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2011年4月26日火曜日

狼と香辛料 3 2/3



狼と香辛料 3 2/3






それではご納得頂けますでしょうか?



ぁ・・・



ぉ・・・



トレニー銀貨
140枚!

たしかにそう言われたかや?



ぇ・・・
ぁ・・・はい。
確かにトレニー銀貨140枚です。



う~ん。
ぬしさまはひとかどの商人と見受けられるが・・・
いや
だからこそ
わざと気づかれぬふりをしたのかや?
だとすれば油断ならぬお人じゃ。



も・・・申し訳ございません。
何か見落としている事がございますでしょうか?



あるじ様よ。



ん?



意地悪はするものでないぞよ。



ぁ・・・

そ・・・
そんなつもりはない。
お前が教えてやりなさい。



うふん。
さてぬしさまよ。
一つ手にとって嗅いでみてくだされ。



うむ。



うむ。



ぉ!



どうじゃった?



これは・・・
果物の香りでしょうか?



ぁ!



いかにも。
今年は森もたわわに実った果実で溢れておる。
そんな森をつい先日まで駆けずり回っていた
テンの毛皮じゃ。
たらふく良い物を食っておるから
身体から甘い香りが立ち上るほどじゃ。



確かに香ります。



それほどのテンの皮じゃ。
皮を剥ぐ時は大の男が二人がかりで引き裂いたが
身がしまり過ぎて難儀した。
遠慮は要らぬ。
思い切り引っ張ってみよ。



あぁ・・・



もっと!



んん・・・



ぁ・・・



強靭なること猛獣のごとく
暖かなること春の日差しのごとし。
雨にかざせば見事にはじき
げに芳しきはこの香りじゃ。

鼻の曲がりそうなテンの皮で出来た服が並ぶ中
ただ一つ甘い芳香を放つ
この皮の服があるところを想像せよ!
飛び出るような高値で売れる事
間違い無しじゃ。



ふむ。



さて
いかような値で買い取って頂けるものかや?



トレニー銀貨200枚でいかがでしょう?



ん・・・
ぅぁぁぁ・・・



う~ん。
毛皮一枚につき銀貨3枚でどうかや?
つまり210枚。



ぅ!
ぇ・・・
ぁ・・・



あるじさま?
他に商会は?



ぇ・・・
ぁ・・・
構いません。
210枚でよろしくお願いします。



ぅん。
だそうじゃ。
あるじさま。



ぁ・・・
あぁ。






乾杯!



ゴクゴク
ぷはぁ。
うん
やっぱりぶどう酒じゃの!



・・・



どうしたかや?
飲まんのか?
わっちのおごりじゃぞ。



お前
商人やってたことがあるのか?



なんじゃ。
わっちのあれが
ぬしの誇りに傷でもつけたかよ?

あれはな
いつだったかかなりの昔の事じゃが
村を通りかかった
随分頭の切れる商人が思いついた方法じゃ。
わっちが思いついた方法じゃありんせん。



んん・・・



ふ~ん。



はぁ。

ゴクゴク
ぷはぁ。

しかし
俺は本当に気がつかなかった。
と言うか・・・
昨夜あれにくるまって寝た時には
何の香りもしていなかったが・・・



それはほれ
わっちが買ったあのリンゴじゃ。



な・・・!
それじゃお前・・・



引っかかったほうが悪い・・・
とは言わんが
向こうもこんな方法があるのかと
関心するじゃろ。



まぁ・・・
だろうな。



騙された時に怒っているようじゃ
話になりんせん。

そんな方法もあるのかと感心してこそ
一人前じゃ。



ん・・・



それはそうと・・・



ぁ?



ぬしはきちんとすべき事をしたのかや?



一応な。
だが銀貨を発行しなおす国があるという話は
つかんで無いようだ。



ふぅむ。



が・・・
ゼーレンの話には
何かからくりがあるのかもしれんが
おれが得をして損をしなければそれでいい。






では
再開を祝して・・・



乾杯!



ぷはぁ。

こんないい酒を飲んでるって事は
旦那
毛皮のほうは大成功ですね。



まぁな。



いやめでたい!
これであっしも儲けも増えるってもんだ。



そんな事よりだ・・・



はい。



ある銀貨の切り上げが行われると言う話を売る代わりに
お前は俺が儲けた金の一部を
代金として欲しい。
そういう事だったな?



はい。



その銀切り上げの話は本当なのか?



えっと・・・
そもそもこの話は
あっしが住んでいた鉱山の
ちょっとした情報から予想した物でして・・・
信用してもらって良いと思うんですが・・・
しかしあのぉ・・・
商売に絶対はありませんし・・・



ぅん。

絶対だと言ったら断ろうと思っていた。
そんな怪しい話は無いからな。



はぁ。



それで
お前の取り分は?



あぁ、はい。
話代としてトレニー銀貨10枚。
後は旦那の儲けに対し
その1割でお願いします。



随分と控えめじゃないか。



はい。
旦那が万一損をしても
あっしにはどうにも出来ません。

利益を抑える代わりに
損害分については話代の銀貨10枚を返すだけで
不問にして欲しいと言うわけです。



よし。
それでだいたいいいだろう。



ありがとうございます。
では早速明日公証人の所へ行きたいのですが?



うむ。
それでは我々の儲けに。



我々の儲けに!



乾杯!






ファラム銀貨!



残念。
偽マリーヌ銀貨。



それはこっちじゃないのかや?



それは後期ラデオン司教銀貨。



う~む!



まぁ使っているうちに自然と覚えるさ。
後は酔いが冷めてからにしよう。



いや!
もういっぺんじゃ!



しょうがないなぁ。

じゃぁこっちからいくから
ちゃんと聞いてろよ。



うむ。



トレニー銀貨。
フィリング銀貨。
リュート銀貨。



うむ。



偽マリーヌ銀貨。



うむ。



パラム銀貨。



うむ。



ランバルト特等王銀貨。



うむ。



ミッツフィング大聖堂王銀貨。
偽ミッツフィング大聖堂王銀貨。
聖ミッツフィング銀貨。

そしてこれが・・・



もう良い。
寝る。



さすが賢狼。
賢い選択だ。



ふん。
だいたいなんでそんなにあるのかや?
ややこしいにも程がありんす。



新しい国が出来ちゃぁ没落し
また出てきて
それに加えて地方の権力者や
教会権力もやたら発行するし
その上貨幣の偽造が後を立たない。

リュート銀貨だって元々は
偽トレニー銀貨と呼ばれて・・・
ぁ・・・
って寝るなよ。






とりあえず良い情報を貰った。
礼を言おう。



ありがとうございます。
では旦那。
あっしはここで。



あぁ。



旦那!
大もうけしてくださいよ!
奥様もいつまでもお美しゅう!



あぁ・・・
最後まで騒がしいやつじゃったの。






問題の銀貨と言うのはこれじゃろ?



あぁ。
この辺りだとかなり信用度の高い貨幣だな。



信用度?



貨幣は何百種類もあるし
しょっちゅう銀や金の含有量が変えられるからな。



ふむ。



そもそも貨幣の額面ってやつは
本来の金や銀の価値よりずっと高い。
信用が無ければ取引には仕えないんだ。



なるほどの。
でどうじゃ。

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