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2011年6月30日木曜日

狼と桃のはちみつ漬け 1/5



狼と桃のはちみつ漬け 1/5






その時
神はのたまいました。






あぁ!
いい風じゃ!

ぉ?
ぬしぬし



ぁ?



上等な小麦をふんだんに使った
パンの香りがする!
久しぶりじゃのぉ。



うっふん。
たいして大きくない町だが
まずいパンと酒だけの
味気ない日々からは解放されそうだな。

近くに山や森があるから
肥えた土が流されて来て
作物がよく実るんだろう。

それが良い値で売れれば良い生活が出来る。
良い生活が出来れば更に良い作物を実らせる事が・・・



おぉ!
ぬしぬしぬし!



今度はなんだ?



あぁ!
塩と香辛料がまぶされた
川魚を焼く香ばしい匂いじゃ!
あぁ!
もうたまらぬ。



これだけいろんな匂いが混ざった中で
よく嗅ぎ分けられるな。
おまえ・・・



ぉ!
ぬしぬしぬしぬし!



おい
落ち着けって。



兎じゃ!
なんと美味そうな!
ぉ!
向こうにはナマズ!
こっちからは焼き栗に
腸詰の香りがそこはかとなく・・・



道が込んでいて俺は余所見出来ないが・・・
は。
お前のおかげでこの町に何が流通してるか
だいたいわかりそうだな。

ぁ!
おい!
なんだなんだ。
いきなり・・・



あ・・・あ・・・
あれは!あれは・・・
あれじゃな。



ん?
どれがなんだ?



ほれ
あそこで上半身裸の恰幅の良い男が
寒い冬のさなかだと言うのに
汗だくになって焼いておるあれ!
いちいち油を塗っては
くるくると回しながら焼いておる
串刺しのおおきなあれじゃ!



ぁ?
あぁ!
豚の丸焼きか。
かなりの人だかりが出来てるな。



そりゃそうじゃろう。
ここに漂ってくる香りだけでも
とろけそうなくらいじゃぁ❤
あぁ・・・
一度でいいからわっちもあんな物を食べてみたい❤



ちょっと待て。



ん?



俺の記憶が確かならば
お前には以前
子豚の丸焼きを進呈したはずなんだがなぁ。



むぅ。



顔中油まみれになって
丸ごと一人で食っただろうお前!
忘れたとは言わせないぞ!



あぁ・・・



あぁって!



あれはまさに子豚だったでは無いか。
あんな物では今のわっちは満たされぬ。



ぁ・・・いや
さすがに大人の豚一頭は無理だろ。

ぁ・・・
まさかお前
狼の姿を晒して食おうっていうのか?



たわけ。
そんな訳あるはず無かろう。



じゃぁなんでだ?



考えよ。



ぁ?
あぁ・・・
肉の量では無さそうだが・・・
あぁ?



わからんのかや?
はぁ。
商人とは相手の望むものを把握してこその
ものではないのかや?



ぁ、待て。
まだあきらめたとは言ってないだろ?
どうどう!



ヒヒーン



その分ではとてもわかりそうに無いかの。



いやいや
俺にも行商人としてのそれなりの自負がある。
豚だろ?
豚料理・・・
子豚では満足できないもの・・・



よぉく考えてみよ。
いつものわっちを胸に浮かべれば
おのずと答えが・・・



あぁ!



わかったかや?



わかった!
豚の皮が食べたり無かったんだろう?!



ぁ?
皮?



確かにあの時の子豚はちょっと少なかったよな。
よく焼いた豚の皮といったら
いい具合にパリパリで・・・



ほぉ・・・



肉と一緒に食べると
口の中にじわりと油が広がって・・・



ほぉ・・・



塩を多めに振ると尚美味くて!



ほぉ・・・



正解だろ!



ぁ?うむ。
何を的外れな事を言っておる!



ぇ?
違ったのか?



全然違う!
じゃが
それはそれで美味そうじゃな。



豚の丸焼きを頼まない限り食えないものだ。
まぁ
貴族様は皮だけ食べて
肉は捨てるらしいが。



はぁ・・・
それほど美味いのかや。
はぁ・・・



うっふふ。
それで結局なんだったんだ?
子豚じゃ満足できない物って。



む?



豚の皮でも無いとすると
腸詰か?
それともあれか?
俺はあまり好きではないんだが
茹でた肝とか・・・



たわけ!



ぇ?



ぬしは本当にたわけじゃな!



飯の話によだれを垂らしてる奴に
言われたくないが。



ぇ?
ぁ?
むぅ・・・



あイテテテテ
なんでつねるんだよ!



いくらわっちでも
腹そのものはそんなに大きくありんせん。
子豚で十分じゃ。
問題はそこではありんせん。

あの時は
ついつい一人で
一気に食い尽くしてしまったからのぉ。
今度は二人・・・



そうか!
なんだそう言う事か!



やっとわかったかや?



あぁ。やっとわかった。
お前
こう言いたかったんだろう?
今度はいろんな味付けでじっくり楽しみたい!



ぇ?



やぁ
気づかなくてすまん。
そりゃそうだよなぁ。
いくら何でも同じ味で丸ごとと言うのは
さすがに飽きるよな。



ぬし
本気で言っておるのかや?



そんな疑うなよ。
この町ではお前を飽きさせずに
満腹にしてやるから。



むぅ。
ま、それならそれでよい。
それに期待しておこう。



何だよ。
まだ不満そうな顔して。
信じて無いのか?



そういう事ではありんせん。



ようし!
見てろ!
この町に居る間に
お前を大満足な顔にしてやるからな!



はぁ・・・



じゃ
まずは宿探しだ!

これだけの町なら
贅沢言わなきゃ宿はすぐ見つかるだろう。






ぇ?
部屋が無い?



えぇ。
ここ暫く人の出入りが激しくて。
すみませんねぇ。



わかりました。
では他をあたってみます。



いやぁ・・・
よそさんも同じだと思いますよ。



ぇ?



お気の毒ですが
どこの宿屋もご宿泊は無理でしょう。
組合もこういう時くらいは
人数制限の規則を
緩めてくれるといいんですが・・・



祭りか何かあるのですか?
どうしてこの時期にどこもそんな満杯に?



まぁいろいろとゴタゴタがありましてね。
詳しい理由はこの町の恥ですし
話すと長くなるので勘弁してください。






ふわぁぁ。
4件目はもう主の顔を見た瞬間
駄目とわかったの。



あぁ。
どこもかしこも殺気立っている。
5件目は行くまでも無いだろう。

後は大きめの商会か教会をあたって
荷馬車を止めさせてもらう場所を借りるぐらいが
精一杯かもしれんなぁ。



広々としたベットはまたしても
お預けかや。



屋根のある場所が借りられれば
どうやら御の字だ。



最悪じゃ。
期待しておったものに
ことごとく肩透かしをくらっておる。



ん?



何でもありんせん。
ぬしは今夜の寝場所に思いを馳せておれ。



わかってるよ。
何としても野宿だけは避けたいからな。






しかし親方もよく
あんな奴の仕事を請けるもんだ!
俺たちの焼いたパンに
あんな物を乗せろだなんて!
馬鹿にしてやがるのだ!



そう言うなって。
破格の手間賃を出してくれる上に
最上級の小麦パンを
わんさと買ってくれるんだからな。

お前だってたまには
混じりっけ無しの小麦で
パンをこねたいだろ?



そりゃそうさ。
しかしなぁ・・・



オオム商会の若旦那は
まだまだ人手を増やしたいらしい。
今はとにかく景気がいいからな。
それが続いているうちに
儲けるだけ儲けるには
文句など言ってられんさ。



だが俺たちのパンは
そのままが一番美味いに決まってるんだ。
あんな物を乗せるのだけは
間違ってる!

大体値段が高すぎるだろ!
蜂蜜に漬け込んだだけで
なんだってあんなに値段が上がるんだよ。



ははははは。
お前
自分が食べられないのが悔しいんだろ。



馬鹿!
違うよ!
興味なんてねぇさ。
桃の蜂蜜漬けなんて。






桃の!



ぅ・・・



何か久しぶりにわくわくする物を
わっちは思い出してしまった。



ほ・・・
ほぉ・・・
それは良かったなぁ。



うむ。
真によかった。
それは大そう値が張るらしいが
払えない値段ではないという代物じゃ。
トレニー銀貨で10枚か?
いや
20枚かの?



い・・・いやぁ・・・
こ・・・今晩は冷えそうだな。



そうじゃな。
にもかかわらず
わっちらには宿が無いかもしれぬ。
となれば・・・



ぅ・・・

墓穴を掘ったか・・・



わっちはもう何も言わぬ。
しがない旅の修道女じゃからの。



そう来るか。



ん?
他にどういける?



はぁ。
仕方ない。
薬屋で身体が温まりそうなもの
買っておくか。



うむ。
良いのではないかや。



パサパサパサ



こらこら
尻尾が喜びすぎだ。
見られたらどうする?



うふふ。
尻尾は嘘がつけぬからの。
寒いからあったまりんす。
ふむ。



お・・・おい、
こんな人ごみの中で。



構わぬ。構わぬ。
ふぅ・・・






ガラガラ



いらっしゃい。



ほぉ!
並んでおる!
ほれ
あの奥の棚にさん然と輝いて並んでおるぞ!
ぬし!



落ち着け。
喜ぶのは手に入れてからにしろって。



何をお探しで?



身体が温まるものが欲しくてね。
そうだなぁ。
生姜の蜂蜜漬けか・・・



あぁ生姜ね。
こちら一瓶に3個で10リュートです。
まいどあり。



あぁぁぁ
いや、あの・・・



他にも何か?



ぇ・・・ぁ・・・
その奥の棚にある桃の蜂蜜漬けを・・・



桃?
桃をお買い上げに?



あぁ・・・
はい・・・
その・・・



おやおやおや
これはお目が高い!
今年の桃はとっても甘い上に
実がしっかりとしてましてねぇ。



ほぉ。



蜂蜜もリューディンヒルド伯爵の
御料地の森で採れた一級の蜂蜜です!



ほぉ!
ほぉ!



もう買い手が何人も居ましてね
残るは3玉。
お求めになりますか?



おいくらですか?



1玉1リュミオーネ!



ぅわ!



トレニー銀貨にしますと
35枚ですね。



ぁ・・・
ぁ・・・
ぁ・・・






はぁ・・・



ん?
どうしたかや?



ぁ・・・
や・・・



そうかや。
なら早く乗ってくりゃれ。
ぬしの席は奥じゃろ?



あ・・・あぁ・・・

行くか。



うむ。



は!



ピシ



はぁ。



いくら何でも高すぎる。
1リュミオーネなんて・・・



いや・・・



ぁ?
どうしたのじゃ?



あと3玉なんてあっという間だぞ。
パンに乗せて焼こうなんていう
とんでもない奴がいるくらい
この町は景気が良いんだ。
すぐにでも引き返さないと・・・



おぬし?



景気が良い?



どうしたのじゃ?



ちょっと寄り道だ!

は!



ヒヒーン



おぉぉ・・
寄り道とは?



商会に行ってみる!



商会?



とにかく善は急げだ!
は!



急ぎすぎじゃ!
うぉぉぉっと。

ぬし!
商会とはあれかや?
通りすがりのパン職人たちが言っておった
オオム商会とやらかや?



そうだ!
物は金が無ければ売れはしない。
だとすれば
物が売れているところには
金が流れ込んでいる!
行ってみて損は無いはずだ!



