楽天

2011年7月29日金曜日

狼と香辛料II 2 感想



狼と香辛料II 2 感想


年代記作家?
あの町の日記を
ちまちまつけている奴らか?

日記と言うか歴史だな。

貴族や教会に金を貰って
一日中座って字を書いているだけで
儲けちまうんだからなぁ。



この台詞
麦商人のマルクから見れば
それだけで儲けられるのだから・・・
という何とも複雑な様子が見えます。



ギ・バトスって貴金属を扱っている
古株の行商人だ。
恐れ知らずの男でなぁ。
関わっちゃならない奴らと仕事をしている。



関わっちゃならない奴と仕事・・・
教会勢力が強い時代から見れば
危ない人たち・・・という見解なのでしょう。



ぬしの可愛い顔が見られたから
1日くらいは大丈夫じゃ。

ったく・・・

今の所ぬしの腕の中が一番じゃ。
安心するがよい。



この言葉を信じていればこの先のトラブルは
ロレンスにとってさぞ自信が持てたものでしょうが
人とは弱いものでして・・・
またそうでなければ物語がつまらない。
複雑な気分ですね。



知られざる時間がそこにはあります。
その時代の人間はもう誰も居ない。
しかし伝説と言う名の記憶はずっと行き続けていて
私たちに何かを語りかけてくれる。

何となくわかります。



当時の人たちはもう居ない・・・
これが普通の考え。
でもロレンスは・・・

ホロを知っている。
しかしホロの生きてきた時間
これを理解するにはまだ若すぎるのでしょう。



あら
バトスさん。

お久しぶりです。
お元気そうで何よりで。

それはこっちの台詞よ。
あら・・・
いい男。

でもその顔は私を魔女だと思ってる顔ね。

何ならそのように紹介しましょうか?

やめてよ。
ただでさえ辛気臭い場所なんだから
だいたいこんな綺麗な魔女が居る?

美しさゆえに魔女と呼ばれる奥方も多いようですよ。

相変わらずお上手ね。
さぞやあちこちに巣がおありなのでしょうね。



この辺りの台詞
好きですね。
ロレンスはそのやり取りにたじたじとなっているのに
バトスさんは当たり前のように話をかわしていく。

鳥が多いのも彼女が・・・
これはここでは伏せておきましょう。



私がお聞きしたいのは
ヨイツという町についての伝説なのですが・・・

あぁ・・・
月を狩る熊に滅ぼされた町ですね。
えっと・・・
確かこの辺に・・・



台詞には出てこないが
ロレンスは子供の頃聞いた話で
ヨイツは月を狩る熊に滅ぼされた事を聞いていた。

しかし・・・
ホロは知らない様子(?)




思い出した。
クロアニアよりももっと北を流れる
ローム河の源に
レノスという町があるのをご存知?

はい。
毛皮と材木の町ですよね。

そこにこんな昔話があるわ。

遥かなる昔
村に一匹の大きなる狼が現れり。
名をヨイツのホロウと名づけたり。
身の丈見上げるほどに高し。

村への天罰かと思いしが
ホロウは東の深き森より出で
南へ向かう途中と語れり。

酒を好み折節娘の姿になり変わりて
村の娘と踊れり。
見目麗しく年のころ若く
狼の尾はそのままに。

その年より実り多き年月続き
我ら麦束尻尾のホロウと名づけたり。

お役に立てた?

え、えぇ。
レノスから東の深い森となれば
限られますからね。
十分な手がかりです。

それは良かったわ。



ヨイツの大まかな場所の手がかりがつかめたロレンス。
しかもそこにはホロの名前も・・・



ローム河の源流にレノスって町があるだろ?

なんだ。
ニョッヒラの情報が
もういくつか集まっていたんだが。

悪いな。
ちょっと事情が変わった。

連れと仲たがいという噂は本当だったか?



マルクの店へ寄ったロレンス。
ニョッヒラよりもレノスへ向かうのだろうか?
それともどちらかを経由してヨイツへ行くのだろうか?

しかしマルクの店で聞かされた話は・・・
アマーティとホロが祭り見物に行ったのが
噂話となり・・・
まぁ往々にして噂とはこんなものですね。



なんたって優しいからね。
女なら誰だって惚れたくなるさ。

聞いたか?
俺は嫉妬の炎で燃え上がっちまうぜ!

そしたらあたしはその火で
アマーティーさんに美味しいパイを焼いてやるよ。



この台詞の言い回しも好きですね。



同じ行商人だったよしみで忠告するが
アマーティーには気をつけろ。
あの歳の奴らが一度夢中になったら
どんな無茶でもやってのけるぞ。



これが今回の話の中心になるのですが・・・
若さゆえの過ち
ってやつですか。



実に質のよい毛皮じゃ。
わっちの尻尾には劣るがな。

そんな物貰ったら
貰いっぱなしと言うわけにはいかないだろ?
タダでお前の機嫌が買えると思ったら
とんだ赤字だ。

こすい事考えるからじゃ。



ホロの言うとおり。
タダより安いものなし。
タダより高いものなし。



それは運命が見えるサイコロじゃ。
よくぞ作ったというほど見事な形じゃろ?
この先相当な値で売れるに違いない。

たわけ。

こんな物が売れるか。

自然にこうなった石なんだ。
人が作った物じゃない。
特に使い道も無く
みやげ物として売られる。

俺の言葉に嘘が無い事は
お前にならわかるだろ?

金によく似ているから
詐欺に使われたりもするが
他に買っている奴なんか居なかったろ?

いや
たくさん居った。

本当か?

運命が見えると言った占い師は
腕が良くてな。
その見事さにはわっちも唸るほどじゃ。
他にもいろいろ理由をつけて売っておった。

こんな物をか?

うむ。
病気が治るとか
魔よけになるとか
恋心に火がつく・・・
とかの。

祭りの高揚した気分の中でそう言われたら
つい手を出したくなるのかもな。

うむ。
それもアマーティーが競り落とした。

競り落とした?!

競りなんて初めて見たが
みんなそれは熱くなっての。
恐いくらいじゃった。

黄鉄鉱か。
バトスさんのつてがあれば
一儲けできるかも・・・



これも次の話への布石ですね。
ある意味
黄鉄鉱が今回の主役とも言えそうですから。



朝早くから申し訳ありません。
主人から言伝が・・・

な!
ぁ・・・うん。

言伝と言うのは?

は・・・はい。
実は・・・



マルクのところの小僧から伝えられたことづて。
それを聞いて上着も着ずにどこかへ走るロレンス。
一体何が?

非常に気になる展開です。



【アニメ商品対象】狼と香辛料2-1

【送料無料】狼と香辛料(3)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年7月28日木曜日

狼と香辛料II 2 3/3



狼と香辛料II 2 3/3






ハァハァハァ



はぁ。
馬鹿だな。
俺も。






月を狩る熊に滅ぼされた町ですね。






ぁ・・・

めいっぱい楽しんだか?



ぁ・・・



アマーティーはどうした?



ぁ・・・
多分下で別れた・・・



多分・・・てお前なぁ・・・
ぁ!
それ買ってもらったのか?



何がじゃ?

ぅ・・・苦しい・・・
ぬしよ
ちょっと手伝ってくりゃれ。



はぁ・・・
よっと。



ぁ・・・
こらこら。



ぁ・・・



おい、寝るな。



はぁ・・・



あ、こら!



くぅ・・・



は。
ったく。
お前他にも何か買ってもらったのか?



ぁ?

ん?






実に質のよい毛皮じゃ。
わっちの尻尾には劣るがな。



そんな物貰ったら
貰いっぱなしと言うわけにはいかないだろ?
タダでお前の機嫌が買えると思ったら
とんだ赤字だ。



こすい事考えるからじゃ。



ん・・・



ふん。



襟巻きの礼の分は
祭りで使うつもりだった予算から
引いておくからな!



むぅ・・・



俺との関係は聞かれなかったか?



何でそんな事聞くのかや?



いろいろ勘ぐられるとまずいだろ?



ふむ。
一応わっちは旅の修道女で
わっちを売り飛ばそうとしていた悪いやつから
ぬしが助けてくれた事にした。



なるほど。



で助けられたものの
ぬしに大借金を背負うはめになり
とても返せぬので
道中の安全を祈る事で清算している
哀れな身の上でありんす。
よいよい。



お芝居は必要ない。



そんな話をしたら
突然襟巻きを買われてしまっての。
くふふ。



まぁ良いだろう。
だがこれは何だ?



それは運命が見えるサイコロじゃ。
よくぞ作ったというほど見事な形じゃろ?
この先相当な値で売れるに違いない。



たわけ。



ぁ・・・



こんな物が売れるか。



ぇ?



自然にこうなった石なんだ。
人が作った物じゃない。
特に使い道も無く
みやげ物として売られる。

俺の言葉に嘘が無い事は
お前にならわかるだろ?



うむ。



金によく似ているから
詐欺に使われたりもするが
他に買っている奴なんか居なかったろ?



いや
たくさん居った。



本当か?



運命が見えると言った占い師は
腕が良くてな。
その見事さにはわっちも唸るほどじゃ。
他にもいろいろ理由をつけて売っておった。



こんな物をか?



うむ。
病気が治るとか
魔よけになるとか
恋心に火がつく・・・
とかの。



祭りの高揚した気分の中でそう言われたら
つい手を出したくなるのかもな。



うむ。
それもアマーティーが競り落とした。



競り落とした?!



競りなんて初めて見たが
みんなそれは熱くなっての。
恐いくらいじゃった。



黄鉄鉱か。
バトスさんのつてがあれば
一儲けできるかも・・・



コンコン



ん?



キィ



朝早くから申し訳ありません。
主人から言伝が・・・



な!
ぁ・・・うん。



言伝と言うのは?



は・・・はい。
実は・・・



・・・






ロレンスさん!



はぁ・・・



待ってください!



ロレンスさん!



はぁはぁはぁ・・・

2011年7月27日水曜日

狼と香辛料II 2 2/3



狼と香辛料II 2 2/3





私たちに何かを語りかけてくれる。



何となくわかります。



町の人間は
この中の人々を
あまり良く思ってませんからねぇ。
教会に追われたよそ者ども。
リュビンハイゲン辺りに行けば
縛り首になるような連中だと。



ぁ・・・

ぅ・・・
これは・・・
硫黄ですか?



ははは。
薬石までご存知とは
ロレンスさんはいい商人ですね。

実際の所あの壁は
この風を防ぐと言う目的が
一番大きいかもしれません。



鳥が・・・
多いいようですね。



ふふ。
毒の風が常に臭うとは限りませんからね。



教会が言うところの
死神の手
ですか?

確かにこの辺りは
あちこちから手が伸びてきそうだ。
この区画にはどのくらいの錬金術師が住んでいるんですか?



そうですねぇ。
お弟子さんも含めて20人居るかどうか?
なにぶんにも事故が多いので
正確な数はわかりません。



錬金術師相手の商売と言うのは
儲かりますか?



皆さん錬金術を魔法のようにお考えですが
実際は金属を熱したり
酸で溶かしたりするだけですよ。



はぁ・・・



もっとも魔法を研究されてる方が
いらっしゃるというのも事実ですが。

ん?

私も噂で聞いた程度です。
この区画に住んでいる方は
皆さんいい人たちですよ。



それは何よりです。



ま、取引相手ですから
悪い人たちとは
口が裂けても言えませんが。



あはは・・・



そんなに緊張せずとも
実に気のいい方ですよ。



はぁ・・・



ごめんください。



パサパサ



ぁ!



ぁ・・・



キィ



うわ!



あら
バトスさん。



お久しぶりです。
お元気そうで何よりで。



それはこっちの台詞よ。
あら・・・
いい男。



ぁ・・・



でもその顔は私を魔女だと思ってる顔ね。



ぁ・・・



何ならそのように紹介しましょうか?



やめてよ。
ただでさえ辛気臭い場所なんだから
だいたいこんな綺麗な魔女が居る?



美しさゆえに魔女と呼ばれる奥方も多いようですよ。



相変わらずお上手ね。
さぞやあちこちに巣がおありなのでしょうね。



ん・・・
うほん。
それで姉さん
今日はこちらの方が・・・



行商人のクラフト・ロレンスと申します。
リアン・ルーベンス氏はご在宅でしょうか?



なんだ話してなかったの?



ぁ・・・



あぁ・・・



私がリアン・ルーベンスです。



ぇ?



男みたいな名前でしょ?



あぁ・・・
あぁ、いえ・・・



うふ。
リアナとでもお呼びください。






それでご用件と言うのは?



突然お邪魔した非礼をまずお詫びします。
実はルーベンスさんが・・・



リアナです。



ぁ・・・
あ、失礼しました。



いいえ。



ぁ・・・

実はリアナさんが
北の地方の伝説に詳しいとお聞きしまして。



北の?



はい。



商いの話しかと・・・



ご冗談を。



お望みの話を私が知っていればいいけど・・・



私がお聞きしたいのは
ヨイツという町についての伝説なのですが・・・



あぁ・・・
月を狩る熊に滅ぼされた町ですね。
えっと・・・
確かこの辺に・・・



バサバサ



え~っと・・・
これだわ。

月を狩る熊
イワラビル・ヘッド・ヘンド
って発音かしら?
その熊に滅ぼされた町、ヨイツ。

かなり古いお話ですけど
その熊のお話ならいくつかありますよ。

ロレンスさん。



ああぁ・・・
せめてヨイツの場所だけでも
わかりませんか?



