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2011年5月28日土曜日

狼と香辛料 9感想・原作比較



狼と香辛料 9感想・原作比較



腕前?

羊飼いとして腕が立つようなら
雇ってみる価値はある。
話、聞いてただろ?

わっちがおるではないか。

そりゃぁお前さえ居れば十分さ。
ただ羊飼いを狼からの護衛に使う
なんて発想
無かったからな。
新しい商売になるかもしれないだろ?



まぁ野犬や狼だったらホロが居れば
他は必要ないとも言えるが・・・



色香に惑わされた訳じゃない。
だいたい
お前のほうが断然可愛いじゃないか。

ぎりぎり及第点じゃな。




これはロレンスの精一杯のホロに対する褒め言葉?
それに対するホロの答えが・・・
ようやく女の子に対する扱いが上手になりつつある
ロレンスと言うとこでしょうか。



で腕前は?

まぁ上の中というところかや。

もう少し具体的に。

わっちならあの娘の羊を狩れる。
じゃが
並みの狼では束になっても軽くあしらわれるじゃろう。

そうなのか?

犬の扱いが実にたけておる。

厄介な羊飼いと言うのは
賢い犬を持ち
その犬とよく呼吸が合っているものじゃ。
あれはその二つを満たしていると思う。

声を聞く限り若そうじゃが
末恐ろしい。
いっそのこと
今のうちに・・・

わかった。
ありがとう。



今はこのような事を言っているホロですが
それがああいう結末になるとは・・・
この時は推測できませんでした。



こう言って貰いたかった訳かや?
わっちはぬしと二人だけがいい。
たわけ!

すまん。

まったく・・・
ま、2日ぐらいならばれぬじゃろ。
勝手にすれば良い。



これを見る限りどちらも意地っ張りなのか?
それともロレンスがお人よしの馬鹿なのか?
おそらく両方なのでしょう。



しかし羊飼いの方に護衛をしてもらえるとは
驚きましたよ。

普通しないでしょ?
こんな事。

ぁ・・・
その・・・
誰かと
話がしたくて。




この時のロレンスはまだ知らないが
ノーラが街の人たちからどのように見られているか?
それを思えば当然でしょう。



遠回りの正規ルートではないですよね?

もちろん森を通る近道のほうです。

騎士ですら怖気づくという
あの不気味な森を?

エネクとなら全く平気です。



まさかこの会話が後の重要キーワードになるとは・・・
そして昔
森は畏怖の対象だったし
恐怖の対象でもあった。
そこを通り抜けるとなると・・・
当然他者の目も厳しくなるのでしょう。



武具を?
ポロソンから?

ラトペアロン商会から買い付けたのですが
何か?

まぁ良いだろう。
で、納税は現金か?
現物か?

現物で。

賢明な判断だな。
向こうで武具2組を渡して来い。

ポロソンから買い付けるのは
そんなに珍しい事なのかや?

いや
そんな事は無い。
むしろその逆だ。



この時の役人の態度がいつもと違う事に
ロレンスは気づくべきだった。
そうすればもう少し時間的に余裕のある・・・

と思うのですが
得てしてそんなものですね。



役人と言うのは
どこへ行ってもいけ好かぬものじゃな。

気づかなんだか?
あの最後の役人
かすかに鼻で笑いおった。

さしずめ
あの武具の山を見て
商人風情がちょっと稼いで
いい気になるなと言った気分なんじゃろう。



ホロは・・・
いつもと違う・・・という事はわからなくても
何か様子が・・・とは気づいたと思う。
しかし、経験が無いゆえに
それが何かはまだ気づく事ができない。



金のかかる娘に引っかかったなぁ。
美人で羨ましい。

これで尻尾が生えてなきゃ
完璧なんだけどね。



ロレンスの笑えない冗談。
露天の主人はどう思ったのだろうか?



何しに来た?
出来の悪い商人め。
この時間に来るなんざ
まともに稼ぐ気は無いのか?
さっさと盗人にでもなったほうがいいぞ!

偉大な商人は靴に塵一つ
つけずに金を稼ぐもの。
汚すのは指先を黒いインクで少しだけ。
日がな一日市場を駆けずり回るのは三流の証。
違いますか?

へぇ。
口がうまくなったなぁ。
よくぞ帰ってきた
我が息子よ!



商館の主とロレンスとの会話。
両方ともいう事はごもっともで。
まぁこれが挨拶なのでしょう。



もう息子はやめてくださいよ。

何を言うか。
ローエン商業組合に居る者たちは
全て俺の息子であり娘だ。
それに俺は
お前が野営の途中で
度々寝小便をした事まで知っている。

売上金を盗んで仲間たちと
震えながら娼婦の館に行った話も
知っとるぞ。



こんな事を散々言われたら
頭が上がりませんね。
誰にでも若気の至り
というのがありますし・・・




行商人のロレンスという男は来たか?

ロレンスどころか
ここ数日
うちにはネズミ一匹来ませんや。



騎士風の男が寂れた建物で
ロレンスは来たかと聞く。
どう見ても景気が悪そうな建物。
街の市場は陽気なのにこの建物だけは
空気が違う。

さて何が起こるのか?


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2011年5月27日金曜日

狼と香辛料 9 3/3



狼と香辛料 9 3/3






戦の時に敵を防ぐためのものさ。
あの穴は煮えたぎった油を流すための穴だ。



異様に守りの堅い街じゃの。



通行証。

ふ~ん。
ポロソンからか?
荷は何だ?



はい。
武具一式が20点です。



武具を?
ポロソンから?



ぁ、えぇ。
ラトペアロン商会から買い付けたのですが
何か?



はぁ。
まぁ良いだろう。
で、納税は現金か?
現物か?



あぁ。
現物で。



賢明な判断だな。
向こうで武具2組を渡して来い。






ポロソンから買い付けるのは
そんなに珍しい事なのかや?



いや
そんな事は無い。
むしろその逆だ。



ふむ。






よろしくお願いします。



ぁ・・・!



ぁ?



行っていいぞ。






役人と言うのは
どこへ行ってもいけ好かぬものじゃな。



ぁ?



気づかなんだか?
あの最後の役人
かすかに鼻で笑いおった。

さしずめ
あの武具の山を見て
商人風情がちょっと稼いで
いい気になるなと言った気分なんじゃろう。



まぁ良いだろう。
無事街の中に入れたんだからなぁ。
荷馬車を宿において
露天にでも行くか。






チリン
チリン



パタン
パタン






おはようございます。



おはようございます。

おはようございます。



お?






もうおわかりですね?



ぷは!
美味い!

ぬし
おかわりじゃ!



はい
ビール追加ね。
嬢ちゃん強いな。



えへへ。
まだ序の口じゃ。



金のかかる娘に引っかかったなぁ。
美人で羨ましい。



これで尻尾が生えてなきゃ
完璧なんだけどね。



あはははは。



酒は美味く
その上賑やかで良い街じゃ。
のぉ。



賑やかな代わりに
油断もならない。
騎士や傭兵連中とだけは絶対もめるなよ。
面倒な事になるから。



はい。
お待ちどう。



はぁ!
任せときんす!






で、どこへ行くのかや?



商館だよ。
おいおい
ついてるぞ。
口元。



ぁ・・・



ぁ!
お前なぁ・・・
ったく。



しかしぬしよ。



ん?



わっちまでその商館とやらに行く意味
あるのかや?



一人にしておいたら危ないだろ?



う~ん。
わっちは可愛いからのぉ。
ふふ。



そうじゃなくて
酒に酔って耳と尻尾を出されたら
どうしょうも無いだろ。



なぁに、
そん時はぬしを咥えて待ちの外へ
逃げるまでじゃ。
あの程度の壁なら飛び越えられる。

確か古い物語に
そんな騎士と娘の話があったじゃろ?



騎士が囚われの娘を抱いて逃げるってやつか?



あぁ!
それそれ。



それなら絵にもなるが
狼に咥えられてる俺なんて
ロマンスのかけらもない。
断固お断りだな!



むぅ。
囚われているのがぬしでは
助けがいも無いしの。



ふ。



ところでぬし。



ぁ?



商館とは何ぞや?



商売には危険や事故がつき物だ。
だが誰かが守ってくれるわけじゃない。
騎士たちが鎧で身を固めるように
俺たち商人は
人同士のつながりで身の安全を守る。

これから行くのは出身地が同じ
商人同士の組織の支部だ。

やっぱり懐かしいな!
俺の故郷の建物は
みんなこんな風なんだ。



良いもんじゃの。
あちこちに故郷があると言うのは。



じゃ
用事を済ませてくるから
ここで待ってろ。



なんじゃ?
わっちを連れて同郷の者に
自慢するんじゃないのかや?



すぐ済む。
おとなしく待っていれば
甘いパンを買ってやるよ。



ぁ?



子供扱いするでない!



いらないのか?



要るに決まっておろう。



はぁ。



ギィ



ん?

何しに来た?
出来の悪い商人め。
この時間に来るなんざ
まともに稼ぐ気は無いのか?
さっさと盗人にでもなったほうがいいぞ!



偉大な商人は靴に塵一つ
つけずに金を稼ぐもの。
汚すのは指先を黒いインクで少しだけ。
日がな一日市場を駆けずり回るのは三流の証。
違いますか?



へぇ。
口がうまくなったなぁ。
よくぞ帰ってきた
我が息子よ!



おっと・・・



ははは。



もう息子はやめてくださいよ。



ふん
何を言うか。
ローエン商業組合に居る者たちは
全て俺の息子であり娘だ。
それに俺は
お前が野営の途中で
度々寝小便をした事まで知っている。



ぁぁ・・・



売上金を盗んで仲間たちと
震えながら娼婦の館に行った話も
知っとるぞ。



わかりました。
わかりましたから!



はははははは。






パッカパッカパッカ

ヒヒーン



キィ



行商人のロレンスという男は来たか?



ロレンスどころか
ここ数日
うちにはネズミ一匹来ませんや。



そうか。
ふふ。
ふふふふふふ。

2011年5月26日木曜日

狼と香辛料 9 2/3



狼と香辛料 9 2/3






この杖を咥えて
丘のちょっとした崖下でうずくまっていたんです。



なるほど。

しかし羊飼いの方に護衛をしてもらえるとは
驚きましたよ。



ぇ?



普通しないでしょ?
こんな事。



ぁ・・・
その・・・
誰かと
話がしたくて。



ぁ・・・
わかりますよ。



それに私
服の仕立て職人になりたいんですよ。
そのためにはお金が必要だから。
組合加盟費とかありますし。



ん!
ぁ・・・

確かに羊を預かって稼ぐよりも
商人たちの護衛をしたほうが
儲かるかもしれませんね。
縄張り争いも厳しいでしょう。



ですね。
安全な場所には
どこも他の羊飼いの方が居ますから。



狼だらけと評判の場所しか無いと?



はい。



狼は厄介ですからね。



ムギュ



痛!
い・・・!
む・・・

しかも狡猾で陰険ですからね。



どこかで聞かれているかも知れませんから
悪口は・・・



ですね。






メェ

メェ



すみません。
こんな早くに足止めさせてしまって。



いや
羊飼いが夕日が沈むより
早くに眠りにつくのは知っていましたから。



夜通しで羊たちを見張らなければならないので。
いつも羊たちの毛を見ながら
考えるんです。
あれがどんな服に変わるのかなぁって。



ふぅ。
それにしてもあなたの仕事ぶりは凄いですね。
実に見事だ。



いえ・・・
そんな・・・



あれほどの腕なら
もっとたくさんの羊を
任せられてもいいのに。



いえ。
これだけでも神様のご加護ですし。
たくさんの羊なんて
私には・・・



見る目が無いんじゃないかなぁ?



ぇ?



雇い主を変えてみてはどうです?



ぇ?!
まさかそんな・・・
とても出来ません。



失礼。
商人ってやつはとかく物事を
損得で考えてしまう動物でね。



あの・・・



はい?



よくあることなんですか?
雇い主を変えるって?



条件が気に入らなければ
別の雇い主を探すのが普通ですが。



そうなんですか?



失礼ですが
雇い主は教会ですか?



ぇ?!



ただの勘です。
商売人としてのね。



はい。
教会の司祭様から
羊をお預かりしています。
その上いろいろと気遣っていただいて。



ぅん・・・



ぁ・・・



さっきの言葉は撤回します。



ぁ?



給金こそ低いかもしれませんが
神が我々を見放さない限り
教会が無くなる事もありません。

だから仕事も無くならず
食べるのに困る事も無い。



そうですよね・・・
そうですよね!



しかしまぁ
副業してはならないとは
神様もお定めになっていませんから・・・



ぁ?



リュビンハイゲンに着いたら
何人か知り合いの商人に聞いてみますよ。

頼りになる護衛が欲しくないか?
ってね。



本当ですか?!
お願いします!






大変な仕事だな。



尻尾は毎日の手入れが大事なのじゃ。



ん?



ぁ?
なんじゃ?
あの小娘の事かや?



ノーラ・アレントだそうだ。



はむ。



トン



あむ!



わぁ!

おい、こら!
え・・・
だから・・・
一応確認したじゃないか。



ふん。
おちおち尻尾の毛づくろいも出来ぬ。



荷台でも無理だったのか?



はん!
荷台などでやっていたら・・・



やっていたら?






随分、話が弾んでおったようじゃな。



ん?
ノーラとか?



犬や羊とは弾まんじゃろ?



はぁ。
向こうが話したいと言うんだ。
別に断る理由も無いだろ?
それに久々に普通の娘との会話だったしな。



小娘はぬしと話すのを
嫌がってたことに気づかんかったのかや?



ん!



くく。



うほん。
ま、それもありだろ。

いきなり一目ぼれされちゃぁ
徐々に好かれると言う楽しみが無くてつまらぬ。



ぁ・・・



どうだ?
俺もなかなかだろ?



く。



ぁ?



ははははは。
似合わぬ。
似合わぬすぎじゃ!

あっは。
あはははは。
あはははは。



そこまで笑うか?
ったく。



あはははは。



気が済んだか?



うむ。
ぬしも意外な切り札を持っておるのぉ。



まぁお前の機嫌が直ったんなら
それでいいがな。



あぁ。うむ。
何だかどうでも良くなった。
小娘がくれた贈り物じゃな。






ほぉ!



おはようございます。



あぁ。
ご苦労さん。



お願いします。

どうも。



いつもどうも。



おかげで助かりました。
正規の検問なら
この通行証を貰うのに
10倍は時間を取られますからねぇ。



教会に雇っていただいてるおかげです。






それでは約束の40トリエです。



ぁ・・・
ですがこの銀貨は
両替すると45トリエぐらいに・・・



がめつい商人の投資ですよ。



投資?



腕の良い羊飼いとつながりがあれば
羊毛取引で思わぬ儲け話に
ありつけるかもしれませんからね。



ありがとうございます。



私たちは暫く
ローエン商業組合の商館に居ます。
また羊を連れて野を行く予定があれば
顔を出してください。

護衛を欲しがっている商人を
紹介できるかもしれない。



ありがとうございます。



ぁ、一応お聞きしておきますが
護衛ができるのは
私たちが通ってきたあの道だけですか?



いいえ。
カスラータとポロソンとラムトラへも行けます。



ラムトラ?
あのラムトラですか?



はい。



遠回りの正規ルートではないですよね?



もちろん森を通る近道のほうです。



騎士ですら怖気づくという
あの不気味な森を?



エネクとなら全く平気です。



やぁ
それなら客が着く可能性はぐんと上がります。



よろしくお願いします。
では
家畜の入り口は向こうですので。



さて
後は税関を通って
お前のおかげで手に入ったこの武具を
レメリオ商会に高値で売りさばくだけだ。



いや。
その金で桃の蜂蜜漬けじゃ。



さて
急がなきゃな。



こら、ぬし!
無視するでない!



売ってなかったらあきらめろよ。
無い確率のほうが高いんだからな。



わかっておる。



無くてもむっとするなよ。



それはする。



だから!






あれは何じゃ?

2011年5月25日水曜日

狼と香辛料 9 1/3



狼と香辛料 9 1/3


狼と羊飼いの子羊。






メェ

チリン



パルティ、ミス、トゥエロ、モロ
ル、スピンツィオ、ティラ、タォックル。

はぁ~



プォーー



ありがとうございました。



こちらこそ感謝します。



どうもありがとうございます。



では。



あの・・・



ん?



この道のことは
どちらで聞かれました?



つい先日
ポロソンの酒場で。



狼の噂は出ませんでしたか?



あぁ聞きました。
ただ急ぐもので
この道を選んだのです。



そうですか。



あの・・・
どうかしましたか?



ぇ!
ぁ・・・いえ・・・その・・・



何なりと。
それとも何かご入用ですか?



私を・・・
雇っていただけないかと?



ぇ?!



私は羊飼いです。
羊を育てる以外にも
狼を払う事ができます。
もし私を雇っていただけるのでしたら
狼からあなた方の旅を守る事が出来るんです。
いかがでしょうか?



ぅむ・・・



エネク



ワン

ワンワン

メェ

ワンワン

メェ

ワン

メェ



ぁ・・・
ちょっと待っててください。
連れにも聞いてみます。



腕前?



羊飼いとして腕が立つようなら
雇ってみる価値はある。
話、聞いてただろ?



わっちがおるではないか。



そりゃぁお前さえ居れば十分さ。
ただ羊飼いを狼からの護衛に使う
なんて発想
無かったからな。
新しい商売になるかもしれないだろ?



人間の雄は雌が何匹居てもいいのじゃからの。



はぁ。
色香に惑わされた訳じゃない。
だいたい
お前のほうが断然可愛いじゃないか。



はぁ。
ぎりぎり及第点じゃな。



はぁ。
で腕前は?



まぁ上の中というところかや。



もう少し具体的に。



わっちならあの娘の羊を狩れる。
じゃが
並みの狼では束になっても軽くあしらわれるじゃろう。



そうなのか?



犬の扱いが実にたけておる。



チリン
チリン



厄介な羊飼いと言うのは
賢い犬を持ち
その犬とよく呼吸が合っているものじゃ。
あれはその二つを満たしていると思う。

声を聞く限り若そうじゃが
末恐ろしい。

いっそのこと
今のうちに・・・



わかった。
ありがとう。



ぬしよ。



ん?



本当にあれを雇うのかや?



そうしたいと思うんだが?



はぁ。
あれを雇うという事は
暫く共に旅をする。
という事じゃろ?



ん・・・
嫌か?



嫌と言うわけでは無い。



ふ。
リュビンハイゲンまでほんの2日だ。
駄目か?



駄目という事はありんせん。



まぁ悪いが少し辛抱してくれ。



わっちが何を辛抱するんじゃ?



いや・・・だから・・・
本当に
単に羊飼いが狼からの護衛として役に立つか
試すだけで。



わっちは構わぬが
ぬしが困ろう?



ぁ?



下手に他の者と旅をして
わっちの事がばれたらどうする?



な!
ぁ・・・

ぁ・・・
あぁ・・・
はぁ。



ほぉ。
なるほどのう。



あぁ・・・



こう言って貰いたかった訳かや?

わっちはぬしと二人だけがいい。

たわけ!



すまん。



まったく・・・

ま、2日ぐらいならばれぬじゃろ。
勝手にすれば良い。






お待たせしてすみません。



ぁ・・・いえ・・・
あのぉ~・・・



リュビンハイゲンまで
40トリエでいかがでしょう?



ぇ?
実際に狼に襲われて無事だった場合は
また別料金という事で。



・・・



ん?
安すぎますか?



ぁ・・・
いえ。
お願いします。



こちらこそ。
ぁ・・・
お名前を伺ってもよろしいですか?



ぁ・・・すみません。
ノーラ・アレントです。






フファ。



エネク!



羊飼いはもう長いんですか?



いいえ。
まだ4年くらいです。
このコを拾ったのが
羊飼いになったきっかけです。



意外ですね。
それまでは?



修道院併設の貧民救済院で
お手伝いをしながら住まわせてもらっていました。



あぁ。



救済院でお世話になっている時も常々
自分で仕事が出来れば
と思っていましたから。
エネクと出会えたのは幸運でした。



日々のお祈りの賜物でしょう。



はい。
本当に神様が引き合わせてくださったとしか
思えませんでした。



ぁ?



であったときはズタボロで
怪我だらけだったんですよ。



狼?



いえ。
山賊か傭兵だと思います。
この杖を咥えて
丘のちょっとした崖下でうずくまっていたんです。

2011年5月24日火曜日

狼と香辛料 8感想・原作比較



狼と香辛料 8感想・原作比較



桃を薄く切って
樽の中にどんどん詰めていくんだが
高級品は間に
イチジクとアーモンドまで入るんだ。
その上からたっぷり蜂蜜を流し込んだら
最後に生姜を少し入れて
2ヶ月ほど漬け込む。

はぁ~❤

口に入れた途端に広がる甘さと言ったら
この世に類が無いほどだ。
教会が禁止しようかと協議したほどで・・・

って、おい
よだれ垂れてるぞ。

ぬし
嘘では無かろうな。

嘘じゃ無いが
大抵は貴族か金持ち用だからな。
ま、滅多に店には並ばない。

も・・・もし並んだら?
並んだらどうなのじゃ?

わ・・・わかったよ。
買ってやるよ。

絶対じゃな!

けど
少しだぞ。

約束じゃぞ。
良いな?




桃のはちみつ漬けの話を聞き
すっかりその気になってしまったホロ。
でも蜂蜜って・・・
昔から一番身近な甘いものだと思うのですが
独特のクセがあるからくどくないのだろうか?

ただ現在の日本では売られていないと思うのだが
イメージ的には缶詰と似たような物なのだろうか?
缶詰はシロップ漬けなのでもう少しコクはありそうなのですが。




喉渇いた。

我慢しろ。

水でよろしいですか?
葡萄酒もありますが?

水をもらえるかや?

お安い御用です。

ぅ~ん・・・
あぁ・・・

どうされました?

ちょっとめまいが・・・

だ・・・大丈夫ですか?

ぇ・・・えぇ・・・

落ち着きましたか?

大分・・・ありがとう。

長旅の疲れが出たのでしょう。
今ヤギのミルクをお持ちします。

ぬしさまよ。

わっちにはどうもまだ目の前の物が
傾いているように見えるのじゃが・・・
そなたの目にはどう映られるかや?

あぁ・・・
いえ
決してそのような事は・・・

あるはずが無い・・・
と思うのじゃが・・・
ぅ・・・っと・・・

おい、大丈夫か?

ぅ~む。
あるはずの無い事が見える!



ホロが部屋のテーブル(部屋自体?)が
傾いている事に気づき
一芝居。

水と言われ出されたカップの中身は葡萄酒。
(ロレンスの台詞でわかるのだが
絵ではピンクの液体)

この場面以前に蝋燭の炎がゆれる場面が
描かれているのでおそらく部屋自体が傾いているのでしょう。




経験は過信を生み
過信は時に命取りとなる。
クロエで懲りたはずじゃろ?




ホロのこの台詞。
非常に重要と思います。
商売の上でも・・・
ですが次回への重要な布石。


しかも武具をロレンスが求めた祭
店主は武具・・・ですか?
と言うところで次なる悲劇は避けれたかもしれない。

もっともそうなってしまっては
物語としては面白くないのですが・・・



武具はリュビンハイゲンじゃ一番の売れ筋だが
持ち込む商人の数も多い。
そのせいで自然と利率は下がるから
値切ったところでたかが知れてる。



ロレンスは経験により武具を仕入れたのだが
通常はよく動く商品と推測される。
しかし胡椒を売った際
店主が武具ですか・・・?
と怪訝な顔をした時にもっと情報収集をしていたら・・・?
違う展開になったはず。



気をつけて行ったほうがいいぞ。

北から傭兵団が来ているらしい。

傭兵団かや?

あぁ。

だとすればこのまま進むのは
自殺行為じゃな。

あぁ。
奴らは空を飛ぶ鷲よりも早く獲物を見つけ
金になりそうなものなら
蕪の葉一枚残らず奪い取る。

長い槍を持っておるしの。
さしものわっちも苦労させられた記憶がある。

もう一つ気になるのは
わざわざ南下してきたという事だ。
奴らは俺たち同様
損得でしか動かん。

ま、ここで悩んでも仕方が無い。
とにかくリュビンハイゲンには
新しく出来たという迂回路で行こう。



ここでロレンスは傭兵団が南下した情報を掴むのだが・・・
この時点で何か出来ただろうか?

店の傾きの件で
ある意味、店主と喧嘩も同然になっていたのだから
既に打つ手は無いとも言えるが
もしあのような無茶な事を言わなければ・・・

せめてリスクの軽減ぐらいは出来たかもしれない。



寝てても狼が来たらわかるんだろうな?

そのくらいわかりんす。

囲まれたら厄介だからな。

心配性じゃな。
普通どの動物も寝ていようが
起きていようが、さして変わらぬ。
ぬしら人間が寝ている時に
無防備すぎるだけじゃ。

いびきかいて寝てるのに
説得力無いな。

わっちはいびきなどかかぬ!



ロレンスは猫や犬を飼った経験が無いのでしょう。
一見寝ているように見えても
しっかり周りの様子はわかっている犬や猫。
狼となればなおの事。

ロレンスがいびきと思ったのは
おそらく寝息でしょう。



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『狼と香辛料』その他の商品

2011年5月23日月曜日

狼と香辛料 8 3/3



狼と香辛料 8 3/3






あまり羽振りの良くない行商人にたかるのも
良くなかろう?



武具はリュビンハイゲンじゃ一番の売れ筋だが
持ち込む商人の数も多い。
そのせいで自然と利率は下がるから
値切ったところでたかが知れてる。



じゃが
こんだけ買っておれば
儲かるじゃろ?



ま、油代くらいは何とかなるかな?



ぅむ。
何よりじゃ。



ふ。
そう考えると香辛料はやはりうまいな。



食べたのかや?



お前と一緒にするな。



儲けがだ。



はん。
ならまた香辛料を持っていけば良かろう?



リュビンハイゲンとポロソンじゃ
たいして値段が変わらない。
関税がかかるだけ損だ。



ならあきらめる事じゃ。



香辛料並みかそれ以上の利率の商売が出来れば
店なんかすぐなんだがなぁ。



ふむ。
何か無いのかや?



例えば宝石とか金とかは定番じゃないのかや?



その辺りもリュビンハイゲンに限っては
そんなに儲からないんだよ。



クシュン

なんでじゃ?



はぁ。



モゥ



関税が高すぎるんだよ。
一部の商人たちを除いて
輸入しようとする金に
物凄い関税がかけられるんだ。
そのせいでとても商売にならん。



一部の商人たちはなんで除かれるんじゃ?



教会の連中と結託してるからさ。
あそこじゃ教会に金を持っていくと
聖なる刻印を刻んでくれる。

ありがたい物となった金には
とてつもない高値がつく。
当然教会は見返りに
多額の寄付を受ける。



見事な癒着じゃの。



だから密輸に対しても
恐ろしいまでの厳罰主義だ。



ほぉ。



密輸すれば倍ぐらいの値段にはなるだろうが
その分危険もでかい。
だからそんな事を考える馬鹿は
まずいない。



金ぐらい隠して持ち込めんのかや?



そんな生易しい荷物検査じゃない。



ふ~む。
見つかったらどうなるんじゃ?



最低でも利き腕の切断刑だ。
とてもじゃないが割が合わん。



ま、ぬしの商売は順調なんじゃ。
地道に稼いでいけば良かろう?



まったくそのとおりだが
その地道な利益を浪費する
誰かさんが居るんだがなぁ。

ん?



クゥ



ふ。






気をつけて行ったほうがいいぞ。



北から傭兵団が来ているらしい。



傭兵団かや?



あぁ。



だとすればこのまま進むのは
自殺行為じゃな。



あぁ。
奴らは空を飛ぶ鷲よりも早く獲物を見つけ
金になりそうなものなら
蕪の葉一枚残らず奪い取る。



長い槍を持っておるしの。
さしものわっちも苦労させられた記憶がある。



もう一つ気になるのは
わざわざ南下してきたという事だ。
奴らは俺たち同様
損得でしか動かん。

ま、ここで悩んでも仕方が無い。
とにかくリュビンハイゲンには
新しく出来たという迂回路で行こう。

ぁ・・・
お前、異教の魔術師は恐くないのか?



ぅん。



迂回路には狼の軍団も居るらしい。



人間より楽じゃ。



ぁ?



少なくとも話は通じる。



じゃそっちの交渉は任せたぞ。






チリン
チリン






ふわぁ・・・
しかし誰もおらぬのう。



噂の力はことのほか強いからな。



つまらぬ。
わっちは昼寝。



寝てても狼が来たらわかるんだろうな?



そのくらいわかりんす。



囲まれたら厄介だからな。



心配性じゃな。
普通どの動物も寝ていようが
起きていようが
さして変わらぬ。

ぬしら人間が寝ている時に
無防備すぎるだけじゃ。



いびきかいて寝てるのに
説得力無いな。



わっちはいびきなどかかぬ!



まぁ・・・
そんなにでかくは無いが・・・



かかぬと言っとるじゃろ!



わかった、わかった。



かかぬと言っとる!
ふん!



だからわかったって。



ん?



ん?
どうした?



この先の交渉はぬしに任せる。



何が居るんだ?



わっちの嫌いな人間じゃ。



例の魔術師か?



ぅ~・・・






チリン

メェ

チリン

メェ






ぁ?



羊か?

魔術師ってのはあれか?



メェ
メェ

チリン
チリン
チリン



何じゃ?
今のは?



羊飼いに会った時の儀式だ。
これで少なくとも
あいつは魔術師じゃなさそうだ。

私は旅の行商人、ロレンス。
こっちは旅の連れのホロ。

神のお導きで出会えた羊飼いの方に
道中の安全を祈って頂きたいのですが。



喜んで。



ぁ?

ぁ!



む・・・



ぁ・・・



むぅ・・・



チリン

2011年5月22日日曜日

狼と香辛料 8 2/3



狼と香辛料 8 2/3






ガチャン






分銅45個分ですね。
こちらの胡椒の産地は?



リードン王国のラマパタです。
ミローネ商会が輸入を請け負いました。



ぅ~ん。
ラマパタと言えば
南でも有数の香辛料の名産地ですね。
証明書も本物に間違いありません。

それではこちらの分銅一つで
リュミオーネ金貨1枚
これでいかがでしょうか?



リュミオーネ金貨の相場は
おいくらでしょうか?



主要貨幣はトレニー銀貨でよろしいですか?



はい。



トレニー銀貨ですと・・・
32枚と5/6枚
こちらが相場です。



な・・・
んむ・・・

ふむ。



その値段でお願いします。



ぁ、では・・・



ぅ~ん・・・
あぁ・・・



どうされました?



ぅ~ん。
ちょっとめまいが・・・



だ・・・大丈夫ですか?



ぇ・・・えぇ・・・



落ち着きましたか?



大分・・・ありがとう。



長旅の疲れが出たのでしょう。
今ヤギのミルクをお持ちします。



ぬしさまよ。



ぁ?



わっちにはどうもまだ目の前の物が
傾いているように見えるのじゃが・・・
そなたの目にはどう映られるかや?



あぁ・・・
いえ
決してそのような事は・・・



あるはずが無い・・・
と思うのじゃが・・・
ぅ・・・っと・・・



おい、大丈夫か?



ぅ~む。
あるはずの無い事が見える!



ぁ?

ぁ!



ぁ・・・



わっちはどうやら
さっき水ではなく葡萄酒を飲んだようじゃ。
そうじゃろ?
ぬしさま。



ぁ・・・ぁ・・・
あぁ・・・



賑やかな酒場の主人ほど
酒を飲まないという
ことわざがありますが
なるほど。

その場で唯一シラフでいる事が
商売繁盛の秘訣なのですねぇ。
はぁ。
私もどうやら酔っているようだ。

ここで見たことの
聞いたことのいくつかは忘れてしまうでしょう。
その代わり酔っ払いは得てして
無茶を言うものでしてねぇ。



な・・・何を・・・



この金とあなたが得をするはずだった分と
それから・・・
そうですね。
信用買いでその倍の買い物をさせてもらえませんか?



倍?
いくらなんでもそんな!



あぁ!
残念だ。
もう酔いが冷めてきそうだ。



あぁ・・・



商品は・・・
そうですね。
金額が金額ですから
高級武具なんかどうですか?



武具・・・ですか?



安全で確実な利益が見込める定番ですよね?
それにこれならすぐに借りた金を返せます。
リュビンハイゲンに向けた商品が
たくさんあるんでしょ?



武具・・・ですか?



リュビンハイゲンならこちらと
懇意の商会もあるでしょうから
そちらに売ることで貸し借りの相殺という事で。
いかがですかねぇ?



あぁ・・・



ありがとうございます。
では早速商品の手配をお願いできますか?
出来るだけ早くリュビンハイゲンに行きたいもので。



わ・・・わかりました。
あの・・・査定は?



お任せいたします。
私は神を信じておりますので。



あぁ・・・



ガチャ



くっくくく。



うふふふふ。



気の毒にの。



しかしよく気がついたな。
お前。



わっちは器量も尻尾の毛並みも頭も良いが
耳や目も良い。
この部屋に入ったはなから気づいておった。



ほぉ?



ほぉ?
ではあるまい!



何だよ。
いきなり。



経験は過信を生み
過信は時に命取りとなる。
クロエで懲りたはずじゃろ?



まったくだな。



たわけ!
落ち込むのは尚悪い。
ただ懲りれば良いのじゃ。



ふむ。






油?



うむ。
尻尾の手入れに良いと聞く。
次の街に行ったら
買ってくりゃれ?



ふむ。

お前の着ているその服や
予備の服
櫛の値段
それから旅費と食費と
飛びぬけてべらぼうな酒代を計算した事あるか?

街に入るときの人頭税だってある。
ぬし
よもや計算が出来ないわけでもあるまい?



足し算くらいできるわいな。
足し算どころか引き算も得意じゃ。



なら自分がいくら使ったか足し算してみろ。
賢狼ならその数字からおれの答えくらい
わかるだろ?



ぅんぅん
わかりんす。



ん?



きっとぬしは買ってくれる。



賢さが自慢の賢狼も
酒に酔っちゃカタナシだな。



よってなど無いわいなぁ。
わぁ!



ぁ!
馬鹿!
何して・・・



なんてな。



はぁ・・・
お前な。



わっちを見くびってもらっちゃ困るの。
ぬしがあの主人の弱みに付け込んで
想像以上の収穫を得たことに
気づいておらんとでも
思うのかや?



な!




買ってくりゃれ?



しかしお前
俺にいくら借金してると思ってるんだ?
銀貨140枚だぞ。
それがどれほどの大金かわかるだろ?
この上余計なものまで買ってやれるか。



むぅ。
なんじゃ
ぬしはそんなに借金を返して欲しいのかや?



あ た り ま え だ!



ぁ・・・
ぬしがそんな風に思っていたとはの。



な・・・
どういう意味・・・



まぁ・・・
ぬしに借金を返したら
わっちは自由の身じゃからの。

そうじゃな。
ちゃっちゃと返して一人で北へ帰るかや。
ま、一人には慣れとるしの。



ぅむ・・・
ぁ・・・

借金は返済期限を決めてない。
北の森に着くまでに返してくれれば
それでいい。

これで・・・いいか?



うん!
わっちはきっと北の森に着く頃に
借金を返せるじゃろうからな。



ぁ・・・!



それとわっちは
ぬしの借金に利子をつけて
返すつもりじゃ。

つまり貸し付けている金は
多いほうがぬしも儲かる。
じゃからな?



ふぅ・・・
油・・・か・・・



うん。
わっちの借金で良いから
買ってくりゃれ?



うむ・・・



うん。



うむ。
契約成立。



ありがとう。
うふふ。






ふわぁぁぁ。



絶好の毛づくろい日和じゃ。



しかし実際のところ
かなり値切ったんじゃないのかや?



それを聞いてどうするんだ?



ふむ。
あまり羽振りの良くない行商人にたかるのも
良くなかろう?

2011年5月21日土曜日

狼と香辛料 8 1/3



狼と香辛料 8 1/3


狼と正しき天秤。






カラン
カラン
カラン






あぁ
リュビンハイゲンからこっちへ来る途中で
もっぱらの噂だった。



そうそう
恐いよ。



新しく出来た迂回路に居る魔術師だろ?
俺も聞いた。



狼を召喚して意のままに操り
次々と旅人を襲わせては生き血を集めている。



まさか・・・



ガォ!



いいや
真面目に気をつけたほうがいい。



これはリュビンハイゲンで
教会の人間から聞いた話だが
1週間前にキャラバンの連中が
丸ごとやられたらしいぜ。



あぁ
恐い
恐いね。
恐いから俺
もっと飲んじゃう。



一応覚えておくか。



魔術師が女でない事を祈るばかりじゃのう。



ぁ?
どうしてだ?



ぬしは女に騙されやすいからじゃ。
そして痛手も引きずりやすい。



な・・・!



あれ以来
確実に酒の量が増えておろう?



ぁ・・・
お・・・おい!



あぁ。
酒場へ行けばたいがい話題になっとるしの。
メディオ商会の事は。



ん・・・

はぁ。



阿呆な生きものじゃのう。
男とは。



悪かったな。
阿呆で。






何という不届きな町じゃ!
酒場が閉まるのが早すぎる!



ここは教会都市
リュビンハイゲンの管理下だからな。
旅行者むけの酒場があっただけましだ。



つつましい暮らしと神への祈りにしか
興味がない町。
という事かや?



教会の説教のありがたみを
眠くなるほど語るのが
この町の挨拶みたいなものだからな。



何が楽しいのか全く気が知れぬ。



胡椒を売ったらすぐに新しい荷を積んで
リュビンハイゲンに連れてってやるよ。



大きい街なのかや?



あぁ。
パッツィオよりでかい。
街と言うより都市だ。
賑やかだし露天もたくさんある。



リンゴあるかや?



生ものはどうかな?
そろそろ冬に向けて
漬物にされる時期だ。



あぁ・・・
漬物?



塩漬けじゃないぞ。
蜂蜜に漬けるんだ。



ほぉ。



リンゴだけじゃない。
梨のはちみつ漬けも美味いぞ。
あと新しいところでは桃だな。



ふ~ん・・・



桃を薄く切って
樽の中にどんどん詰めていくんだが
高級品は間に
イチジクとアーモンドまで入るんだ。
その上からたっぷり蜂蜜を流し込んだら
最後に生姜を少し入れて
2ヶ月ほど漬け込む。



はぁ~❤



口に入れた途端に広がる甘さと言ったら
この世に類が無いほどだ。
教会が禁止しようかと協議したほどで・・・

ぁ?
って、おい
よだれ垂れてるぞ。



ぁ!

ぬし
嘘では無かろうな。



嘘じゃ無いが
大抵は貴族か金持ち用だからな。
ま、滅多に店には並ばない。



も・・・もし並んだら?
並んだらどうなのじゃ?



わ・・・わかったよ。
買ってやるよ。




絶対じゃな!



けど
少しだぞ。



約束じゃぞ。
良いな?



お・・・おい。
聞いてるのか?



では行こう。



ぇ?



ぉ・・・おぉ・・・



ぬし
早く行こう。



行こうってどこへ?



決まっとる!
宿へ行き荷馬車に乗って
何とか商会に行くんじゃ。

あるじをたたき起こして
胡椒を高値で売り
すぐにリュビンハイゲンへ出発する。



待て、待て。
こんな時間に・・・



売り切れるかもしれぬ。
そうなったら事じゃ。



売り切れるどころか
売ってない可能性のほうが高いんだからな。



桃と蜂蜜じゃぞ。
信じられぬ。
とても信じられぬ!



運が良ければだぞ!



ぁ!



けど・・・



ぁ?



梨も捨てがたいの。






それほどにその司祭様のお話は
我々の胸を打つものでございました。
まさに神様がお運びくださった
ご縁と申しましょうか
私どもはそのお言葉を胸に
更なる精進をという思いを
新たにしたのでございます。

ぅん!

さて少し長くなってしまいましたが
商談に入りましょうか?



よろしくお願いします。



本日はどのような品物を?



ぁ・・・
こちらです。



胡椒ですね?



ん!
よくわかりましたね?



匂いですよ。



恐れ入りました。



いえいえ。
長い事やっていれば身につくものです。

ところで
秤は持っておいでですかな?



持ってはいませんが
私は神を信じています。



ぅん。
それにしても悔しい。
ここ暫く胡椒の需要が
うなぎのぼりでしてね。

あと1週間早く来て頂ければ
こちらも安く買い叩けましたのに。



いい時に来ましたか?



えぇ。
それでは胡椒の計量に移りましょう。



はい。
お願いします。



ぅ~ん。
では紙とインクが必要ですね。
しばしお待ちを。



ん?
どうした?



喉渇いた。



ぅん。
我慢しろ。



ぅん。



ん・・・



水でよろしいですか?
葡萄酒もありますが?



ぁ・・・
水をもらえるかや?



お安い御用です。

2011年5月19日木曜日

狼と香辛料 7感想・原作比較



狼と香辛料 7感想・原作比較


食べれば良いのじゃろ?
食べれば!

全部食べられるのか?

食べる!
わっちはヨイツの賢狼ホロじゃ!

意地張る事じゃないだろ?

誰が意地など・・・

本当は?

本当じゃ。

本当の本当は?

本当の本当じゃ!

本当の本当の本当は?

本当の本当の本当に!
実はもう飽きた。



ホロも相当な意地っ張りのようで。
でもこんな所が可愛かったりして・・・



今のリュミオーネ金貨なら
トレニー銀貨の35枚分だ。
つつましく生活すれば銀貨1枚で7日は暮らせる。



ロレンスのこの台詞から
銀貨1枚とは現在の貨幣相場にして
どの程度の価値なのか考えてみました。

前回ホロが銀貨1枚をロレンスから渡され
リンゴを好きなだけ・・・
と言われた時、ロレンスは
それで今晩の宿代と酒代もまかなう予定だったと言っています。
これを考えた時
今のお金で1万円ぐらいではなかろうかと推測するのですが。



わっちはヨイツの賢狼ホロじゃ!
身にまとう物が貧相であっては
名に傷がつく!

本当に美しいものなら
何を着ても栄えると言うがな。



どちらの言い分も正論ですが
このやり取り、好きですね。



わっちの手には
この銀貨は少し多すぎるようでありんす。

ホロさん。
だからこそ私の手があるのです。

まぁ!
でもいけませぬ。
それではぬし様の大事な手が
ふさがってしまいんす。

いいえ。
あなたの手から銀貨がこぼれ落ちるなら
喜んで私の手を使いましょう。
それで私が困る事などありません。

なぜならホロさんは私の胸の中にある
両腕でも抱えきれないような
熱い思いをそっくり受け取ってくれるに
違いないのですから。

ワイズ!
両替商の基本を忘れたのか?!
銀貨は袋へ。
金貨は箱へ。
手に握るなら粗末な銅貨だろ!



ワイズのホロとロレンスに対する態度が
あからさまに違うのが楽しめます。
でもここでロレンスが
この世界での両替商の決まりと言うか
そういうものを言うのですが
やはり格により扱いが違うのだろうと推測します。



こんなにいい子を独占するとは
神をも恐れぬ所業だな。
汝の持てるパンを分け与えよ
という言葉を知らないのか?

分けて欲しいか?

だが両替台の上に貸し借りは無い。
丸ごと引き渡すか否か?
だ。

そうなれば
こいつが俺にしょっている借金も
ついてくるから
それなりの覚悟を示してもらう必要があるが?

あなたに値段をつけるなんて
私にはとても出来ない!
何という事を言うのでしょう。
この悪徳商人め!

わっちの心の中の天秤は
未だ揺れ動いている最中でありんす。
でも信じてくりゃれ。

決して金貨の重みでどちらかに
傾いている訳では・・・

もちろん!
勿論ですとも。

ゆれる天秤に手で触れるなど
ぬしさまは本当に悪いお人。

あぁ・・・
ホロさん・・・



汝のパンを分け与えよ
というのはキリスト教の教えなのですが
本当にヨーロッパの話では
キリスト教抜きでは語ることが出来ないくらいに
いろいろな場面で引用されます。

ワイズとホロのやり取りもなかなか楽しめますね。



やはり予想通りに面白かったの。

あんまり本気にさせると
後々困るぞ。

困る?

つきまとわれる。

既にぬしにつきまとわれておる。



ホロの逆襲ですが
でもホロの本音は・・・



あれはぬしと違って
わかって遊んでおる。
ぬしをからかうのも楽しいが
たまには賢い雄とも遊びたい。

どちらも遊びとわかっておるからの。
そんな真剣にならんでくりゃれ。
ぎゃくにわっちのほうが照れてしまいんす。

ま、ワイズとやらは
ぬしよりもよほど口がたつがな
わっちは永いこと生きておるが
口から出る事ほど
当てにならぬものはありんせん。

商いの世界に生きるぬしも
それが全く解らぬわけでもあるまい?

あぁ
俺も自分が得をする為なら
いくらでも嘘をつくからな。

わっちには通じぬがな。

さて
それじゃぁ服を買いに行くか。



映像をみるとよくわかるのですが
ホロはここでロレンスと手をつなぎたがっています。
しかし気づかないロレンス。
(鈍感男!まぁ得てしてそんなものですが・・・)



ぬしは2度ほど神の与えた幸福を
掴み損ねた。

今度こそ上手く掴まんと
幸福の尻尾は逃げていくかもしれないぞよ。

おい
どういう意味だ?
おい!
ホロ!
待てってば。



ホロはここで2回と言っている。
今とその前は・・・
おそらく地下道でロレンスが倒れる時
ロレンスの台詞でしょう。

ホロとしてはロレンスに
行かないでくれ・・・
てきな台詞を言って欲しかったのでしょう。



さる商家の衣替えの際
買ったものですが・・・

こんな仰々しいのは嫌じゃ。

お気に召しませんかね?

もっと簡単な物が良い。
着替えが楽な。



服屋の店主が勧めた品
確かに素敵なものだとは思いますが
どこの姫様、お嬢様?
といった様子ですね。
ホロの言い分も納得です。



2つで・・・
そうですね・・・
トレニー銀貨10枚。
いや9枚でいかがです?

わかりました。
こちらのお嬢様の見目麗しさに
敬意を表して8枚で。

そんな可愛いわっちが
これらを身にまとった姿を披露するという事で
7枚ではいかがかや?

わ・・・わかりました。
7枚でお譲りいたしましょう。



銀貨10枚・・・と言ってたところを
ホロは7枚と言ってしまう。
30%もの値引き。

店主はこの服をいくらで仕入れたのだろうか?
普通の一般商店の掛け率で言えば
銀貨10枚が希望価格であれば
5枚くらいだろうが
服類は売れ残り、在庫過剰
というリスクを考え3枚程度が仕入れと推測できます。

しかも古物商で極端に商品の回転が悪い物品の場合は
もしかしたら銀貨1枚の仕入れかもしれない。
だから強引な値引きにも対応できるわけで。




素晴らしい!
トレニー銀貨1枚分では足りないくらいです!



さすが・・・
口が上手い。
これくらいでないと商人は務まりませんね。

まぁ、近所への宣伝費
と考え店主も了承したのでしょう。



この服の束は銀貨2枚分。
例えば
これを別の店に売って半値で売れたとしよう。
銀貨1枚分の損だ。

しかし
ここで考えを別のところへ向ける。

あぁ。
お前が着ているローブは
誰が見ても高級品だとわかるだろ?

ローブ?
そんな物を着ているやつは
ああいう店には来ないと言っていい。

だから実はあの店主は
そんなお前を連れている俺と
良い関係になりたいと思っていた。

さて
だとしたらお前ならどうする?

印象を良くする為に安く物を売る。

そうだ。
そこから導かれることは?

あの店はこいつをそこそこ
まけてくれた。
そして
おまえのはかなり
まけてくれた。

銀貨2枚分で
こんなボロ屑に近い服を買ってくれた客だからな。
しかしその二つの値段の間には
大きな開きがある。
そこから導かれることは何だ?

差し引きで考えれば
かなり得
という訳じゃな。


ロレンスのこの考え方
商人には必須の考え方だと思います。
そして
今回はこの場だけでも十分なのですが
本当に大切なことはリピーターの確保。
これを考えると
服屋の店主は今の損より後々の得を取ったのでしょう。
この考え方も重要事項だと思います。




狼と香辛料3 限定パック

狼と香辛料(1)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年5月18日水曜日

狼と香辛料 7 3/3



狼と香辛料 7 3/3






さる商家の衣替えの際
買ったものですが・・・



こんな仰々しいのは嫌じゃ。



お気に召しませんかね?



もっと簡単な物が良い。
着替えが楽な。



ふむ・・・



えへへ。



となりますと・・・



ぁ?
店主
それは?



はい?
ん?
なるほど!



ぁ?



これに目をつけるとは
さすがですな。

こちらはさる貴族様がお召しになっていた
逸品でしてね。
見てください。
端も綺麗に縫ってあって
ちょっとやそっとじゃぁ破れません。

それに見るべきはこのくるみのボタン。
これを肩にかけてですね
こちらの貴族様のお屋敷の使用人たち用に
特別に仕立てられた三角巾などをかぶれば
あっという間に町の看板娘となりましょう!



クンクン

兎かや?



食べたくなるか?



これがいい!



おいくらですか?



2つで・・・
そうですね・・・
トレニー銀貨10枚。
いや9枚でいかがです?



ふむ・・・



わかりました。
こちらのお嬢様の見目麗しさに
敬意を表して8枚で。



ぅん。
では。



そんな可愛いわっちが
これらを身にまとった姿を披露するという事で
7枚ではいかがかや?



な・・・



ぇへ。



わ・・・わかりました。
7枚でお譲りいたしましょう。



ありがとう。

では失礼して・・・



ぅふ。



どうかや?



素晴らしい!
トレニー銀貨1枚分では足りないくらいです!



ふぅ・・・







高くなかったかや?



いや
その質で銀貨7枚なら上々だろ。



むぅ・・・



まだ値切る自信があったのか?



ぬしが担いでおるような服であれば
これの10分の1で済んだじゃろうと思ってな。



あぁ。
本当はもっとかかると思ってたくらいだから
気にするな。



ふむ。



お前がこの後酒を控えれば
銀貨7枚分なんて
あっという間に浮くだろうからな。



そんなに飲まぬ!
ん・・・



ははは。



しかし
お前のあの強引な値切り方は
実に汚いな。



ぁ?



どんな凄腕の商人でも
あれには叶わないだろう。



ふむ。
雄は揃って阿呆じゃからの。



はぁ。



ぬしはその荷物
どうするのかや?
持ったまま酒場に行くのかや?



いや
そんなつもりは無い。



ぁ?
しかし宿はこっちじゃ無かろう。



あぁ
宿にも置かないんだ。



ぁ?



これはこのまま別の服屋に売る。
防寒用に買い込むのは
もう少し北に行ってからでも十分だ。



売る・・・
のかや?



使わないのに持っていても
しょうがないだろ?



ぅ~ん。
それはそうじゃが
しかし・・・
高く売れるのかや?



どうだろうなぁ?
とんとんは難しいか。
少し損をするだろうな。



損をするのに・・・
売る?



わからないか?



待ちんす。
今、考えておる。



ふ。



ん~



種明かしをしてやろうか?



う~
わっちは頼まん!
じゃが言いたければ勝手に言いんす。



ふふふ。
とは言ってもたいした事じゃないし
結局はお前のほうが凄かったんだけどな。



ん?



この服の束は銀貨2枚分。
例えば
これを別の店に売って半値で売れたとしよう。
銀貨1枚分の損だ。



ぅん・・・



しかし
ここで考えを別のところへ向ける。



別のところ?



あぁ。
お前が着ているローブは
誰が見ても高級品だとわかるだろ?



ローブ?
そんな物を着ているやつは
ああいう店には来ないと言っていい。

だから実はあの店主は
そんなお前を連れている俺と
良い関係になりたいと思っていた。

さて
だとしたらお前ならどうする?



ぁ?
印象を良くする為に安く物を売る。



そうだ。
そこから導かれることは?



ぁ?



あの店はこいつをそこそこ
まけてくれた。
そして
おまえのはかなり
まけてくれた。

銀貨2枚分で
こんなボロ屑に近い服を買ってくれた客だからな。
しかしその二つの値段の間には
大きな開きがある。
そこから導かれることは何だ?



差し引きで考えれば
かなり得
という訳じゃな。



よく出来ました。



パチ



あ・・・てて。



ふん!
姑息な手じゃな。
まったく姑息な手じゃ。



はぁ。
この手がか?



たわけ!
まったくよくもまぁ
そんな手を思いつくものじゃな。



それが商売の知恵と言うものだ。
だが
それもお前の力技のほうが勝ってたんだがな。



当たり前じゃ。
ぬしの浅知恵などでは
わっちの策には勝てはせん。


言ってくれるな。



ほぉ?
勝てるとでも?

ぬしに自信があるなら
この後の酒の席で腕前を見せてもらうかや?



酒の席で?



ぁ!



せいぜい高値でわっちを買ってくりゃれ。



あぁ買ってやる。
ただし支払いはリンゴでな。



ぬしもなかなか
きついところがある。



焼けば少しは甘くなるかもな。



ふふふ。
ぬしもよく焼くではないか。
焼いた雄など甘ったるくて食えぬ。



ふ。
ならお前は?



ためしに
かじってみるかや?
ん?



考えとくよ。



三度目はちゃんと掴んだの。

2011年5月17日火曜日

狼と香辛料 7 2/3



狼と香辛料 7 2/3






つつましく生活すれば銀貨1枚で7日は暮らせる。
その35倍だぞ。



なかなかのものじゃな。

じゃが
この服も店で金貨2枚と言われた。
リンゴなどとは違って
服というのは金貨で買うような
品ではないのかや?



もしそうなら
町の人間の大半は丸裸だぞ。
それを売った服屋の主人だって
本当に支払われるか
相当心配なはずだ。



ふむ。
これはそんなに高かったのかや?



その通り。
だからこれから買う服は
貧相なやつにしろ。



わっちはヨイツの賢狼ホロじゃ!
身にまとう物が貧相であっては
名に傷がつく!



本当に美しいものなら
何を着ても栄えると言うがな。



ぁ・・・



しかし両替か。



おぉ!
両替かや?



ぁ?



となるとあの橋の上じゃな。



ぁ・・・あぁ・・・



ほれほれぬしよ!
ちゃっちゃと歩かぬかや?
わっちは早く酒が飲みたいんじゃ。






はぁ。
リュミオーネだと
トレニー銀貨で34枚ちょうどが
今日の相場ですね。



手数料は?



リュート銀貨なら10枚。
トリエ銅貨なら30枚。



リュート銀貨で払う。
うむ。



かしこまりました。
それでは・・・

おっと
お気をつけください。
道に落ちたものは
拾った者の所有物に
なってしまいますからね。



ワイズ。



なんだよ?



客は俺のほうなんだがな。



ふん。
金貨はその辺に置いておいてくれ。
俺は忙しいんだ。



大事なお客様の相手もしてないのにか?



当然だ!



ぅぁ・・・



大事な娘様が
銀貨を落とさないようにするほうが
重要だからな。

そうですよねぇ。



あら
うれしや。
しかし、ぬしさまよ。



何でございましょう?



わっちの手には
この銀貨は少し多すぎるようでありんす。



あぁ・・・
ホロさん。
だからこそ私の手があるのです。



まぁ!
でもいけませぬ。
それではぬし様の大事な手が
ふさがってしまいんす。



いいえ。
あなたの手から銀貨がこぼれ落ちるなら
喜んで私の手を使いましょう。
それで私が困る事などありません。

なぜならホロさんは私の胸の中にある
両腕でも抱えきれないような
熱い思いをそっくり受け取ってくれるに
違いないのですから。



ワイズ!
両替商の基本を忘れたのか?!
銀貨は袋へ。
金貨は箱へ。
手に握るなら粗末な銅貨だろ!



ぅ~ん
まったく!
こんなにいい子を独占するとは
神をも恐れぬ所業だな。

汝の持てるパンを分け与えよ
という言葉を知らないのか?



分けて欲しいか?



ん?



だが両替台の上に貸し借りは無い。
丸ごと引き渡すか否か?
だ。



ふん。



そうなれば
こいつが俺にしょっている借金も
ついてくるから
それなりの覚悟を示してもらう必要があるが?



ぅ・・・
ぁ・・・

あなたに値段をつけるなんて
私にはとても出来ない!
何という事を言うのでしょう。
この悪徳商人め!



うっふ。
わっちの心の中の天秤は
未だ揺れ動いている最中でありんす。
でも信じてくりゃれ。

決して金貨の重みでどちらかに
傾いている訳では・・・



もちろん!
勿論ですとも。



ゆれる天秤に手で触れるなど
ぬしさまは本当に悪いお人。



あぁ・・・
ホロさん・・・



うん。
さて
そろそろ行くぞ。



おお・・・おい
ロレンス。



ぁ?



わざわざ金貨を両替しに来たと言う事は
何か買い物か?



そうだ。
日を追うごとに値段が上がるそうだからな。
早いほうがいい。



ぅ・・・



それじゃ。



両替と言うのは
日が暮れてからもやるのかや?



いえ!
日が暮れてから天秤を扱う両替商は
詐欺師と相場が決まっています!
もちろん私は詐欺師などじゃありません。



だそうじゃ。
ぬしよ。



服を買ったら早めに酒場へ行ってる。
仕事が終わってもし良ければ来てくれ。



もちろんだ!
兄弟!
酒場いつものところだな?



見知らぬ酒場で酔っ払うのは恐いからな。



了解だ!
すぐですから。
本当にすぐ参りますから!






くふ。
やはり予想通りに面白かったの。



あんまり本気にさせると
後々困るぞ。



困る?



つきまとわれる。



既にぬしにつきまとわれておる。



む・・・



あれはぬしと違って
わかって遊んでおる。
ぬしをからかうのも楽しいが
たまには賢い雄とも遊びたい。



はぁ。



どちらも遊びとわかっておるからの。
そんな真剣にならんでくりゃれ。
ぎゃくにわっちのほうが照れてしまいんす。



ふん。



ま、ワイズとやらは
ぬしよりもよほど口がたつがな
わっちは永いこと生きておるが
口から出る事ほど
当てにならぬものはありんせん。

商いの世界に生きるぬしも
それが全く解らぬわけでもあるまい?



あぁ
俺も自分が得をする為なら
いくらでも嘘をつくからな。



わっちには通じぬがな。



さて
それじゃぁ服を買いに行くか。



ぬしよ!



ぁ?



ぬしは2度ほど神の与えた幸福を
掴み損ねた。



ん?



今度こそ上手く掴まんと
幸福の尻尾は逃げていくかもしれないぞよ。



おい
どういう意味だ?
おい!
ホロ!
待てってば。






ふむ。



うむ。
そちらは40リュートですね。
値段のわりには丈夫かと。



あぁぁ・・・ん・・・



北に行きたいので
適当に厚くて
安いものを2人分見繕ってくれますか?



ぁ?



ご予算は?



トレニー銀貨2枚で。



お任せを。
上下の組み合わせに毛布も2枚つけて
こんな所でいかがでしょう?



ぅぅぅ・・・



そうですね。
私は見てのとおり行商人ですが
今回の旅でこちらの
ミローネ商会と懇意になりまして。



おぉ!
ミローネさんと・・・



えぇ。
ですからこれからは
年に数回来る事になりそうなんですよ。



いや
さようですか?
それではこちらの外套に
さらにもう1枚毛布をお付けいたしましょう。



ぅむ・・・



もちろん煙でいぶし済み。
2年は虫がわかないこと
請け合いです!



ぅむ。



ぅ・・・
は?

は?



ふふ。



ふぅ。
あぁ・・・



わっちの服を買いに来たのではないのかや?



そうだが。



はぁ。
わっちにあれを着ろと言うのかや?



そのローブだけで寒さをしのげると言うのなら
別に構わないが。



わっちがぬしの金を勝手に使った事に
怒っておるのならそう言いんす。
わっちは賢狼ホロじゃ。
頭も器量も良いが
鼻も良い。

あんな物を着た日には
鼻が曲がってしまいんす!



少しくらい辛い目にあったほうが
曲がった根性は治るかもしれないだろ?



ドス



ぉ!
ぉ・・・
怒るなよ。
種明かしをしてやるから。



ぁ?



店主
ちょっと相談が。



は?



はい?



女物の服で何か良いのはないかな?



女物ですか?



北の町でも困らない格好で
大きさはこいつに合わせて。



む・・・



ふむ。
わかりました。
お待ちください。



こちらなどいかがでしょう?
さる商家の衣替えの際
買ったものですが・・・

2011年5月15日日曜日

狼と香辛料 7 1/3



狼と香辛料 7 1/3


狼と幸福の尻尾。






はぐ。

はむ。



はぁ。
あっ痛。

ぁ?



ぅ・・・



はぁ・・・
いくつ食べた?



17・・・いや
18・・・



ぁ?



いや19かや?



で残りは?



良いではないか。



参考までだ。



知っとるくせに。



念のためにな。



八十・・・



八・・・



81じゃ!



はぁ。



食べれば良いのじゃろ?
食べれば!



全部食べられるのか?



食べる!
わっちはヨイツの賢狼ホロじゃ!



意地張る事じゃないだろ?



誰が意地など・・・



本当は?



本当じゃ。



本当の本当は?



本当の本当じゃ!



本当の本当の本当は?



本当の本当の本当に!

実はもう飽きた。



ふ。
そりゃそうだろ。
いくら好物でも昨夜20個で
今日またこれじゃぁな。
ふぅ。



じゃが・・・



ん?



じゃが
絶対に食べてみせる!
ぁ・・・
ぅ・・・



ま、そんなに気負うなよ。
生のままじゃ飽きるだろうが
リンゴはいろいろ食べ方があるからな。
はぁ・・・

ぁ?



何かや?
そのいろいろな食べ方と言うのは?
はむ。



(アップルパイ)



ぅ・・・
わっちをからかうでない!
リンゴを焼くなど聞いた事もない!
本気で食べた事ないのか?
リンゴのパイ。



ぅ!
本気であるのかや?
それ。



あぁ。
パン窯で蒸し焼きにするんだ。
そうするとこう・・・
しんなりしてだな・・・
たとえは悪いが
グズグズに腐りかけたような感じになる。



ふ・・・ふむ。



しかし腐る一歩手前が美味いように
焼いたリンゴも物凄く美味い。
生のリンゴは食べると喉の渇きが癒えるが
焼いたリンゴは逆に喉が渇くほど
甘いんだ。



ぅ~む。



だが甘いのばかりも飽きるだろ?
晩飯は気分を変えて
塩の効いた肉と魚
どっちがいい?



肉じゃ!



は。
さっきまでもう食べられぬ
という顔をしてたのは誰だ?



肉となれば話は別じゃ。
ほれほれ!



お前
本気で頼むぞ。
リンゴ。



安心するがよい。



ぁ?



ぬしの話を聞いて
全部いけると確信した。



ま、用事もあるし行くか。



うむ。
えへへ。



ぁ・・・
ぁ!



コホン。



わっちも飽きんように
気分を変えてやったのじゃ。



はぁ。
くえないヤツだよ。
お前は。



上手いと言って欲しいのかや?



うむ。






あ~
なんだ。



う~ん。



いや、あれだな。
お前、何と言うか・・・



ぁ!



はぁ。






しかしお前
どこから見ても修道女だな。



うむ。
旅をする上じゃ好都合じゃろ?



まぁな。



たかが布をまとう
まとわないでいろいろと違うとは
人の世も相変わらずおかしなものじゃな。



はむ。



狼でも羊の毛皮をかぶっていれば
何かと好都合な事があるだろ?



そうじゃな。
兎の毛皮をかぶっておれば
ぬしなどホイホイ罠にかかるじゃろ。



なら
俺は罠にかかってもいいように
リンゴを持ち歩くとするか。



せっかくリンゴの事を忘れておったのに。



ふふん。
でだ。



ん?



お前の場合
修道女が似合いすぎて
ちょっとばかり不都合な事もある。



なんじゃ?



修道女はどう転んでも
真昼間から酒は飲まない。



ほう。
なら凄い修道女じゃな。
わっちは。



修道女はそんな事も言わない。



ふむ。

これは失礼いたしました。



はっはは。

真面目な話
北に行くと修道女の格好が
まずい場所もあるんだ。



ふむ。
どうすればいいのかや?



だから・・・その・・・
まぁ一着くらい町娘に見える服を持ってるのが
無難じゃないか?



ん?
ぅん。



ぁ?



なら飯の前に買ってしまえるかや?
用事が控えておると言うのは
飯の味を落としんす。



ぁ・・・
ありがたい。
説得する時間が無くなった。



飯と酒が先じゃ
などと言うとでも?
そこまで食い物に目を奪われたりはせぬ。



どうだかな?



ふん。
ぬしが気を遣ってくれたんじゃ。
それに上手く乗らんとな。



ぇ?



服一つ買うのに大仰な理由つけおって。
それに気づかぬとでもおもうかや?



ふぅん。



ま遠慮なくぬしに服を買ってもらうとしよう。
これから寒い寒い冬じゃからな。



少しは遠慮していいんだぞ。



ふふふ。



ぁ!



ど・・・どうしたのかや?



金が無い。



ぇ?



ぬしよ・・・






いや
そういう意味じゃ無い。
細かい金が無い
という意味だ。



大は小を兼ねると言う。
その金を使えば良かろう?



牛刀で兎をさばくという例えもある。
服屋でこんな金を出せば
どれだけ嫌な顔をされるかわからん。



ふむ。
しかし金貨と言うのは
それほど価値の高い物なのかや?



そりゃそうさ。

例えば
今のリュミオーネ金貨なら
トレニー銀貨の35枚分だ。
つつましく生活すれば銀貨1枚で7日は暮らせる。

2011年5月14日土曜日

狼と香辛料 6感想・原作比較



狼と香辛料 6感想・原作比較



走っても追いつかれる。
むこう犬を放ちおった。

なに?

ふぅん。
頭の悪い声じゃ。
まぁぬしは耳をふさいでおれ。

はぁ・・・
ァオゥ~ン

なんだ?
この音は・・・

コホンコホン
リンゴ食いたいのぉ。

後でいくらでも食わせてやる。



犬に気づくホロ。
しかし狼と犬では格が違いますからね。
ホロの遠吠えで恐れをなす犬たち。
そしてリンゴが食べたいと言うホロ。
ロレンス
後でいくらでも・・・
というが、この結果が・・・
まさかああなるとは・・・



神よ
我が罪を許したまえ。

ドサ

罪の前に
日ごろの行いを悔いるんだな。

畜生。
やられた。



ロレンスが鈍器やら刃物やら・・・
と言っていましたが
なっちゃいましたね。

しかし刃物を持って襲いかかる男。
その男が神に罪を許せと言う。
ロレンスは無事相手を倒しますが
腕に怪我。

今の常識で言えば
ロレンスに襲い掛かった男は傷害罪になるのですが
この時代を考えると
ホロが居てはいけない世界なので
ロレンスを襲った事に対してのみ
罪が適用されるとも考えられます。




ロレンス。
二人で成功してこの街にお店を開きましょうよ。
商人なら損得勘定くらい出来るでしょ?

そうだな。
ずっと夢を叶えたいと思ってた。



クロエがロレンスに二人で店を持とうと言うが・・・
ロレンスは・・・



約束を守る事こそ
良き商人の第一歩だ。

何の因果か
拾ってしまった変な狼は
北に帰りたいとご所望だ。

俺はその旅に同伴する契約を
結んじまったからな。
契約を反故にすることは
俺には出来ない。



ロレンスは損得勘定より
約束を守る事のほうが大切だと言う。
そう、良き商人とは信用を売ってこそ
だと思います。



ぁ、待て!
ホロ!

ぉ・・・
お前の破いた服
いくらすると思ってるんだ?
神だろうが何だろうが
弁償してもらうぞ!

お前が稼いだ銀貨50枚
あんなのじゃ全然足りないんだ!
俺が何年かけて
稼いだ金で買い揃えたと思ってるんだ?

追いかけてやる・・・
北の森まで追いかけてやる!



狼の姿となって敵を蹴散らすホロ。
そして麦袋を咥え、立ち去ろうとするホロに
声をかけるロレンス。

しかしその言葉は・・・
ロレンスは商人として損得勘定で物を言っている。
もっと気のきいた台詞が・・・
と思うのですが
まだホロと知り合って日が浅い。
親密度的に言えばこれがベストだったのだろうが
ホロとすればもっと別のことを言ってほしかったのでしょう。



騒ぎが地下道内で終わったのが
幸いでした。
もしあの姿が目に止まっていたら
本店も支店も火にくべられていたかもしれません。

ぁ・・・
見たのですか?

はい。
部下から報告がありまして
ロレンスさんを発見したものの
巨大な狼が
私を連れてくるまではロレンスさんは
渡さないと。



ミローネ商会はロレンスたちを売ったという台詞があり
ロレンスはそれを挨拶代わりのハッタリだと言う。
しかしホロとしてはミローネ商会が信用できるか
確かめたかったのでしょう。



いや
ついつい太ったロレンスさんが
悪魔に食べられるところを
想像してしまいまして。

早く香辛料の効いた身体になりたいものです。

期待しております。
こちらとしましても
ロレンスさんほどの商人とは
今後とも良い関係を築きたいですからね。



この辺りのロレンスの台詞回しが好きですね。



ロレンスさん
あなたの名前で請求書が届いているのですが。

こんな物を取引した覚えは・・・



請求書を見て大慌てになるロレンス。



ローブ1着に絹の腰帯。
それに旅行用の靴とべっ甲の櫛。
とどめが・・・
大量のリンゴ!



ホロが立ち去った時
ロレンスも本音は行かないでくれ
と言いたかったのでしょう。
しかし
破いた服の話を言う。

男ってのは素直じゃないですから。



北の森まで取立てに来られては
かなわんからの。

はぁ。
帰るのは借りを返してからじゃ。



無言で手を出すロレンスに
答えるホロ。

ようやく元の鞘に収まったと言う感じです。



狼と香辛料3 限定パック

狼と香辛料(1)


『狼と香辛料』その他の商品

狼と香辛料 6 3/3



狼と香辛料 6 3/3






そうでしたか・・・

取引はどうなりましたか?



メディオ商会が最も欲しがりそうな特権を
無事引き出せましたよ。



それは良かった。



回収した銀貨は307,112枚。
王はかなり大胆に銀貨の切り下げを行うようで
即金にて350,000枚相当の貨幣で
支払っていただけるとの事です。



350,000枚・・・



ロレンス様との契約によれば
お渡しするのは我々が得た利益の五分です。
相違ございませんね?



えぇ。
間違いないです。



ご確認ください。



これは・・・



銀貨にして120枚。
それが我々の利益の五分です。



たった・・・
これだけですか・・・?



