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2011年7月19日火曜日

狼と香辛料II 1 3/3



狼と香辛料II 1 3/3





もっと凄い店を構える日も近いんじゃないのか?






乾杯!



くっくっくっ
ぷはぁ!

いよいよ明日は祭りじゃ!
つまり今夜は前夜祭じゃ。



お前
飲むための口実にしてるだろ?



ふふふ。
ぬしと出会えて本当に良かった。



ん?



ぬしのように生真面目で抜けた男でなければ
わっちの相手は勤まらんかったじゃろう。



お前なぁ。



ぷはぁ。
初めて出会ったのが
もう随分遠い昔のような気がする。



確かにな。



あの頃はわっちの誘惑に
今よりもっとすぐ赤くなって
可愛かったのぉ。



お前だってあの頃は酒の量が半分だった。



ぬしもそのような口答えはせんかった。



あは。
不思議なもんだな。



う~む。
確かに不思議じゃ。
普通に生きていくだけなら
狼の身体のほうが何倍も楽じゃ。
肉も噛み切りやすいしの。

このほっぺたというものには
未だに慣れぬ。
じゃがの・・・



ん?



まだまだ暫くは
この身体で居るのも良いかなと
わっちは思っておる。



そのほうがちょっとの酒で酔えるしな。



ふん。
たわけじゃ。
たわけじゃ!
たわけが居る!

この
たわけめ!



まぁ、飲め飲め。



ん。
許す。



で酔いつぶれる前に
聞いておきたい事があるんだが。



何かや?



お前の故郷を特定する
手がかりになるような事をだ。



手がかり?



道はまっすぐに伸びてないし
当てになるような地図も無い。
場合によっては遠回りの道でないと
たどり着けない事もある。



ふぅむ。



例えばどこか近くの町の名前を覚えてないか?



う~ん・・・
う~ん・・・
そうじゃ!
ニョッヒラ!



ニョッヒラ?!



知っておるのか?



あぁ
温泉で有名な所だ。

異教徒の街だと言うのに
お忍びで行く大司教や
国王が大勢居るらしい。



そうかや!
今でもそうかや!

あそこの湯はわっちらの頃も
傷が早く癒えるので
にぎわっておった。



じゃぁこっちが北で
ここがニョッヒラ。
ヨイツはどの辺だ?



う~ん・・・
この辺。



南西か。

どれくらいだ?



へへへ。
わっちの足で2日じゃ。

人だと・・・
わからん。



2日か。

あれで2日ならかなりの距離だ。
俺の脚ならひと月はかかるな。



心配要らぬ。
美味い食い物さえあれば
わっちは平気じゃ。






範囲が広すぎる。
狼のお前なら
道があるところを通ったとは限らないし
下手をするとまだ1年や2年は・・・



う~ん。
この葡萄酒も美味い!
ぬしは飲まんのかや?



ニョッヒラからなら
お前一人で帰れないか?



そ・・・そうじゃな。
ニョッヒラまで行けば
後はわっち一人でも帰れるじゃろ。
平気じゃな。






孤独は死に至る病じゃ。






い・・・いやいや違うんだ。
まだまだ一緒に旅は続けるし・・・



ぅん。
それで十分じゃ。
ニョッヒラまでは案内してくれるんじゃろ?
わっちはもう少し
いろいろ町を見て回りたいからの。



いいか
俺は出来る限り協力するつもりだ。
ぁ・・・
さっき言った事は・・・



雄は優しくてナンボじゃと言ったが
むしろあまり気遣われるのは
困りんす。
わっちはいかんな。
どうしてもわっちらのものさしで
物を考えてしまう。

ぬしらはわっちが瞬きする間に
年老いてしまうからの。
そんな短い生涯の1年は
とても大事じゃ。
その事をどうしても忘れてしまっての。



そうかもしれんが
その・・・
何と言うか・・・



そんな顔されたら
わっちのほうが困りんす。



すまん。



当たり前の事を忘れていたのは
わっちのほうじゃ。
ぬしの傍は居心地がいいからの。
つい・・・
甘えてしまう。



ぁ!



わっちは酔ったみたいじゃ。
さっさと寝ないと何を言い出すか
わからん。



ぁ・・・

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