ヨイツの場所ですか?



はい。
とある理由から探しているんです。



場所・・・
場所・・・
場所・・・



ぁ・・・




(ストップ)



ぁ・・・



思い出した。
クロアニアよりももっと北を流れる
ローム河の源に
レノスという町があるのをご存知?



はい。
毛皮と材木の町ですよね。



そこにこんな昔話があるわ。

遥かなる昔
村に一匹の大きなる狼が現れり。
名をヨイツのホロウと名づけたり。
身の丈見上げるほどに高し。

村への天罰かと思いしが
ホロウは東の深き森より出で
南へ向かう途中と語れり。

酒を好み折節娘の姿になり変わりて
村の娘と踊れり。
見目麗しく年のころ若く
狼の尾はそのままに。

その年より実り多き年月続き
我ら麦束尻尾のホロウと名づけたり。

お役に立てた?



え、えぇ。
レノスから東の深い森となれば
限られますからね。
十分な手がかりです。



それは良かったわ。



このお礼は近いうちに是非。



私はこのとおり
教会から追われても
異教の地の伝説が大好きなの。

それも教会に配慮して中身を捻じ曲げていない
きちんとした言い伝えどおりのお話がね。

ロレンスさんは行商人のようですし
何か面白い話の一つもあるんでしょ?
それを聞かせてもらえれば
お礼なんか結構よ。



わかりました。
では南の麦の大産地で
長い間豊作を司っていた狼の話をいたしましょう。






いやぁ
実に久しぶりです。
伝説武勇や魔法使いの話で盛り上がったのは。



子供の頃は
いつもそんな事ばかり考えていた気がしますが
いつからでしょうね。
それが作り話にしか見えなくなってしまったのは。



ふぅ・・・






よぉ!
色男。



ローム河の源流にレノスって町があるだろ?

おい
入れすぎだ。



すみません。



なんだ。
ニョッヒラの情報が
もういくつか集まっていたんだが。



悪いな。
ちょっと事情が変わった。



ほぉ。
連れと仲たがいという噂は本当だったか?



何だって?



隠すな隠すな
この色男。
お前が上等な宿に
えらく美人の修道女と泊まっているのは
周知の事実だ。
まったく神をも恐れぬ男め。



俺と連れは酒の肴になるような間柄じゃない。
だが仲たがいって何だ?



ついさっきだがな。
お前の連れとうちの組合の若い奴が
連れ立って歩いていたって話が
入ってきたんだ。
随分楽しそうにしてたらしいぞ。



あぁ。
アマーティー・・・さんか。



なんだ。
もうあきらめてんのか?



そうじゃない。
俺は今日1日用事があって
連れの相手が出来なかった。
そこで
アマーティー・・・さんが暇だったから
案内をかって出てくれた。



ぁ・・・



ん・・・



つまらない結果で悪いが
つまりそういう事だ。
ぅん。



ふ~ん。

だとしても俺はアデーレの奴が
アマーティーと一緒に歩いていたと聞いたら
もう居ても立っても居られなくなるぜ。



あたしが軽薄って事かい?



ぁ・・・馬鹿!
そんなはずがあるか?
お前!

お前だってアマーティーのしたたかさは
知っているだろ?



そりゃね。
南のほうの結構名家の生まれで
そこを飛び出して一人で商売を始めちゃって
成功してるわけだし。



ん・・・



なんたって優しいからね。
女なら誰だって惚れたくなるさ。



聞いたか?
俺は嫉妬の炎で燃え上がっちまうぜ!



そしたらあたしはその火で
アマーティーさんに美味しいパイを焼いてやるよ。



ア・・・アデーレ・・・






同じ行商人だったよしみで忠告するが
アマーティーには気をつけろ。
あの歳の奴らが一度夢中になったら
どんな無茶でもやってのけるぞ。



バタン



ハァハァハァ



はぁ。
馬鹿だな。
俺も。






月を狩る熊に滅ぼされた町ですね。

2011年7月26日火曜日

狼と香辛料II 2 1/3



狼と香辛料II 2 1/3


狼と嵐の前の静寂。





うわぁ!


ぁ・・・

はぁ・・・






年代記作家?
あの町の日記を
ちまちまつけている奴らか?



日記と言うか歴史だな。



ふ。
貴族や教会に金を貰って
一日中座って字を書いているだけで
儲けちまうんだからなぁ。



年代記作家はあちこちの言い伝えなんかも
集めているだろう?
その辺を聞きたいんだ。



ほぉ?



ちょっと北のほうに用事があってなぁ。
道や土地の様子を知りたいんだ。



儲け話か?



だと良かったんだが・・・
純粋な道楽さ。
商人としては割りに合わないくらいだ。



よほど楽しい道楽のようだねぇ。



どうだか。

で、どうなんだ?



うん。
ローエンの奴がいいよな?



誰か居るのか?



俺ほどの商店主になれば簡単だ。
無料でやってやるよ。



それはありがたき幸せ。



ふふぅん。
ギ・バトスって貴金属を扱っている
古株の行商人だ。
恐れ知らずの男でなぁ。
関わっちゃならない奴らと仕事をしている。






はむ。

ぬしは食べんのかや?



あぁ。
途中で食べてきた。



それは何じゃ?



ん?
手紙だよ。



ふぅん・・・



市場でパンを買っている最中に
マルクんとこの小僧が届けてくれたんだ。



ふむ。
何と書いてあったんじゃ?



今読むと結構笑えるぞ。



ぁ・・・



ん?
ぁ?



わっちは字が読めぬ。



あれ?
そうなのか?



まず覚える字の種類が多すぎる。
そして
不可解な組み合わせが多すぎる。



一応覚えようとしたのか?



じゃが腹が立ってやめた。
字が読めなくとも
獲物は捕れるからの。



で?
何と書いてあったのじゃ?



今年は北の大遠征が中止になったので
武具の扱いにご注意を。



ん?



・・・



ふふ。
大損する前に言って欲しかったの。



まったくだ。
情報が無ければ
我々商人は戦場で目隠ししているようなものさ。



それより!



ん?



今日は祭りじゃな!



ぁ・・・



ぁ?



うん
悪いがちょっと回りたい所が出来てな。



・・・



冗談でもそういうの
やめてくれないか。



やはりぬしはこういうのに弱いかや?
覚えておこう。



はぁ・・・



わっち一人で・・・
というのはどうかや?



駄目だ
と言っても行くんだろ?



ぁぅ・・・
それはそうなんじゃが・・・



あんまり派手に使うなよ。



だからぬしは好きじゃ!
うふふ。



そいつはなぁ
トレニー銀貨ほどの価値は無いから
細かい買い物をしても嫌な顔をされない。
ほどほどに楽しんでおく・・・



くぅ・・・



どうした?



ぅ・・・ぅ~ん・・・
やはり一人で行ってもしょうがない気がしてのぉ。
そっちに連れてってもらえるなら
銀貨は返しんす。
何の用事なのかや?



あぁぁ・・・いや
同じ商会の人間に会うんだが・・・






それで・・・?






わっちと連れ立っておるのが悪いなら
離れておる。
それでも良いから連れてっておくれ。



ほんとにすまないが
このままその人の紹介で別の所に
行くかもしれない。
外で待ってもらうにしても
ほとんどずっとになる。

明日からはたっぷり付き合ってやるから
今日は一人で我慢してくれないか?



ぅむ。
うむ。
ぬしの邪魔をするのも本意ではありんせん。
一人でだらだらしてきんす。



悪いな。



そうじゃ。



ん?



帰りが二人になっておったら
ぬしは悪いが部屋から出てくりゃれ。



・・・



くふ。
ぬしの可愛い顔が見られたから
1日くらいは大丈夫じゃ。



ったく・・・



今の所ぬしの腕の中が一番じゃ。
安心するがよい。

ははははは。






まだだな。
じき来るじゃろ。
棺おけを縦に潰したような奴じゃ。



棺おけを縦ですか?



あぁ。



ガチャ



ぁ?



ぁ・・・



宿の件
助かりました!



こちらこそ。
随分料理を頼んで頂けた様で。



味にうるさい連れが絶賛していましたよ。
魚の目利きが出来てるって。



本当ですか?!
嬉しいな。
またとびきりの魚を買い付けてきますよ。



鯉が特に美味いと言ってました。



鯉ですね。
わかりました。

ところでこの後は何か?



えぇ。
バトスさんとちょっと・・・



そうですか・・・



何か?



町をご案内しようと思ったのですが・・・

えっと・・・
ロレンスさんのお話を伺えば
その・・・
見聞も広まる気がしますし・・・



ホロも・・・
町を見て回りたいと
朝からごねていたのですが。



ぁ・・・
あの・・・
もしよろしければ
ホロさんだけでも・・・



・・・



ぁ・・・その・・・
実は今日はもう仕事が無くて暇なので・・・



ぁ・・・そんな・・・
申し訳ないです。



いえ
一人で居ても儲けた分を飲んでしまいますから。



そうですか。

ただ・・・
もう宿には居ないかもしれませんが・・・



ではいらっしゃったらお誘いしてみます。
宿に仕入れの相談もありますので。



ありがとうございます。



いえいえ。

この次はロレンスさんも是非!

ぁ・・・



クラフト・ロレンスさんですね?



えぇ。
ぁ・・・



始めまして。
ギ・バトスです。

北の地方の伝説を?



えぇ。



それは珍しい。

何か商売の種にでも?



いえ。
ただの酔狂です。






まだお若いのにいい趣味だ。
私が伝説や昔話に興味を持ったのは
最近です。

行商で何十年も同じ場所を行き来してきて
そのほんのわずかな地域の事を
熟知したつもりでいました。

しかし
ふと思ったんですよ。
そこには何百年も前から人が行き来していて
当たり前ですが
私はその積み重なった時間の事を
全く知らないのです。

遠い昔に戻ることは出来ませんし
もうこの歳ではどこか遠くへ行く気力も
ありません。
そうなるとお話としてでも
知りたくなったのです。

そう。
知られざる時間がそこにはあります。
その時代の人間はもう誰も居ない。
しかし伝説と言う名の記憶はずっと行き続けていて
私たちに何かを語りかけてくれる。



何となくわかります。

2011年7月22日金曜日

狼と香辛料II 1 感想



狼と香辛料II 1 感想



美味そうな肉でも食べようとしたところで
目が覚めたのか?

ヨイツの夢じゃ。
故郷のな。



ホロの夢から始まる第2期。
その夢はホロが熱で倒れたときに見たものと同じ。
ホロは非常に長命だが人の一生はあまりにも短い。
次の町、クメルスンで出会うもう一人の化身
これを暗示しているように感じます。



ぅん。
フェルミ・アマーティーです。
商売上はアマーティーで通っています。

クラフト・ロレンスです。
同じくロレンスと呼ばれています。
こちらは旅の連れのホロ。
訳あって共に旅をしておりますが
夫婦ではありません。

わっちの顔に
何かついておりますか?

ぇ・・・いいえ・・・
ぁ・・・ホロさんは・・・

遍歴の修道女です。
一応・・・

それでは多少の困難は
神様からの試練ということですね。
さすがに2部屋都合するのは
難しいですから。



今回のストーリーのもう一人の重要な主人公
アマーティーの登場ですが
ホロに一目ぼれのようで・・・
何とも青いというか素直と言うか・・・



随分と色の薄い葡萄酒じゃな。
くんくん。

燃える葡萄酒と呼ばれているやつだ。

くっくっくっ・・・

ぁ・・・おい・・・
そんな一気に・・・

かぁ!
ふぅ!

ほら見ろ!
だから・・・

懐かしい味じゃぁ。

ぇ?

ふぁ~。はぁ。
ヨイツの酒に似ておる。
あの頃はよく飲んだものじゃ。
ふは。懐かしいのぉ。
みんなどうしとるか?
ヨイツに着くのが楽しみじゃぁ。
くっくっくっかぁ!



燃える葡萄酒という事は
葡萄酒を蒸留したものと考えてよいのだろうか?
とすればウイスキー?
ご機嫌のホロだが・・・



はぁ。
お馴染みの顔だな。
水と万が一の為に桶を持ってきてやったぞ。
それとラッドラ祭なんだが・・・

・・・

ふぅ。
明日から本番だから
慌てることは無い。
ま、とにかくおとなしく寝てろ。
ちょっと商売仲間の所に行って来る。



毎度のごとく(?)二日酔いで伸びているホロ。
蒸留酒を薄めずにあのような飲み方をしたら・・・
まぁ当然ですね。



今年は例年の北への大遠征が中止になってな
剣や鎧が投げ売られて
鋳潰される鉄が増えた。
そうなれば釘の相場も下がる。
10リュミオーネだって高いくらいだ。

それはもう少し南のほうの話だろ?

ぁ?

確かに釘の材料は増えたかもしれんが
この冬場に鉄を溶かして釘にしたら
薪が足りなくなって値上がりを招く。
そんな事で街中から罵声を浴びたい奴なんか
居ないから釘の値段も変わらないはずだ。

あぁ、まったく。
麦商人に釘なんか売りに来るなよ。
麦なら安く買い叩く方便はあるが
釘なんて専門外だ。

じゃぁ16リュミオーネでどうだ?

高い。
13リュミオーネ。

15。

14と3/4。

OK。
それで頼む。

ははは。
さすがだ兄弟。



1期の時にロレンスが破産寸前になった武具の暴落。
その理由や、それで物の価値が変わったようですが
確かに麦商人に釘を売るなんて
無理もいいとこで・・・
でもそれがロレンスの作戦なのでしょうか?



お前の故郷を特定する
手がかりになるような事をだ。

手がかり?

道はまっすぐに伸びてないし
当てになるような地図も無い。
場合によっては遠回りの道でないと
たどり着けない事もある。

ふぅむ。

例えばどこか近くの町の名前を覚えてないか?

う~ん・・・う~ん・・・
そうじゃ!ニョッヒラ!

ニョッヒラ?!

知っておるのか?

あぁ
温泉で有名な所だ。
異教徒の街だと言うのに
お忍びで行く大司教や
国王が大勢居るらしい。

そうかや!
今でもそうかや!
あそこの湯はわっちらの頃も
傷が早く癒えるので
にぎわっておった。

じゃぁこっちが北で
ここがニョッヒラ。
ヨイツはどの辺だ?

う~ん・・・この辺。

南西か。
どれくらいだ?

へへへ。
わっちの足で2日じゃ。
人だと・・・わからん。

2日か。
あれで2日ならかなりの距離だ。
俺の脚ならひと月はかかるな。

心配要らぬ。
美味い食い物さえあれば
わっちは平気じゃ。

範囲が広すぎる。
狼のお前なら
道があるところを通ったとは限らないし
下手をするとまだ1年や2年は・・・

う~ん。
この葡萄酒も美味い!
ぬしは飲まんのかや?

ニョッヒラからなら
お前一人で帰れないか?

そ・・・そうじゃな。
ニョッヒラまで行けば
後はわっち一人でも帰れるじゃろ。
平気じゃな。

孤独は死に至る病じゃ。

い・・・いやいや違うんだ。
まだまだ一緒に旅は続けるし・・・

ぅん。
それで十分じゃ。
ニョッヒラまでは案内してくれるんじゃろ?
わっちはもう少し
いろいろ町を見て回りたいからの。




ホロから大まかなヨイツの場所を聞いたロレンス。
しかし・・・
この様子だと無事ヨイツへたどり着けるか?
ニョッヒラまでは行けそうな感じですが・・・



【アニメ商品対象】狼と香辛料2-1

【送料無料】狼と香辛料(3)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年7月19日火曜日

狼と香辛料II 1 3/3



狼と香辛料II 1 3/3





もっと凄い店を構える日も近いんじゃないのか?






乾杯!



くっくっくっ
ぷはぁ!

いよいよ明日は祭りじゃ!
つまり今夜は前夜祭じゃ。



お前
飲むための口実にしてるだろ?



ふふふ。
ぬしと出会えて本当に良かった。



ん?



ぬしのように生真面目で抜けた男でなければ
わっちの相手は勤まらんかったじゃろう。



お前なぁ。



ぷはぁ。
初めて出会ったのが
もう随分遠い昔のような気がする。



確かにな。



あの頃はわっちの誘惑に
今よりもっとすぐ赤くなって
可愛かったのぉ。



お前だってあの頃は酒の量が半分だった。



ぬしもそのような口答えはせんかった。



あは。
不思議なもんだな。



う~む。
確かに不思議じゃ。
普通に生きていくだけなら
狼の身体のほうが何倍も楽じゃ。
肉も噛み切りやすいしの。

このほっぺたというものには
未だに慣れぬ。
じゃがの・・・



ん?



まだまだ暫くは
この身体で居るのも良いかなと
わっちは思っておる。



そのほうがちょっとの酒で酔えるしな。



ふん。
たわけじゃ。
たわけじゃ!
たわけが居る!

この
たわけめ!



まぁ、飲め飲め。



ん。
許す。



で酔いつぶれる前に
聞いておきたい事があるんだが。



何かや?



お前の故郷を特定する
手がかりになるような事をだ。



手がかり?



道はまっすぐに伸びてないし
当てになるような地図も無い。
場合によっては遠回りの道でないと
たどり着けない事もある。



ふぅむ。



例えばどこか近くの町の名前を覚えてないか?



う~ん・・・
う~ん・・・
そうじゃ!
ニョッヒラ!



ニョッヒラ?!



知っておるのか?



あぁ
温泉で有名な所だ。

異教徒の街だと言うのに
お忍びで行く大司教や
国王が大勢居るらしい。



そうかや!
今でもそうかや!

あそこの湯はわっちらの頃も
傷が早く癒えるので
にぎわっておった。



じゃぁこっちが北で
ここがニョッヒラ。
ヨイツはどの辺だ?



う~ん・・・
この辺。



南西か。

どれくらいだ?



へへへ。
わっちの足で2日じゃ。

人だと・・・
わからん。



2日か。

あれで2日ならかなりの距離だ。
俺の脚ならひと月はかかるな。



心配要らぬ。
美味い食い物さえあれば
わっちは平気じゃ。






範囲が広すぎる。
狼のお前なら
道があるところを通ったとは限らないし
下手をするとまだ1年や2年は・・・



う~ん。
この葡萄酒も美味い!
ぬしは飲まんのかや?



ニョッヒラからなら
お前一人で帰れないか?



そ・・・そうじゃな。
ニョッヒラまで行けば
後はわっち一人でも帰れるじゃろ。
平気じゃな。






孤独は死に至る病じゃ。






い・・・いやいや違うんだ。
まだまだ一緒に旅は続けるし・・・



ぅん。
それで十分じゃ。
ニョッヒラまでは案内してくれるんじゃろ?
わっちはもう少し
いろいろ町を見て回りたいからの。



いいか
俺は出来る限り協力するつもりだ。
ぁ・・・
さっき言った事は・・・



雄は優しくてナンボじゃと言ったが
むしろあまり気遣われるのは
困りんす。
わっちはいかんな。
どうしてもわっちらのものさしで
物を考えてしまう。

ぬしらはわっちが瞬きする間に
年老いてしまうからの。
そんな短い生涯の1年は
とても大事じゃ。
その事をどうしても忘れてしまっての。



そうかもしれんが
その・・・
何と言うか・・・



そんな顔されたら
わっちのほうが困りんす。



すまん。



当たり前の事を忘れていたのは
わっちのほうじゃ。
ぬしの傍は居心地がいいからの。
つい・・・
甘えてしまう。



ぁ!



わっちは酔ったみたいじゃ。
さっさと寝ないと何を言い出すか
わからん。



ぁ・・・

2011年7月15日金曜日

狼と香辛料II 1 2/3



狼と香辛料II 1 2/3






ぅん。
フェルミ・アマーティーです。
商売上はアマーティーで通っています。



クラフト・ロレンスです。
同じくロレンスと呼ばれています。
こちらは旅の連れのホロ。
訳あって共に旅をしておりますが
夫婦ではありません。



ぁ・・・



わっちの顔に
何かついておりますか?



ぇ・・・
いいえ・・・

ぁ・・・
ホロさんは・・・



遍歴の修道女です。
一応・・・



それでは多少の困難は
神様からの試練ということですね。
さすがに2部屋都合するのは
難しいですから。



ぇ?
と言うと?



取引先の宿屋に頼めば
一部屋くらいは都合つけてもらえるはずです。



よろしいのですか?



はい。
いくつかの取引先で
たっぷりと美味しい魚を召し上がっていただければ。



お若く見えるのに商売がお上手だ。
よろしくお願いします。



お任せください。






ん?
ふふふ。



お待たせしました。



ぁ・・・

あ・・・



広くていい部屋です。
紹介していただいて感謝します。



ぁ!
気に入って頂けましたか?



それはもう!
アマーティーさんに出会えて
もう本当に良かった。



ぇ・・・
いえ・・・
ぁ・・・
あの・・・
ホロさんは本当に清楚で素敵な方です。



うふふふふ。






はぁふ。
はぐ。



お前、落差ありすぎだぞ。



時と場所をわきまえただけじゃ。
酒も魚も実に美味い。
あの若僧
なかなかの目利きじゃなぁ。



あの若さでなぁ。
扱っている量も並じゃなかった。



それに引き換え
ぬしの積んでおった荷
あれは何じゃ?



ん?
釘だが。



釘ぐらいわかりんす。
もっとぱっとした物を取り扱えという事じゃ。
リュビンハイゲンで失敗したのが
よっぽど堪えたのかや?



ま、荷は地味だが
それなりに利益は出るはずだ。
それにぱっとしない物ばかりを
乗せている訳じゃない。

俺の荷馬車には
お前も居るだろ?

ふ。
ん?

あれ?



くくく・・・
さっき別の酒を頼んだじゃろうが。
ま、ぬしではその程度じゃな。



お前・・・
もう少し俺に気を使っても
罰は当たらないだろ!



雄はやさしくすると
すぐ図にのりんす。
味をしめて繰り返しそんな台詞を聞かされては
たまらぬ!



な・・・わかった。
なら俺も今後・・・



たわけ!



な・・・



雄は優しくてなんぼじゃ。



むぅ・・・



それにわっちが
しゅんとしておれば
ぬしは優しくしたくなろう?
はむ。



はぁ・・・



随分と色の薄い葡萄酒じゃな。
くんくん。



燃える葡萄酒と呼ばれているやつだ。



くっくっくっ・・・



ぁ・・・
おい・・・
そんな一気に・・・



かぁ!
ふぅ!



ほら見ろ!
だから・・・



懐かしい味じゃぁ。



ぇ?



ふぁ~。
はぁ。
ヨイツの酒に似ておる。
あの頃はよく飲んだものじゃ。
ふは。
懐かしいのぉ。
みんなどうしとるか?

ヨイツに着くのが楽しみじゃぁ。
くっくっくっ
かぁ!






まだいけるわいなぁ。
はぁふぅ・・・



ったく・・・



やはりヨイツの酒は最高じゃ!






そんで?
そのヨイツって村
どうなっちゃったの?






ガチャ



はぁ。
お馴染みの顔だな。

水と
万が一の為に桶を持ってきてやったぞ。
それと
ラッドラ祭なんだが・・・



・・・



ふぅ。
明日から本番だから
慌てることは無い。
ま、とにかくおとなしく寝てろ。

ちょっと商売仲間の所に行って来る。



キィ



ふぅ。

ぁ?

ふ。



パタン






マルク!



ぁ?
あっは。




スパイデミル
マルデンチ



はは。
ピレージ。



マオ。



マオ。



マオ。



商談中に邪魔したようだな。



いや
ピトラの山の神様のありがたさを
熱心に説かれていたところだ。

助かったよ。



異国の言葉に通じているのも
よしあしだな。



あぁ。
散々話して稼ぎに結びつかないと
アデーレにどやされる。

でお前は商売の話を
持ってきてくれたんだろうな?



あぁ。
もちろんだ。
リュビンハイゲンから釘を持ってきた。



釘?
おいおい
うちは麦の商店だぞ。



だが北からの客も多いだろ?
大雪の時の家の補修に
釘は必需品だ。



ふ~ん。
売れなくは無いだろうが・・・
いくらだ?



3パテの長さが120本
4パテが200本
5パテも200本
質のよさはリュビンハイゲンの
鍛冶屋組合のおりがみつき。



ふぅん。
10リュミオーネ半でどうだ?



安すぎるな。



武具の暴落の話を聞いていないのか?



ん?



今年は例年の北への大遠征が中止になってな
剣や鎧が投げ売られて
鋳潰される鉄が増えた。
そうなれば釘の相場も下がる。
10リュミオーネだって高いくらいだ。



それはもう少し南のほうの話だろ?



ぁ?



確かに釘の材料は増えたかもしれんが
この冬場に鉄を溶かして釘にしたら
薪が足りなくなって値上がりを招く。
そんな事で街中から罵声を浴びたい奴なんか
居ないから釘の値段も変わらないはずだ。



あぁ、まったく。
麦商人に釘なんか売りに来るなよ。

麦なら安く買い叩く方便はあるが
釘なんて専門外だ。



じゃぁ16リュミオーネでどうだ?



高い。
13リュミオーネ。



15。



14と3/4。



OK。
それで頼む。



ははは。
さすがだ兄弟。



ぁ・・・



で現金払いか?
それとも貸しか?



貸しで頼む。



助かるよ。
この時期は現金払いが多くてな
貨幣不足はいかんともしがたい。



ラント!



はい。
旦那様。



お前
弟子を取ったのか?



店の一つも構えれば自然とな。

この箱全部うちの荷馬車に全部積み替えとけ。
後でハンスの所へ売りに行く。



ぇ?
あの鉄細工を作る方にですか?



いいからとっとと運べ。



ぁ・・・
は、はい!



祭りが終わるまでは居るんだろ?
1回くらいうちに飲みに来いよ。
アデーレも紹介したい。



ぁ・・・
あぁ、そうだな。



どうした?
俺の店に見とれちまったのか?



あぁ。
いい店だ。



よせよせ
行商人としてはお前のほうが
断然上だった。
もっと凄い店を構える日も近いんじゃないのか?

2011年7月14日木曜日

狼と香辛料II 1 1/3



狼と香辛料II 1 1/3


狼とふとした亀裂。






ん?

美味そうな肉でも食べようとしたところで
目が覚めたのか?



ヨイツの夢じゃ。
故郷のな。



ん。



ぁ・・・



素直な気持ちを言ってもいいかや?



あぁ・・・



腹が減った。






ん・・・



何かや?



早くひざ掛けの下に入れてくれ。



む!
わっちの尻尾をカイロと一緒にするでない。



それだけ毛並みが良いと
最高級の毛皮を束にしても
かなわないからなぁ。



ふふふ。



はぁ。



ははは。



あぁ、そうだ。



ん?



お礼に贈り物だ。



え?!






次に立ち寄るクメルスンは
クロアニアの貴族が所有する街で
異教徒が多くてな。
宗教的な事が禁止されている。

これは修道女でも布教はしないという
暗黙の合図なんだ。
全て丸く収まる。

ん?
なんだ?
ほんとに贈り物だと思ったのか?



わっちの耳を見くびるでない!

もっと意表をついた何かを期待していただけじゃ。



ふぅ。



うぉ!



あたったたた。
こらこら!



お返しじゃ!



うぉ!
やめろって!



やめぬ。



あったぁ・・・






ふわぁぁぁぁ。

まだかや?
クメルスン。
今日中に着くんじゃろうな?



あぁ。
もうすぐだ。



すぐと言ったな!
では次の食事こそ
硬くて苦いライ麦パンや
それを水で戻した冷たい粥から
解放されるんじゃな!



あぁ。
しかもクメルスンは
大市と祭りの真っ最中だ。
食べ物もいろいろあるだろうから
楽しみにしておくんだな。



ほほぉ。
じゃがぬしよ。



ん?



懐は大丈夫なのかや?



うん。
お前の買い食いくらいなら問題ないさ。



ふぅ。
じゃがその分
宿が貧相になったりせんか?



それなりの所には泊まるつもりだ。
一人一つずつ暖炉が無ければ嫌だ
とか言わなければ大丈夫さ。



そこまで言うつもりはありんせん。
じゃが
わっちの買い食いを言い訳に使われては
困るからの。



言い訳?



金が無いからベットは一つ
なんてはの。



ん!
わっとっとっと。



ヒヒーン



はぁ。



ふふふ。



あれだけ間抜けないびきをかいていて
よく言うな!






くかぁ~







いびきなどかいておらぬ!



それにだな
お前は俺の好みじゃない!



は!



お前の耳なら嘘じゃない事くらい
わかるだろ?



は・・・ぁ・・・ぁ・・・
ぅ・・・



まぁつまり・・・
ぅ!



つまり
こういうわっちが好きなんじゃろ?



ん・・・



阿呆な雄ほどか弱いのが好きじゃからな。



ぅ・・・ぁ・・・



わっちがか弱い姫ならば
ぬしは屈強な騎士でなければならぬ!

とこどが現実はどうじゃ?
いや
一度は騎士になってくれたがのぉ。



俺が?



なんじゃ
忘れたのかや?

ほれ
ややこしい銀貨の話に首を突っ込んだ時
地下水道で・・・



あぁぁ・・・
あれか。



何も腕っ節の良さだけが
騎士ではありんせん。



あぁぁ・・・



わっちは誰かに守ってもらう何て
初めてじゃったからな。



ん?
あぁぁぁ・・・
おい、こら。



これからも大事にしてくりゃれ。



はぁ・・・
悪かったよ。
好みじゃないなんて言って。



くふ。
ぬしのそういうところが好きじゃ。



そりゃどうも。



ま、宿のベットは1つでも構わぬ。



ぅ・・・



その分皿の数は奮発してくりゃれ。



はぁ。
了解。






さぁさぁさぁ・・・






うむ!
あのおびただしい荷馬車の中に
なかなか良い魚を積んでおる。
極上のを買って
宿で料理してもらうと言うのはどうかや?






魚を?



えぇ。
何匹か分けて頂けないでしょうか?



申し訳ありません。
うちは魚をどこへ何匹売るか
全て決まっておりまして。
失礼ですが行商人の方ですか?



えぇ。
リュビンハイゲンから来ました。



でしたらあの道を半日ほどの所に
湖があります。
今日は鯉のいいのが上がっていますから
うまく交渉すればたくさん買い付けられますよ。



あぁ・・・いえ
夕食用に少しでいいんです。



ぇ?



ぁ?
何か新しい商売を考えている顔ですね。



ぁ・・・いや
お恥ずかしい。

夕食用の魚をお探しという事は
今夜はクメルスンにお泊りですか?



はい。
冬の大市と祭り見物で。



ラッドラ祭は賑わいますよ。
宿はもうご予約されましたか?



ぁ・・・
祭りは明後日からでしょ?
まさか・・・
もう宿が無くなっているとか・・・



そのまさかです。



それなら商館を当たってみます。



組合の方でしたか!
失礼ですがどちらの?



ローエン商業組合の
クメルスン商会です。



なんと素晴らしい偶然!
私もローエン所属なんです。



おぉ!
これは神のお導き!

おっと
この辺りでは禁句でしたね。



ははは。
大丈夫です。
私も南出身の正教徒ですから。

ぅん。
フェルミ・アマーティーです。
商売上はアマーティーで通っています。



クラフト・ロレンスです。
同じくロレンスと呼ばれています。
こちらは旅の連れのホロ。
訳あって共に旅をしておりますが
夫婦ではありません。



ぁ・・・

2011年7月13日水曜日

狼と香辛料II 0感想



狼と香辛料II 0感想


飲んでるか?
ホロ。

案ずるな。
勝手にやっておる。

ホロさんも一緒にお話しませんか?

なんだ?
もう酔っ払ってるのか?

湖を飲み干すと言われた
賢狼のわっちじゃ。
この程度で酔っ払うわけが無かろう。




いつも食事となればご機嫌なはずのホロなのだが・・・
テーブルに着くときから何か様子が・・・

小説版を読めば
ホロはホロで祝いの宴の席
それに気を遣っていたようで・・・



ん?
なんだ?ホロ
もう酔ったのか?

酔ってなどおらぬ。

どこがよ。
しょうがない奴だな。

このわっちがたった3杯で・・・
酔うはずが・・・
なかろう・・・



そしてとうとう倒れてしまうホロ。
まぁ秋雨の中、フードもかぶらずに
人の姿で狼と交渉をし
その後、狼の姿でメメリオ商会を蹴散らし
おそらく一晩は徹夜。

金の買い付けに行きは3日かけての移動だが
帰りはおそらく1日で戻ってきて・・・
ノーラが明け方戻ってきたのを迎える。
まぁハードスケジュールの上に
強行突破。
ホロが倒れるのも無理はないでしょう。

そして宿に運ばれ夢を見ているホロ。
ずっと麦畑だけを何百年も見てきたホロ。
しかし行商の旅は変化に満ちていて・・・
まぁそれだけでも疲れる要因になりますね。
それが日常になれば慣れてしまうのですが。



なぜ体調が悪い事を黙っていた?

ぁ・・・いや・・・

子供じゃないんだ。
倒れるまで気がつかなかったとは
言わせないぞ。

万が一
これが旅の途中だったら
どうするつもりだったんだ?

お前にはわからないかもしれないが
森や荒野で体調を崩せば
最悪、死につながる。



ロレンスが怒るのも無理はないのですが・・・
でも、雄と言うのは鈍いものらしい。



ぬしの指はちょっと硬くて
狼の鼻先に似ておるのじゃ。
鼻をこすりつけてくるというのは
人間で言うと・・・

ん?

ちょっと言えぬ。



犬や猫を飼ったことがあればわかるのですが
どうやらキスと同義(?)
濃厚なのではなく、軽い挨拶程度の・・・
でもロレンスにはわかるはずもなく・・・



うむ!
それが良い!
わっちはそれが食べたい!

お前・・・
本当はもう全快してるんじゃないのか?



疲れで高熱が出たときなど
熱が下がった直後が一番動くのは辛いんですよね。
力が入らないといいますか・・・



俺が体調悪くなったら
借りを返してくれるんだろうなぁ?

ぅむ。
ヨイツ流の流儀で良ければな。



小説版を読むとわかりますが
ヨイツ流の流儀とは・・・
傍に寄り添うこと。
医療的効果は薄いですけど
安心というのはありますね。



医者に治せぬ病にかかっても
簡単に気づきそうに無いからの。



本当、世の雄は・・・
ほぼこれに当てはまりそうで・・・



だったらまたノーラに探してもらおうか?
さすが羊飼いだけあって
目利きはなかなかの・・・
ぁ・・・あぁ・・・
ノーラに頼めばいい乳が手に入るから・・・

金にものを言わせれば
あの小娘に限らず
良い物が買えるじゃろうが!

ぅん・・・
それはそうかもしれないが・・・
ぅ!

しれないが
何じゃ?

な・・・なんでそんなに
ノーラを目の敵にするんだ?




これはホロのジェラシーですね。
でも全く気づいていないロレンス。

前々から聞きたかった事を
聞いてもいいかや?

はい。
私で答えられることでしたら・・・

羊を導く最大のコツは何かや?

ぇ?
ぅむ・・・
広い心を持つ事ですね。



ノーラはホロが聞きたい事の真意を見抜いたようですが
女性たちが笑っているので
一緒に笑うロレンス。
しかしロレンスは・・・
おそらく意味を理解していないのでは・・・?

しかしノーラも大人の対応と言う感じですね。



狼と香辛料 狼と金の麦穂

狼と香辛料(7)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年7月12日火曜日

狼と香辛料II 0 3/3



狼と香辛料II 0 3/3






本当はもう全快してるんじゃないのか?



む・・・
めまいが・・・



ホロ!



早くしてくりゃれ。



ぅ・・・



じゃぁちょっと待ってろ。



粥は大盛での。



キィ



ふ。
ふぅ。






ロレンス!



タッタッタッタ






コンコン

キィ

パタン



起きられるか?



ぅむ
駄目じゃ。



ぅん。



ぅん。



俺が体調悪くなったら
借りを返してくれるんだろうなぁ?



ぅむ。
ヨイツ流の流儀で良ければな。



考えておくよ。



心配は要らぬ。
わっちは鼻が利くからのぉ。
ぬしがこんな風になる前に
どうにかしんす。



うむ。
気がつかなかったのは悪かったよ。
だが
お前のほうからも出来れば言ってほしい。
とにかく俺は・・・
鈍いらしいからな。



うむ。
医者に治せぬ病にかかっても
簡単に気づきそうに無いからの。



ん?



何でもありんせん。
それより飯!






これだけ食べられれば大丈夫だな。
明日か明後日には治るだろう。



はぅ。



この街を出たら
また暫く荷馬車の上だ。



すまぬ。



ゆっくり養生すればいいさ。
お前を拾った時点で
急ぎの旅をあきらめてるよ。

それに
雨降って地固まるというやつで
この前の信用も取り戻して
前より良くなったくらいだ。

その得を考えたら
2-3日くらい遅れたって構わない。
いろいろ回っておきたいところは
まだあるからな。



ぁ?



宿は・・・その・・・
静か・・・すぎるから・・・



ふむ。
そうだな。



ぁ?



とりあえず
大飯食らいの誰かさんの
夜の献立について
たっぷりと語り合うか?



そんな理由!



何か大雑把な希望はあるか?



たっぷりと語り合いたいとは言え
市場が閉まると用意できなくなるからな。



む・・・
むぅ・・・



一応元気そうだが
まだ重いものも駄目だ。



肉は?



駄目駄目。
粥かパンを浸したスープか?



むぅ・・・

ならばさっきのそれ
羊の乳だったかや?
甘い香りと濃い味が美味かった。
それが良い!



羊の乳か・・・



何か問題が?



腐りやすいからまともなやつは
午後になると値が上がるんだよ。
新鮮なのをお望みだろ?



もちろん!



だったらまたノーラに探してもらおうか?
さすが羊飼いだけあって
目利きはなかなかの・・・

ぁ・・・あぁ・・・
ノーラに頼めばいい乳が手に入るから・・・



金にものを言わせれば
あの小娘に限らず
良い物が買えるじゃろうが!



ぅん・・・

それはそうかもしれないが・・・

ぅ!



しれないが
何じゃ?



な・・・なんでそんなに
ノーラを目の敵にするんだ?



ぇ?
今、何と・・・?



いや・・・
あのな・・・
過去にお前が羊飼いと
何があったのかは知らないが
お前が狼なのであれば
気に食わないのはわかる。

だが
そこまで敵意を
むき出しにすることは無いだろ?

ほら
あれだけ気立てがいいんだ。
何ごとにも例外ってものが・・・



はぁ。
ぬしよ。



な・・・なんだ?



わっちが悪かった。



わかってくれたか。



いや・・・
まぁ何と言うか・・・



ん?



まぁ良い。
ぬしはそういう奴じゃ。



ぇ?



羊の乳
よろしくの。






コンコン

キィ



ん?



ぁ!



ノーラさんが
お見舞いに来てくれたぞ。



お加減いかがですか?



ぁ・・・!



なに
ちょっと
疲れが出てしまっただけでありんす。

じゃが
ちょっと話し相手に飢えていんす。

前々から聞きたかった事を
聞いてもいいかや?



ぇ?

はい。
私で答えられることでしたら・・・



羊を導く最大のコツは何かや?



ぇ?
ぅむ・・・

広い心を持つ事ですね。



ぁ・・・



キィ
パタン



風が出てきましたね。



そのとおりじゃな。



ぇ?



羊は自分が賢いと思い込んでおるからの。



ぁ・・・



何か面白い話が・・・?



ぃ・・・いえ・・・



ぁ?



ふふ~ん。
女同士の秘密じゃ。



ぁ?



そうかな?