我々が用意した貨幣の運搬料
それに伴う関税
契約そのものに対する契約手数料。



契約手数料を
こんなありえない数字にするなんて・・・



御用商人の入れ知恵でしょう。

特権を引き出す代わりに
せめて銀貨買収の際の損くらいは
取り返そうと。

我々としても予想できませんでした。
残念な結果となったと思います。



商売に予想外の出来事はつき物ですから。



ですが
予想外の出来事というのは
良い方向にも起こります。





これは・・・!



メディオ商会はよほど特権が
欲しかったと見えます。
それに
価値が下がるとわかってる銀貨を
集めてもいたのですから。
それは負債を抱え込んだのと同じです。

確実に儲けが見込める商売が
どうしてもやりたかったのでしょう。
むこうから即決の値段を提示してきましたよ。



しかし1000枚も・・・



えぇ。
やすい物です。

支払いは銀貨でよろしいですか?
何か商品に変えたほうがよければ手配しますが?



胡椒・・・



ん?



胡椒はありますか?
軽くてかさばりませんし
これから冬に向けて
肉料理が増えれば値も上がりますから。



ふふふふふ。



ぁ?
どうかしましたか?



申し訳ありません。
最近読んだ戯曲を思い出しましてね。



戯曲?



えぇ。



教会が商会むけに商売の節度を説く
宗教劇なのですが・・・

とある大金持ちの商人の前に
悪魔が現れてこう言うのです。
『ここで最も美味い人間を連れて来い。
さもなければお前を喰らう』と。

その商人は命惜しさに若いメイドや
太った下男を差し出しますが
悪魔は納得しません。

街中から美味そうな人間を探し
遂に蜂蜜とミルクの香りがする
男の子を見つけます。

早速その子を悪魔に差し出しますが
男の子は悪魔に言います。
この世で一番美味い人間は
あなたの目の前にいるでしょう。

ほら
来る日も来る日も
その肥え太った魂に
たっぷりと香辛料をきかせた男が。



ぁ・・・



いや
ついつい太ったロレンスさんが
悪魔に食べられるところを
想像してしまいまして。



早く香辛料の効いた身体になりたいものです。



期待しております。
こちらとしましても
ロレンスさんほどの商人とは
今後とも良い関係を築きたいですからね。



ありがとうございます。



では
仕事がありますので。



コンコン



ん?



ん?

ふむ。
ロレンスさん
あなたの名前で請求書が届いているのですが。



ぁ・・・?
こんな物を取引した覚えは・・・

ぁ!







ぁ!



バタン







バタン



荷上場はどっちですか?



ぁ・・・え~と
その廊下を突き当たって
右に行ったところを・・・



ありがとう!



バタン



どいてくれ!
すまん!

ローブ1着に絹の腰帯。
それに旅行用の靴とべっ甲の櫛。



バタン



ぇぃ・・・



ん?



ぇぃ!

とどめが・・・
大量のリンゴ!



しめて銀貨140枚のお買い上げ。



ホロ!



ん?



ん?



すまん。
通してくれ!



ぁぁぁ・・・



はぁはぁはぁ・・・



北の森まで取立てに来られては
かなわんからの。



はぁはぁはぁ・・・
ったく・・



はぁ。
帰るのは借りを返してからじゃ。



当たり前だ。



狼と香辛料・・・か。

2011年5月11日水曜日

狼と香辛料 6 2/3



狼と香辛料 6 2/3






その代わり
別のいい人に会えたでしょ。



ぁ・・・



そいつをこっちに渡して
私たちはそいつを教会に差し出して
古い時代と決別するの。

そいつを渡せば
ミローネ商会を潰す事が出来る。
その上関税を撤廃できれば
うちの村の麦は莫大な利益を生むわ。
それはうちの麦を扱う商人だって同じ事よ。

ロレンス。
関税のせいで苦しかった
うちの村の麦を買ってくれたあなたには
今でも感謝してるわ。
優先的に麦の買い付けを認めるくらい
何でもない。

ロレンス。
二人で成功してこの街にお店を開きましょうよ。
商人なら損得勘定くらい出来るでしょ?



そうだな。
ずっと夢を叶えたいと思ってた。



ぁ!
ぅ・・・・
ふぅ。



ロレンス。



しかし
約束を守る事こそ
良き商人の第一歩だ。



ぁ・・・



何の因果か
拾ってしまった変な狼は
北に帰りたいとご所望だ。

俺はその旅に同伴する契約を
結んじまったからな。
契約を反故にすることは
俺には出来ない。



ぬし・・・



ぅ・・・
短い付き合いだったわね。



商人に別れはつき物だ。



は・・・

男は殺していいわ。
女は必ず生け捕りにしなさい。



来るなら来い。

わ!

な・・・



チャリン



ホロ・・・

短剣を・・・

ぁ・・・



ぇぃ!
もう良い!

少し痛むかもしれぬが・・・



ぇ?



我慢してくりゃれ。



ぁ・・・



ぁ・・・



血を吸ってるぞ!



ぁ・・・

ぁ・・・



ぉぉぉ・・・



怯んじゃ駄目よ。
あんなのただの悪魔憑きの娘なん・・・



もう・・・
見ないでくりゃれ。



ぅわぁ!



ぁ・・・
ぁ・・・



うわぁ!



ぁ!



ぁ・・・
ぁ・・・

ぁ!



ぁ?



神様なんて・・・
いつもそう・・・
いつも・・・
いつも理不尽な事ばかり・・・



やめろ!
ホロ!



きゃぁ!



ぁ・・・

ぁ・・・

ぁ、待て!
ホロ!

ぉ・・・
お前の破いた服
いくらすると思ってるんだ?
神だろうが何だろうが
弁償してもらうぞ!

お前が稼いだ銀貨50枚
あんなのじゃ全然足りないんだ!
俺が何年かけて
稼いだ金で買い揃えたと思ってるんだ?

追いかけてやる・・・
北の森まで追いかけてやる!

ぁ・・・

ホロ!






ぁ・・・

ぅ!



お目覚めになりましたか?



ぁ・・・



傷の具合はいかがですか?



ぇ・・・えぇ・・・
おかげさまで。



ぅん。

こちらの不手際で危険な目にあわせて
申し訳ありませんでした。



いえ・・・
元はと言えば
私の連れが原因ですから。



騒ぎが地下道内で終わったのが
幸いでした。
もしあの姿が目に止まっていたら
本店も支店も火にくべられていたかもしれません。



ぁ・・・
見たのですか?



はい。
部下から報告がありまして
ロレンスさんを発見したものの
巨大な狼が
私を連れてくるまではロレンスさんは
渡さないと。



それでホロは今どこに?



それが
あなたをここに運ぶと
行き先も告げずに・・・

2011年5月9日月曜日

狼と香辛料 6 1/3



狼と香辛料 6 1/3


狼と無言の別れ。






どうした?



空気がかすかに震えてる。



この上は市場の近くだ。
だからじゃないのか?



いや
する。

水・・・

水のはねる・・・音・・・



パシャ



ぁ!
どっちからだ?



前じゃ。
まずい。
下がりんす。

ここは一本道なのかや?



俺たちの進もうとしていた道は
一本道だ。



さすがのわっちも
ここで迷わない自信は無いのう。

ぅ・・・



どうした?



走っても追いつかれる。
むこう犬を放ちおった。



なに?



ふぅん。
頭の悪い声じゃ。
まぁぬしは耳をふさいでおれ。



ぁ・・・



ワンワンワン



はぁ・・・

ァオゥ~ン



ぅ・・・



ぉ・・・
なんだ?
この音は・・・



ワンワンワン







キャゥン



ぁ!



コホンコホン



ぁ・・・



リンゴ食いたいのぉ。



後でいくらでも食わせてやる。



しかし
何でばれたんじゃろ?



ばれたんじゃなく
地下にもぐったら偶然見つけたんだろう。
もしわかってたら今頃は挟み撃ちに。



ぁ・・・!



ミローネ商会はお前らを売ったぞ!
今更逃げても無駄だ!



わっちら売られたらしいが・・・
はぁはぁはぁ・・・



ぁ・・・
さぞ高値で売れただろうな。



なにせお前が居れば
ミローネ商会の支店が潰せる。



なるほど。
それはよほどの高値じゃ。



なぁに
挨拶代わりのはったりさ。
この角を曲がれば・・・



ぁ!



ぁ!



ぁ!



いたぞ!



いたぞ!
あそこだ!



逃がすな!



ぁ!

ぬし道は?



わかる!
大丈夫だ!



次は左だ!



ぁ!
いかん!



ぁ!



ぅ・・・



はぅ!



ぁ!



ドン



バシャン



悪いな。
急いでるんでね。







ぁ・・・



ロレンス!



神よ
我が罪を許したまえ。



ぇぃ!



ぅわぁ!



ドサ



罪の前に
日ごろの行いを悔いるんだな。



畜生。



ポタポタポタ



やられた。






ロレンス!

はぁ・・・
良かった。
ぬし
何度呼んでも起きんから。



大丈夫だ。
ちょっと眠かっただけだ。



しっかりしてくりゃれ。
もうすぐなんじゃ。



何が?



ぁ・・・
聞こえてなかったのかや?



光の匂いがする。
地上に通じとる場所があると言ったじゃろ?



あ・・・あぁ・・・
そうだったな。

これは?



ぬし
それにも気づかんかったのかや?



ぁ・・・
いや
大丈夫だ。



もう少しじゃ!
あの道を突き当たって右に曲がれば出口がある。
見よ!

ぁ・・・

そんな・・・



古井戸か。



すまぬ。
まさかこんな事になるとは
思わなんだ。



いたぞ!



ぁ!



下がってろ。



そんな・・・
ぬし
無理じゃろ!



なぁに。
まだいけるさ。



嘘じゃ!
わっちの耳じゃなくても聞き分けられる!



コツコツコツ



ぁ!



報告された人相から
もしかしたら・・・
と思ってた。

まさか本当にあなただったとは。
ロレンス。



メディオ商会の後ろにいるのは
エーレンドット伯爵だ。
麦の大産地なら
麦の取引の際に好きな銀貨で
代金を支払わせる事が出来る。

その上
麦に関する関税の撤廃は
メディオ商会と伯爵
そう
村の人間全員にとって天恵だ。

お前なら麦の取引に来る商人たちに
面識がある。
村長も取引を任せている。

そして
麦の取引は収穫祭の後が最も多い。



ま、つもり話は後にしましょう。
時間が無いわ。



つれないじゃないか。
村に寄った時だって
ろくに会ってないんだぞ。



その代わり
別のいい人に会えたでしょ。

2011年5月8日日曜日

狼と香辛料 5感想・原作比較



狼と香辛料 5感想・原作比較



あなた方を潰すより
買い取るほうが得だと思わせれば
メディオ商会は金を払うでしょう。

向こうは我々を
火刑台に送るようなカードを握っています。

いや。
トレニー国は教会と揉めたら勝てません。
火刑台に送られるような商会との取引を
公にはしたくないはず。

我々が教会に目をつけられれば
取引をした王も教会を敵にまわす。

メディオ商会は王の恨みを買うような告発は
絶対にできません。

なるほど。
しかし・・・
かといって向こうも黙って引き下がれない。

残るは無理心中くらいです。

そこで相当の対価と
お連れの方の身柄を条件に
特権を引き渡す。

そのとおりです。

方法論としてはいいでしょう。
しかしそれには大きな困難が付きまとう。

推測する限り
メディオ商会はまだあまり銀貨を集めていません。

根拠は?

もし
十分な銀貨を持っているなら
ホロを捉えた時点で教会に行くはず。

それをせずにこちらの動きを封じるようにしたのは
向こうの自信の無さの現れです。
この取引は王の弱みに付け込む取引です。
派手な買い付けをしているとは思えません。

ロレンスさんはどのように動こうと思っているのですか?

ホロを奪い取り
こちらが交渉を終えるまで逃げ続けます。

無茶な!

