楽天

2011年4月27日水曜日

狼と香辛料 3 3/3



狼と香辛料 3 3/3






なるほどの。
でどうじゃ。
その銀貨の話を知って
わかった事はあるのかや?



そうだな。



ん?



わかったと言うか
思いつく事はある。

どうした?



わっち
あれが食べたい!



あれ?






はむ!

でぬしは何に気づいたのかや?



これは覚えているか?



ん?

んんん・・・
フィリング銀貨?



正解。



うん。



こいつは銀の純度が高く
市場ではなかなかの人気がある。
トレニー銀貨のライバルだ。



うむ。
貨幣が国の力を現しているのは
いつの時代も一緒のようじゃ。



そうだ。
他国の貨幣に市場を席巻された時
その国は経済活動を牛耳られ
戦争に負けたのと変わらない。



つまりライバルを倒すためには
銀の純度を上げると言うわけかや?



あぁ。
だからゼーレンが嘘をついていない場合も
十分にありえる。



わっちの耳も万能ではないからの。



ぁ?



なんじゃ
わっちが怒るとでも思ったかや?



そのとおり。



そう思われたことに対してなら
怒るかもしらん。



ふむ。



何処へ向かっておるのじゃ?



知り合いが両替商をやっている。



両替商?



実のところ貨幣の純度なんて正確にはわからない。
それなのに人気が上下するのは
その純度の変化に敏感だからだ。
ほんのわずかな変化を大きな変化と思うほどにな。
だから
貨幣が大きく変化する時には
必ず予兆がある。

すぐに覚えなくていい。
ひと月くらいかけて
じっくり説明してやるよ。



つまりあれじゃろ?
貨幣を作る側が大きく純度を変えたいときは
まずほんの少しだけ純度を上げて
皆の期待度を測り
その反応次第で純度を上げる機会を伺うんじゃな?



ぁ・・・あぁ。
そんなところだ。






ロレンス!



ワイズ!



久しぶりだなぁ!



こらこら・・・



娘さん
お名前は?



わっちかや?



うむ。



わっちの名はホロじゃ。



ホロ。
良い名だ・・・



ロレンス
お前手篭めにしたのか?



するか!
そんな事!



だったらくどいても・・・

いいですよね?



ぅ・・・
困りんす。



はぁぁぁぁ❤

ぁ?



とりあえず
俺の用が先だ。

最近発行されたトレニー銀貨を持っていないか?



ぁ!



無理無理
毎日触っている俺らでも
わからないんだぜ。



鋳潰して調べる気は無いか?



バカ言え。
出来るわけ無いだろ?



わっちにも見せてくれんかや?



どうぞ、どうぞ❤



ん・・・
ぬしさまは悪いお人。



ははははは❤



むぅ。



まぁ見とりゃんせ。



カチャカチャ



ぁ・・・それさすがに無理だよ。
ホロちゃん。

何十年もやってる両替商の中には
それでわかる人も居るらしいけど
それも伝説だしね。



パサ



ぁ!



どう?



うん。
わかりんせん。



うんうん。
いや
しょうがない。
しょうがない。
気にしちゃだめだよ。






面白い人じゃったな。



無類の女好きだからな。



はぁ?




銀の純度は上がってたのか?
下がってたのか?



ぁ。
カマかけだとしたら
ぬしも上手くなったのぉ。



お前の耳が少し動いたんだ。



油断ならぬ。



ただ驚いたのは
あの場でそれを言わなかった事だ。



まぁ
お礼みたいなもんじゃ。



お礼?



ぬし
少しやいとったじゃろ?
そのお礼じゃ。



ぁ・・・
ん・・・



何、気にすることはない。
雄どもはみな阿呆のヤキモチ焼きじゃからの。
そして雌もそんな事が嬉しい阿呆。
何処を見ても阿呆ばかりじゃ。



そうだ。
銀の純度は?



うむ。
ほんの少しじゃが
新しくなるほど音が鈍くなっとったな。



鈍く?
という事は純度が下がっているという事だ。
やはりゼーレンは嘘をついたのか?

価値が下がる貨幣で儲けるには時間をかけるしかない。
少し価値が下がったところで買い戻せば差額が出る。
やがて相場が戻ればそれは利益だ。
だが半年やそこらで出来る事じゃない。
それ以外にゼーレンが得するやり方なんてあるのか?



くくくくく。
うふふふふ。



ぁ?



ぬし
騙されたんじゃないかや?



騙された?



いかにも。



それは銀貨10枚を騙し取られたという事か?



最悪で儲けがゼロじゃ。
仮に銀貨の値が下がってぬしが損をしたとしても
あの若者は受け取った銀貨を返すだけじゃ。
逆に上がれば利益の一部がもらえる。

元手はいらず儲かる可能性はあっても
あの若者が損する事は絶対にない。



なんて事だ・・・



人と言うものはさといの。



なんて事だ・・・



だがの・・・



ぁ?



銀貨の純度が下がるというのは
よくある事かや?



いや。
普通は最新の注意を払って
純度が維持されるはずだ。



ふむ。
そこに負って湧いた銀貨の純度に関する取引じゃ。
偶然かの?



ぁ・・・



得物を狩るとき
わっちらはたまに樹の上に登る。
樹の上から見ると
意外な獲物の隠れ場所がわかる。

そういう時は
新たな視点を入れるべきじゃ。



新たな視点・・・



何かを企んでいるのが
あの若者じゃなかったとしたらどうじゃ?



ぁ!



何もあの若者の利益は
直接相手をした者から貰わなくても良い筈じゃ。
例えば誰かに頼まれて
その手間賃を目当てに
妙な取引を持ちかけてきたのかもしれん。



そうか!
わかったぞ!
価値が下がる銀貨を
買えば買うほど利益が出る仕組みが!



ふふ。
何かひらめいたようじゃの。



行くぞ!



ぇ?
あぁ、今度は何処へ?



ミローネ商会だ!

0 件のコメント: