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2011年5月22日日曜日

狼と香辛料 8 2/3



狼と香辛料 8 2/3






ガチャン






分銅45個分ですね。
こちらの胡椒の産地は?



リードン王国のラマパタです。
ミローネ商会が輸入を請け負いました。



ぅ~ん。
ラマパタと言えば
南でも有数の香辛料の名産地ですね。
証明書も本物に間違いありません。

それではこちらの分銅一つで
リュミオーネ金貨1枚
これでいかがでしょうか?



リュミオーネ金貨の相場は
おいくらでしょうか?



主要貨幣はトレニー銀貨でよろしいですか?



はい。



トレニー銀貨ですと・・・
32枚と5/6枚
こちらが相場です。



な・・・
んむ・・・

ふむ。



その値段でお願いします。



ぁ、では・・・



ぅ~ん・・・
あぁ・・・



どうされました?



ぅ~ん。
ちょっとめまいが・・・



だ・・・大丈夫ですか?



ぇ・・・えぇ・・・



落ち着きましたか?



大分・・・ありがとう。



長旅の疲れが出たのでしょう。
今ヤギのミルクをお持ちします。



ぬしさまよ。



ぁ?



わっちにはどうもまだ目の前の物が
傾いているように見えるのじゃが・・・
そなたの目にはどう映られるかや?



あぁ・・・
いえ
決してそのような事は・・・



あるはずが無い・・・
と思うのじゃが・・・
ぅ・・・っと・・・



おい、大丈夫か?



ぅ~む。
あるはずの無い事が見える!



ぁ?

ぁ!



ぁ・・・



わっちはどうやら
さっき水ではなく葡萄酒を飲んだようじゃ。
そうじゃろ?
ぬしさま。



ぁ・・・ぁ・・・
あぁ・・・



賑やかな酒場の主人ほど
酒を飲まないという
ことわざがありますが
なるほど。

その場で唯一シラフでいる事が
商売繁盛の秘訣なのですねぇ。
はぁ。
私もどうやら酔っているようだ。

ここで見たことの
聞いたことのいくつかは忘れてしまうでしょう。
その代わり酔っ払いは得てして
無茶を言うものでしてねぇ。



な・・・何を・・・



この金とあなたが得をするはずだった分と
それから・・・
そうですね。
信用買いでその倍の買い物をさせてもらえませんか?



倍?
いくらなんでもそんな!



あぁ!
残念だ。
もう酔いが冷めてきそうだ。



あぁ・・・



商品は・・・
そうですね。
金額が金額ですから
高級武具なんかどうですか?



武具・・・ですか?



安全で確実な利益が見込める定番ですよね?
それにこれならすぐに借りた金を返せます。
リュビンハイゲンに向けた商品が
たくさんあるんでしょ?



武具・・・ですか?



リュビンハイゲンならこちらと
懇意の商会もあるでしょうから
そちらに売ることで貸し借りの相殺という事で。
いかがですかねぇ?



あぁ・・・



ありがとうございます。
では早速商品の手配をお願いできますか?
出来るだけ早くリュビンハイゲンに行きたいもので。



わ・・・わかりました。
あの・・・査定は?



お任せいたします。
私は神を信じておりますので。



あぁ・・・



ガチャ



くっくくく。



うふふふふ。



気の毒にの。



しかしよく気がついたな。
お前。



わっちは器量も尻尾の毛並みも頭も良いが
耳や目も良い。
この部屋に入ったはなから気づいておった。



ほぉ?



ほぉ?
ではあるまい!



何だよ。
いきなり。



経験は過信を生み
過信は時に命取りとなる。
クロエで懲りたはずじゃろ?



まったくだな。



たわけ!
落ち込むのは尚悪い。
ただ懲りれば良いのじゃ。



ふむ。






油?



うむ。
尻尾の手入れに良いと聞く。
次の街に行ったら
買ってくりゃれ?



ふむ。

お前の着ているその服や
予備の服
櫛の値段
それから旅費と食費と
飛びぬけてべらぼうな酒代を計算した事あるか?

街に入るときの人頭税だってある。
ぬし
よもや計算が出来ないわけでもあるまい?



足し算くらいできるわいな。
足し算どころか引き算も得意じゃ。



なら自分がいくら使ったか足し算してみろ。
賢狼ならその数字からおれの答えくらい
わかるだろ?



ぅんぅん
わかりんす。



ん?



きっとぬしは買ってくれる。



賢さが自慢の賢狼も
酒に酔っちゃカタナシだな。



よってなど無いわいなぁ。
わぁ!



ぁ!
馬鹿!
何して・・・



なんてな。



はぁ・・・
お前な。



わっちを見くびってもらっちゃ困るの。
ぬしがあの主人の弱みに付け込んで
想像以上の収穫を得たことに
気づいておらんとでも
思うのかや?



な!




買ってくりゃれ?



しかしお前
俺にいくら借金してると思ってるんだ?
銀貨140枚だぞ。
それがどれほどの大金かわかるだろ?
この上余計なものまで買ってやれるか。



むぅ。
なんじゃ
ぬしはそんなに借金を返して欲しいのかや?



あ た り ま え だ!



ぁ・・・
ぬしがそんな風に思っていたとはの。



な・・・
どういう意味・・・



まぁ・・・
ぬしに借金を返したら
わっちは自由の身じゃからの。

そうじゃな。
ちゃっちゃと返して一人で北へ帰るかや。
ま、一人には慣れとるしの。



ぅむ・・・
ぁ・・・

借金は返済期限を決めてない。
北の森に着くまでに返してくれれば
それでいい。

これで・・・いいか?



うん!
わっちはきっと北の森に着く頃に
借金を返せるじゃろうからな。



ぁ・・・!



それとわっちは
ぬしの借金に利子をつけて
返すつもりじゃ。

つまり貸し付けている金は
多いほうがぬしも儲かる。
じゃからな?



ふぅ・・・
油・・・か・・・



うん。
わっちの借金で良いから
買ってくりゃれ?



うむ・・・



うん。



うむ。
契約成立。



ありがとう。
うふふ。






ふわぁぁぁ。



絶好の毛づくろい日和じゃ。



しかし実際のところ
かなり値切ったんじゃないのかや?



それを聞いてどうするんだ?



ふむ。
あまり羽振りの良くない行商人にたかるのも
良くなかろう?

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