くす。



ははははは。



ははははは。

2011年7月11日月曜日

狼と香辛料II 0 2/3



狼と香辛料II 0 2/3





人と旅をしたり暮らしてきたことは何度かあった。
だが今は
それらを思い出す余裕はない。

昨日の連れは何をしていたか?
今日の朝はどうだったのか?
それらを考えるのがあまりに忙しいのだ。

のんびり故郷の事を思い出しては
めそめそしていたのは最初だけ。

こんなに刺激に満ちた毎日では
おちおち悲しんでもいられない。
楽しくないと言えば嘘。
むしろ楽しすぎて不安なくらいだ。






ぅぅぅ・・・
ん?
重い・・・
なぜ宿屋に?

う~む・・・

何じゃ!
今のは?
現実なら一生の不覚・・・

ただの悪夢じゃ。
無かったことにしよう。

なんでじゃろうか?
あの間抜け面の前では
ついつい隙を見せてしまう。

気に入らなければ怒り
面白ければ笑い
およそ賢狼の名に相応しくない姿をみせてしまう。

やはりこれじゃ。
いつ敵に襲われてもすぐに反応できる
この形こそわっちに相応しい。
ふふふふふ。

その点
連れと来たら
アホ面丸出しじゃ。
まるで頭の悪い猫じゃ。

まぁあれくらい無防備で無神経でなければ
人の世は渡っていけぬのかもしれぬなぁ。

うむ?
なぜ居らぬ?
肝心な時にそばに居らぬとは
役にたたぬ雄じゃ。

ん?



コツコツコツ



ぁ!

ふさふさ

なんでじゃ?
わっち。



コンコン



ぁ!



キィ
ガチャ



はぁ。



キィ



コツコツコツ



やっと帰ってきたか・・・



や・・・



なぜ体調が悪い事を黙っていた?



ぁ・・・いや・・・



子供じゃないんだ。
倒れるまで気がつかなかったとは
言わせないぞ。

万が一
これが旅の途中だったら
どうするつもりだったんだ?

お前にはわからないかもしれないが
森や荒野で体調を崩せば
最悪、死につながる。



ぁむ・・・



本気で心配したんだぞ。



すまぬ。



それで
どうなんだ?



たいした事ではない。
疲れが出ただけじゃろう。



何かその・・・
特別な病じゃないんだろ?



安心せい。



そうか。
良かった。



ぁ・・・



本気でほっとした。



大げさなやつじゃな。



いや
あれこれ考えたら
いろいろ不安が渦巻いてしまってな。



ぁ?



もしかして
もしかしたら・・・



なんじゃ?
言うてみよ。



ぁ・・・いや
もしかして玉ねぎを食ったせいなのかと・・・



はぁ?!

ふぅ。
わっちは犬ではありんせん。



だよな。
賢狼だもんな。
はっははははは。



ははは。
じゃがせっかくの酒と馳走を満喫できなかったのは
残念じゃ。

ぁ・・・



俺は商人だぞ。
そこは抜かりないさ。
残ったものは包んでもらってきてある。



本当かや?



あぁ。
すぐに出してやろう。



うんうん。



と言いたいところだが・・・



ぁ?

ぅわ!



やっぱり熱があるな。
相当疲れてたんじゃないのか?



ぁ・・・
ぬしのせいじゃ!



はぁ?!



ぬしの指はちょっと硬くて
狼の鼻先に似ておるのじゃ。
鼻をこすりつけてくるというのは
人間で言うと・・・



ん?



ちょっと言えぬ。



なんだ?
それ。



何でも良い!
もう良い!



ふむ。



ぁ・・・



とりあえず食事はおあずけだ。

ゆっくり眠れ。



ぅむ・・・






ロレンス!



暖かい・・・






ぁ・・・



ぁ・・・



コンコン

キィ



ホロ。
起きてるか?



見ればわかるじゃろ?



体調はどうだ?



起きられぬ。



本当か?

確かに。
まだ顔色は死にそうなお姫様みたいだな。



じゃが腹は減った。



それなら安心だ。
じゃあ粥でも作ってもらうか。



喉も渇きんす。
それ水かや?



あぁ。
いや
お前、昨日熱があったから
リンゴ酒をな。



ガバ!



ほんとかや!



お・・・おい・・・
大丈夫か?



くくく・・・



普段この半分でも
おとなしくしてくれるといいんだがな。



おとなしく荷馬車で寝ていれば
ぬしは怒るじゃろうが。



ただ俺だけ起きているなんて
不公平だろ?



おとなしくしてたら
飯のときにぬしに多く食われてしまいんす。



ふ。
身体が大きいんだから
当然だろ?



ならわっちも対抗して
態度を大きくせねばの。



む・・・



ふふふ。

ぅ・・・



どうした?



ぅ・・・
味が・・・



あぁ。
薄めてあるからな。



薄めすぎじゃ!
鼻が馬鹿になってしまったのかと
思いんす。



熱があるときには
薄いリンゴ酒だ。







ん?
お前、この手の知識は無いのか?



わっちは賢狼じゃからな。
世の中には自分の知らない事が
たくさんある事くらいなら
知っておる。



ぅん。
病とは人の身体の中の釣り合いが
崩れる事によって起こる。
潮の満ち干のようなものだ。
で、釣り合いが崩れたときは
人がとる4つの状態を調節して治す。



4つの状態?



そうだ。

熱い、冷たい。
乾いている、湿っている。
の4つだ。



それで?



それは食べ物によって
調節する事が出来る。
お前は熱があったから
冷たい食べ物が丁度いい。

だから
リンゴだ!



わっちは生のリンゴのほうが
良かったんじゃぞ。



それじゃぁ駄目なんだ。



りんごは冷たいが
乾いている食べ物だからな。
体調の悪い人間は乾いているから
湿らせないといけない。

そのために飲み物である必要がある。
だったら酒にすれば気分が良く
だが強い酒は熱いから
その力を薄めないといけない。



で、わっちは他に
何を食べさせてもらえるのかや?



あぁ
疲労が蓄積して熱が出たとあれば
まずこれを冷ます。
また
身体が乾いているはずだから
湿り気を取り戻す。

しかし
湿度は身体を冷やし
冷たすぎると人は憂鬱になる。

以上から
羊の乳を煮込んだ麦粥に
リンゴの切り身を入れて
ヤギのチーズを入れる・・・
なんてのはどうだ?



グルルル

うむ!
それが良い!
わっちはそれが食べたい!



お前・・・
本当はもう全快してるんじゃないのか?

2011年7月10日日曜日

狼と香辛料II 0 1/3



狼と香辛料II 0 1/3


狼と琥珀色の憂鬱。






コン



いやぁそれにしてもノーラさんと出会えた事は
まさに神のお導きとしか思えません。
ノーラさんが居なければ
今の私のほろ酔い加減の笑顔も
無かったでしょうからね。



私もロレンスさんには
本当に感謝しています。
出会えて良かったです。



いえいえ
こちらこそ。



いえいえ・・・



コン



こちらこそ。



その上
金の密輸なんてとんでもない仕事まで
手伝わせてしまって・・・

正直なところ
まさか引き受けてもらえるとは
思いませんでした。



私もまさか自分が引き受けるとは
思いませんでした。



ぇ?



変ですね。
私。



ぁ・・・
はぁ。



きっといつかそういった
思い切った事をしなくちゃと
思ってたんです。
いつまでも
教会のお世話になってちゃいけないって。

だからロレンスさんは
私の命の恩人です。



そんな良いもんじゃありませんよ。
商人なんて自分本位なものです。



それなら私も同じです。



ぁ・・・



多分。



カタン



ぁ・・・

飲んでるか?
ホロ。



案ずるな。
勝手にやっておる。



ホロさんも一緒にお話しませんか?



ふ~ん。



ぇ?



なんだ?
もう酔っ払ってるのか?



湖を飲み干すと言われた
賢狼のわっちじゃ。
この程度で酔っ払うわけが無かろう。



了解。



ぁ・・・



という事なので
暫く放っておきましょう。



ぇ?
でも・・・



もう少し酒が入ったら
自然と会話に加わる。
それまで待っておれ。



じゃぁ待ってますね。



で・・・
何の話でしたっけ?



ぅぅぅ・・・



おぉ!
来た、来た。



わぁ!
おいしそう!

ありがとうございます。



お前も食うか?



勝手にやってるから良い。
しばらく放っとくんじゃろ?



そうだったなぁ。

何のはなしでしたっけ?



えっと・・・
私たちの出会いの話ですか?



あれ?
その前は・・・



あぁ
羊たちの岩塩の話。



あぁ、そうだそうだ。
いやぁ
羊が岩塩を見つけるとは
知りませんでした。



えぇ。
あの子達は塩気がとても好きで・・・
例えば
岩に塩を軽く刷り込んでおけば
いつまでもずっと舐め続けるんですよ。



ん?
じゃぁあの話も本当かな?



何ですか?



東のほうの話で
羊を使った
拷問があると聞いた事があるんです。
それは無いだろうと思っていたんですが。



羊で拷問ですか?



えぇ。
それが傑作なんです。

縛り付けた罪人の足に塩をすりこんで
そこへ羊を連れて来るそうなんです。

ぁ!



足に塩を・・・
はむ・・ぅ~ん・・・



ぁ!



怒りと共に覚えておこう。



すみません。
足に塩なんかしたら
羊が・・・



それはもう夢中で舐めますよね。



多分・・・



すると最初のうちはくすぐったくて
罪人は笑いまくるそうです。

うはははは。
笑い死ぬ。
笑い死ぬ。
あぁやめろ!



不思議な拷問ですね。



いや
実に変わっています。
それだけで羊たちは終わるはずも無く
足の裏を舐め続けて笑わせ続けたあげく
どうなると思います?!



どうなったんですか?



罪人は笑う事しか頭に無くなり
素敵な笑顔を
人々に振りまくようになりましたとさ。
めでたしめでたし。



・・・



本当ですか?
それ。



最後のところは
今つくりました。



いやだ。
ロレンスさんったら。



ははははは。

でもそこまでは本当です。
羊の心は計り知れませんね。



そう言えば
干し肉を食べた後の手を
羊たちが舐めたがって困りますね。
いいコたちなんですけど
なんて言うか
加減を知らなさ過ぎて
ちょっと恐いというか・・・



その点
お連れになっている騎士は
聞き分けが良さそうで。



ぇ?
あぁ。
エネクも時折頑張りすぎて
融通が利かないんですけどね。



ワン



ぅふ。
ごめんごめん。



くぅ・・・



いやぁ
本当にしつけが出来てますよね。
やはりノーラさんの羊飼いとしての腕が
確かなのでしょう。



いえ
そんな・・・



く・・・
あぁ・・・



ん?
なんだ?ホロ
もう酔ったのか?



酔ってなどおらぬ。



どこがよ。
しょうがない奴だな。



このわっちがたった3杯で・・・
酔うはずが・・・
なかろう・・・



ドサ



ぉ!
ホロ?



ぁ!






最近まで何百年と
一人で麦畑に居たせいだろうか?
毎日が何事もなく過ぎていき
昨日と今日の区別はなく
明日と明後日の区別もなかった。

時折思い出したかのように時間が進むのは
1年に1回の収穫の祭り。
2回の種まき祭り。

雨が降らないように祈る祭りと
風が吹かないように祈る祭り。
後は退屈な時間のかたまり。
祭りではないただの日々。

下手をすれば苗木が巨木になるのを
じっと見つめている事すらあった。

それに対して
旅と言うのは日々生まれ変わるに等しいくらいに
毎日が新鮮だ。

あの若い行商人と過ごしてきた日々は
たった数ヶ月が何十年分にも相当する。
朝に喧々囂々の喧嘩をしたかと思えば
昼には仲直りして
口についたパンのかけらを取らせてからかい
夕方は飯の取り合いでまた喧嘩して
夜は明日の事で静かに話し合う。

人と旅をしたり暮らしてきたことは何度かあった。

2011年7月9日土曜日

狼と桃のはちみつ漬け 感想・原作比較



狼と桃のはちみつ漬け 感想・原作比較



俺の記憶が確かならば
お前には以前
子豚の丸焼きを進呈したはずなんだがなぁ。

顔中油まみれになって
丸ごと一人で食っただろうお前!
忘れたとは言わせないぞ!

あれはまさに子豚だったでは無いか。
あんな物では今のわっちは満たされぬ。



まぁこの会話を聞く限り
ロレンスが子豚で駄目なら大きな豚か?
と思うのも無理はないのですが・・・



いくらわっちでも
腹そのものはそんなに大きくありんせん。
子豚で十分じゃ。
問題はそこではありんせん。

あの時は
ついつい一人で
一気に食い尽くしてしまったからのぉ。
今度は二人・・・



ここまで来れば今度は
二人で食べたい・・・
という答えが導き出せるのだが
なぜか的外れな方向へいくロレンス。

この辺りがどうも福山さんのせいなのか
ルルーシュとかぶります。



仕方ない。
薬屋で身体が温まりそうなもの
買っておくか。

うむ。
良いのではないかや。



小説版を読むとわかるのですが
通常はパン屋でパン意外を扱うことは出来ない
服屋で服以外(毛布も服の仲間?)を扱う事が出来ないと
あるのですが
薬屋だけは例外のようで・・・

時代を考えると
今のような薬と言うものもどの程度あったのか?

医食同源の考え方で言えば
香辛料や生姜、蜂蜜、砂糖等も
薬としてとらえられていた時代もあるので
保存用に加工された食品は薬
という発想も理解できます。



はぁ、やっと見つかった。
この帳簿だ。
名前は?