しかしもう日暮れ時じゃ。
今から行って間に合うかや?



そんな事は行ってみて考えればいいさ!

は!

2011年6月23日木曜日

狼と香辛料 13感想・原作比較



狼と香辛料 13感想・原作比較



感動の再開と思いきや・・・

ひどい格好じゃの。

奴らに裏切られた。
守れたのはこれくらいで・・・

まったく
なんて阿呆じゃ。
殴られて顔を腫らし
泥だらけで手首には火傷の痕まで。

そんな間抜けな姿になりながら
わっちの服だけ濡らさないように
後生大事に折りたたんで。
信じられぬほどお人よしじゃ!

ぬしよ。
わっちは人を殺すかもしれぬ。



ホロはロレンスの姿を見て怒り心頭なのでしょう。



それでも頼めないか?
誰かが理不尽に殺されるという事がわかっていて
それを見過ごす事なんて出来ない!
もちろん礼はする。

どんな?

ノーラの命・・・
とか言わなければ
最大限期待に答えよう。

頼む。
お前しか居ないんだ!



ロレンスの
誰かが理不尽に殺されるという事がわかっていて
それを見過ごす事なんて出来ない!
これには同感ですね。

ただ力なき正義は身を滅ぼす。
返り討ちにあって自分の身を滅ぼす。
これも現実。
いざとなった時、どうすれば良いのか?
これは永遠の課題なのかもしれません。



連中め
かなりの武器を用意しておる。
ざっと20人は居そうじゃ。

そんなにか?

とりあえずわっちに任せよ!



ホロの姿を考えればこの武装では弱いが
レメリオ商会はホロの事を知らないはず。
羊飼いの娘に、ロレンスとホロ
にしては仰々しい武装だとも思うのですが・・・

それとも森の狼が恐いのか?

しかし彼らは森の外で待っていた。
という事は密輸に対して
無理やり強行突破するつもりだったのだろうか?



エネク・・・

グルルル

まずい・・・
ホロが本気になる!

約束する!
俺を守れば300リュミオーネの報酬だ!



リーベルトさん・・・
ノーラを殺すつもりだったはずなのに・・・
口が信用できない・・・
の典型的例ですね。



ひとおもいに飲み込んでやろうかと思ったがの。
金は胃にもたれそうじゃ。



ホロのこの台詞には笑ってしまいます。
まぁホロの気持ちもわかりますけど・・・



な!
ぁ・・・

貴様ら!
こんな事して
ただで済むと思ってるのか?

うわぁ!

ごきげんよう。
リーベルトさん。

裏切ったのは俺じゃない!
信じてくれ!
俺は・・・俺は・・・

この狼は
全能の神から遣わされた代理です。

うわぁぁぁぁ・・・

嘘は通じませんよ。

うわぁぁぁぁ・・・

お前たちの要求した報酬が多すぎたんだ!

あのとおりにすれば債務の支払いだけで
儲けが無くなる。
だからレメリオはどうにかしろと言って
わかるだろ!
お前も俺と同じ商人・・・

ドス

ぅわぁ!

一緒にするな!

すみません。
ばたばたしちゃって・・・

つまりレメリオ商会は
我々を裏切ったのです。
ノーラさんも殺す算段だったと聞きました。

ぇ?!
うすうす変な所がある気はしてましたが・・・



確かにホロの姿は並みの狼をはるかに超える
巨大狼。
普通なら驚くのも当然でしょう。
そして金の量が予定より少ない事に気づくロレンス。



俺たちはこの先も生きていかなければならないんだ。
裏切られたからと言って復讐すれば
その先にはまた復讐が待っている!

ならば・・・

関係者全員をかみ殺すとは
言ってくれるなよ!

明日パンを買うカネが
人の血で汚れているというのは
気持ちが良いもんじゃない。
物事にはたくさんの終わらせ方があるだろうが
明日につながるものを選択したいじゃないか!



復讐の連鎖を生んではいけないし
もしその中に自分が居るのであれば
その連鎖をどこかで断ち切らないと
永遠に連鎖は続いてしまう。
みんなが笑って明日を迎える事ができる選択を
したいというロレンス。

ルルーシュとかぶってしまいます。



お見通しなら仕方が無い。
金の量が少なすぎたのだ。

あれじゃぁ600リュミオーネなど絶対にいかない。
いいとこ100だ。

山分けした上で
ぬしの借金を返したらそれでおしまいじゃな。
密輸せねば儲からぬという訳かや。

実際のところ切羽詰まってたんだろう。
ぎりぎりのところで用意できたのは
予定の1/6の100リュミオーネ。

それで買った金を密輸して
1000リュミオーネ得られれば
やっとどうにかなる程度さ。

わっちらに十分な口止め料を払えないという事も
初めからわかっておったか。

だからこそ
俺たちみたいなのが持ち込んだ話にも
乗ってきたんだろうな。

うむ。
事情は納得したが・・・

まだ何かあるのか?

小娘に対して
別にあんな言い方をせんでも良かろう。

かっこつけすぎたのか?




ホロはノーラに対してヤキモチを焼いているのでしょうか?



そうです。
私たちが密輸に成功したあかつきには
その金を500リュミオーネで買い取って
いただけませんか?

む・・・無理だ。
今の我々にそんな事できるわけ・・・

もちろん即金とは言いません。
借用証書を書いていただいて
10年間の分割で返してくださればいいんです。

しかし500はあまりにも・・・

この街であれほど立派な
荷上場を確保できるような商会を作ったあなただ。
10年で500リュミオーネなんて安いものでしょ。

な・・・何を?!

リーベルトさんに聞きましたよ。

ガラン

こんなわずかな財産で夜逃げするより
こちらの要求をのんで
店を再建するほうがいいに決まってますよね?
借入先はローエン商業組合で。

組合ですか?

個人の私は裏切れても
商業組合を裏切れば
商人として破滅ですからね。



銀貨1枚がおよそ1万円と考えて
金貨1枚がおよそ35万円。
35×500=1億7千500万。

10年の返済で
1年に1750万円。
1ヶ月で145万円。

こう考えるとかなりの金額ですが
会社として考えれば・・・
これで商売再建ができれば安いでしょう。



これでお前はレメリオと縁を切りつつ
10年先の借金を換金できる。
どんな手を使った?

ただの金取引ですよ。

大きな声じゃ言えませんが。

じゃぁとりあえず30で買ってやる。
取引が成功したら改めて100だ。

100?!

めでたいから大まけだ!

ありがとうございます。
それだけあれば
とりあえず謝礼やらお詫びやらして
借金も返せます。



ロレンスの借金がおよそ50リュミオーネ。
ノーラへの報酬が20リュミオーネ。

ロレンスの手元に60リュミオーネ残るから
まぁ安泰でしょう。



ぬし
嘘をついたな!

あぁ
ついた。
実際のところ覚えて無いしな。
しかしだ。

しかし?

あの状況なら確実に俺は
お前の名を呼んだと思う。

ぁぁぁ・・・

あの一刻を争う状況だ。
俺はきっと無意識にお前を呼ぶ事を
選択をしたはずだ。
なぜなら・・・




ロレンスが覚えていないと言ったのは事実でしょう。
そして・・・
いい感じなのですが・・・




なぜなら・・・
お前の名前のほうが
少しだけ短いからだ。

・・・
はぁ?

それにノーラと呼べば
いくら早口でもわかるだろ?
それに比べてホロは一瞬だからな。

頭に血が上ってたら
聞こえないかもしれない。

どうだ?
実に説得力溢れる・・・



ホロはホロで気持ちの準備をして
期待していたのに・・・

ロレンスはの答えは・・・
でもロレンスの顔を見ると
どうだ、いい言い訳だろう
という顔をしている。

ホロが怒るのも無理はないが
もしかしてロレンスって天然に鈍い?
それともわざと?!

それこそここは半分嘘でも
お前のほうが大事だとか・・・
お前のほうが強いから止めないと・・・とか
お前のほうが呼びなれてるとか・・・
そういう答えをしないと・・・(笑)



黙りんす!
少しだけ短いから
わっちの名を呼んだじゃと?!
このたわけ!

わっちが腹立つのは
ぬしが本気でそう思っとるところじゃ!

いっそあの小娘の名を答えとったら
思いっきりひっかいてやれたものを!



ホロが怒るのは当然です。



ぬしよ。
もう一度チャンスをやる。

名前を呼んでみよ。



ノーラの姿が見えつつある状況。
ロレンスはちらりと時計を見て
もうすぐ鐘が鳴る事がわかり・・・

ロレンス、ホロ両方でタイミングを見て・・・
口の形を見れば、どちらにも取れる口の動き。
しかし鐘の音で声はかき消され
ノーラはノーラで杖の鈴を鳴らし答える。



ホロ
やっぱりこっちのほうがいいな。

むぅ・・・
たわけ。



両方の思惑が・・・
笑えます。



レメリオ商会は何とか商売再建をし
それなりの活気が戻ってきた様子。

ミローネ商会では
商品の交渉。
もう少し・・・という商人と
そろばんを見せてNO!と言っているであろう
商会の査定役の人。


パスロエ村のクロエは
麦畑を眺めている。


いつもの当たり前の日常。



良い相棒じゃな。
こっちのよりよっぽど役に立つ。

こいつめ!

むぅ・・・

ふふふ。
じゃぁお二人とも
お幸せに。



喧嘩するほど仲がいい
の典型とも言えるホロとロレンス。
ノーラにお幸せに・・・と言われるのも
当然です。


狼と香辛料6 限定パック

狼と香辛料(2)


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2011年6月22日水曜日

狼と香辛料 13(1期 最終回) 3/3



狼と香辛料 13(1期 最終回) 3/3






個人の私は裏切れても
商業組合を裏切れば
商人として破滅ですからね。






もう会えないかと思ったぞ!
脅かしやがって
この野郎!
この・・・



い・・・息が・・・



まったくお前って奴は・・・
とんでもない孝行息子だ!



あぁ・・・



これでお前はレメリオと縁を切りつつ
10年先の借金を換金できる。
どんな手を使った?



ただの金取引ですよ。



ん?



大きな声じゃ言えませんが。



じゃぁとりあえず30で買ってやる。
取引が成功したら改めて100だ。



100?!



めでたいから大まけだ!



ありがとうございます。
それだけあれば
とりあえず謝礼やらお詫びやらして
借金も返せます。



はははは。
お前も一人前の行商人になったもんだなぁ。
よぉし!
査定が終わったら倒れるまで飲むぞ!



ぁ・・・
えぇ・・・
ちょっと・・・その・・・



ん?



連れが・・・





遅い。



すまん。
でなんだ?
聞きたい事って?



2つある。



2つもか?



まず・・・
あの小娘をどこまで信用しておる?



ノーラがこのまま金を持ち逃げしても
追いかけられる。
それを見越してノーラに金を渡したくらいには
信用していない。



ま、そんなところかや。



もうひとつは?
何を聞かれても答えるよ。
今回はお前に物凄い借りがある。



少し・・・
風に当たりたい。






ぁ・・・



ぬしは・・・
覚えておるかや?



ん?



わっちが犬と小娘に向き合った時
どちらの名を呼んだのか?

わっちは頭に血が上っておって
聞こえんかった。

じゃが
あの時ぬしは
どちらかの名を呼んだはずじゃ。



気になるのか?



