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2011年6月11日土曜日

狼と香辛料 11 2/3



狼と香辛料 11 2/3







ま、ぬしもよい予行演習になったじゃろ?
ははははは。



ふ。



しかしなぬしよ。



ぁ?



次からはわっちを怒らせてくりゃれ。
ぬしがいろいろ考えてくれるのは嬉しいが
場合によっては互いに怒って怒鳴りあったほうが
早く問題が片付く事もある。



わかった。



で、ぬしよ。
この皮袋の中の金は正確にはいくらじゃ?
3リュミオーネと2/7だ。



借金はあと43と5/7かや?



ぁ?



ひとつ良い案があるんじゃが。



な・・・なんだ?



あまり期待されても困るが。



●×△・・・



お前本気か?!



うむ。
普通にやれば完璧に捕まるじゃろ。
じゃがたった一つだけ実現できる心当たりがある。



ほ・・・本当か?



ふふふ。






はぁ。



ま、わっちがついておる。



あぁ。



カチャリ



ん・・・



何か
重要なお話とか?






今度はあの道を行くのですか?



少し険しい道ですが
あなたなら大丈夫。
これまでも神のご加護で何事もなく
過ごしてきたではないですか。



はい・・・

でもあの辺りは最近傭兵が現れると聞いておりますし・・・



神様は必ずお守りくださいます。
案ずる事はありませんよ。



はい・・・



あなたは本当に素晴らしい羊飼いだ。
私たちも誇りに思っていますよ。






密輸?
まさか・・・



そのまさかです。



馬鹿げてる。
帰ってくれ。



同じ方法で密輸を試みた人間は
過去に数多いたでしょう。
そして彼らは捕まった。



わかっているなら話は早い。
破産寸前の人間は
得てして無謀な計画を完璧なものと誤認する。
今のあんたがそれだ。



しかし金の密輸を信頼するにたる
凄腕の者に任せたら?



ぁ・・・?
はん。
それほどの凄腕なら
わざわざ金の密輸などしなくても
十分に儲けてるだろ?
机上の空論だ。



凄腕でしかも儲かっていない人材がいたとしたら
どうですか?



ありえない。
どんな人間がそれに当てはまると言うんだ?



腕が立ち
この街で仕事にありついているものの
薄給でしかも金を必要としている。
そして
その人物は雇い主に不満を抱き
ほのかな暗い感情を持っている。



ぅむ?



雇い主というのは教会です。
そして金の密輸は
教会にたてつく行為でもあります。
金儲けのみならず
教会へのささやかな復讐行為とそそのかせば
間違いなく食いついてくるでしょう。

しかも裏切りの可能性はほとんどない。
私がその人物の名を告げれば
ご納得いただけると思います。



うぅん・・・
それならあなた方だけで
密輸をされたらどうなのです?
わざわざ分け前が減るというのに
私のところに来るのはおかしいでしょ?



債務の支払期限は今日までです。
日が暮れれば私は商館に捕らえられてしまう。
それなのに私の手元にある金は
これだけです。



チャリン



うむ・・・



これを担保に信じていただきたい。
そして・・・
債務の取立てを一時中止し
密輸のための金を買い付ける資金を
出資していただきたいのです。



ぅ・・・ぅむ・・・



ぬしさまよ。



ん?



ぬしさまに迷っている暇があるのかや?



なんだと?



おい・・・



今さっきまた一人出て行ったようじゃが。



ぉ・・・



わっちは特別耳が良くての。
内緒話も筒抜けじゃ。
下の部屋では自分たちだけ逃げようと
作戦をたてておるぞ。



ぁ・・・



ほら
また出て行った。
このままじゃとこの店はもう
何日もしないうちに・・・



やめろ!
ぅぅぅ・・・



レメリオさん。
いかがですか?
あなた方なら密輸した金をさばくルートを
お持ちのはず。
決して悪くない条件で
金の密輸を共に行っていただけませんか?



ぅ・・・



レメリオさん。



わかりました。
やりましょう。



神のお目こぼしがあらん事を。






リーベルトを呼べ。



は。



コツコツコツ



ぅ・・・む・・・






さて
次はわっちの出番じゃの。



どういう意味だ?



ぁ?
まさかお人よしのぬしが
小娘をたぶらかせると言うのかや?



お人よしのほうがいいという無垢の存在だって
世の中には居るんだ。



雌のなんたるかも知らぬくせに
偉そうじゃの。



さっきの商談でおまえが
レメリオを追いつめてくれたじゃないか。



ぁ・・・



ここは俺が自分で話を取り付ける。
欲に目がくらんで
暴落した商品をつかんだのは
俺自身だからな。

気が重いからと言って
代わって貰ってちゃ話にならない。



なんじゃ。
せっかく貸しを作りまくって
後で回収しようと思ったのに。



おぉ!
危ない、危ない。



うふふ。






キンコンキンコン



こんにちは!



ぇ!
ぁ・・・
ロレンスさん・・・と
ホロさん?



いやぁ
偶然教会の前で出くわすなんて
これはまさに神のお導きにちがいない!



うふふ。
いくら私でも
騙されません。



ふむ。
最近は教会で聖なる血を
飲みすぎる方も居るようですからね。



私はお酒が飲めないので
葡萄酒もほとんど口にしません。
それで・・・あの・・・



えぇ。
実は仕事の依頼を。



本当!?
ぁ・・・
ですか?



ま、こんな所ではなんなので
どこか露店にでも。



はい。






再開を祝して!



ゴクゴク



それでノーラさんは
ラムトラまで行けるんでしたよね?



はい。
行けます。



羊を連れながらでも?



あまり多くなければ。



今回は少し変わった仕事をお願いしたいんです。
報酬は20リュミオーネ。
もちろんちゃちな証書などじゃぁありません。
現金です。

おっと!



ぁ!
すみません。

に・・・二十・・・ですか?



二十です。
しかし危険がありますし
それは成功報酬です。
失敗すれば払われません。



はい。



仕事の内容は羊を連れて歩く事です。
そして可能な限り羊を無事に連れ戻す事です。
羊飼いとしてそれ以上の能力を
必要とはしません。



よほどの危険があるお仕事ですよね?
20リュミオーネ・・・

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