えてやれ。



おぅ。
しかしこれのどこが良かったのかね?
小羽ちゃん。

小羽ちゃんだけじゃねぇよ。
なんかお前目当ての片思い関係で
俺、結構迷惑したんだよな。
昔から。

生霊とかストーカーだとか
ぁ、なんか大学で刃傷沙汰になりかけた
ってのもあったよな。



あぁ。
だったな。



そんなお前でも
小羽ちゃんはついてきてくれるんだ。
大事にしろよ。



おう。
だが五月七日が一番大事なのは
お前だ。





あぁ。
お前それでいいのかよ?



おう。



て。
今、五月七日って言ったな。
おいおい
再来月結婚するのに
未だに苗字で呼んでるのかよ。



どうも慣れん。



いや
慣れん
じゃねぇだろ。



むこうは名前で呼んでるからな。
問題ないだろ。



問題あるだろ。
大体お前はな
あんな可愛い子をお嫁さんに出来る
幸せって物をわかっちゃいねぇ。

2011年4月14日木曜日

xxxHOLiC OVA 籠 あだゆめ 1/2



xxxHOLiC OVA 籠 あだゆめ 1/2





世に不思議は多けれど
その店もまた
うちの一つ。

そこは願いをかなえる店。
自ら時を止めた店主が
継いでいとなる密事の場。

店は確かにあるけれど
全てのものには開かれず
縁あるときに
縁あるものだけが
知り、訪れる。

籠もる店主に会いみえる。



キィ



店ではどんな願いもかなえる。
店主にかなえられる願いならば。
あなたが対価を支払うならば。






こんばんは。



こんばんは。



もう春だねぇ。
ほら
桜も満開だ。



でも
これ夢ですから。
今はたしか3月半ばで
満開にはまだ遠いですよ。



現世はね。

けれど夢だとしても
こうして美しい物を愛でられるなら
良い事じゃないか。



そうですねぇ。
夢なら
ずっと散らない桜もありえますし。



それはそれで野暮な気もするがね。

人の心は我侭でいけない。
道理より何より
まず自分が欲する先が一番だ。



今日はどうしました?



四月一日くんの顔を見に。
というのもあるんだが
頼みごとがあってね。



遥さんが・・・
ですか?



願いを
かなえてもらいたい。






で依頼されたのか?
百目鬼のお爺さんに?



あぁ。



どんな依頼だったんだ?



夢たがえ。



ん?



夢を違えると書いて
夢たがえ。



それって夢買いと違うのか?
え~っと
あの大阪弁の獏みたいのは
夢を飼育している夢買いだけど
それと違う・・・



よく知っているな。



小羽が卒業論文に書いてた!



そうだったな。

夢買いは文字通り夢を売り買いするんだよ。
北条政子の夢買いが有名だな。

政子の妹が高い山に登って
着物の左右の袂に月と日を入れ
3つの実のついた橘の枝を
頭の上に置いている夢を見た。

それを妹から聞いた政子は
そんな唐突すぎる夢は逆夢で
災難を知らせる恐ろしい夢だと
妹に告げた。

そしてその夢は自分が買い取って
身代わりになってやるからと誘い
妹が前から欲しがっていた物を渡して
夢を我が物とした。



何をあげたんだ?



確か鏡だな。


その夢を買い取ったおかげで
政子は源頼朝の妻となり
権力を得たとも言われている。



夢の中に出てくる
月とか日とかって何なんだ?



月や太陽は
幸運や栄誉の象徴。
3つの橘の実は後に政子が産んだ
3人の子供ともとれる。



ほほぅ。



日本だけじゃない。
このての夢買いの話は
世界中にある。



でも今日頼まれたのはそれじゃないんだな?



あぁ。

夢たがえってのは大体
悪夢や不吉な夢を見た時に
それが現実にならないようにする事を言うが。

方法は呪符を使ったり
まぁいろいろだが
今回はちょっと違う。



どう違うんだ?



内緒。



えぇ?!
じゃぁ夢たがえする相手は誰なんだ?



それも内緒。






よいしょ
よいしょ
よいしょ
よいしょ



四月一日
これ。



おぅ。
それだ。



置くとこ
これでいい?



もうちょっと
こっちだな。



これくらいでいい?



ぅん。
それでいい。



やったぁ!



重いのに悪かったな。



ぅぅん。

平気だよ。

でもこれ4つも出すの
珍しいね。



あの遥さんの依頼だからな。
念には念を入れねぇと。

結界は強いほうがいいだろ?



うん!



あともう1個
頼んだ物は?



ちゃんと用意したよ。



ありがとう。

さて
どんな夢にお邪魔しますか。






チリンチリン



パンパン



おう。
ちゃんとわかってるな。
2礼2拍1礼。



大丈夫。
小学校に上がる頃には
きっともっと元気になっていますよ。






シー
コトン



今日はお通夜だから
一晩中いろんな方がいらっしゃるけれど
大丈夫?
少しだけでも部屋で眠ったら?



シー
コトン



パタパタパタ



爺さん
結局死ぬ日まで
爺さんが言ったとおりになった。

俺が小さい時から
時々俺には理解できない事を口にして
何の話だと尋ねても
教えてくれないほうが多かった。

俺にはまだ難しいのかと
あの頃は思っていたけれど
今考えると
俺には言う必要が無い事だったんだろうな。

世の中には
知らなければならない事もあるが
知らないほうがいい事も多い。

けど
言われなくても一つだけ気づいた事がある。

爺さん
きっと何かが気にかかっていただろ?
俺が小さい頃に
身体が弱かったからじゃなく
何かその先を心配していただろ?

俺にはずっと
それが何なのかわからなかったけれど。






コツコツコツコツ



あぁ
これ百目鬼と初めて会ったときの・・・



ちん
てやぁ!
てぇ。



何しやがる?



むかつくんだよ!



あぁ?



お前見てると何もかもが
あぁぁ!
もう辛抱ならん!



まぁ確かにこんなんだったな。
こいつとの初対面。

つか
こいつやっぱり覚えてんだな。
いきなり蹴られそうになりゃぁ
忘れようにも忘れられねぇか。






百目鬼静くんだよね。



な・・・



四月一日くんも百目鬼くんも
サッカー部じゃないのに凄いね。



あれはまぐれだよ。
ひまわりちゃん。
あんなアホが俺のシュート
受けられるわけ無いんだよ。

まぐれつぅか
そう
奇跡。
奇跡なんだ!



奇跡が6回も起きんのかよ?
この学校では。



この声は
百目鬼!



シュート6回も止められといて
何がうけられるわけが無いだよ。



うるせぇ!
あれはわざとだよ!
わざと取りやすい・・・



つぅか昔の俺
こんなうるせぇのか。
まぁ百目鬼相手だからだろうが。

しかしこんなんで百物語の時
よく自分家の寺貸したな。
こいつ。






ガラガラ



お帰りなさい。
静さん。



ただいま帰りました。
母さん。
今日、人を呼びたいんですが。



何人いらっしゃるのかしら?



3人だと聞いています。



まぁお友達?



いや。



まぁまぁ
静さんがお友達を呼ぶなんて
どのくらいぶりかしら。



いえ。



お夕飯は召し上がるかしら?
どうしましょう。
おかずが足りないかもしれないわ。
今すぐ買ってきて準備しないと・・・



来るのは夕食時間の後ですから
大丈夫です。



そうなの。
でもスイカくらいなら食べられるかしら?
冷やしておきますから
お出ししてね。



百物語・・・か。
しかし何で俺は
いいって答えたんだろうな。



俺だって思ってたよ。
何でなんだってな。



そういえば・・・
俺が弓を始めたのは
爺さんに勧められたから
だったな。