別に・・・
それほどでもないがの。



はむ。






ぁ・・・



お前の名を呼んだ。



ぁ!



ん・・・
ぬし
嘘をついたな!



あぁ
ついた。

実際のところ覚えて無いしな。
しかしだ。



しかし?



あの状況なら確実に俺は
お前の名を呼んだと思う。



ぁぁぁ・・・



あの一刻を争う状況だ。
俺はきっと無意識にお前を呼ぶ事を
選択をしたはずだ。
なぜなら・・・



ぁ・・・
待て!



ん?



すぅ
はぁ。

うむ。
言ってよいぞ。



なぜなら・・・
お前の名前のほうが
少しだけ短いからだ。



・・・

はぁ?



それにノーラと呼べば
いくら早口でもわかるだろ?
それに比べてホロは一瞬だからな。

頭に血が上ってたら
聞こえないかもしれない。

どうだ?
実に説得力溢れる・・・



黙りんす!
少しだけ短いから
わっちの名を呼んだじゃと?!
このたわけ!

わっちが腹立つのは
ぬしが本気でそう思っとるところじゃ!

いっそあの小娘の名を答えとったら
思いっきりひっかいてやれたものを!



チリン



ぅ!



ん・・・
ぬしよ。
もう一度チャンスをやる。

名前を呼んでみよ。



ぁ?
あぁ・・・

ぁ!

ん・・・

ぅむ。

ふふふ。



すぅ・・・



カチ

ゴーン



ん?



リンゴーン
リンゴーン
リンゴーン







○×△・・・



バチバチバチ



リンゴーン
リンゴーン
リンゴーン



はぁはぁはぁ・・・



ホロ
やっぱりこっちのほうがいいな。



むぅ・・・
たわけ。



ははは。



チリン
チリン
チリン






ぁ、そうじゃ。
濡れ衣ははらしてやらんとな。



ぇ?



そやつはわっちに惚れておったのではない。
正体に気づいておっただけじゃ。



そうだったんですか。



アォン



良い相棒じゃな。
こっちのよりよっぽど役に立つ。



こいつめ!



むぅ・・・



ふふふ。

じゃぁお二人とも
お幸せに。



ワン



ん・・・



あぁ・・・

2011年6月19日日曜日

狼と香辛料 13(1期 最終回) 2/3



狼と香辛料 13(1期 最終回) 2/3






ぁ・・・



グルル・・・



エネク・・・



グルルル



まずい・・・
ホロが本気になる!



約束する!
俺を守れば300リュミオーネの報酬だ!



ぁ・・・
ん・・・



いけない!



チリン



エネク!



・・・



キャァ!



はぁはぁはぁ・・・



ワンワンワン



エネク!



ぁ・・・



待って!



ぅわぁ!



ノーラさん!



あの・・・



はい?



幽霊・・・じゃないですよね?



ぇ?



グルルルル

ゥゥゥゥゥ



ぁ!



種明かししましょう。
あの狼はホロです。



ぇ?



ホロ・・・さん?



殺さなかったのか?



ドサ



ひとおもいに飲み込んでやろうかと思ったがの。
金は胃にもたれそうじゃ。



なるほど。



ぁ・・・



これだ。



な!
ぁ・・・



貴様ら!
こんな事して
ただで済むと思ってるのか?

うわぁ!



ごきげんよう。
リーベルトさん。



裏切ったのは俺じゃない!
信じてくれ!
俺は・・・
俺は・・・



この狼は
全能の神から遣わされた代理です。



うわぁぁぁぁ・・・



嘘は通じませんよ。



うわぁぁぁぁ・・・



お前たちの要求した報酬が多すぎたんだ!

あのとおりにすれば債務の支払いだけで
儲けが無くなる。
だからレメリオはどうにかしろと言って
わかるだろ!
お前も俺と同じ商人・・・



ドス



ぅわぁ!



一緒にするな!

すみません。
ばたばたしちゃって・・・



ぇ?
ぁ・・・
いいえ。



つまりレメリオ商会は
我々を裏切ったのです。
ノーラさんも殺す算段だったと聞きました。



ぇ?!
うすうす変な所がある気はしてましたが・・・



さて
では金を持って逃げるかや?



そうだな・・・
密輸なんかしなくても
リーベルトが買い付けた金は
600リュミオーネ分ある。

我々を裏切ったレメリオ商会など無視して山分けすれば
当分遊んで暮らせる。
しかし
一方でレメリオ商会の出資が無ければ
この金は手に入らなかった。

そしてこのまま我々がこれを持ち去れば
奴らは確実に破産して
路頭に迷うだろう。
そこで・・・
そこで・・・

うわぁ!

ホロ!

俺たちはこの先も生きていかなければならないんだ。
裏切られたからと言って復讐すれば
その先にはまた復讐が待っている!



ならば・・・



関係者全員をかみ殺すとは
言ってくれるなよ!

明日パンを買うカネが
人の血で汚れているというのは
気持ちが良いもんじゃない。
物事にはたくさんの終わらせ方があるだろうが
明日につながるものを選択したいじゃないか!



(ぅん)



ホロ
お前が居なければ
俺は今頃凍死してた。

俺の頼みを聞いてくれた事にも感謝する。
ただ!



もう良い。
好きにするがよい。

まったく
わっちの連れはめんどくさい奴じゃ。



ぁ・・・

お待たせしました。



ぇ?
はい。



私は以下のように提案します。






さて
ぬしよ。



なんだ?



本当のところを聞かせてもらおうかや?



何の事だ?



とぼけるな。
ぬしとてあそこまで聖人君子ではなかろう?






この金をリュビンハイゲンに持ち込むかどうかは
ノーラさんが決めてください。



ぇ?



持ち込まれた600を山分けも
一向に構いません。



はい・・・



しかし持ち込めば
つてを頼って
10倍の6000リュミオーネに出来ます。



ろ・・・六千!



そして
それだけあればレメリオ商会を救う事が出来る。



ぁ・・・






お見通しなら仕方が無い。
金の量が少なすぎたのだ。



ほぉ。



あれじゃぁ600リュミオーネなど絶対にいかない。
いいとこ100だ。



山分けした上で
ぬしの借金を返したらそれでおしまいじゃな。
密輸せねば儲からぬという訳かや。



実際のところ切羽詰まってたんだろう。
ぎりぎりのところで用意できたのは
予定の1/6の100リュミオーネ。

それで買った金を密輸して
1000リュミオーネ得られれば
やっとどうにかなる程度さ。



わっちらに十分な口止め料を払えないという事も
初めからわかっておったか。



だからこそ
俺たちみたいなのが持ち込んだ話にも
乗ってきたんだろうな。



うむ。
事情は納得したが・・・



まだ何かあるのか?



小娘に対して
別にあんな言い方をせんでも良かろう。



ぁ・・・
かっこつけすぎたのか?



チリン



ぬし一人で背負う事かや?



まだ他にも言いたいことはあるが・・・
乗りんす。
ぬしはレメリオのところへ行かねばならんじゃろ?



お前は・・・
行かないのか?



商売の話は関係無かろう。



怒っているのか?

ぅわぁ!



ぼやぼやしてると
振り落とす!



ぅわぁ!






ご・・・五百・・・



そうです。
私たちが密輸に成功したあかつきには
その金を500リュミオーネで買い取って
いただけませんか?



む・・・無理だ。
今の我々にそんな事できるわけ・・・



もちろん即金とは言いません。



ぅ・・・ぁ・・・



借用証書を書いていただいて
10年間の分割で返してくださればいいんです。



しかし500はあまりにも・・・
ぅ・・・



この街であれほど立派な
荷上場を確保できるような商会を作ったあなただ。
10年で500リュミオーネなんて安いものでしょ。



な・・・何を?!



リーベルトさんに聞きましたよ。



ぁ・・・



ガラン



ぁ・・・



こんなわずかな財産で夜逃げするより
こちらの要求をのんで
店を再建するほうがいいに決まってますよね?
借入先はローエン商業組合で。



組合ですか?



個人の私は裏切れても
商業組合を裏切れば
商人として破滅ですからね。

2011年6月18日土曜日

狼と香辛料 13(1期 最終回) 1/3



狼と香辛料 13(1期 最終回) 1/3


狼と新たな旅立ち。





パチパチパチ



ぅ!
ぁ!
ぅ・・・
く・・・



ぅ・・・
ぁ・・・

はぁはぁはぁ・・・



感動の再開と思いきや・・・



ぁ・・・



ひどい格好じゃの。



奴らに裏切られた。
守れたのはこれくらいで・・・



まったく
なんて阿呆じゃ。
殴られて顔を腫らし
泥だらけで手首には火傷の痕まで。

そんな間抜けな姿になりながら
わっちの服だけ濡らさないように
後生大事に折りたたんで。
信じられぬほどお人よしじゃ!

ぬしよ。
わっちは人を殺すかもしれぬ。



ホロ・・・



わっちはな
この計画をさっさと進めて
ぬしと二人の呑気な旅に戻りたかった。

じゃから傲慢な若僧ともやりあわず
大人の対応でやり過ごしてきた。



お前・・・
まさかあいつらの前で・・・



言うな!



ぇ・・・



それは良い。
それはわっちが決めた事じゃ。



ん・・・



じゃが
その報いがこれなのかや?



ぁ・・・ぁ・・・



ぬしのそんな有様
わっちには到底我慢できぬ!

はむ。

今すぐレメリオと言う男の下へ
それなりの報いを受けさせねば!



ま・・・待ってくれ。
その前にリーベルトたちだ!
それもなるべく早く。



納得がいく理由があれば言ってみよ。



奴らはノーラを殺すつもりだ。



小娘には相棒がおる。
ほっといても多分大丈夫じゃろ。



相棒と言ったって
牧羊犬じゃ限界があるだろ!
お前なら・・・



わっちならなんじゃ?



お前なら100人武装していたって
あっという間だろ!



じゃが
その時わっちは狼じゃぞ!



は?



そして小娘は羊飼いじゃ!



ぁ・・・



それでも頼めないか?
誰かが理不尽に殺されるという事がわかっていて
それを見過ごす事なんて出来ない!
もちろん礼はする。



どんな?



ノーラの命・・・
とか言わなければ
最大限期待に答えよう。

頼む。
お前しか居ないんだ!



はぁ・・・



ホロ!



服は脱いだほうが良いじゃろ?
またしつらえるのが面倒じゃ。



やってくれるのか?



ただし条件がありんす。

たとえ誰であろうと
わっちの勘にさわった者の命は
保障せん。
それで了承してくりゃれ。



それでいい。



ん?



だが俺はお前を信じてる。



ふ。
ぬしも口がうまくなったの。



ふ。



まったく・・・
面倒なやつの旅の連れになったもんじゃ。



ぁ・・・



ぬしよ
何か言う事は?



あぁ。
見事な尻尾だ。



いくぶん棒読みじゃが
まぁいいじゃろ。
さて少し目を閉じててくりゃれ。

ほれ
乗りんす。
毛を掴んでも構わぬ。
落ちたら咥えて行くからの。



死んでも放さな・・・
ぅぉ!
うわぁぁぁ!



ぬしよ。



何だ?



わっちは・・・
その・・・
純粋に羊飼いが嫌いなんじゃからな!



それを聞いてほっとした。
ノーラはこの仕事が成功しても失敗しても
羊飼いをやめる事になるからな。



グルルル

欲しいものが決まった!



何だ?