あぁ、本名ですか?
通称ですか?
えっと・・・本名ですとその
いささか閉口するくらい長くなってしまうのですが。

あぁ、もういい。
すぐに荷を運んでくれ。

まぁ
アロンゾさんったらせっかちなんだから。



何気ないこの会話。
クラフト・ロレンス
この名前が長いとは思わないのだが・・・
でも、まさか後でこの会話が重要になってくるとは。



夜分にすみません。
窓から外を眺めておいでになるのを
お見かけしたものですから。

あるじ様かや。
入られよ。

長旅の疲れで寝付けずに居らっしゃるではと思いまして
これをお持ちしました。

桃の蜂蜜漬けです。
疲れが取れますのよ。

やはりそうかや!
ほう・・・
よいツヤをしておる。

どうぞお召し上がりください。
ご遠慮なく。

どうなさいました?
桃はお嫌いですか?
それとも蜂蜜が苦手?

いやいや・・・
せっかくの好意ではありんすが
わっちの一族には古くからのしきたりがあっての。

月が傾き始めたら
日が昇るまで何も口にしてはならぬのじゃ。

まぁ・・・
それは残念。
でも仕方ありませんね。

本当に残念じゃが・・・




小説版のほうにはこの
商会の主であるクレアさんがホロの部屋を訪ねて
桃の蜂蜜漬けを進めるシーンは無いです。
ドラマCDのみのものですね。



ロレンスさんはとても良い商人ですもの。
旦那様にして絶対に損は無いわ。

本人に言ってやってくりゃれ。
まぁ仮にそれがお世辞でなくとも
わっちは添い遂げようなどとは思っておらぬ。



おそらくこのシーンをここへ入れた理由は
ホロがロレンスと夫婦もしくは
それに近い状況なのか
クレアさんが確認するためだったのでしょう。



実はもっと見入りのいい仕事があるんですよ。

これよりも賃金の良い仕事ですか?

仕事と言うか・・・
ある種の賭けです。
クレア様が特別な相手にしか斡旋しないものですが
これの何倍も稼げます。



ジルバンがロレンスに賭けの話を持ちかける。
これもドラマCDのみのものですね。
おそらく小説版そのままだと
ロレンスが野犬の出る場所でパンを売って終わり・・・
になってしまい色気が無い(?)ので
女店主のクレアさんとの絡みを作ったのでしょう。



俺は意地で7度目の往復をこなした。
だが8度目もやってやるつもりで
商会に戻ったところで
その気が変わった。



ここの前にロレンスの夢が入っていますが
これも小説版には無いところですね。
そして小説版ではこの後即
ホロを連れてパンと肉を買いに走るのですが
ドラマCDにはもうひと波乱あります。



失礼します。

まぁ!
ロレンスさん!

ジルバンさんからお話を伺いまして。

賭けに挑戦してくれるのですね?
嬉しいです!

初めてあなたをお見かけした時
商人としてきっと聡明な方だと直感しましたの。



この場面がドラマCDならではのシーンです。




あなたが負けたら
わたしと結婚してください。

え?!

問題は商人としての資質を測るものです。
自信が無ければ
今すぐやめていただいて構いません。

どうですか?
あなたに商人としての意地がなければ
この手を離しますけれども・・・

ずるい方ですね。
あなたは。

でも私
運を呼び込む女と言われてます。
結婚してくだされば
きっと商人として
大成功しますよ。

いいでしょう!
受けましょう!

では
この契約書にサインを。

このために利き手を?

そういう事です。

なるほど。
では私が勝ったら1リュミオーネ頂けますか?

あら
私の価値はそれっぽっちですか?

では50リュミオーネで。

わかりました。
ではロレンスさんが勝ったら
その金額をさし上げます。

金額を
契約書に書き込みます。
これで後戻りは出来ませんよ。

はい。
確かに契約は成立しました。




ロレンスは桃の蜂蜜漬けを買うために
1リュミオーネ欲しいと言うのですが
クレアは私の価値はそれっぽっちですか?
と問い、ロレンスは50リュミオーネと変更する。

この50リュミオーネとは
ロレンスが武具の失敗で破産寸前になった金額。





これであなたが出す難問に答えられれば
50リュミオーネもらえて
この手も離してもらえるんですよね?

いいえ。

え?!

問題に答えられたら勝ち
とは言いませんでしたよ。
その逆です。

なんですって?

あなたが答えを出せなければ
ご希望の金額をさし上げます。
でも見事にあなたが商人としての知恵で
答えを出せたら
私と結婚してください。

つまりあなたが商人としてのプライドに勝って
それを捨てられれば
50リュミオーネが手に入るのです。

そんな・・・馬鹿な・・・

契約書には
私が定める勝敗決定方式で
と書いてあったでしょ?

まさか
そうくるとは思いもしませんでしたよ。

ちょっとだけ迂闊なところも
支えがいがあって素敵。

何と言う人だ。
これはつまり目をつけた相手に
50リュミオーネ払って
結婚を申し込んでいるのと同じだ。

逆に言えば実力があっても
金だけに走るような
プライドの無い男は見初めないと言う
自信の現れか。

いずれにしても
とんでもない人に気に入られてしまった。
何も思いつきませんと一言言えば
簡単に50リュミオーネ得られるが・・・



簡単に思いつきませんと言えば
お金は手に入る。
しかし
誰にも大きい小さいは別として
多少なりともプライドがあるのだが
そのプライドを捨ててしまえば
簡単に50リュミオーネ手に入る。



もう少し
時間をください。

いつまででも良いですよ。
こうして手を握っていられる時間が
長くなりますもの。

あなたと結ばれる男は
確かに幸せになれそうだ。

嬉しい。
では答えをくれますか?

今しばしお待ちを。

あるはずだ。
何か方法が・・・
最善の方法が・・・




しかしロレンスは答えを見出したが
言葉では言わずにいきなり行動に移る。



ホロ!
支度をしてくれ!

ん?はぁ?
な・・・なんじゃ!?
ぬし。

あるじの女と
手をつないで飛び込んでくるとは
大した度胸ではないか!
その上支度をしろじゃと?

いろいろ事情があって不本意ながらこうなった!
不本意であると言う点を強調しておく!



そしてパンと肉を仕入れ
野犬や狼が出るという場所へ荷馬車を走らせる。




うわぁ!
ははははは!
これは爽快じゃ!

しっかり掴まっていろよ!

ぬしの考えは・・・
大体わかった。
とっちめるのは後にして・・・
とにかく付き合ってやろう。

光栄です。
お姫様!

何なの?
この人。
どうしてこんなに動じないの?



確かに普通の女性、クレアさんみたいな
お上品な方だと
野犬や狼に驚くのは無理も無いでしょう。
しかしホロは狼の化身ですからね。



なぁ~んだ。
やっぱりこの二人
息がぴったりじゃない。
結婚してないっていうだけで
入り込む余地無さそう。

手をつないでいるの
くたびれちゃった。

あぁ・・・
やっと離してくれましたか。

あなたってずるい人。
私のほうから手を離させるなんて。
想定してませんでした。




ようやく手を離したクレアさん。
まさか自分から手を離すなんて
想定外だったようですが・・・



そうですね。
そんなロレンスさんは
やっぱりホロさんと一緒に居るのが
一番お似合いです。

どうぞお二人でお幸せに。



ここでクレアさんは姿を消したと推測するのですが
帰り道はどうしたのでしょうか?
まぁ物語には出てきませんが
多くの人たちがオオム商会の仕事でこの道を行き来している。
であれば、誰かに迎えを頼むように伝言するか
誰かの荷馬車に乗せてもらったと考えるのが妥当でしょう。



うわぁ~あぁ・・・
桃の蜂蜜漬けも手に入ったし
万々歳だな。



ここで気になるのは
ロレンスは桃の蜂蜜漬けが欲しくて
最初、クレアさんに1リュミオーネと言ったのですが
結局契約書には50リュミオーネと言う結果になった。

という事は・・・
ロレンスはクレアさんから50リュミオーネ貰ったのだろうか?
それとも桃の蜂蜜漬けを貰ったのだろうか?

そして
二人でとっておいたパンと肉を食べたのは
おそらく野犬が出るという道からの帰りと推測するのですが。
もしかしたらクレアさんを商館に送り届け
桃の蜂蜜漬けを買ったのかそれとも
クレアさんからプレゼントされたのか?
その後と言う可能性も考えられます。



でもやっぱり気になるのは
クレアさんが負けを認めたから手を離したわけで
クレアさんの性格を考えれば
50リュミオーネをロレンスさに払ったと考えるのですが
その部分に関しては描写が無いですし
小説版には、クレアさんは商館の主としてしか出てこないので
推測の域を出ません。




【送料無料】狼と香辛料 ドラマCD 狼と桃のはちみつ漬け

【送料無料】狼と香辛料(13)


『狼と香辛料』その他の商品

2011年7月8日金曜日

狼と桃のはちみつ漬け 5/5



狼と桃のはちみつ漬け 5/5






答えが無いわけではない。
多分誰も目をつけていないが
俺には豊富な財力があったら
試してみたい商売がある。

それは現物の無い商売だ。
教会や国など
土地の所有者の利害に則して
進められている経済では
金貨や銀貨の価値は
売るものが無い限り
広がらない。
そこに一石投じてみたいんだ。

この考えには少し自信がある。



うふ。
答え
ありそうですね。
やっぱり思ったとおり。

あのねロレンスさん。
私はこの店を愛しているの。
この世に生を受けて
辛い事や嬉しい事を数多く経験して
ひとかどの女になるまでを
ずっと見守ってきてくれたこの店を。

でもこの世界には壁がある。
だから私は最高の伴侶を求めているの。
あなたのようなね。



何と言う人だ。
これはつまり目をつけた相手に
50リュミオーネ払って
結婚を申し込んでいるのと同じだ。

逆に言えば実力があっても
金だけに走るような
プライドの無い男は見初めないと言う
自信の現れか。

いずれにしても
とんでもない人に気に入られてしまった。
何も思いつきませんと一言言えば
簡単に50リュミオーネ得られるが・・・



いかがですか?
ロレンスさん。



もう少し
時間をください。



いつまででも良いですよ。
こうして手を握っていられる時間が
長くなりますもの。



はぁ。
あなたと結ばれる男は
確かに幸せになれそうだ。



嬉しい。
では答えをくれますか?



今しばしお待ちを。

あるはずだ。
何か方法が・・・
最善の方法が・・・






バタン!



ホロ!
支度をしてくれ!



ん?
はぁ?
な・・・なんじゃ!?
ぬし。

あるじの女と
手をつないで飛び込んでくるとは
大した度胸ではないか!
その上支度をしろじゃと?



いろいろ事情があって不本意ながらこうなった!
不本意であると言う点を強調しておく!



あら
つれないんですのねぇ。



とにかくホロ!
来てくれ!



うわ!
放せ!
このたわけが!






ガラガラガラ



俺はすぐさまパン職人の工房に走って
大量にパンを買い
更に市場で肉を買い付けた。

そして野犬が出るという現場への
道の途中の地点に猛然と駆けつけた。
そこを通過する者たちが
空腹に耐え切れなくなる頃だ。






うわぁ!
ははははは!
これは爽快じゃ!



しっかり掴まっていろよ!



ぬしの考えは・・・



きゃぁ!



大体わかった。



とっちめるのは後にして・・・



きゃぁ!



ははは。
とにかく付き合ってやろう。



光栄です。
お姫様!



あはははは。



何なの?
この人。
どうしてこんなに動じないの?








ぇ?



さぁさぁ!
道行く商売人の方々
お腹の具合はいかがかな?
そろそろ我慢の限界でしょう。

そこで
我らはこうしてとびきりの昼食を
ご用意しました。



荒皮で包んで保温したのは
たっぷりニンニクを利かせて焼いた
羊肉じゃ。
そしてこっちの籠には切れ込みの入った
焼きたてパン。
2つの樽には葡萄酒がなみなみと入っておる!
我慢は身体の毒じゃぞ。



おぉ!
一つくれ!

俺にも!

俺にもくれ!

俺もだ!



しかしあんたら
よくこんなの無事に運んで来られたな。
途中にはほれ
今も聞こえる狼やら野犬やらが居ただろ?



あぁ
それなら全く心配は要りませんでした。
連れの一声は狼も黙るんでね。



まさか。



ホロ。



うむ。

ウォォォォン



きゃぁ!



うわ!

へぇ!

はぁ!



こりゃ凄い!

どういうまじないだ?



なぁに
ちょっとした大道芸のようなものじゃ。



しかし不思議と狼や野犬には効くんです。
この狼の真似が。



へぇ!
あんた凄い連れが居るもんだなぁ。



何の因果か狼より強い連れと出会ってしまい
もう尻に敷かれっぱなしですよ。
責任者、出て来い!
って感じです。



くだらん事いうな!
たわけ!



あっははははは。



ははははは。



なぁ~んだ。
やっぱりこの二人
息がぴったりじゃない。
結婚してないっていうだけで
入り込む余地無さそう。

手をつないでいるの
くたびれちゃった。



あぁ・・・
やっと離してくれましたか。



あなたってずるい人。
私のほうから手を離させるなんて。
想定してませんでした。



すみません。



ぬし
そこ謝るとこかや?



え?



そうですよ。
そこは勝ち誇らなきゃ。



ぁ・・・いや・・・
しかし・・・



ま、それがぬしらしい
とこじゃがの。



そ・・・そうか?



