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2011年8月5日金曜日

狼と香辛料II 3 3/3



狼と香辛料II 3 3/3






町の女たちは今
こいつに夢中だからな。
女たちは懐が暖かい
商人や農民たちに
この奇跡の石をどれだけ買わせるかを
競い始めた。

女が甘い声を出すたびに
値段が上がっていくという按配だ。



これが・・・
こんな大きな商売になるなんて・・・



仕入れに対して儲けが何割り増し
なんて次元じゃない。
何倍、何十倍の話だ。

アマーティーはすさまじく
荒稼ぎしてるって話だぞ。



なんて事だ・・・



つい数時間前始めた俺でさえ
もう300イレード儲けている。
これをみすみす逃す手は無いってもんだ。



この事はどれくらい広まっている?



朝には市場に知れ渡っていたようだ。
お前がお姫様と踊っていた頃には
一商人の露天の前には
えらい騒ぎだったぜ。



俺は・・・
商人失格だ。



いや
まだいけるさ。



ぁ・・・



転売目当ての商人たちが買いに走って
値段はうなぎ上りだ。

それに・・・
万が一の場合
新しい姫を買う金も要るだろ?



じゃぁとりあえず釘の売掛代金で
その黄鉄鉱をいくらか買わせてもらうかな。



ところでお前
お姫様のほうは本当に大丈夫なのか?
アマーティーはほぼ確実に
借金を肩代わりしちまうぞ。



心配は無用だ。
その金を元に
俺はもう一儲けする。

そして晴れて自由の身になったお姫様に
選ばれてまた一緒に旅を続けるのさ。



たいした自信だな。



当然だろ。






お前・・・
字が・・・



ぬしよ・・・
どうしよう・・・
わっちの帰る場所は
もうありんせん。

ぁ・・・
どうしよう・・・



キィ
バタン



ぁ・・・



あくまでも昔話だ。
誤った言い伝えも多い。



誤った・・・



あぁ。
支配者が変わった土地では
そういった昔話が
でっち上げられることもある。



ならば
なぜぬしはそれを
わっちに黙っておった?



これは・・・
繊細すぎる話題だ。
頃合を見て言おうと思っていたんだが
つい・・・



ふふふ
そんな事も知らずに
呑気に・・・
浮かれておったわっちの様子は
さぞ面白かっただろう。



ホロ!



なんじゃ!



落ち着いてくれ。



おち・・・
落ち着いておる。
こんなにも頭がめぐっておるんじゃからな。

ぬし
ヨイツの事を前から知っておったな?



ぁ・・・



さろうな。
そうじゃろうな。

ぬしはわっちと出会ったときから
それを知っておった!
そうであればいろいろ説明がつく。



ホロ・・・



ぬしは・・・
ははは
哀れでか弱い子羊が好きじゃからな。

何にも知らずとっくに滅びた故郷に
帰りたいなどと言っておった
わっちはどうじゃった?

間抜けで可愛かったじゃろ?
哀れで愛しかったじゃろ。
だから我侭も許して
優しくしてくれたのじゃろ?!

ニョッヒラから勝手に帰れと言ったのは
もういい加減飽きたからなのかや?



ぁ・・・



ホロ!



ぅ・・・
わっちは一人になってしまった。
わっちの帰りを待ってくれる者は
何処にもおらぬ。
わっちは本当に一人になってしまった。



俺が居るだろ?



ぬしはわっちの何じゃ?

いや
わっちはぬしの何じゃ?



ぇ・・・
ぁ・・・



ぁ・・・



ぁ・・・

やじゃ。



ホロ・・・



一人は嫌じゃ。
なぁぬしよ。
わっちを抱いてくりゃれ?



ホロ・・・



わっちはもう一人じゃ。
じゃが子ができれば二人じゃ。
今のわっちはほれ
人の形をなしておる。
なぁぬしよ!



しゃべるな!



ははははは。
そうじゃな。
ぬしはそういう男じゃもな。
はなから期待などしておらぬ!

そうじゃ
思い出した。
わっちを愛する者が居るではないか。
ぬしが慌てておらぬのも
銀貨1000枚ならば惜しくはないと
思っておるからじゃろ?

どうじゃ?!
何とか言ってみよ!



すまぬ・・・

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