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2011年4月19日火曜日

狼と香辛料 1 3/3



狼と香辛料 1 3/3






今度こそロレンスに教えるのよ。



大きな商談には
厄介がついて回る。
そのために俺を雇おうって訳か?



ぁ・・・



あたしなりに尊敬しているからこそ
ロレンスと組みたいの。



ぁ・・・



ロレンスが教えてくれた事
ずっと胸に刻み続けてきたわ。
おかげでここまで来られたと思ってる。
ロレンスのおかげで・・・



危ないな。



ぁ・・・



危ない
危ない。



ぁ・・・



お前はまだ若い。
一か八かの取引にかかわるのは
もう少し場数を踏んでからのほうがいい。



つまんない!
せっかく一緒に儲けるチャンスだったのに。



今度もっと危なくない儲け話を持ってきてやるよ。
それなら一緒にやってもいい。



あたしだって
知らない間に成長してるのよ。



ぁ・・・いや・・・
商人としての読みはまだまだだ。



馬鹿にしていると
そのうち痛い目
見るわよ。



たまにはいいかもな。
そんな経験も。



女?



ん?



さっき一瞬上の空だったけど。
いい相棒でも出来たの?



いや。
ホロが相棒だったらどうかと思って・・・



ホロ?



ん・・・



わしのことか?



違うよ。
本物のホロの事だ。



呆れた。
そんな妄想にひたってたの?



妄想か・・・



妄想よ。



妄想ね。



妄想よ。



もし本当にホロが居たら・・・



また妄想?



切ない時もあるのかな?



そんな訳
無いじゃない。
だってホロは神様よ。



だよな。






ん・・・

居るわけ無いよな?



誰を探しておるのかや?



え?!
ホロ!



そこまで驚かんでも良かろう。



ん・・・
どこに隠れていたんだ?



わっちはこの時期
刈り取られた麦の中に居る。
いつもはそこから出られぬ。
人の目があるからの。
しかし例外がある。



例外?



もし最後に刈り取られた麦よりも
多くの麦が近くにあれば
わっちはそこへ移動できる。

まぁ・・・だから・・・
なんじゃ・・・
ぬしはわっちの恩人と言えば・・・
恩人じゃな。



あの時・・・
俺はお前の正体を見て
尋常じゃないほど驚いた。

だから消えたのか?



わっちはな
大昔この村の青年に頼まれたんじゃ。
この村の麦をよく実らせてくりゃれと。
じゃからそれからずっと守ってきた。

じゃが豊作を続ければ大地に無理がかかる。
時には実りを悪くせんとならん。
ところが村の連中は
わっちの気まぐれだなどと言いよる。

それもこの数年でどんどん酷くなってきた。
もう誰もわっちを必要としておらん。
必要とされておる時も
誰もがわっちの姿を見て恐れおののき
近づこうとはせなんだ。

わっちの望んだ事は
そんな事では無かったのに。



とりあえず今の話を受け入れたとして。



うたぐり深い男じゃの。



村を出てどこかに行くあてはあるのか?



北へ・・・
帰りたい。






ガチャリ



ロレンス?






もういいから出て来い。



ぷはぁ。

この中で靴紐を結ぶのは
なかなかに難儀じゃった。
よっと。



そりゃぁそうだろ。
靴紐?
あ!
おい・・・
それ俺の・・・



うむ。
似合うかや?



俺が十年かけて集めた一張羅だぞ。



そのようじゃの。
仕立てもなかなかに良い。
ぬしよ。
商人としてまぁまぁじゃな。



今すぐそれを脱いでここから降りるか?



ぬしはそんな事はせぬ。



甘く見ると恐いぞ。



まぁよろしくの。
え~っと・・・



ロレンス。
クラフト・ロレンスだ。



うむ。
ロレンス。

この先、未来永劫
ぬしの名はわっちが美談にして
語り継がせよう。



ったく。



ぁ・・・



語り継がなくていいから
自分の食い扶持ぐらいは自分で稼げよ。
楽な商売をしている訳じゃない。



わっちもただ飯を貰って
安穏としているほど愚かじゃありんせん。
わっちは賢狼ホロ。
誇り高き狼じゃ。

にしても・・・



ん?



少し狭いの。



お前な。



ま、寒さをしのぐにはちょうど良かろ。



はぁ。

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