最高級の桃のはちみつ漬けじゃ!



お手柔らかに・・・
ぅわ!






ぇ?
ロレンスさんとホロさんが?



我々が発見した時は
もう見る影も無く・・・
お二人折り重なるように・・・



ノーラさん!



ぁ・・・



すみません。
大丈夫です。



えぇ。
本当に残念です。
残された我々は
せめて力を落とさず頑張りましょう。






ぬしよ
心の準備はいいかや?



あぁ。



連中はすぐそこじゃ。



もう追いついたのか?



うむ。



何も見えんが・・・



連中め
かなりの武器を用意しておる。
ざっと20人は居そうじゃ。



そんなにか?



とりあえずわっちに任せよ!



ぅぉぉぉぉ!
ぅわぁぁぁぁ!



連中を飛び越えたら身を低くする。
その隙にぬしは飛び降りよ!






ァオーン。



ぉぉ!



ドサ



近づいてはならぬ。



羊飼いと羊を守れ!



よぉし!



ノーラ・・・
無事だったのか!



ぅぉぉぉ!



羊飼いを連れて逃げろ!



逃げるんだ!



羊飼い!
俺を守れ!

2011年6月17日金曜日

狼と香辛料 12感想・原作比較



狼と香辛料 12感想・原作比較



商売は台所の生魚のような物ですからね。

早く手を打たないと台無しになると
いう事さ。



レメリオ商会もロレンスも崖っぷちの状況。
それを考えると早く何とか・・・
と思うのは当然でしょう。



ロレンスさん
下がって。

慌てる事はありんせん。

起きてください。
気をつけて。

追い払えたのか?

少なくとも遠くへは行きました。

ここの狼はいつもこうなんです。
遠吠えもしないし
襲うようなそぶりもなく
ただじっとこちらを見つめているような・・・



異教の呪術を使うと恐れられているノーラ。
ただ羊飼いの角笛を吹き
狼を追い払うだけなのだが
何が出てもおかしくないという森を抜ける。
この事だけで他者からは恐れられるのでしょう。



ぬしよ。
ここはわっちが面倒を負わねばならぬ。
小娘とあの小僧を先に行かせたら
ぬしも暫く離れとれ。

いきなりなんでだ?

普通の狼ではないと言ったじゃろ?



ホロはここの狼のボスが
普通の狼ではないという。
という事は・・・

ここの狼もまた、ホロと同じような存在なのだろうか?



わっちが引き受ければ
群れは羊を追いかけぬ。
狙いは羊などではありんせん。

安い意地。
粗末な誇り。
どれも若僧が大事にするものじゃ。

ほれ
ぬしが声をかけねば皆動かぬ。
相棒は連携と言う物が大事じゃろ?



つまり今回狼が狙っていたのはホロ?
おそらくなぜ人間などと一緒に居る?
と言うのが狼の言い分なのでしょう。



裏切るのか?
レメリオ商会は?

保険ですよ。
女の方が居ると聞いていたので
気が重かったのですが
その点では幸いでした。

言い訳になってしまいますが
我々も崖っぷちなんです。
可能な限り危険は排除しなければならない。

私がゆするとでも?

大金の前では誰でも
欲に目がくらみます。



ここでまさかのレメリオ商会の裏切り。
まぁ人間、お金で変わる人は変わりますから。
そして森の入り口での一番の危険は狼だが
そちらはホロが・・・
となればロレンスの身の安全は問題ないのだが・・・
こう考えるとやはり人間が一番醜い動物なのでしょうか?



狼と香辛料6 限定パック

狼と香辛料(2)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年6月16日木曜日

狼と香辛料 12 3/3



狼と香辛料 12 3/3






な・・・
いきなりなんでだ?



普通の狼ではないと言ったじゃろ?



ゴクリ



わっちが引き受ければ
群れは羊を追いかけぬ。
狙いは羊などではありんせん。

安い意地。
粗末な誇り。
どれも若僧が大事にするものじゃ。

ほれ
ぬしが声をかけねば皆動かぬ。
相棒は連携と言う物が大事じゃろ?



ここは
私たちが引き受けます。
お二人は金を持って予定通り進んでください。



ぇ?
でも・・・



いや。
ここは任せましょう。



リュビンハイゲンの市壁で会いんす。
その時は皆金持ちじゃ!



ぁ・・・



ご武運を。






それなりに離れてくりゃれ。
下手に近くに居られると
困りんす。

わかるじゃろ?



負けたら
承知しないぞ。



ぬしがいい雄じゃったら
ここで口付けでもするんじゃがのう。

そうじゃ。
これ預かっといてくりゃれ。



ぁ・・・



出来れば穏便に済ませたいが
どうなるかわかりんせん。
合流したとき裸じゃ寒いし
ぬしが困るじゃろ?



また会おう。






立ち止まってはいけない。
ノーラさん。
お二人の死を無駄にするのですか?



死だなんて・・・



失礼。

お二人の勇気に報いるためにも
急ぎましょう。






く・・・






言いたいことはそれだけかや?



グルルル



やはり若僧じゃな。
すぐに牙をむきよる。






ザー



ホロ!



ロレンスさんですか?



ぁ、えぇ。



ご無事だったんですねぇ。



リーベルトから聞きまして。



万が一に備えて森の外でお待ちしていたのですが
居ても立ってもいられず。



そうでしたか。
雨が酷くなったので
この奥で服を乾かしていたのです。



それでロレンスさん。
お連れの方は?



ここには居ません。



それは良かった。



ぇ?!
ぁ?



ゴキ



ぅ!
ぁ!



カチャ



悪く思わないでください。

とは言いません。



裏切るのか?
レメリオ商会は?



保険ですよ。
女の方が居ると聞いていたので
気が重かったのですが
その点では幸いでした。



言い訳になってしまいますが
我々も崖っぷちなんです。
可能な限り危険は排除しなければならない。



私がゆするとでも?



大金の前では誰でも
欲に目がくらみます。



痛・・・



商売の世界の常識でしょう。



ぅ・・・



お連れの方の形見は渡しておきます。



く・・・
ぅ・・・



またお会いしましょう・・・
と言えない事に
心が痛まないわけではありません。



き・・・



ただこの後の事を考えると
本当に気がめいる。



おい!



お前だってそうだろ?



しかし・・・
あれはこの男が連れてきた娘だぞ。



まさか・・・



ピシ



く・・・



ほら見ろ
おとなしくしていれば・・・



ぅわぁぁ!



ドス



ぅ・・・
ぁ・・・



あの娘を縛って
ここに並べといたらどうだ?
狼に始末してもらったら?



馬鹿!
異教の呪術を使う娘だぞ。
目隠しをして両手を縛っておいても
生き延びるだろう。
そうなれば破滅するのは我々だ。



しかし気がめいるよな。
あんな娘を・・・



言うな!



すまん。
こいつとどめはどうする?



刺したいか?



いや
人殺しは少ないほうがいい。



同感だ。



行こう。
さっさとしないとリーベルトさんにどやされる。



連れの女ももう命は無いだろう。



く・・・

2011年6月15日水曜日

狼と香辛料 12 2/3



狼と香辛料 12 2/3






ヒヒーン



プォー
プォー



グゥゥゥゥ



追い払えたのか?



少なくとも遠くへは行きました。

ここの狼はいつもこうなんです。
遠吠えもしないし
襲うようなそぶりもなく
ただじっとこちらを見つめているような・・・



ぁ・・・



確かに遠吠えすらせんのは妙じゃが。






うまくいくといいですね。



そうですね。



あの・・・
ホロさんは狼にお詳しいんですか?



な・・・



ん?



ぁ・・・
いえ・・・
その・・・

昨夜物凄く早く狼に
気がついてらっしゃったようなので。



なに
ただの勘みたいなものでありんす。



そうなんですか?



多少気を張っていたからかもしれぬ。
男どもが総じて頼りにならぬからのぅ。
そう思うじゃろ?



え?
ぁ・・・
そんな事は・・・



ふむ。
ならばこれの事はどう思う?



ん?



ぇ?
ぁ・・・



気にせずとも良い。
思うまま言うてみよ。



○×△・・・



ふむふむ。

くはははは。



ぬし
なかなか人を見る目があるの。



あ~ぁ・・・



大体じゃな
男と旅をしとる者に
狼に詳しいかと聞くのはおかしい事でありんす。



どうしてですか?



夜になれば狼は常に現れる。
目の前にこんなかわいい兎がおるんじゃからな。



ぇ?



毎晩狼に食べられる兎が
狼の事を知らぬ訳があるまい。



ぁ・・・
え~と・・・
その・・・
それは・・・
つまり・・・



うふふふふ。



良い反応じゃ。



ま、わっちの場合は逆じゃがの。
この連れはかまってやらぬと
寂しさで死んでしまう兎くんじゃ。



うふ。



いずれにせよ
わっちが狼に早く気づいたというのは
たまたまでありんす。



私ホロさんは羊飼いなのかなぁ?って。



ぁ?



そりゃ驚きじゃ。



ふぅ。



エネクが物凄くホロさんの事を
意識していたので。



あぁ!
それはわっちに惚れて居るのじゃろう。



ぇ?
あの・・・
エネクがですか?



おぬしはとても大切にしておるんじゃろ?
そのせいでひとまずおぬしからの寵愛は
安泰じゃと思って居るのじゃろう。

たまには別の者とじゃれあいたいと
欲が出たに違いない。
たまにはそっけなくしやしゃんせ。
それが良き手綱じゃ。



この先
このコがまた浮気をしたら
言われたとおりにしますね。



それが良い。



アゥ



でも今は褒められるだけ褒めてあげたいんです。



この仕事がうまくいくにせよ
失敗するにせよ
私は羊飼いをやめる事になるでしょうから。



こんなもんでぬしも少しは安心したかや?



負けたよ。






パカパカパカ



あぁ!



確かに。



良かった。
一瞬駄目かと思って・・・



そんな顔をしてましたかな?



大金を運んでいるとなれば
緊張もするでしょう。



面目ない。
では参りましょう。
この金のように
輝く明日が待っています。






い・・・行きと本当に同じ道ですかな?
ど・・・どうもかなり雰囲気が違うように・・・



エネク!



ぁ・・・



すみません。
少し急ぎます。



居るな。



うむ。
向こうの丘の上にも・・・



アゥゥゥ



だ・・・大丈夫なんでしょうな。



大丈夫です。
でも急いでください。



ぁ!



エネク!



ワン



グルゥ



小娘の動きは確かじゃ。
これでは狼どもも手出しはできん。



どういうことだ?



狼は群れの一匹だけが傷つくようなやり方は
絶対にせぬ。
慎重かつ狡猾にじわじわと群れで取り囲んで
獲物を狙う。



エネク!



じゃがこの陣形なら少なくとも
一匹は返り討ちに出来る。
このまま行けば乗り切れる。
狼は絶対に一匹では襲ってこぬ。

ぬしよ。



なんだ?



ぁ!



一か八かだ!



グルル



ぁ・・・



下がれ!



アゥ

グルル



ぁ・・・



人間も
最近の若いやつは・・・
と言うそうじゃな。



ぇ?



この森のやつもそうじゃ。



もう大丈夫ですか?
ノーラさん!
どうなんです?