逃げ切れないまでも
時間稼ぎは出来ると思います。
その間に銀貨を集めまくって
交渉に臨んでください。

不可能だ。

ならばホロを告発しますか?
あなた方が不利になる証言をしますよ。

協力を得られれば
1日2日は逃げられます。
一緒に逃げる相手は狼の化身ですからね。
わざと捕まる事こそあれ
本来の能力を使えば
人間など足元にも及びません。



一神教はなぜか他者の神を認めない。
だからこその一神教なのだが
そのために犠牲になった数
数知れず。

その点、日本は全ての物をカミと言う言葉で
認めてしまう多神教の国。
ホロなどは十字教の世界では
悪魔つきとして火あぶりになるのがこの世界。

人を救うはずの教会が
悪魔という名の下に殺される。
それで人を救えるというのだから
私は非常に疑問を感じます。

多くの人たちに不利益をもたらしたという事実
これがあるなら仕方がないが
ホロを見ていると
人となんら変わりはない。

しかし見た目と
巨大な狼になる。
それだけで教会から追われる存在。
他者を認めないという事が
これほどの悲劇をうむ結果になるというのは
教会のサガなのでしょう。

でも、ロレンス
偉そうに話しているのに
ホロの本来の姿を見たときのびびりは・・・
情けないの一言です。



わっちを捕まえた者の中に
誰が居たと思う?

誰が居たんだ?

クロエじゃ。

あのパスロエ村のな。

ただの昔話だと思ってた。

村の麦畑に住み着いて
その豊作、凶作を自由に操れる
狼の化身なんて・・・

わっちはあそこの土地に居ついて
何年経つかわからん。
尻尾の毛の数ほどおったかもしれん。
わっちは賢狼ホロじゃ。

豊作の年がなるべく出るようにと
時には土地を休ませるため
不作にしたりもした。

それでもこのわっちの管理じゃ。
他の土地よりはよほど良い麦の産地になったはず。

確かに村の者たちは
わっちを豊作の神として扱ったが
どちらかと言えば
敬うより拘束のほうが近い。

最後に麦の束を刈り取った者は
皆に捕らえられるじゃろ?

クロエはわっちに何と言ったと思う?
やつはな
わっちの名をゼーレンから聞いただけで
もしや・・・
と思ったそうじゃ。

わっちはな・・・
わっちはな・・・
情けないが
それが嬉しかった。

じゃがの
続けてやつはこう言った。

私たちが
あなたの機嫌伺いをする時代は終わったのよ。
あなたの気まぐれに
びくびくする必要なんて
もう無いわ。

あなたを教会に突き出して
私たちは古い時代から決別するの。

わっちはな・・・
わっちはな・・・
わっちは悔しくて!



ホロはクロエから昔話だと思っていたと言われ
それでも忘れられていなかったことが嬉しかったというが・・・
守り神として豊作を司ってきたのに
教会へ突き出し古い時代と決別するという。

ホロはそれが悔しいと言うが
私も納得ですね。
昔の友人の約束を律儀に守り
良い麦が出来るようにと管理をしてきた。

しかしその結果
恩を仇で返される行為。
ホロが悔しいと泣くの無理はないでしょう。



やはり
儲け話を持ってくる人たちと言うのは
ちょっと違いますな。

この耳の事かや?

行商人に戻ろうかな?
と思いましたよ。
あなた達を見ててね。

やめたほうがいい。
あいつみたいのを拾う羽目になる。

なぁに。
荷馬車の御者台は一人では広いです。
願ったりかなったりですよ。



この御者の会話
好きですね。
教会に見つかれば火刑台送られるかもしれないという
とんでもない相手、ホロ。
そんな相手でも拾ったら拾ったで
歓迎するという御者の爺さん。

この国の人たちは教会に
どんな感情を持っているのでしょうか?
興味深いです。




狼と香辛料2 限定パック

狼と香辛料(1)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年5月7日土曜日

狼と香辛料 5 3/3



狼と香辛料 5 3/3






わっちの名は
あのゼーレンと言う
若者から聞いたようじゃ。



話したのか?



ただの昔話だと思ってた。



わずかばかりの。



村の麦畑に住み着いて
その豊作、凶作を自由に操れる
狼の化身なんて・・・



わっちはあそこの土地に居ついて
何年経つかわからん。
尻尾の毛の数ほどおったかもしれん。
わっちは賢狼ホロじゃ。

豊作の年がなるべく出るようにと
時には土地を休ませるため
不作にしたりもした。

それでもこのわっちの管理じゃ。
他の土地よりはよほど良い麦の産地になったはず。

確かに村の者たちは
わっちを豊作の神として扱ったが
どちらかと言えば
敬うより拘束のほうが近い。

最後に麦の束を刈り取った者は
皆に捕らえられるじゃろ?



ぁ!



クロエはわっちに何と言ったと思う?
やつはな
わっちの名をゼーレンから聞いただけで
もしや・・・
と思ったそうじゃ。

わっちはな・・・
わっちはな・・・
情けないが
それが嬉しかった。

じゃがの
続けてやつはこう言った。



私たちが
あなたの機嫌伺いをする時代は終わったのよ。
あなたの気まぐれに
びくびくする必要なんて
もう無いわ。

あなたを教会に突き出して
私たちは古い時代から決別するの。



あぁ・・・



わっちはな・・・
わっちはな・・・
わっちは悔しくて!

ぅ・・・ぅ・・・ぅ・・・



なぁ
物は考えようだ。



ぁ・・・



北に帰るためには
どのみち土地を去らなきゃならんからな。
後ろ髪を引いてくれないなら
後ろ足で砂をかけてやればいい。
そっちのほうが思い切りもいいからな。

ただし
ただじゃ出ていかないぞ。
俺・・・
いや、俺たちは商人だ。
儲かれば何でもいい。
笑うのは金が入ってから。



うむ。



泣くのは破産してからだ。



うむ。



そして・・・
俺たちは笑うんだ。



・・・(ぅん)

あ~
す~っとした。
まぁ・・・



ぁ?



ドス!



ぅ・・・



ここ数百年
まともに会話しとらんのじゃ。
喜怒哀楽にもろくなっとる。

これでぬしの前で2度泣いたがな
ぬしの前でなくとも泣いたじゃろう。
何が言いたいかわかるかや?



勘違いするなと?



うむ。



俺も稼ぎの為に相手してやってるんだからな
ミローネ商会が話を持ちかけてくるまで逃げる事が
俺たちの仕事だ。

その最中にめそめそされると
足手まといになる。
だから
泣いてるのがお前じゃなくても
俺は・・・



ふむ。



ぁ・・・
お前・・・
ずるくないか?



ん?
雌の特権じゃろ?



ガタン



到着しましたよ。



ぁ・・・



そちらも一段落つきましたかな?



いや
メディオ商会の後ろについているのは
エーレンドット伯爵です。
伯爵領で麦の取引をしている商人が
銀貨の大口回収先です。
これをマールハイト氏に伝えてください。



お安い御用で。



やはり
儲け話を持ってくる人たちと言うのは
ちょっと違いますな。



この耳の事かや?



ふふん。
行商人に戻ろうかな?
と思いましたよ。
あなた達を見ててね。



やめたほうがいい。
あいつみたいのを拾う羽目になる。



なぁに。
荷馬車の御者台は一人では広いです。
願ったりかなったりですよ。



ふ。



ヒヒーン



わっちもぬしに拾われて
とんだ羽目じゃ。



やっぱり・・・
お前ずるいぞ。



そんなわっちも可愛いじゃろ?



まぁ
可愛いとは思うがな。



嬉しい・・・



ぁ・・・



ぬしも本当に可愛い男の子じゃの。



ったく!



ふふ。

2011年5月5日木曜日

狼と香辛料 5 2/3



狼と香辛料 5 2/3






彼らは我々以上に
様々な国や街を訪れ
いざと言う時の備えも
驚くほど整っている。

教会が本腰を入れて
捜索に乗り出したら
下手に逃げずに
閉じこもるしかありません。

本当ならメディオ商会の背後にいる存在を
把握してから商談に望みたかった。
それがわかれば資金繰りの経路も見えて
そこを横取りも出来ますからね。



その点は残念です。
ご無事と成功を祈ってますよ。



必ず期待にお答えします。



おっと
そうだ。



ん?



合言葉は『ピレオン』『ヌマイ』です。



ぁ・・・
2大金貨ですか?



縁起がいいでしょ?






地下に降りたら
右側の壁に手をつけたまま前進
ですね?



はい。
そして突き当りが目的地です。



キィ
バタン



その頭上の倉庫にホロがいて
市場開放の鐘の音を合図に
人質奪回の突入が開始される。



成功すれば上からの蓋が開いて
お連れの方が降りてきます。
そこで『ラッヘ』と言われたら
共の者が来るのを待ってください。

『ペローソ』と言われたら
じかにお二人で予定の通路を逃げてください。



『ラッヘ』と『ペローソ』。
『好景気』と『不景気』ですか。



わかりやすいでしょ?



確かに。



ドンドンドン



ぁ・・・



そろそろのようです。



ヒヒーン



馬鹿野郎!
気をつけろ!



すみません!



ぅん。



さ、今のうちに。



ぅん。



ぇぃ。



パシャ



ギィ
バタン



こんな準備までしてるとはなぁ。

教会は墓を掘るとか言いながら
諜報活動や脱税のための地下道を
掘ってるってのはよく聞くが・・・

ここか?






バタン



出ろ。
場所を移動する。



カーン
カーン
カーン
カーン






はぁ。
刃物やら鈍器やらを
使うような羽目にはならないでくれよ。

ぁ!
ぁ!くそ!
何を震えてるんだ?
俺は・・・

遅すぎる。
まさか・・・
ぅん・・・



ラッヘ!



ぁ!



ラッヘ!



ぁ・・・
ヌマイ!



ピレオン!



ぁ!
ホロ!



これを持ち去って押し込み強盗と
思わせる訳じゃな?



ぁ?

さぁ、早く!



ぬしが退かんと
わっちが降りられん。



はぁ?



ほれ、早く!



ぁ!
ぁ・・・



ドサ
ドサ



おぉ・・・



何ぼざっとしとる?



ぁ?



これぬしの分。
ちゃっちゃと持って奥へ。



ぁ・・・
あぁ・・・



ドサ






コンコン



はい。



キィ



コツコツコツ



バタン






コンコンコン

ギィ



ピレオン。



ヌマイ。



あぁ・・・



うまくいっているようで。



ぁ・・・



フサフサ



ぁ?
商売には驚きがつきものです。



ギィ



まだもう一人居るが?



彼は梯子を片付けて
別の場所から地上に出ます。



バタン



メディオのやつらの情報を仲間に伝えてから
街を離れるんです。



周到ですね。



それではご武運を。



パサ



感謝する。



ぅん。



パシ



はぁ。
無事で何よりだ。



無事で何より・・・じゃと?



あぁ・・・
ぅ!



わっちの名を言ってみろ!



ホロ・・・だろ?



賢狼ホロじゃ!



ぁ・・・あぁ・・・



これまで生きてきた中で
わっちに恥をかかせた者の名を
わっちは全て言う事が出来る。
そこへ新しい名を付け加えんといかん。
ぬしの名じゃ!



お前・・・



わっちはぬしに言ったよな?
ぬしが迎えに来てくりゃれと!



ぁ・・・あぁ・・・



わっちはな・・・
わっちはてっきり
ぬしが来たものだとばかり思って・・・
思い出すだけでもいまいましい・・・



お前・・・
まさか・・・



ぬしも雄なら牙を研いで
戦いに赴くのが当たり前じゃろ?
あんな穴ぼこの中に居よって!
そのせいでわっちは要らぬ恥を・・・



でも無事だったんだろ?



・・・(ぅん)



無事で良かった。



ぬしがその麦を持っとる限り
わっちは死にはせんがな。

うふ。
わっちは可愛いからの
人の雄もいちころじゃ。
とは言え
わっちの相手が務まるような雄は
人にはおらなんだ。

わっちに触れればナニがもげるぞ
と言ったら皆真っ青になっておびえての。



お前な・・・



ふふふ。
じゃがそんな所へ現れたのが
あいつじゃ。



ん?



わっちを捕まえた者の中に
誰が居たと思う?



誰が居たんだ?



クロエじゃ。



ぁ!



あのパスロエ村のな。