そうですね。
そんなロレンスさんは
やっぱりホロさんと一緒に居るのが
一番お似合いです。



クレアさん。



どうぞお二人でお幸せに。






うわぁ~あぁ・・・
桃の蜂蜜漬けも手に入ったし
万々歳だな。



まぁいろいろ言いたいことはあるがの。



あぁそうだ。
うわぁ。



どうしたかや?



ほれ
パンと羊肉。
1つずつ残しておいたんだ。
帰り道にでも食おうと思って。



ぬしにしては上出来じゃの。



そりゃどうも。
あ、ちょっと待ってろ。
今肉をパンにはさんでやる。



しかしぬしよ。



なんだ?



ぬしはこう
肝心なところがちょっと抜けていんす。



肝心なところ?



うむ。
どうせ最後にこんな趣向を見せるなら
もっと良い肉が食べたかった。
この肉はいまいちじゃった。



また文句か?



いや
肉への文句はまぁ良い。
最大の問題は
ぬしが一番大事なことに
まだ気づいておらぬという事じゃ。



一番大事なこと?
桃の蜂蜜漬けは手に入っただろ?
クレアさんがあきらめてくれただろ?
あと何が?



たわけ!



ドス



うわ!
いきなり何だ?
おまえ!



一番大事なこととは
一番当たり前で
普段気づかなぬような事じゃ。



え?!



まだわからぬのかや?



ぁ・・・
一番当たり前の事?



そうじゃ。
ぬし、パンをいくつ取っておいた?



2つだ。



羊肉は?



当然2切れ。
ぁ・・・



やっと気づいたかや?



あぁ・・・
はぁ・・・
ようやくわかった。

一番美味いのは
二人で楽しく食べる飯。



そうじゃ!
たわけ!



は・・・



ホロ。



な・・・なにを。
じっと見たりして・・・



すまなかった。



うわぁ!
い・・・いきなり抱きしめるでない!
しかも鼻・・・鼻・・・
鼻の頭を頬にすり寄せるなど
もってのほかじゃ!



あぁ・・・そうか
これは特別な意味を持ってしまうんだったな。



そうじゃ
たわけ。



じゃ
もう一度!



はぁぁ
やめよと言っておるのに・・・



あぁぁ・・・
嫌がるなよ。
ははは。



やめよ。






かくして俺とホロの旅は
ゆるゆると続くのだった。

2011年7月7日木曜日

狼と桃のはちみつ漬け 4/5



狼と桃のはちみつ漬け 4/5






ギィ



ホロ!
待たせて済まなかったな。



済まなかったでは済まぬ。



そういうな。
ほら、これ!



これは・・・
桃の蜂蜜漬けではないか!



お前にこれをどうしても食べさせてやりたくてな。
そのために・・・
そんなへとへとになって・・・



あはは。
なんて事ないさ。
こんな・・・
ぅ・・・



あぁ!
ぬ・・・・ぬし!



すまん。
さすがにちょっと眠い・・・



ふふふ。
このままわっちの膝で眠るが良い。



ぁ・・・
気持ちいいな。
お前の膝。



ふふ。
こっちを向くでない。
ぬしの鼻がわっちの臍に当たって
こそばゆいではないか。



尻尾・・・



ぇ?



お前のふかふかの尻尾
抱きしめて寝ていいか?



あつ・・・
特別に・・・
許す・・・



ほんとにか?



ぅむ・・・
優しくしてくりゃれ。






おっと・・・
あつ・・・



ヒヒーン



夢か・・・
ぁ・・・
危ない危ない。
さすがに5度も往復すると
辛くなってくるなぁ・・・
ふふぁ。



俺は気力で6度目の往復をこなした。
再びあらぬ夢の情景を思い浮かべて。






これは!
桃の蜂蜜漬けではないか!



お前に
これをどうしても食べさせてやりたくてな。



そのために
そんなヘトヘトになって・・・



はははは
なんて事ないさ。



まったく
ぬしのくせに生意気な事をしおって。
わっちはどうすれば良いのじゃ?



ん?



どうすれば・・・
その・・・
この礼が出来る・・・



お前は賢狼だろ?
賢狼とは
相手の望む物を読み取ってこその
ものではないのか?



むぅ・・・
そんな反撃をくらうとは・・・



冗談だよ。
お前はそのままでいいさ。
そのままで十分。



いや
わっちなりに頑張る。
この麦粒を食べたら
ぬし好みに変身じゃ!
はむ。



うわぁぁ!


狼になったのかと思ったら
清楚な町娘に変身か?
ぅ・・・
その上何なんだ?
首輪なんかして!



わっちはぬしの飼い犬じゃ。



え?!



だから何なりと命令してくりゃれ。



おい冗談だろ?



冗談ではありんせん。
好きなだけ好きなことしてくりゃれ。



ゴクリ



ぁ・・・
じゃ・・・じゃぁ・・・
鼻の頭を・・・
あまがみしてくれないか?



ぇ?



あぁぁ・・・すまん。
い・・・いいんだ。
変なことを言ってしまった。



ふふふ。
お安い御用じゃ。



え?



では
良いかや?
はむ。






うわぁぁぁ!



ヒヒーン



おっと。
いかん。
今度はぬかるみにはまった。

ん!
こんな所で
挫折してたまるか!
ぬぉ!






コンコンコン



はい
どうぞ。



失礼します。



どう?
あの方は
その気になりそうだった?



お伝えすべきことは確実にお伝えしました。
後はあの方次第ですが。



必ず来るわ。
あの方は必ず来る。
賢明な方なら朝になれば絶対に考えを変えるはずよ。
あたしにはもう見えてるの。






俺は意地で7度目の往復をこなした。
だが8度目もやってやるつもりで
商会に戻ったところで
その気が変わった。



朝を向かえ
新たに加わる人々が後をたたなくなっていたのだ。
必然的に積み込みの待ち時間が増え
この先の実入りが減っていくことは
簡単に予想ができた。

しかし俺は
続けようとしていた仕事を打ち切って
あえて休憩をとる事にした。
人が少なくなる夜にかけて荷を運べば
もっと効率よく稼げるはず。
という可能性に賭けたのだ。

もうホロは起きているだろう。
勘のいい賢狼様だ。
俺のしている事の意味ぐらいは
とっくに理解しているだろうから
どんなふうに出迎えられるか
何となく楽しみだった。



ギィ



おはよう。

ぁ?
尻尾の手入れか?



・・・



ぁ、こういう部屋だったんだな。
まぁ確かに仮眠室だ。

はぁ・・・
うむ。
悪いがちょっと寝る。
お休み。



ドサ



あと2玉だそうじゃ。



ぇ?
1玉売れてもう1玉も遠からず売れそうじゃと。



お前
わざわざ確認しに・・・



大丈夫なんじゃろうな。



な・・・お・・・



1玉1リュミオーネ。
おいそれと買える様な値段じゃないし
それを買える様なやつがごろごろしているとも思えない。



そうかや。
それなら安心じゃな。



ぁ?!



なにせ
ぬしさまはさぞ稼いで来たんじゃろうからなぁ。



え?!



明日かや?
それとも今日の夜には稼ぎ終わるのかや?
昨夜から7度も荷を受け取ったようじゃが。




見てたのか?
ずっと・・・



他にする事など無いしの。
ぬしは全く気づかぬほど
一心不乱に働いておったから
稼ぎも相当なものに違いなかろう?



ぁ・・・いや・・・それが・・・
まだ銀貨で7枚・・・



7枚。
ほう・・・
今でさえ無理が出始めておる様子じゃと言うのに
ぬしはその5倍に当たる1リュミオーネとやらを
一体どのくらいで稼ぎ終わるのかや?



ぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・
それは・・・



新たに仕事を求めてくる連中も
後を絶たぬようじゃから
ますます稼ぐのに時間がかかるようになる。
ここいらであきらめたほうが
良くはないかや?



ば・・・馬鹿言うな!
大体誰の為に・・・!



ん?



ぁ・・・
いや・・・

とにかく俺は寝る!
暫くほっといてくれ!



バサ



はぁ・・・






ん?
あぁ?
なんだ?
この騒ぎ?



カチャ



あ・・・な・・・
なんなんだ?
この人の数!
昨日の倍になっている!
あぁぁ・・・



もう良かろう。



あ?



なんでそこまでするのじゃ?



決まってるだろ!



キィ



ふぅ
たわけが。






荷揚げ場に下りたものの
呆然とした。
こんな状態ではおそらく稼ぎは昨夜の半分。
いや
下手をすればそれ以下だ。
目的の金額を稼ぐのに
1週間も2週間もかかってしまう。

さすがにそこまで
あの桃の蜂蜜漬けが売れずにあるという
自信はない。

もし売れてしまったら
ホロの機嫌が直らないまま
働き損という最悪な結末だ。
それだけは避けたい。
その思いが
俺に正常な判断を失わせた。






コンコンコン



はい。



ガチャリ



失礼します。



まぁ!
ロレンスさん!



ジルバンさんからお話を伺いまして。



賭けに挑戦してくれるのですね?
嬉しいです!



ぇ?



初めてあなたをお見かけした時
商人としてきっと聡明な方だと直感しましたの。



ぁ・・・
それはどうも。



よその方がこの町で働くには
役場で税を納めて就労許可票を貰わなければいけません。
でも
あなたはそれを持っていないでしょ?



ぅ・・・
ぁ・・・



それを確認するために
帳簿で管理しているけれど
あなたは
うちのアロンゾの性格をとっさに見抜いて
それをかいくぐった。



ぁ・・・
いえ・・・



良き商人には輝きがあります。
失礼ながらあなたは
それほど良い身なりではないけれど
その輝きを確実に持っている。



ぁ・・・いや・・・
何と言ったらいいか・・・



気に入りました。
ではまず握手を。



ん?
左手で・・・
ですか?



えぇ。
利き手と反対の手でお願いします。



わかりました。
よろしくお願いします。



ごつごつして
立派な手ですね。



ん?
んん?
手を・・・離しませんか?
そろそろ・・・



いいえ。
離しません。



ぇ?



賭けをするならこのままです。
それが決まりです。



そんな!



勝ったら
あなたのご希望の金額を差し上げます。



希望の金額を?
いくらでもいいと言うのですか?!



えぇ。
もちろんその分リスクもあります。
リスクというのは癪だけど・・・



どういう事ですか?



あなたが負けたら
わたしと結婚してください。



え?!



うふ。
問題は
商人としての資質を測るものです。
自信が無ければ
今すぐやめていただいて構いません。

どうですか?
あなたに商人としての意地がなければ
この手を離しますけれども・・・



ぁぁぁ・・・
ずるい方ですね。
あなたは。



うふ。
でも私
運を呼び込む女と言われてます。
結婚してくだされば
きっと商人として
大成功しますよ。



いいでしょう!
受けましょう!



では
この契約書にサインを。



このために利き手を?



そういう事です。



なるほど。
では私が勝ったら1リュミオーネ頂けますか?



あら
私の価値はそれっぽっちですか?



ん・・・
では50リュミオーネで。



わかりました。
ではロレンスさんが勝ったら
その金額をさし上げます。



金額を
契約書に書き込みます。
これで後戻りは出来ませんよ。



はい。
確かに契約は成立しました。



はぁ・・・
これであなたが出す難問に答えられれば
50リュミオーネもらえて
この手も離してもらえるんですよね?



いいえ。



え?!



問題に答えられたら勝ち
とは言いませんでしたよ。
その逆です。



なんですって?



あなたが答えを出せなければ
ご希望の金額をさし上げます。
でも見事にあなたが商人としての知恵で
答えを出せたら
私と結婚してください。



な・・・



つまりあなたが商人としてのプライドに勝って
それを捨てられれば
50リュミオーネが手に入るのです。



そんな・・・
馬鹿な・・・



契約書には
私が定める勝敗決定方式で
と書いてあったでしょ?



ぁ・・・

まさか
そうくるとは思いもしませんでしたよ。



うふ。
ちょっとだけ迂闊なところも
支えがいがあって素敵。



褒められた気がしませんね。



殿方は完璧すぎても駄目よ。
だからロレンスさんはとってもいいの。



ぁ・・・
問題を出してください。



うふ。
ではいきますね。

あなたには潤沢な資金があるとします。
そこでまだ誰も目をつけていない商売を
しようと思い立ちました。
それは
一体なんでしょう?



ぁ・・・
それが問題ですか?



えぇ。
あなたなら何か答えが出せそうな気がして。

2011年7月6日水曜日

狼と桃のはちみつ漬け 3/5



狼と桃のはちみつ漬け 3/5






ゥォーン
ゥォーン



何か久しぶりだな。
こういうのも。
ルアイ村までもうわずかか。

ふ。
一人きりの御者台も
たまには悪くない。






ぅん。
うんうん。
うん。
思いのほか美味いのぉ。

う~ん。
美味いが・・・
それだけじゃ。






ご苦労さん。
あんた初めてか?



はい。
日が暮れる前までは
まさか今ここに居るとは
思ってもみなかったくらいで・・・



ははは。
ほらよ。
これが賃金代わりの木札だ。
持って帰って換金しな。
朝までにまだ6回は往復できるぞ。
どんどん持ってこい!



はい。



ヒヒーン



そう嫌そうな顔をするなよ。
相棒。
何日も続けるつもりはないから
我慢してくれ。






あぁぁぁ。
いつまで待たせるのじゃ?
たわけが。






所どころ
かがり火が炊かれた道を
俺は何度も行き来した。
特に険しいところも無い道を
荷馬車で行き来するだけで
1回の運び賃がトレニー銀貨1枚。

翌日の夕方まで頑張れば
15回は資材が運べる。
少し無理をすれば2日で目的の額が稼げる。
そう踏んだのが
それがいかに甘い考えだったのかを
すぐに思い知らされた。



私のほうが先に走ってたのだ!