わかりません。
でも最善は尽くします。



いや・・・
そんな・・・



アオゥゥゥゥ



ぁぁぁぁ・・・



ぁ・・・



ぬしよ。
ここはわっちが面倒を負わねばならぬ。
小娘とあの小僧を先に行かせたら
ぬしも暫く離れとれ。

2011年6月14日火曜日

狼と香辛料 12 1/3



狼と香辛料 12 1/3


狼と若僧の群れ。






あの・・・



今日の仕事の
もう一人の協力者です。



レメリオ商会のマーティン・リーベルトです。



ぁ・・・
ノーラ・アレントです。



それでは早速参りましょう。



商売は台所の生魚のような物ですからね。



ぇ?



早く手を打たないと台無しになると
いう事さ。






コツコツ



うまくいきますかね?



ん・・・

失敗すれば明日はない。






冗談じゃありません。
まだ日が傾ききってはいない。



いえ
それはですね・・・



私は行きます。
皆さんもすぐに追いついてください。



ぁ・・・



あの・・・



大丈夫。
羊飼いの事や夜道の危険さを知らないだけですよ。



レメリオ商会と言う大きな物を背負っておるんじゃ。
当然じゃろ。






星が綺麗だな。



まぁまぁじゃの。
わっちの生まれ故郷はもっと綺麗じゃった。



ふ。
こんな状況で
こんな普通の会話が出来るとは思わなかったよ。



ふ。
四六時中切迫していては
持たんじゃろ?



ま、そうなんだが。

明日はいよいよ問題の道だな。






何が出てもおかしくない雰囲気ですな。



狼が出ても慌てないでください。
必ず町まで無事にお届けしますから。



うむ。
神のご加護があらんことを。



はふ。



な・・・



ん?



狼大丈夫だと思うか?



駄目じゃ。
既に囲まれておる。



なんだって?



と言う場合でも
ぬしの身の安全は確実に保障する。
それ以外のことはわからぬがの。



はぁ。
全員が無事じゃないと困るんだがな。



それは本当にわかりんせん。
風下が森になっとるからの。
森に狼が居れば
とっくに羊に気がついて
牙を研いでおるはずじゃ。



ぁ!



賢い犬だな。



ふん。
それだけに腹が立つ。



どういう意味だ?



あの犬
わっちに気づいて威嚇しておる。



そうなのか?



まったく。
身の程をわきまえぬやつじゃ。



ノーラは気づいているんだろうか?



ん?



もしも密輸が失敗した時
一番弁解できないのはノーラだ。
俺たちは口をつぐめば逃げられる可能性もあるが。



まったく
金髪に弱いやつじゃ。



どんな罰が与えられるか
話しただろ?
あの小さな身体で
とても耐えられるものじゃない。



だったらそうならぬように
ぬしが全力で守ってやれば良かろう。
ふん。



ホロ?






この先も出ないといいですね。



え?
いや
本当に。



夜明けにここを発てば
昼にはラムトラに着くそうです。



そこからはいよいよ私の出番だ。
それに備えて眠りとします。



良い眠りを。

ん?

ぁ・・・

ふぅ。



ガバ



ぁ・・・



ロレンスさん
下がって。



慌てる事はありんせん。



起きてください。
気をつけて。

2011年6月13日月曜日

狼と香辛料 11感想・原作比較



狼と香辛料 11感想・原作比較



さっさと戻りんす!

どうするんです?

申し訳ない。
こいつを窓から落としてしまって・・・

勘弁してくださいよぉ。




小説版を読むとわかるのですが
ロレンスたちが泊まっている宿屋は
泊り客が帰ってこないと主人は休めない。
泊り客が帰ってきて、玄関を閉める事で
ようやく主人は休む事ができる。

それで主人の勘弁してくださいよぉ
という台詞。




悪いのはわっちではないか!
わっちさえ居らねば金は借りられた!
なぜぬしはそれをもっと怒らぬ!
なぜわっちを責めぬ!
う・・・うぅ・・・



第2期のある場面で
ロレンスが言うのですが
ホロはロレンスの前で3度泣いたと。


1回目は
一人は寂しい。
一人はもう飽いたと泣く。


2回目は
パスロエ村の者に裏切られたと泣く。
アニメではクロエ(女性)になっていますが
小説版ではパスロエ村の別の男性になっています。


3回目がこの場面。
ロレンスが破産し、ホロが一緒についてきている
という理由で借金が出来なかった。
しかもロレンスはホロを責めない。
ホロは自分を責めて泣いたのでしょう。




一つだけ答えてくりゃれ?
ぬしが
そんなお人よしなのは
な・・・なんでじゃ?

性格・・・かな?

こ・・・このたわけが!
性格じゃと?
性格じゃと言ったか?

嘘でも惚れとるからと言うのが
雄の甲斐性じゃろ!
このたわけが!

物事にはな
ぬしよ。
嘘でもいいから言って欲しい時と
今更言ったら顔が腫れ上がるほど
殴りたくなる時がありんす。
今はどっちじゃと思う?

こ・・・後者・・・

く・・・
もう信じられぬ。
ぬしは信じられぬお人よしじゃ!

さしずめこの状況で惚れとる
と言うのはずるいとでも思ったのじゃろうが。



ロレンスはお人よしだが
特に女性に関しては鈍いですからね。
経験値が低いとも言えますが。
でも、そんなロレンスが好きだったりします。
しかし・・・こういう場はルルーシュとかぶります。
中の人同じだし・・・



それならあなた方だけで
密輸をされたらどうなのです?
わざわざ分け前が減るというのに
私のところに来るのはおかしいでしょ?

債務の支払期限は今日までです。
日が暮れれば私は商館に捕らえられてしまう。
それなのに私の手元にある金は
これだけです。



ロレンスの窮地を脱するためにホロが提案した事は
金の密輸。
ロレンスが集められた金額はわずか。
借金を返さずに街を出たら・・・
おそらく逃げたと思われるに違いないですね。



これを担保に信じていただきたい。
そして・・・
債務の取立てを一時中止し
密輸のための金を買い付ける資金を
出資していただきたいのです。



債務の取立てを一時中止してもらわない限り
計画を実行する事は不可能。
おそらく金の買い付けに関しても
ロレンスの所持金では債務の分を用意できないのでしょう。
またうまく街の中に持ち込めても
金を売りさばくルートを持たない限り
この計画は完成しない。

密輸品の売りさばきとなれば
危険も大きいでしょうから。



レメリオさん。
いかがですか?
あなた方なら密輸した金をさばくルートを
お持ちのはず。
決して悪くない条件で
金の密輸を共に行っていただけませんか?

わかりました。
やりましょう。

神のお目こぼしがあらん事を。




これで第一段階クリア。



そこで私たちは考えました。
教会をちょっと困らせてお金を稼ぎ
別の街に行く。どうですか?

何を・・・するんですか?

金の密輸です。

ぇ?!そんな・・・
でも・・・
私に何ができると?

この街の厳重な検問をくぐるため
羊の腹の中に金を隠すのです。

一応
最後まで聞いてもいいですか?

教会の影響下にある街では
全て金がべらぼうな値段です。
そうすると
仕入先でもっとも都合が良いのは
異教徒の町、ラムトラしかない。

ところがラムトラから安全な道のりで行くと
人通りが多く
更にそこは古くから他の羊飼いの縄張りにもなっている。

私なら人がほとんど通らない道で
羊を連れてうろうろしても怪しまれず
しかもその道はラムトラとこの街を
最短距離で結んでいる。

しかしばれれば大変な罰が待っていますし
この仕事の後には安全のため
街を離れなければならない。
だからこそ・・・
報酬は20リュミーオーネです。

是非やらせてください。

よろしくお願いします。

こちらこそ。

私・・・
他の方のお仕事だったら
お受けしませんでした。

ロレンスさんだから
決めたんです。




この計画はノーラがいないと成功しない。
そして終わったら安全のため街を離れる必要がある。
ノーラは魔女の疑いをかけられ
街に住む人からは阻害されているので
そういう意味でも街を離れたほうが
再出発はやりやすいでしょう。

しかしロレンスさんだからやると決めた
というノーラの台詞。
ホロとひと波乱ありそうな・・・



まぁとにかく
全員が笑える結果になるよう
努力するしかないな。

そうかや?
わっちはぬしと二人だけでほくそ笑むのも
魅力的じゃと思うがの。

確かに魅力的だが
俺はみんなで笑えたほうがほっとする。

どうにもお人よしじゃな。

駄目か?

まさか。



私もロレンスと同意見ですね。
みんなで笑えたほうがハッピーになれますから。
特にこんな命と危険合わせの仕事は
一人でほくそ笑むなんて・・・



狼と香辛料5

狼と香辛料(2)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年6月12日日曜日

狼と香辛料 11 3/3



狼と香辛料 11 3/3






20リュミオーネなんて・・・



それは否定しません。
だから無理にお誘いしようとは思っていませんし
よく考えていただいて構いません。

組合加盟費は高くても
せいぜい1リュミオーネですよね?



ぇ?



20あれば家を借りながら
当面の生活費の心配をせずに仕事も出来る。
やがては親方株だって楽に買えるでしょう。
そうなればあなたは
ノーラ服飾店の女主人です。

ノーラさんは
この街の仕立て職人の組合に加盟するつもりですか?



いいえ。
別の街に・・・
と思っています。



そうなんですか?

でもこの街の大きさは魅力でしょう?
知り合いの居ない町と言うのも
なかなか住みづらい。

しかしまぁ
この街の教会とは
なるべくなら関わりたくないですよね。



そ・・・そんな事は・・・



真面目に仕事をして
教会から預かった大事な羊を
一生懸命守り通せば通すほど
彼らは異教の魔術を
使っているのではないかと疑ってくる。
違いますか?

そして彼らはあなたの化けの皮をはがそうと
他の羊飼いなら絶対に行かないような場所に
あなたを行かせている。

他の場所は別の羊飼いの縄張りだから
などと言って。



ぁ・・・



きっと司祭たちは
狼や傭兵などにあなたが襲われるまで
危険な地域に行かせ続けるでしょう。

毎日毎日
異教の者であるという証拠を出すまで。
私も似たような目に合った事があります。
はっきり言いましょう。

ここの教会は豚にも劣る!



ぁ!
ぇ・・・
ぁ・・・



そこで私たちは考えました。
教会をちょっと困らせてお金を稼ぎ
別の街に行く。
どうですか?



何を・・・
するんですか?



金の密輸です。



ぇ?!
そんな・・・
でも・・・
私に何ができると?



この街の厳重な検問をくぐるため
羊の腹の中に金を隠すのです。



ぁ・・・



一応
最後まで聞いてもいいですか?



教会の影響下にある街では
全て金がべらぼうな値段です。
そうすると
仕入先でもっとも都合が良いのは
異教徒の町、ラムトラしかない。

ところがラムトラから安全な道のりで行くと
人通りが多く
更にそこは古くから他の羊飼いの縄張りにもなっている。



私なら人がほとんど通らない道で
羊を連れてうろうろしても怪しまれず
しかもその道はラムトラとこの街を
最短距離で結んでいる。



そのとおりです。

そしてノーラさんはこの街の教会に
酷い目にあっている。
この計画は教会への恨みを晴らすには
絶好の機会でもあります。

教会の最大の資金源は
寄付金と並んで金の輸出入ですからね。



ぇ?



しかしばれれば大変な罰が待っていますし
この仕事の後には安全のため
街を離れなければならない。
だからこそ・・・
報酬は20リュミーオーネです。



ぁ・・・



ゴーン



ぁ!



