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2011年5月14日土曜日

狼と香辛料 6 3/3



狼と香辛料 6 3/3






そうでしたか・・・

取引はどうなりましたか?



メディオ商会が最も欲しがりそうな特権を
無事引き出せましたよ。



それは良かった。



回収した銀貨は307,112枚。
王はかなり大胆に銀貨の切り下げを行うようで
即金にて350,000枚相当の貨幣で
支払っていただけるとの事です。



350,000枚・・・



ロレンス様との契約によれば
お渡しするのは我々が得た利益の五分です。
相違ございませんね?



えぇ。
間違いないです。



ご確認ください。



これは・・・



銀貨にして120枚。
それが我々の利益の五分です。



たった・・・
これだけですか・・・?



我々が用意した貨幣の運搬料
それに伴う関税
契約そのものに対する契約手数料。



契約手数料を
こんなありえない数字にするなんて・・・



御用商人の入れ知恵でしょう。

特権を引き出す代わりに
せめて銀貨買収の際の損くらいは
取り返そうと。

我々としても予想できませんでした。
残念な結果となったと思います。



商売に予想外の出来事はつき物ですから。



ですが
予想外の出来事というのは
良い方向にも起こります。





これは・・・!



メディオ商会はよほど特権が
欲しかったと見えます。
それに
価値が下がるとわかってる銀貨を
集めてもいたのですから。
それは負債を抱え込んだのと同じです。

確実に儲けが見込める商売が
どうしてもやりたかったのでしょう。
むこうから即決の値段を提示してきましたよ。



しかし1000枚も・・・



えぇ。
やすい物です。

支払いは銀貨でよろしいですか?
何か商品に変えたほうがよければ手配しますが?



胡椒・・・



ん?



胡椒はありますか?
軽くてかさばりませんし
これから冬に向けて
肉料理が増えれば値も上がりますから。



ふふふふふ。



ぁ?
どうかしましたか?



申し訳ありません。
最近読んだ戯曲を思い出しましてね。



戯曲?



えぇ。



教会が商会むけに商売の節度を説く
宗教劇なのですが・・・

とある大金持ちの商人の前に
悪魔が現れてこう言うのです。
『ここで最も美味い人間を連れて来い。
さもなければお前を喰らう』と。

その商人は命惜しさに若いメイドや
太った下男を差し出しますが
悪魔は納得しません。

街中から美味そうな人間を探し
遂に蜂蜜とミルクの香りがする
男の子を見つけます。

早速その子を悪魔に差し出しますが
男の子は悪魔に言います。
この世で一番美味い人間は
あなたの目の前にいるでしょう。

ほら
来る日も来る日も
その肥え太った魂に
たっぷりと香辛料をきかせた男が。



ぁ・・・



いや
ついつい太ったロレンスさんが
悪魔に食べられるところを
想像してしまいまして。



早く香辛料の効いた身体になりたいものです。



期待しております。
こちらとしましても
ロレンスさんほどの商人とは
今後とも良い関係を築きたいですからね。



ありがとうございます。



では
仕事がありますので。



コンコン



ん?



ん?

ふむ。
ロレンスさん
あなたの名前で請求書が届いているのですが。



ぁ・・・?
こんな物を取引した覚えは・・・

ぁ!







ぁ!



バタン







バタン



荷上場はどっちですか?



ぁ・・・え~と
その廊下を突き当たって
右に行ったところを・・・



ありがとう!



バタン



どいてくれ!
すまん!

ローブ1着に絹の腰帯。
それに旅行用の靴とべっ甲の櫛。



バタン



ぇぃ・・・



ん?



ぇぃ!

とどめが・・・
大量のリンゴ!



しめて銀貨140枚のお買い上げ。



ホロ!



ん?



ん?



すまん。
通してくれ!



ぁぁぁ・・・



はぁはぁはぁ・・・



北の森まで取立てに来られては
かなわんからの。



はぁはぁはぁ・・・
ったく・・



はぁ。
帰るのは借りを返してからじゃ。



当たり前だ。



狼と香辛料・・・か。

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