ふざけるな!
俺のほうが先だ!
とっとと馬車をどけろ!

それがどうした!

神の御名の元に決闘を申し込みます!



大盤振る舞いの賃金を求めて
山のように人が群がってきたため
数々の問題が生まれていたのだ。

商人同士であれば周知である暗黙の了解も
素人のにわか商人には通用しない。
小川にかけられた貧弱な橋では
渡る順番をめぐって喧嘩がおき
混乱を招いていた。

途中の森に沿って進む場所では
荷を運びながら食べる食料の匂いにつられたのだろう。
狼や野犬の数が
時を追うごとに増えていった。






コンコンコン



誰じゃ?



夜分にすみません。
窓から外を眺めておいでになるのを
お見かけしたものですから。



あるじ様かや。
入られよ。



長旅の疲れで寝付けずに居らっしゃるではと思いまして
これをお持ちしました。



クンクンクン



この匂いは!



桃の蜂蜜漬けです。
疲れが取れますのよ。



やはりそうかや!
ほう・・・
よいツヤをしておる。



どうぞお召し上がりください。
ご遠慮なく。



ぅ・・・いや・・・



どうなさいました?
桃はお嫌いですか?
それとも蜂蜜が苦手?



いやいや・・・
せっかくの好意ではありんすが
わっちの一族には古くからのしきたりがあっての。



しきたり?



ぁ・・・うむ・・・
月が傾き始めたら
日が昇るまで何も口にしてはならぬのじゃ。



まぁ・・・
それは残念。
でも仕方ありませんね。



本当に残念じゃが・・・



薬屋さんでこれを買おうとして
結局やめて帰った行商人のご夫婦が居たと聞いて・・・



ぇ?



ひょっとしてあなたと
あのお連れの方かと思ったのですが・・・



いや
人違いじゃろう。
そもそもわっちらは夫婦ではありんせん。



まぁ!
そうでしたか!
ぁ・・・でも・・・
いずれはそんなふうにと
お考えなのでしょう?

ロレンスさんはとても良い商人ですもの。
旦那様にして絶対に損は無いわ。



ふふふ。
本人に言ってやってくりゃれ。
まぁ仮にそれがお世辞でなくとも
わっちは添い遂げようなどとは思っておらぬ。



そうですか。
ぁ・・・
ではこちらはお下げいたします。
どうぞごゆっくり。



コツコツコツ

バタン



なんなんじゃ?
あれは?






たっぷり休め。
相棒。

俺も御者台に座っているだけで良いと
たかをくくっていたが
ちょっと甘かった。



ロレンスさん。



ぁ・・・
あぁ・・・
やぁ
オオム商会の・・・



ジルバンです。
さすがにお疲れのご様子ですな。



あなたまで資材運びを?



えぇ。
不器用な熊の手も借りたいってね。
でも手当ては無しで賃金は据え置き。
まぁ気分転換と割り切っています。
はははは。



まだまだ元気ですね。



2往復目ですから。



ヒヒーン



おぉ。
お前も水飲んでおけ。

あまり誰にもかれに言うわけじゃないんですがね。



なんです?




実はもっと見入りのいい仕事があるんですよ。



これよりも賃金の良い仕事ですか?



仕事と言うか・・・
ある種の賭けです。
クレア様が特別な相手にしか斡旋しないものですが
これの何倍も稼げます。



賭け・・・ですか。



実は
もう亡くなられましたが
クレア様の旦那様も挑戦したのだそうで。
それに勝って以来たちまち商売運が上昇して
うちの商会を大きく成長させたって
もっぱらの評判です。



ほぉ。
それはちょっとそそられますね。



あなたなら多分いけると思いますよ。
商人としての知恵に自信があれば
是非一度クレア様のところへ。



心に留めておきます。
しかしまぁ
よほどの事が無い限り
私は賭けには手を出しません。
商売のための運が逃げてしまうと嫌なので。



ふ。
なるほど。



ではお先に。






こんな何気ないやり取りも
下手をすればじわじわと疲労を蓄積させる。
道が険しくなくとも
人が多ければそれだけ消耗するものだ。

それでも俺が我慢して何往復もできたのは
この仕事をやり遂げたあかつきに
待っているだろう情景を幾度も思い浮かべて
自分を鼓舞したからだった。

2011年7月2日土曜日

狼と桃のはちみつ漬け 2/5



狼と桃のはちみつ漬け 2/5






そらいくぞ!



なんじゃ?
これは・・・



こいつは驚いたな。
他の商会がもう店じまいだってのに
ここはこれからいよいよ本番って感じだ。



あの者たちが運んでいる物は
一体何かや?
角ばっていて硬そうに見えるという以外
何なのかよくわからぬが・・・



あれは資材ってやつだ。



資材?



建物を建てるときの材料になる物のことさ。
木や鉄を職人に加工させた代物だ。
これだけの量があるって事は
どこかでかなり大きな建築物を建てている最中のようだ。
しかも大急ぎだな。



なるほどの。
この商会はその職人に作らせた
資材とやらをどんどん現場に運んで
金に変えておるというわけじゃな。



あぁ。
在庫として保管する間もなく
買い上げられて
泉が湧くように利ざやが上がるわけだが
昼も夜も無く働かせ続けたくなるってもんだ。



ふ~む。

ぬしはどうするつもりなのかや?



ふふ。
まぁ見てろ。






あぁ
これは12番の荷馬車。
これとこれは3番
そっちが8番だ。
おい、絶対間違うなよ!



へ、へい。



旦那
加工した資材をお持ちしたんですが。



納品はこっちじゃない。
窓口は向こうの2つだ。



あい。
すみません。



ったく
よく見ろってんだ。



駄目よ。
アロンゾさん。
働いてくださる方たちには
もっと優しく接してくださいな。



クレア様
この状況でそりゃ無理です。
俺の性格をご存知でしょ。



うふふ。
まぁ多少は仕方ないけれど
程ほどにね。



ははははは。



カルロス
おしゃべりしすぎ!



へい。
すみません。



皆さん
大変だけれど頑張りましょうね。
私は今日
領主様と新たな交渉をしてきました。
この仕事が終わったら
みんなを必ず笑顔に出来ると思いますから
辛いけど乗り切りましょう!



へい!



へへへ
クレア様に励まされると
100倍頑張りたくなりますわね。



あら
じゃぁ儲けも100倍かしら?



お!



うふふ。



こんばんは。
責任者の方ですか?



ぁ?



人手が足りないからと言われて
荷馬車を引いてきたのですが。



おぉ、おぉそうかい。
えっと・・・
帳簿はどこだっけか?



新しい方ね?
私、このオオム商会の主人で
クレア・ハーミルトンと申します。



あなたが。
あぁ・・・
失礼ながらまだお若そうに見受けますが。



祖父が築いた店を父から受け継いで
守っているのです。



ほぉ。



はぁ、やっと見つかった。
この帳簿だ。
名前は?



あぁ、本名ですか?
通称ですか?
えっと・・・本名ですとその
いささか閉口するくらい長くなってしまうのですが。



あぁ、もういい。
すぐに荷を運んでくれ。



まぁ
アロンゾさんったらせっかちなんだから。



性分なんですみません。

で、あんた
荷馬車はどれだ?



あそこに停めてある
あれです。



なに?!
ありゃお前普通の・・・



行商用の荷馬車ですね。



はい。
たくさん積めた方がいいかと思いまして。



あんな車輪の細いのじゃ
早く走れんだろうが!
誰に頼まれた?



ぇ?
あぁ・・・
それは・・・



あぁ・・もういい。
何でもいいから
積めるだけ積んで出発してくれ。
今すぐにだ。



またせっかち。



えぇっと・・・
急な話でよくわかっていないんですが
賃金はどなたから?
それと資材の行き先は?



そんな事もわかってないのか!
細かいことはジルバンに聞け!



ジルバン?



あそこの机で書類の整理をしている
熊みたいな人よ。
お連れしますわ。



恐縮です。



その前に・・・



ん?



あなたの通称だけでも
教えてくださいな?



あぁ・・・
ぅうん。
ロレンスです。






また何やら雌に絡まれておるのかや?
まったく
宿と晩飯の調達をしておるようには
とても見えぬが
とりあえず野宿だけは回避できるものと
信じよう。

グゥゥゥ

それにしても腹が減った・・・






ジルバン。



はい。
クレア様。



この方に荷物の行き先と
賃金について教えてさしあげて。



承知しました。



ではロレンスさん
御機嫌よう。



ありがとうございました。



さて
行き先ですが
ルアイ村の北・・・
と言ってわかります?
木札が立っているはずなので
大丈夫だとは思いますが。
そこにあそこの荷を運んでください。

どれでも良いです。
運べるだけ運んでいただきたい。



手間賃は?



手間賃?
ぁ、そうでした。

え~っと
ルアイ村で荷物を渡すと
代わりに木札をもらえますので
持って帰ってきてください。
概ね、札1枚でトレニー銀貨1枚と交換です。



わかりました。
あ、では
もう一つお願いがあるのですが。



何でしょう?



実は急な仕事だったので宿が取れなくて
商会の部屋を借りられませんか?



うむ。
確か仮眠用の部屋が空いているはず。
そこをお使いください。



ありがとうございます。






グゥゥ

ぅぅぅぅ・・・もう駄目じゃ。
ひもじすぎて身体が起こせぬ。



ホロ!



ぇ!



待たせてすまん。
ここに泊まれる事になった。
食事も出してくれるそうだ。



ほぉ!
でかしたぞ!
ぬし。

ではとっとと部屋に移って飯じゃ!
ぬしも腹が減ったじゃろ?



いや
俺は仕事に行ってくる。



は?



一晩中この騒ぎだろうから
ちょっとうるさいかもしれないが
そこは我慢してくれ。



また商人としてそそられるような仕事に
遭遇したのかや?



あ・・・いや
そういう事では無いが・・・



だったらなぜ飯も食わずに行こうなどと?



逃げ足の速い尻尾を掴み損ねないため。
かな?



なんじゃ?
それは。



なるべく早く帰るよ。
お前は食事を済ませて
ゆっくり休んでてくれ。



ぬしはそれで良いのかや?



あぁ。



ふん。



おい、ホロ・・・

あぁ。
ふぅ。
やれやれ。



ヒヒーン



じゃぁ
まずは資材の積み込みだ。






あまり広い部屋ではありませんけれど
一応、窓から表も見わたせますので
おくつろぎいただけるかと思います。



贅沢を言える立場ではありんせん。
寒さがしのげるだけでも
ありがたい事じゃからのぉ。



そう言って頂けると・・・
どうぞ、こちらです。



ギィ



おぉ!
ベッドもなかなか立派ではないかや。
これなら連れが夜中の中途半端な時間に戻ってきても
気づかずぐっすり寝ていられそうじゃ。



うふ。
まぁ・・・
そんな・・・



ぁ?
いささか威勢のいい者たちが
集まったようじゃの。



騒がしくてすみません。
暫くこんな状態が続くと思いますので
それだけはご了承ください。



しかし
昼夜を徹して作らねばならぬほどの物とは
一体何なのかや?



水車ですわ。



ほぉ。
水車?



えぇ。
この辺りはもともと土地が肥えているのですが
今年は特に豊作で
生産高が飛躍的に上がった事で
粉を挽く回数も増えました。



うむ。



それだけではなく
多くの人たちが移り住んできたおかげで
鍛冶屋さんや染色
紡績などの仕事も増えて
その工程に利用するために
水車の需要が高まったんです。



そんな事にも水車が使われておったのかや。



けれど
水車が置かれる河は
貴族の方々の所有地ですから
なんと申しますか
さまざまな方面の利害やら思惑やらが
複雑に絡み合って・・・
町を二分するような・・・
正直申し上げて
醜い対立が起きまして・・・



なるほど。
それを収めるのに
無駄な時間を過ごしてしまったと言うわけじゃな。



えぇ。
結局町から外れた
ルアイ村に設置する事になったものの
日にちがずれにずれた為に
こんな真冬になってしまって。
けれども春は待ってくれませんから。



うむ。
確かに雪解けともなれば
河の水はたちまち倍になるからの。
そうならぬうちに作らねば
さらに無駄な出費が増えると言うものじゃな。



おかげで私どもは儲けさせて頂いてますが
ここまでの経緯が経緯だけに
実は少し複雑な思いがあるんです。



ぬしは優しい顔をしておるが
さすがはこれだけの商会を支える主じゃの。



ぇ?



自分の思いとは別に
どうすれば商売を成功させられるかを
心得て居るからこそ
ほぼ一手に工事のための手配を請け負う事が
出来たんじゃろ?
それは立派な商人の証じゃ。


連れが常々言っておる。



いえ
そんな・・・



ぬしはひょっとして
悪魔のような天使ではないかや?



ぇ?



いや
天使のような悪魔かもしれぬな。



ぁ・・・うふ。
商売の世界に身を置く女にとって
最高の褒め言葉です。
お礼にお食事をちょっと奮発しちゃおうかしら。



遠慮なく頂こう。



じゃぁ
どうぞごゆっくり。



バタン



ふぅ。
何なんじゃ?
あの女。

一時とは言え
わっちに空腹を忘れさせた。
天使かや?
それとも
悪魔かや?