ゴーン



是非やらせてください。



よろしくお願いします。



こちらこそ。



あの・・・



ぁ・・・
何でしょう?

私・・・
他の方のお仕事だったら
お受けしませんでした。



ぇ?



ロレンスさんだから
決めたんです。



ぁ・・・



むぅ・・・



コクコク

はぁ・・・






もっと喜んだらどうかや?
せっかく上手くいったと言うのに。



どんな利益があろうとも
命を糧にして見合う博打なんて存在しない。



当然じゃ。



それに
利益ばかりを強調したあんな口上は
詐欺同然だ。

不利な契約は結ばれたほうが馬鹿と言うのは
商人同士なら常識だが
今回の相手はどうだ。

右も左もまだわからない
羊飼いの娘じゃないか。



確かに小娘の笑顔は無垢に見えたからの。



む・・・



まったく。
ぬしはどうしようもないお人よしじゃな。



ぁ・・・



あの小娘は獲物として追いかけられ
食われるだけの羊ではない。

野生の動物たちの輪の中に
自ら決意して飛び込んできた
果敢な羊じゃ。

もしかしたら羊の皮をかぶった
別の動物かもしれぬぞ。

あまり言いたくは無いが
わっちが認めたほどの羊飼いじゃ。
ぬしはそれほど悪くはありんせん。



ふぅ。



お人よしもほどほどにしやしゃんせ。



まぁとにかく
全員が笑える結果になるよう
努力するしかないな。



そうかや?
わっちはぬしと二人だけでほくそ笑むのも
魅力的じゃと思うがの。



確かに魅力的だが
俺はみんなで笑えたほうがほっとする。



どうにもお人よしじゃな。



駄目か?



まさか。






旦那様・・・
本当にそのような事を?



やるしかない。
やるしか。
やるしかないんだ。
リーベルト!
ぅ・・・

2011年6月11日土曜日

狼と香辛料 11 2/3



狼と香辛料 11 2/3







ま、ぬしもよい予行演習になったじゃろ?
ははははは。



ふ。



しかしなぬしよ。



ぁ?



次からはわっちを怒らせてくりゃれ。
ぬしがいろいろ考えてくれるのは嬉しいが
場合によっては互いに怒って怒鳴りあったほうが
早く問題が片付く事もある。



わかった。



で、ぬしよ。
この皮袋の中の金は正確にはいくらじゃ?
3リュミオーネと2/7だ。



借金はあと43と5/7かや?



ぁ?



ひとつ良い案があるんじゃが。



な・・・なんだ?



あまり期待されても困るが。



●×△・・・



お前本気か?!



うむ。
普通にやれば完璧に捕まるじゃろ。
じゃがたった一つだけ実現できる心当たりがある。



ほ・・・本当か?



ふふふ。






はぁ。



ま、わっちがついておる。



あぁ。



カチャリ



ん・・・



何か
重要なお話とか?






今度はあの道を行くのですか?



少し険しい道ですが
あなたなら大丈夫。
これまでも神のご加護で何事もなく
過ごしてきたではないですか。



はい・・・

でもあの辺りは最近傭兵が現れると聞いておりますし・・・



神様は必ずお守りくださいます。
案ずる事はありませんよ。



はい・・・



あなたは本当に素晴らしい羊飼いだ。
私たちも誇りに思っていますよ。






密輸?
まさか・・・



そのまさかです。



馬鹿げてる。
帰ってくれ。



同じ方法で密輸を試みた人間は
過去に数多いたでしょう。
そして彼らは捕まった。



わかっているなら話は早い。
破産寸前の人間は
得てして無謀な計画を完璧なものと誤認する。
今のあんたがそれだ。



しかし金の密輸を信頼するにたる
凄腕の者に任せたら?



ぁ・・・?
はん。
それほどの凄腕なら
わざわざ金の密輸などしなくても
十分に儲けてるだろ?
机上の空論だ。



凄腕でしかも儲かっていない人材がいたとしたら
どうですか?



ありえない。
どんな人間がそれに当てはまると言うんだ?



腕が立ち
この街で仕事にありついているものの
薄給でしかも金を必要としている。
そして
その人物は雇い主に不満を抱き
ほのかな暗い感情を持っている。



ぅむ?



雇い主というのは教会です。
そして金の密輸は
教会にたてつく行為でもあります。
金儲けのみならず
教会へのささやかな復讐行為とそそのかせば
間違いなく食いついてくるでしょう。

しかも裏切りの可能性はほとんどない。
私がその人物の名を告げれば
ご納得いただけると思います。



うぅん・・・
それならあなた方だけで
密輸をされたらどうなのです?
わざわざ分け前が減るというのに
私のところに来るのはおかしいでしょ?



債務の支払期限は今日までです。
日が暮れれば私は商館に捕らえられてしまう。
それなのに私の手元にある金は
これだけです。



チャリン



うむ・・・



これを担保に信じていただきたい。
そして・・・
債務の取立てを一時中止し
密輸のための金を買い付ける資金を
出資していただきたいのです。



ぅ・・・ぅむ・・・



ぬしさまよ。



ん?



ぬしさまに迷っている暇があるのかや?



なんだと?



おい・・・



今さっきまた一人出て行ったようじゃが。



ぉ・・・



わっちは特別耳が良くての。
内緒話も筒抜けじゃ。
下の部屋では自分たちだけ逃げようと
作戦をたてておるぞ。



ぁ・・・



ほら
また出て行った。
このままじゃとこの店はもう
何日もしないうちに・・・



やめろ!
ぅぅぅ・・・



レメリオさん。
いかがですか?
あなた方なら密輸した金をさばくルートを
お持ちのはず。
決して悪くない条件で
金の密輸を共に行っていただけませんか?



ぅ・・・



レメリオさん。



わかりました。
やりましょう。



神のお目こぼしがあらん事を。






リーベルトを呼べ。



は。



コツコツコツ



ぅ・・・む・・・






さて
次はわっちの出番じゃの。



どういう意味だ?



ぁ?
まさかお人よしのぬしが
小娘をたぶらかせると言うのかや?



お人よしのほうがいいという無垢の存在だって
世の中には居るんだ。



雌のなんたるかも知らぬくせに
偉そうじゃの。



さっきの商談でおまえが
レメリオを追いつめてくれたじゃないか。



ぁ・・・



ここは俺が自分で話を取り付ける。
欲に目がくらんで
暴落した商品をつかんだのは
俺自身だからな。

気が重いからと言って
代わって貰ってちゃ話にならない。



なんじゃ。
せっかく貸しを作りまくって
後で回収しようと思ったのに。



おぉ!
危ない、危ない。



うふふ。






キンコンキンコン



こんにちは!



ぇ!
ぁ・・・
ロレンスさん・・・と
ホロさん?



いやぁ
偶然教会の前で出くわすなんて
これはまさに神のお導きにちがいない!



うふふ。
いくら私でも
騙されません。



ふむ。
最近は教会で聖なる血を
飲みすぎる方も居るようですからね。



私はお酒が飲めないので
葡萄酒もほとんど口にしません。
それで・・・あの・・・



えぇ。
実は仕事の依頼を。



本当!?
ぁ・・・
ですか?



ま、こんな所ではなんなので
どこか露店にでも。



はい。






再開を祝して!



ゴクゴク



それでノーラさんは
ラムトラまで行けるんでしたよね?



はい。
行けます。



羊を連れながらでも?



あまり多くなければ。



今回は少し変わった仕事をお願いしたいんです。
報酬は20リュミオーネ。
もちろんちゃちな証書などじゃぁありません。
現金です。

おっと!



ぁ!
すみません。

に・・・二十・・・ですか?



二十です。
しかし危険がありますし
それは成功報酬です。
失敗すれば払われません。



はい。



仕事の内容は羊を連れて歩く事です。
そして可能な限り羊を無事に連れ戻す事です。
羊飼いとしてそれ以上の能力を
必要とはしません。



よほどの危険があるお仕事ですよね?
20リュミオーネ・・・

2011年6月9日木曜日

狼と香辛料 11 1/3



狼と香辛料 11 1/3


狼と最大の秘策。





く・・・






いい加減にしてくれ!



ドン



ぁ・・・
少しで・・・
いいんです・・・



チャリン



ぁ・・・



バタン



ありがとうございます。






うむ・・・



ガチャリ



ん?



コツコツコツ



あぁ・・・



お早いお帰りで。



ガチャリ






はぁ・・・



キィ



ぁ!



コツコツコツ



ホロ。
悪かった。



パサ



ぁ!



チャリ



自分で集められたのは3リュミオーネ。
あと44リュミオーネだが
俺にはどうしょうもない。

思いつくのはその金を握り締めて
賭場に行くことくらいだ。
だが俺よりお前のほうが
そういう才能はあるだろう。

このまま駄目になるなら
使ったもの勝ちだ。
今更借金が3リュミオーネ増えたところで
何が変わるわけでもない。



コツコツコツ



キィ



ギィ



ん?



ガチャリ



はぁ。



コツコツコツ



チャリン



ぁ!
あぁ!

ぁ?
ぉ・・・



たわけ!



ぁ?



さっさと戻りんす!



ぁ・・・



どうするんです?



ぁ・・・



ぇ・・・あぁ・・・
申し訳ない。
こいつを窓から落としてしまって・・・



勘弁してくださいよぉ。



あっは・・・






たわけが。



すまん。



何が『すまん』じゃ?
何がどう『すまぬ』?



ぇ?



わっちがその金を持って逃げたらどうする?



それならそれでよかった。
俺の失敗でお前との契約を
果たせなくなったんだからな。
せめて路銀ぐらいは・・・



わっちに・・・
わっちに路銀を残すじゃと?



あ・・・あぁ・・・



悪いのはわっちではないか!
わっちさえ居らねば金は借りられた!
なぜぬしはそれをもっと怒らぬ!
なぜわっちを責めぬ!
う・・・うぅ・・・



お前は心配して着いて来てくれたんだ。
そんな事できるはず・・・
ぁ!



このたわけが!
このぉ・・・



ぁ!

危ない!



このお人よしが!



お人よし?



そうじゃろ?
わっちは我侭でぬしに着いていったんじゃ。
それが裏目に出たんじゃから
もっと怒っていい!
なのにぬしは
わっちの手を払っただけで
すぐにすまないなど謝りおって。



それが俺の本心だ。
取り返しのつかない事をしたと思った。
どれだけ謝っても足りないくらい。
だから出来る限りのことをしたかった。
だが
それが裏目に出ていたなら
すまなかった。



ぬしよ。



ん?



一つだけ答えてくりゃれ?
ぬしが
そんなお人よしなのは
な・・・なんでじゃ?



ぁ・・・

性格・・・かな?



こ・・・このたわけが!
性格じゃと?
性格じゃと言ったか?

嘘でも惚れとるからと言うのが
雄の甲斐性じゃろ!
このたわけが!



わ・・・悪かった。
俺は・・・本当は・・・



物事にはな
ぬしよ。
嘘でもいいから言って欲しい時と
今更言ったら顔が腫れ上がるほど
殴りたくなる時がありんす。
今はどっちじゃと思う?



こ・・・後者・・・



く・・・
もう信じられぬ。
ぬしは信じられぬお人よしじゃ!

さしずめこの状況で惚れとる
と言うのはずるいとでも思ったのじゃろうが。



我ながら飽きれる。



それでもやっぱりあそこは
言って欲しかった。
じゃからもう一度じゃ!



