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2011年6月15日水曜日

狼と香辛料 12 2/3



狼と香辛料 12 2/3






ヒヒーン



プォー
プォー



グゥゥゥゥ



追い払えたのか?



少なくとも遠くへは行きました。

ここの狼はいつもこうなんです。
遠吠えもしないし
襲うようなそぶりもなく
ただじっとこちらを見つめているような・・・



ぁ・・・



確かに遠吠えすらせんのは妙じゃが。






うまくいくといいですね。



そうですね。



あの・・・
ホロさんは狼にお詳しいんですか?



な・・・



ん?



ぁ・・・
いえ・・・
その・・・

昨夜物凄く早く狼に
気がついてらっしゃったようなので。



なに
ただの勘みたいなものでありんす。



そうなんですか?



多少気を張っていたからかもしれぬ。
男どもが総じて頼りにならぬからのぅ。
そう思うじゃろ?



え?
ぁ・・・
そんな事は・・・



ふむ。
ならばこれの事はどう思う?



ん?



ぇ?
ぁ・・・



気にせずとも良い。
思うまま言うてみよ。



○×△・・・



ふむふむ。

くはははは。



ぬし
なかなか人を見る目があるの。



あ~ぁ・・・



大体じゃな
男と旅をしとる者に
狼に詳しいかと聞くのはおかしい事でありんす。



どうしてですか?



夜になれば狼は常に現れる。
目の前にこんなかわいい兎がおるんじゃからな。



ぇ?



毎晩狼に食べられる兎が
狼の事を知らぬ訳があるまい。



ぁ・・・
え~と・・・
その・・・
それは・・・
つまり・・・



うふふふふ。



良い反応じゃ。



ま、わっちの場合は逆じゃがの。
この連れはかまってやらぬと
寂しさで死んでしまう兎くんじゃ。



うふ。



いずれにせよ
わっちが狼に早く気づいたというのは
たまたまでありんす。



私ホロさんは羊飼いなのかなぁ?って。



ぁ?



そりゃ驚きじゃ。



ふぅ。



エネクが物凄くホロさんの事を
意識していたので。



あぁ!
それはわっちに惚れて居るのじゃろう。



ぇ?
あの・・・
エネクがですか?



おぬしはとても大切にしておるんじゃろ?
そのせいでひとまずおぬしからの寵愛は
安泰じゃと思って居るのじゃろう。

たまには別の者とじゃれあいたいと
欲が出たに違いない。
たまにはそっけなくしやしゃんせ。
それが良き手綱じゃ。



この先
このコがまた浮気をしたら
言われたとおりにしますね。



それが良い。



アゥ



でも今は褒められるだけ褒めてあげたいんです。



この仕事がうまくいくにせよ
失敗するにせよ
私は羊飼いをやめる事になるでしょうから。



こんなもんでぬしも少しは安心したかや?



負けたよ。






パカパカパカ



あぁ!



確かに。



良かった。
一瞬駄目かと思って・・・



そんな顔をしてましたかな?



大金を運んでいるとなれば
緊張もするでしょう。



面目ない。
では参りましょう。
この金のように
輝く明日が待っています。






い・・・行きと本当に同じ道ですかな?
ど・・・どうもかなり雰囲気が違うように・・・



エネク!



ぁ・・・



すみません。
少し急ぎます。



居るな。



うむ。
向こうの丘の上にも・・・



アゥゥゥ



だ・・・大丈夫なんでしょうな。



大丈夫です。
でも急いでください。



ぁ!



エネク!



ワン



グルゥ



小娘の動きは確かじゃ。
これでは狼どもも手出しはできん。



どういうことだ?



狼は群れの一匹だけが傷つくようなやり方は
絶対にせぬ。
慎重かつ狡猾にじわじわと群れで取り囲んで
獲物を狙う。



エネク!



じゃがこの陣形なら少なくとも
一匹は返り討ちに出来る。
このまま行けば乗り切れる。
狼は絶対に一匹では襲ってこぬ。

ぬしよ。



なんだ?



ぁ!



一か八かだ!



グルル



ぁ・・・



下がれ!



アゥ

グルル



ぁ・・・



人間も
最近の若いやつは・・・
と言うそうじゃな。



ぇ?



この森のやつもそうじゃ。



もう大丈夫ですか?
ノーラさん!
どうなんです?



わかりません。
でも最善は尽くします。



いや・・・
そんな・・・



アオゥゥゥゥ



ぁぁぁぁ・・・



ぁ・・・



ぬしよ。
ここはわっちが面倒を負わねばならぬ。
小娘とあの小僧を先に行かせたら
ぬしも暫く離れとれ。

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