ぁ?



えへん!



ぁ・・・



なんで・・・
そんなにお人よしなんじゃ?



お前が特別な存在だからだ。



は・・・
ん?

くくくく
あはははは。
まったくわっちらは何をしとるんじゃ。



お・・・
お前がやらせたんだろうが・・・



ふふふ。

2011年6月8日水曜日

狼と香辛料 10感想・原作比較



狼と香辛料 10感想・原作比較


あ、そうだ
商館に誰か
ラムトラまで行きたがって居る人は居ませんか?

まったく、どいつもこいつも・・・

え?

娘の羊飼いにイチコロか?

いえ・・・
そんな・・・

あの辺をうろついて無事なのは
あの娘だけだ。
教会がそれをどう思うかは
言わなくてもわかるだろう?

くそややこしい問題に巻き込まれたくなければ
関わるな。



こういう問題を見るたびに
教会は表と裏で何をしてきたのか?
非常に複雑に感じます。

もっとも光あるところに闇あり
なのは何処の世界でも同じだと思いますが。




で証書にあて先は要るのか?
それとも無記名か?

えぇ。
レメリオ商会宛でお願いします。

売りつけ先が決まっているという事は
信用買いでもしたのか?

それが何か?

まぁ行けばわかる。

何か大きな値動きでもあったんですか?

気にするな。
お前の事だ。
おそらく良いほうに転ぶだろう。



この館長はこれから起こる事態に対し
情報を持っていた。
と推測されるが
立場上言えないのか・・・?
それとも気休めで良い方に転ぶ・・・と言っているのか?
はたまた過去のロレンスの行動から
強運の持ち主なのか?
この段階ではまだ何とも言えません。

ただネガティブな感情、心、言動は
ネガティブなものしか呼ばない。
空元気でもポジティブに考える事で
良い運気を呼び込める。

こういう事情もあるのでしょう。




それにしても商売と言うのは怖いの。

儲けるためには頭を使わねばならんが
下手に使いすぎて策におぼれれば
あのラトペアロン商会のように
武具を半値で買い取られる羽目になる。

だがうまく使えば
俺たちのように資金を使わず
武具を運ぶだけで大儲けできる。
それが醍醐味ってやつだ。

じゃが
一時的にせよ借金しとるというのは
わっちの性には合わんの。

信用買いの事か?

うむ。
100リュミオーネ分の武具を半値で買って
それをラトペアロンに借りた事になるのじゃろ?

それを本来の値段でレメリオ商会に売って
借金は商会同士で処理してくれって事だ。
自分の資産の倍で買い付けるわけだから
儲けも倍だ。

性に合わなくとも
我慢のしがいはあるだろ?

ぅ~む。
ま、そうじゃがの。



まるでこれからの運命を暗示しているような会話です。
私も個人的にはあまり気の乗らない
商売の手法ですね。



武具は大分前に大暴落して
価値は無いに等しかったんです。
ラトペアロンはそんな不良在庫の借金をさせて
その権利を当商会に譲渡した。
つまりお連れさんには
莫大な借金だけが残ったんです。
一言で言えば破産ですね。



この会話からおそらく
ロレンスが武具を買い付けたときには
既に暴落し、ゴミになっていた。
だから
ロレンスが武具を・・・
と言ったとき、武具・・・ですか?
ラトペアロンの主人は言ったのでしょう。

部屋を傾かせ、査定を誤魔化すような場所との取引
これが第1の失敗の元。
そしてロレンスは欲をかき無理難題をふっかけ
借金で武具を買った。

仮に胡椒の代金だけであれば
武具を買ったとしても
ここまで大きな失敗にはならなかっただろう。

また、武具・・・ですか。
と主人が言った時
何か変化でも・・・
と聞き出せれば武具を買う事も無かったかもしれない。

部屋の傾きから胡椒の重量のごまかしに気づいた時
その店では売らずに
次の街まで持っていく
という選択肢をとったのであれば
関税等で利益が薄くなっても
この失敗は防げたかもしれない。


まぁ、私はこの作品を商売のテキストとしてみているので
ロレンスが失敗し、その窮地を脱するからこそ
作品としては面白くなるわけで
でも、人間、どこで似たような事例に合うかわからない。
その失敗を回避する方法は?
と考えてみるとやはり予兆はあった。
と考えられたりします。

後悔先に立たずと言いますが
人の失敗を笑うではなく
その予兆はどこにあったのか?
自分だったらそこに気づく事が出来たのか?
と考えると全てのものが人生のテキストになりうる。
そう考えたりもします。



商売には思わぬ抜け道がある。
追い込まれた時ににしか見えない
道もあるはずだ。



館長のこの台詞。
おそらく彼は経験上
いろいろな人の様子を見てきたのでしょう。



借金を叩き返した時の
驚きの台詞でも考えておいてください。

ぁ・・・
ははははは。
それだけ言えれば十分だ。
じゃぁまたな。



多くの人は借金の重さに自暴自棄になるか
潰れてしまうのでしょう。
ここで47リュミオーネが
現在のお金でどの位の価値か?

銀貨1枚が1万円くらい。
金貨1枚が銀貨37枚前後。
37×47=1739
という事で、およそ1740万円。

郊外の安めの土地付き一戸建てが買えるか足りないか?
というお値段。
ロレンスの年齢から推測するに
返済不可能な金額ではないが
2日で集めるとなると・・・
かなり厳しい金額でしょう。



私の見通しの甘さから失敗してしまいまして。

見通しの甘さ?
ま、それもあっただろうね。
しかしまぁ商品の暴落など
神でなければ予測は出来ない。
それを頭から攻めるのは酷というものだ。

ロレンスさんには何度か儲けさせて貰ってもいるし
お困りとあらば多少は力になれなくもないと
思ってましたよ。

だがあなたは神の教えの元に正しく生き
相手に誠意を見せるように生きようという
態度が見られない。

ぁ・・・
あ・・・あの・・・
それはどういう?

ぁ・・・

ぁ!

他人の情けで金を借りようと言う時に
女連れで歩くとは!
馬鹿にするのもいい加減にしたまえ!



ホロが女房だという事になり
一緒に頭を下げるのであれば
おそらく状況は変わっていたかもしれない。
しかし・・・

可愛い子をつれて歩き
やっかみの対象にもなる。
そうなれば当然良くは思われないでしょう。

女の立場等のは不安定で
まして時代が時代なら・・・
大変だったと推測します。

下衆の勘ぐり・・・というのもありましょうし
キリスト教が支配する世界では
離婚はご法度ですから。



狼と香辛料5

狼と香辛料(2)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年6月4日土曜日

狼と香辛料 10 3/3



狼と香辛料 10 3/3






お前にはちゃんと明日が来る。
ただし真っ黒で辛く重い明日だ。

47リュミオーネなら
長距離貿易用の船を10年も漕げば返せるだろう。
鉱山で穴を掘っても良い。
ただし
運よく生きていればだがな。



ふ。
夢物語ですね。



忘れてくれるな。
俺はお前に死んで欲しいと
思ってるわけじゃない。

罪には罰を。
俺はその当たり前の事をしなけりゃならん。



わかっています。



2日間頑張れるだけ頑張れ。
商売上の強力ならいくらでもしてやる。
俺はお前を信じている。
自由に出歩いて出来る限りのことをしろ。



お心遣い感謝します。
2日間で何とか稼いでみせます。



商売には思わぬ抜け道がある。
追い込まれた時ににしか見えない
道もあるはずだ。
うむ。



ぁ・・・



あぁ。
他に何か聞いておきたい事
言っておきたいことはあるか?



いえ。
では。



うむ。



コツコツコツ



そうだ。



ぁ?



借金を叩き返した時の
驚きの台詞でも考えておいてください。



ぁ・・・
ははははは。
それだけ言えれば十分だ。
じゃぁまたな。






2日で47リュミオーネか。

ぁ・・・



ぅむ。



ぅむ。







ぬしはどうするのじゃ?



とりあえず借金には借金だ。



あてはあるのかや?



俺だって漠然と商売をしているわけじゃない。
たくさんの金を貸してくれるような当てはないが
少しだけなら相談に乗ってくれる相手は
いくらでもいるさ。



それが47人も居れば
あっと言うまじゃな。



そういう事だ。






おぉ!
ロレンスさん。
久しぶりですね。
何か儲け話でも?



いや・・・実は・・・



バタン



ぁ・・・



ぁ・・・
まだまだ
当てはたくさんある。



うむ。



いやぁ残念ながら
今うちも忙しくてねぇ。



年末に向けて
小麦や肉の値も上がりますし。



どうじゃった?



ぁ・・・
まだ次がある。



そうじゃな。



春に向けての在庫も
揃えなければなりませんし・・・



申し訳ないがちょっと・・・



ぁ・・・



ぬし・・・
ぁ・・・



くそ!
何でだ?
なんであんな取引しちまったんだ!
馬鹿野郎!



ぬし・・・



ぁ・・・
何でもない。
次だ!



カンカン



バタン



コンコン



バタン



あそこはどうだ?
いや駄目だ。



ぬし
待たれよ。
ぬし・・・



なんだ?!
ぁ・・・



すまぬ。
この身体では思うように歩けぬ。



ぁ・・・



いや
悪かった。



久しぶりだね。
ロレンスさん。



お久しぶりです。
市場が閉まった後で恐縮なのですが
折り入って頼みたい事が。



あっちこっちで
申し込んでいるらしいじゃないか。
武具の暴落が原因かな?



はい。
私の見通しの甘さから失敗してしまいまして。



見通しの甘さ?
ま、それもあっただろうね。
しかしまぁ商品の暴落など
神でなければ予測は出来ない。
それを頭から攻めるのは酷というものだ。

ロレンスさんには何度か儲けさせて貰ってもいるし
お困りとあらば多少は力になれなくもないと
思ってましたよ。



では・・・



だがあなたは神の教えの元に正しく生き
相手に誠意を見せるように生きようという
態度が見られない。



ぁ・・・
あ・・・あの・・・
それはどういう?

ぁ・・・



ぁ!



他人の情けで金を借りようと言う時に
女連れで歩くとは!
馬鹿にするのもいい加減にしたまえ!



バタン



ぁ・・・

ぁ・・・



ヒヒーン



馬鹿野郎!
道の真ん中にふらふら出てくるんじゃねぇ!



なんで・・・
なんでこうなるんだ?
なんで・・・



ぬし!
ぬしよ!
大丈夫か?
顔が真っ青じゃ。
一度宿に・・・

ぁ!



お前さえ・・・

ぁ!

ぁ・・・

ぁ・・・
すまん・・・

ぁ!



宿に戻っとる。



ぁ・・・



く・・・

2011年6月3日金曜日

狼と香辛料 10 2/3



狼と香辛料 10 2/3





ミートパイも食べなければ栄養にならぬ。



それは俺の栄養だぞ。



なんじゃ?
欲しいなら早く言わんか。
ほれ。



む・・・



キィ

ガタン



安息日までまだ間があるはずですが
何か特別な事でも?



いや・・・
まぁ、ちょっと・・・

旦那は今日この街に?



いや
数日前に来たんだ。
いろいろあってね。



いやいや
見たところ名のある旦那とお見受けします。



あ、いえいえ。
では失礼します。



そうですか?
ではまたのお越しをお待ちしております。
クラフト・ロレンスさん!

ははははは。
やはりそうでしたか。
ラトペアロン商会から武具をお持ちになってますね?



なんでそれを?



実はポロソンから早馬が来ましてね。
ラトペアロン商会は当商会に
債権譲渡されました。



債権譲渡?!



何がおこっておる?



お連れさんは商売に失敗したんですよ。
我々のようにね。



なんじゃと?!



武具は大分前に大暴落して
価値は無いに等しかったんです。
ラトペアロンはそんな不良在庫の借金をさせて
その権利を当商会に譲渡した。
つまりお連れさんには
莫大な借金だけが残ったんです。
一言で言えば破産ですね。



ぁ・・・



ははは。



ぬし・・・



はめられた・・・
ぁ・・・






お互いそういう取り決めの上で生きているんです。
おわかりですよね?



当然です。
レメリオさん。
私も商人ですから。



ロレンスさんはラトペアロン商会で
ぴったり100リュミオーネ分の武具を買い取られた。
そのうち借金に当たる47リュミーオーネと3/4は
期限付きの信用貸しです。
即座に債務の支払いを行って頂きたい。

さもなければローエン商業組合に
肩代わりを要請しなければなりません。



はい。



まぁ信用貸しの期限は明後日までですから
2日間は待ちましょう。

それまでに47リュミーオーネと3/4を
耳をそろえて返してください。



何とかあの武具を高値で売って見せますよ。
2日後に決済を行う。
それでよろしいですね?



えぇ。



では失礼します。



念のため言っておきますが
何かあった時のため
街を出るあたりには
我々の露天が必ず立っています。
御用があればいつでもご利用ください。



せっかくのお言葉ですが
利用する事は無いでしょう。
そちらもご商談で忙しいでしょうから。



2日後を楽しみにしています。
神のご加護があらん事を。






コツコツコツ



ぁ・・・



ぁ・・・
ん・・・



ドサ



待たせたな。



なぁぬしよ。



ぁ?



つまりどういう事になったんじゃ?



つまり
後ろの荷物がゴミになったという事だ。



やはり聞き間違いではなかったようじゃの。
ついでに言えば
このままだと破産だ。



ぁ・・・

逃げるかや?



商人同士の情報網は神の目に等しい。
どこに居ても商売をすれば
あっという間に見つけ出される。
そうなればもう商人には戻れない。



しかし手傷を負った獣は
骨まで食われるのが相場と言うもの。
ぬしは甘んじるのかや?



そんな訳あるか!
リュミオーネ金貨にして47枚を叩き返せば
すむ事だ。
仕切りなおしは十分可能だ。



わっちは賢狼ホロじゃ。
必ずやぬしの助けになろう。



あぁ。
食費を浮かせてくれるだけでも
かなり助かる・・・



ドス



ぅ!



食った分は稼ぐと言っとるじゃろ!



冗談だよ。



ふん。
上出来じゃ。

いよいよとなれば
わっちが名誉にかけてぬしを逃がす。
この麦の力を使ってでも。
ぬしはわっちを北の森まで連れて行ってくれると
約束した。
こんなとこでつまづかれてはかなわぬ。



あぁ。
約束は必ず守る。
それと・・・
はぁ・・・

いよいよとなった時は助けを求めるかもしれない。



うむ。
任せとき!



じゃぁ
とりあえず商館に行ってくる。
お前は宿で待っててくれ。



ドス



痛!
く・・・



相棒が苦境に立たされていると言うのに
宿でのんびり毛づくろい出来るような
不義理な狼に見えるかや?



いや。
だが・・・



見えるかや?!



やぁ・・・見えないが・・・
そういう問題じゃない。



ならどういう問題かや?



商館は・・・俺たち商人の故郷だ。
そこに連れて行く女には特別な意味が生まれる。



状況を説明すれば良かろう。
どう説明するんだ?
万が一教会に告発されたら
最悪だぞ。



ドス



なら
いっそ恋仲とでも言えば良かろう!



ぁ・・・



むぅ・・・



わかった。
一緒に来てくれ。
お前のほうが頭の回転も良いしな。



うむ。
任せるが良い。



ただし
商売上の付き合いとする。
絶対余計な事は言うなよ。



うむ。



連中の歓迎は本当に手荒いからな。



案ずるでない。






で、真っ先に聞きたいのは
このべっぴんが何処の誰かという事だが?



商売の関係上
共に行商をしています。



はぁ?
商売?



パッツィオのミローネ商会で
トレニー銀貨140枚と査定された毛皮を
こいつはその場で吊り上げ
210枚で売りました。



なに?!



言ったでしょ?
見返りの無い投資はしないと。



うむ。

時折居るんだ。
お前みたいなのが。
まぁいいさ。
得体の知れない箱をむやみに開けてはいかんと
聖典にも書いてあるしな。



賢明じゃな。



な・・・



ははははは。

さて
じゃぁ本題に入るぞ。
さっきレメリオ商会のやつが
債務の肩代わりを打診しに来たから
大筋はわかっている。

つまりお前は欲をかいて
大失敗した。
そうだな?



そうです。



なら話は簡単だ。
おそらく組合が
肩代わりする事になるであろう借金を
お前は自分の力で返さなければならない。

詐欺にあった。
強奪にあった。
病気や怪我をした。

それで負債をしょったとなれば
我々は名誉をかけてお前を助けるが
今回は違う。
お前を助けてやれるのは
神かこのべっぴんだけだ。



理解しています。



残念だが俺はお前に慈悲をかけられない。
むしろ断固たる態度をとる事こそ
俺があのロビーに居る理由になる。
それが組合全体の掟だ。



もちろんです。
仮に別の誰かが特別扱いをされていたら
私だって怒ります。
それに組合人同士の貸し借りも出来ない。



わかっています。



債務の期限は2日後だったな。
レメリオも武具の投資に失敗して
尻に火がついている。
躊躇無く即座に取り立てに来るはずだ。

つまり明後日にはお前の失敗が公になり
俺はお前の身柄を拘束しなきゃならん。
ここから導き出される結論はなんだ?



2日間のうちに47リュミオーネ用意できなければ
明日は無いという事です。



明日が無いと言うのとは違うな。



は?



お前にはちゃんと明日が来る。
ただし真っ黒で辛く重い明日だ。

2011年6月2日木曜日

狼と香辛料 10 1/3



狼と香辛料 10 1/3


狼と渦巻く陰謀。






でわざわざこんな時間に来るという事は
商売の途中だな。
朝食は?



ぁ、はい。



さっさと自分の名前だけで
相手がひるむような商人に
なって欲しいものだ。



全くです。

あ、そうだ
商館に誰か
ラムトラまで行きたがって居る人は居ませんか?



まったく、どいつもこいつも・・・



え?



娘の羊飼いにイチコロか?



いえ・・・
そんな・・・



あの辺をうろついて無事なのは
あの娘だけだ。
教会がそれをどう思うかは
言わなくてもわかるだろう?

くそややこしい問題に巻き込まれたくなければ
関わるな。



ん・・・



まぁ
妖精ノーラはいかにもお前好みの娘っこだがな。



や・・・やめてくださいよ。



ははははは。
で証書にあて先は要るのか?
それとも無記名か?



えぇ。
レメリオ商会宛でお願いします。



売りつけ先が決まっているという事は
信用買いでもしたのか?



えぇ。
それが何か?



あぁ。
まぁ行けばわかる。



ぁ?
何か大きな値動きでもあったんですか?



んやぁ
気にするな。
お前の事だ。
おそらく良いほうに転ぶだろう。



はぁ・・・



それより
娘っこに入れ込むのはまだ先にしておきな。
せっかく儲けても
あっという間だぞ。



見返りが無ければ投資しませんよ。



ははは。
言うじゃないか。
ほれ証書。



ありがとうございます。
諸々幸運を祈っててください。



うむ。






待たせたな。
ホロ。



わぁ!



可愛いな。
わっちは可憐な雪の花じゃと。



ああいう奴らは飢えた犬と一緒だ。
相手なんかしたら連れ去られるぞ。



連れ去られたら
また助けてくれればよい。
ちがうかや?



あぁ。
また助けてやる。



ま、実際に助けたのは結局わっちじゃったがの。



ん・・・ぅん・・・



ふふふ。



さて
どんな見返りを期待しておるか知らぬが
とりあえず投資して貰おうかや?



ぁ・・・
聞こえてたのか?



ふふ。
ぬしが金髪好きとはのぉ。



ぇえ?!



あの貧相な感じがいいのかや?
もしくは苦労している所かや?
それとも羊飼い好きなのかや?



ちょっと待て。
館長が言ったのは挨拶みたいなものだ。
俺は別に・・・!



別に?



ぁ・・・
た・・・多少はノーラもいいと思った。
会話をしていて楽しくないわけでは無かった。
しかし
それが別にお前の事を良く思わないとか
そういう事では決して無い!

は?



いやぁ
ちょっとからかっただけの
つもりなんじゃが・・



ぁ・・・ぁ・・・



じゃが
そんな本気で言ってくれるなんて・・・
わっちゃ嬉しい。



ホロ・・・



けど・・・



あぁ・・・



雄は口では何とでも言うからの。



俺は商人だ。
口にした事は必ず守る。



騎士は誠意を表すのに
盾と剣を預けると
聞いたことがありんす。
商人であるぬしならどうじゃ?



わかった。
俺の誠意を示そう。

お前に桃のはちみつ漬けを・・・

ぁ?



う~ん?
何を買ってくれるって?



お前!
やっていい事と
悪い事があるぞ!



ぬしは可愛くねだれと言ったじゃないか。



素直にねだれと言ったんだ!
手練手管を使えとは言ってない!



でも可愛かったじゃろ?

わっちは策がうまくいくよりも
こっちのほうがドキドキしてしまいんす。

そう怒るでない。
ぬしよ。
嬉しかったのは本当じゃ。
それでもぬしは怒りんす?



はぁ。
わかった。
怒ってない。
怒ってないよ。

これでいいだろ?



うふふ。
はぐれたらかなわぬ。
手、つないでもいいかや?



あぁ。
はぐれたら困るからな。



うふふ。






それにしても商売と言うのは怖いの。



ん?



儲けるためには頭を使わねばならんが
下手に使いすぎて策におぼれれば
あのラトペアロン商会のように
武具を半値で買い取られる羽目になる。



はむ。



だがうまく使えば
俺たちのように資金を使わず
武具を運ぶだけで大儲けできる。
それが醍醐味ってやつだ。



じゃが
一時的にせよ借金しとるというのは
わっちの性には合わんの。



信用買いの事か?



うむ。
100リュミオーネ分の武具を半値で買って
それをラトペアロンに借りた事になるのじゃろ?



あぁ。
それを本来の値段でレメリオ商会に売って
借金は商会同士で処理してくれって事だ。
自分の資産の倍で買い付けるわけだから
儲けも倍だ。

ふ。
性に合わなくとも
我慢のしがいはあるだろ?



ぅ~む。
ま、そうじゃがの。

はむ。






ここは修道士が経営しておるのかや?



それなら祈りの一つも聞こえてくるはずだ。



俺のミートパイを食べる音で
他の音は聞こえないだろ?



なかなかいい皮肉じゃが
名誉の為に言い返すなら
この中に人が居る音ぐらいは拾っておる。



人が居るのか?



うむ。
じゃが剣呑な雰囲気じゃ。
少なくとも楽しげな雰囲気ではありんせん。



迷ってどうなる物でもない。



ミートパイも食べなければ栄養にならぬ。